2015年 05月 26日 ( 5 )

沖縄からー「艦砲ぬ喰ぇ-残さ-」は父の遺言

 沖縄タイムスの2015年5月24日付けの一面を飾ったのは、特集「沖縄を語る 時代への伝言」で「艦砲ぬ-父の意志」と題した島袋艶子さんのインタビュ-でした。
 実は、「艦砲ぬ喰ぇ-残さ-」が沖縄の歴史そのものを、あまりにもそのままに体現したものであったことを初めて知りました。
「艦砲ぬ喰ぇ-残さ-」の作者である比嘉恒敏さんの物語は、こう語りかけます。

 「父比嘉恒敏さんは戦前、出稼ぎで大阪にいた。両親と、最初の結婚でできた長男を呼ぼうとしたが、米軍に対馬丸もろとも沈められた。その後、大阪大空襲に遭い、目前で妻と次男が防空壕ごと押しつぶされた。」
比嘉恒敏さんは、1971年ようやくつかんだしあわせの中で、この歌を作ることができた。
 しかし。
 「73年10月10日夜、那覇市での公演を終え、読谷に戻る途中の宜野湾市大山で、父恒敏さんの車が飲酒運転の米兵車両と激突した。49歳の母シゲ子さんは即死し、恒敏さんは4日後、家族の名前を呼びながら息を引き取った。56歳だった。」

 島袋艶子さんは、インタビューに、「『艦砲ぬ喰ぇ-残さ-』は父の遺言。歌い続けたい。」と。
 そしてこう続ける。
 ただ『艦砲ぬ』が、大仰に『反戦歌』とくくられることには違和感を抱く。
 「『辺野古の海を守りたい』という気持ちは、沖縄の暮らしに密着したささやかな願いでしょ。『オスプレイを飛ばすな』だって、大それた望みではないさ。」
 ではどういう歌なのか。
 「『この平和、壊すな』と叫びながら、家族の幸せを祈る歌」

 「相手の米兵は酔っ払い運転だった」ことについては、「こんなの無駄死にさ。戦争を生き抜いたのに、またアメリカー(米軍)にやられたんだよ。父の幸せの時間は私たちと一緒に歌い踊った10年間ぐらい。ひどいよ。」と。
 「沖縄は、戦争と隣り合わせの日常がある」ことについては、「艦砲射撃はなくても、沖縄の人はオスプレイや辺野古新基地に戦争の臭いを感じているわけさ。だから〈夜ぬゆながた 眼くふぁゆさ〉〈また戦争が起きるかと思うと夜も眠れない〉という歌詞に、多くの人が共感するのだと思う」と。
 「『艦砲ぬ』が今も説得力を持ち、歌い継がれている理由をどう考えるか」については、「父が歌詞を練ったノートが残っている。当初、『戦争をなくすため、世界の人びとを友にしよう』という意味の詞で終わっていた。でもそれが二重線で消され、書き直された。〈恨でぃん 悔やでいん あきじゃらん 子孫末代 遺言さな〉(恨でも悔やんでもまだ足りない 子孫末代まで遺言しよう)と」と。
 インタビューの最後を島袋艶子さんは、このように結んでいます。

 「父の戦争体験からすれば、最初の詞はきれいごとすぎる。『遺言さな』で結んだ意味は大きい。『お前たちにこの歌を残した。頑張れよ』と言っている気がするんだよね。『食い残し』だからできることがある。頑張らなきゃね」

 安倍晋三政権に、この記事が届いて欲しい。
 この記事を受け取るだけの感性があって欲しい。


by asyagi-df-2014 | 2015-05-26 18:30 | 沖縄から | Comments(0)

労働問題-君が代訴訟、東京都に賠償命令

 東京新聞は2015年5月25日、「東京都立高校の元教職員22人が、卒業式や入学式で君が代斉唱時に起立して歌わなかったことを理由に、定年後などの再雇用をしなかったのは違法として、1人当たり520万~1300万円の損害賠償を都に求めた訴訟の判決で、東京地裁は25日、「再雇用拒否は裁量権の逸脱、乱用だ」として、全員にそれぞれ210万~260万円の賠償を命じた。」と、報じた。

