2015年 04月 30日 ( 2 )

自民党の憲法改正草案を覗く。

 現行の日本国憲法を批判する上で、「現行の憲法には環境権に関するものがない」と、よく言われている。
 このことについて、明日の自由を守る若手弁護士の会のブログで、次のように指摘していました。


それで、自民党の憲法改正草案で、環境権の箇所を読んでみました。

25条の2
国は、国民と協力して国民が良好な環境を享受することができるようにその保全に努めなければならない。

うーん、これは権利ではありませんね。
「国」には、「配慮」する「努力義務」があるだけ。
「国民」の「国に要求できる」「権利」ではないのですね。

国の対応が不十分じゃないか!と主張しても、「配慮しました」「努力はしました」と言いくるめられておしまい。
努力義務なので、具体的な国の負担はなし。
配慮する努力義務なので、裁判での基準にもならない。
しかも、「国民と協力して」!!!

...ということは、国民が環境を守る負担を負うべきだという根拠に使われてしまう恐れすらあるわけです。例えば、税金を負担して。
あるいは、環境を守るためだと言って規制をかけられたり。こうなると、権利というより、ほとんど義務ですよね。

もし、企業法務で、こんな感じの契約書をチェックしてくれと言われたら、修正や削除を進言するレベルです。

今の憲法でも、憲法13条を根拠にして「新しい人権」を創造して、裁判で主張することはできます。
プライバシー権とか、肖像権とかですよね。
最近では「NOニュークス権」というものを主張して裁判をする動きもあると聞いています。今のままでも、憲法13条を根拠にして環境権を主張していくことは十分可能なんです。

それなのに、なんとなく、環境権とかいう表現で、「良さげな権利が入るならいいじゃないか」と思って、うっかり賛成してしまうと、かえって裁判で主張できないものになってしまう恐れがあるのです。
これは、もはや「権利」という言い方自体に問題があるでしょうね。


 自民党の憲法改正草案での環境権が、権利に当たらないということがよく分かりました。

 以下、「明日の自由を守る若手弁護士の会」 ブログの引用。






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by asyagi-df-2014 | 2015-04-30 16:00 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

米軍再編-日米防衛指針(ガイドライン)改定を考える。

 自衛隊と米軍の役割分担を定めた日米防衛協力指針(ガイドライン)が18年ぶりに改定された。
このことについて、秋田魁新報の社説を参考に問題点等をまとめる。

(1)自衛隊の活動範囲が地球規模に広がるなど、安全保障の在り方が大きく変わる。
(2)指針の基となる安保法制が国会で審議される前の改定である。安保政策の大転換にもかかわらず、明らかに国会と国民を軽んじている。安倍政権は説明責任を果たす必要がある。野党も国会の場で厳しく追及していくべきだ。
(3)新指針は「切れ目ない共同対応」と「グローバルな日米同盟」をうたっている。平時であっても軍事に関して日米で調整する機関を常設し、日本の有事で米軍が武力行使するときは作戦を事前調整するとした。
 直接攻撃されなくても日本の存立が脅かされると判断される事態では、集団的自衛権を行使できると定めた。具体的には停戦に至っていない海域での機雷撤去、米艦船の防護など、日本周辺に限らない活動を例示した。自衛隊による弾道ミサイルの迎撃も明記した
(4)日米両国は、同盟の強化が進むと改定の意義を強調した。安倍政権には、財政難から軍事費を削減している米の負担を軽くし、自衛隊の存在感と日本への信頼度を高め、日米関係を対等に近づけたいとの狙いがある。
(5)自衛隊が今なお圧倒的な力を持つ米軍との一体化に向かえば、むしろ米への従属化が進むのではないか。米軍の戦略に自衛隊がいや応なく取り込まれる危険はないのか。日本が主体性を失って追従するようなことがあってはならない。
(6)何より自衛隊の活動範囲や任務が拡大すれば、隊員の危険も増すと考えるのが普通だ。


 また、神戸新聞社社説は、ガイドライン改定の問題点を次のように指摘する。

(1)集団的自衛権行使  → 憲法九条違反の疑い
(2)地理的制約の撤廃  → 専守防衛方針と矛盾
(3)地球規模の日米提携 → 自衛隊が米軍の歯車に
(4)海外での武力行使  → 戦闘に巻き込まれる恐れ


 さらに、各新聞の社説等の主張をここで抜粋する。

(1)秋田魁新報
 元防衛官僚で元内閣官房副長官補の柳沢協二氏は先ごろ、新指針と安保法制について秋田市で講演し「集団的自衛権による他国防衛は、日本への攻撃を誘発する。戦争をさせないという世論が大切だ」と述べた。国民も国会論戦を注視し、世論の形成に参加する必要がある。
(2)茨城新聞
 日米安保条約は日本の安全と極東の平和と安全を維持するために、米軍の日本駐留を認めている。今回の改定で自衛隊と米軍の協力が世界中に拡大すれば、条約の趣旨から大きく逸脱する。どう対米追従に歯止めをかけるのか。国会での論議の深化が求められる。
(3)京都新聞
 安保法制が国会で議論される前に新指針を日米で合意し、既成事実化することは許されないが、逆に言えば指針の裏付けとなる安保法制の審議はこれからだ。日本の安保政策の大転換を推し進めるのか、待ったをかけるのか。国会が役割、責任を果たす時だ。
 戦後、自衛隊は海外で人を殺さず、殺されもしなかった。国民もそのことの意味を深く考えたい。
(4)神戸新