 くじけない闘いの意味を知らせてくれるものである。

 以下、東京新聞の引用。





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by asyagi-df-2014 | 2015-05-26 16:19 | 書くことから-労働 | Comments(0)

労働問題-ブラックバイトを考えることから


 ここ最近、ブラック企業という言葉が定着してしまっているのが、実は、日本の実態である。このブラック企業を背景とする日本の企業のあり方が、「ブラックバイト」を生み出してきているのである。
 企業の利潤の追求が「子どもの貧困」を生みだし、それを維持させるものとして「ブラック企業」や「ブラックバイト」という「制度」が利用されている構造にあるのではないか。
 そして、そうした構造を下支えするものとして、安部晋三政権が「労働者派遣法」改正を企てていることを、まずは、理解する必要がある。
 今回、朝日新聞が「『ブラックバイト』について考える」を特集した。
 ブラック企業やブラックバイトを考えるために、この特集からその声(実態)を拾い出してみた。

(バイト学生の声))
・友達に「最低賃金より安いのはおかしい」と言われましたが、「個人経営だから仕方ないのかな」と思っていました。
・いま振り返ると「最近の若者はダメだ」と自分を含めて思われるのが嫌で、必要以上に頑張ってしまったと感じているそうです。
・20時間近く残業した月もあるのに店長から「未払い賃金はないよね」と確認され、言い返せなかったそうです。「店ではそれが当たり前で、どうしても切り出せなかった」
・「勝手に辞めたらほかの人に迷惑がかかる」。不満を抱えつつ、いまも働いています。
・「何度も店長にお願いしたけど、きついシフトは変わりませんでした」。
・「体調不良でも休めず実家にも帰省しづらい」
・「就職活動への不安もあるけど、辞めるとほかの人の負担が増える」。責任感を利用されているような気がして、「期待している」と店長から言われても素直に喜べないと言います。
・おでんやケーキの販売目標を書かされ、達成するため自腹で買った。

(バイト学生の親の声))
・高校2年の長女が焼き肉店を辞めることになり、代わりに賃金を受け取りに行くと店長が「罰金がある」。実際に受け取った賃金は、出勤した分の半分以下でした。納得できずお店の本社に手紙を出すと、「減額が法律違反という前にお店のルールを守って下さい」という返信とともに、長女がサインした「誓約書」のコピーが送られてきました。代わりがいない時のシフト変更や欠勤によって違約金をとられることや、レジの操作ミス時に損害賠償を請求されることが書かれていました。ただ、労働基準監督署に相談していることを伝えると、減額分は振り込まれました。「法律を調べ、言うべきことを言うのが大切です」
・大学2年の娘が最近まで塾講師をしていて、「夏休みや冬休みは講習に追われ、食事や休憩もろくに取れていなかった」。夜間に社員がおらず、具合が悪くなった子どもやその保護者への対応までしていて「バイトの役割を超えていて心配だった」と言います。

(雇い主の声)
・京都府でコンビニ店を営む40代男性は「本部の圧力や他店との競争が、結果的にブラックバイトに結びついている」と感じています。
・経営者がルールを知らないケースもありました。愛知県で飲食店を経営する男性は、最近まで一部のバイト代が最低賃金より安く、法定の深夜・休日割り増しもしていませんでした。法律に違反し罰則もありますが、「税理士らに指摘されるまで誰も教えてくれなかった」。


 こうした「ブラックバイト」の問題が出てくると、必ず唱えられるのが、「自己責任」論であるが、こうした声は、自己責任を主張することの誤りを、証明している。
 何故なら、こうした問題の背景は、朝日新聞がこの特集でした次の指摘にあるからである。

「ブラックバイト問題は、家庭の収入減で、学費や生活費をバイト代や奨学金に頼る学生が増えたのも背景にあります。若者を酷使する『ブラック企業』も横行し、学業との両立が難しくなっています。
 いまは職場から正社員が減り、バイトが高度な仕事を任されやすい。さらに学生は部活動と同じように協調性を大事にして、最後まで頑張ってしまう。辞めるのは自由なのに、周りへの迷惑を心配してできない。バイトで『不当な扱いを受けた』という声が多いのは、『何も言ってこない』と踏んでひどい扱いをする企業が多い裏返しでもあります。」


 また、「労働契約の問題だと理解している学生はほとんどいません。本人の同意があると企業側が主張し、『グレーゾーン』になる例も目立ちます。シフトを勝手に入れられても、断れずに出勤して給料が払われてしまえば、違法とは言いにくい。自爆営業も同じことが言えます。」という朝日新聞の指摘は、まさしく、日本のこれまでの労働行政及び教育行政のの貧困さを物語っている。

 以下、朝日新聞の引用。



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by asyagi-df-2014 | 2015-05-26 12:13 | 書くことから-労働 | Comments(0)

本からのもの-「国家の暴走」

著書名;国家の暴走
著作者;古賀茂明
出版社;角川新書


 こうした問題を扱うと、どうやら「安倍」研究に落ち着いてしまうが、「安倍晋三政権」の構造的問題と考えるべきではないかとも考えてきた。

 この本でも、次のくだりから始まる。

「あらゆる力を使って、自分の理念を世界の中で実現するのが正義だとする発想に立つと、『あらゆる力』の中には、強大な軍事力がなければいけないことになる。自衛のための軍事力ではなく、自国の価値観や利益を積極的に拡大していくための軍事力だ。安倍総理のお気に入りの言葉、『積極的平和主義』には、そういう意味が込められているのだろう。」

 当を得た説明である。
 この本の内容のすべてを受け入れることにはならないが、多くのことで極めて考え方を整理してくれる。また、細かい政策の理論書ではないので、結論は断定的で、これまたいささか激情的ではある。
 このことを分かって、自分で赤線を引いた箇所のいくつかを紹介する。

 「本当の『積極的平和主義』とは」では、まず「日米安保は片務条約ではない」ことについて次のように整理する。
(1)日米安保条約が本当に米国にとって一方的に不利な条約であるとしたら、そんな条約に米国がサインするわけがない。
(2)米国は、「安保条約を改定しよう」とは口が裂けても言わない。日米安保が非常に都合のよい条約だからだ。
(3)どこが有利なのかというと、沖縄の基地である。米国にとって沖縄の基地は、世界中に何百とある米軍基地の中でも非常に特殊な”素晴らしい”基地なのだ。
(4)その理由は次のことにある。①ほぼ、米軍の思うままに使える。基地周辺の管制権なども全部米軍が持っている.自国の領土と同じだ、②沖縄からグアムなど他の地域に米軍基地を移転する際には、「その費用を出します」とまで日本政府は言っている。
 日米両国が「辺野古新基地建設」を譲らない理由が、まさにこある。
 また、「『米国は尖閣を守ってくれる』という幻想」では、「今の米国の損得勘定では、中国と戦争をしたら失うものが非常に大きい。それは軍事的な打撃だけでなく、中国のマーケットを失うことによる打撃で、将来性をも勘案すれば、日本のマーケットを失うことより、その損失ははるかに大きい。」と分析し、そこにあるのは「集団的自衛権の行使は米国と一緒に中国と戦うためのもの、という幻想だ。」と、切ってみせる。
 結局、「最も大事なことは、他国と戦争をしないこと、日本が攻められないようにすることだ。」と、安倍総理の「軍事力拡充による積極手平和主義」を「全く違うもの」と否定する。そして、これに対置させるものとして、ヨハン・ガルトウングの「積極的平和」を示す。
 古賀流の「軍隊を引き連れて『悪い奴ら』を叩くことが積極的平和主義だというのは、とんでもない勘違いであり、あまりにも田舎者の発想である。」との表現は、一介の田舎者としても、そうだと頷く。

 「間違いだらけの雇用政策」では、現在の安倍晋三政権の政策を俯瞰する形で、次のように指摘する。

「今の安倍政権は、その『頑張り』の負担を、すべて国民に押しつけようとしている。企業を守らなければいけないから、残業代をタダにしましょう。競争に勝ち残らなければならないから、正規雇用を非正規雇用に変えてコストを下げましょう。企業には、国紗競争のために減税しましょう。消費者には、財政再建のために消費税で負担してもらいましょう。そうことを言っている。『何のための成長なのか』が忘れられ、まさに成長のための成長という成長市場主義になっている。これこそが、アベノミクスの最大の問題として議論されなければならない。」

 安倍晋三政権の「成長戦略」政策を批判してきた者としては、「何のための政策なのか。誰に向けての政策なのか」をやはり追求していく必要性を感じた。

 最後に、これからの日本のあり方について、古賀は次のように説く。

「どの国から見ても『日本はこれから世界のお手本になる。そういう国とは仲良くしておく方が得だ』『日本人の文化や生き方には共感を覚える。日本人とは仲良くしたい』と思えるような国になっていくためには、軍事力に莫大な税金を注ぎ込むようなことはせず、もちろん、局地的であっても戦争のようなことは起こさずに、経済・社会の改革をすすめることである。」

 そして、「総合評価で、天秤の傾きをもう一度日本に戻すためには、『成長のための改革はするけれど、戦争はしない国、日本』という方向を目指していくべきだ。」と、まとめる。
 「成長政策」をどのように捉えるのかについては異論があるとしても、「戦争はしない国、日本という方向」は、正しい。
 ともに闘っていくことが必要である。


by asyagi-df-2014 | 2015-05-26 08:53 | 本等からのもの | Comments(0)

『週刊金曜日』大分読者会の西岡由香さんの講演会に参加してきました。


 『週刊金曜日』大分読者会が、2015年5月23日(土曜)に、大分市コンパルホールで主催した西岡由香さんんの「憲法、原爆、原発、そして漫画の話」という講演会に参加してきました。
 最近の大分の市民運動のちょっとした停滞感もあり、この大分読者会の講演も参加者が少な目でした。

 プロジェクターを利用しながらの西岡さんの講演は、丁寧な話し方のうえに、テンポもよく、非常に分かりやすいものでした。
 特に、この講演会では、漫画の力というものを改めて感じました。
 例えば、殊更わかりにくくしてている安部晋三政権の「集団的自衛権」の説明を、西岡さんは、漫画という表現方法を通して、作品として分かりやすく提示してくれました。
 「しゅうだんてきじえいけん」を「じゅうだんてきじえいけん」と置き換えればいいというくだりは、思わず手をたたきました。

 次が、この講演での珠玉の言葉の抜粋の一部です。

・「戦争の最初の犠牲は真実。次の犠牲は文化だ。」
・「原発事故は、スローモーションの核戦争。」
・「コンセントの向こうで誰かを被爆させている。」

 講演の終わりの質疑の時間には、会場から、「本年度の長崎市平和宣言起草委員会からの西岡さんの排除」についての質問が出され、「恐らく、昨年度の委員会で集団的自衛権の宣言への挿入にこだわった三人が排除された結果になっている」との回答もあり、会場がどよめきました。

 最後に、講演会終了後の西岡さんを囲む交流会に参加できました。
 この場で、参加者の一人から「長編漫画と四コマ漫画の両方をかける人はなかなか居ないのだが、どうして西岡さんはできているのか」という話が出ました。
この質問者のいつもの博識ぶりに驚かされるとともに、西岡さんの「漫画の描き始めがある長崎の漫画家の助手のような形で始めた。もともとは長編漫画からだからかな。」という説明に、そうなのかと頷いたのでした。

 西岡由香さんの才能の一端である週刊金曜日の「さらん日記」に、これからも期待します。


by asyagi-df-2014 | 2015-05-26 06:10 | 連帯を通して-市民運動の場で | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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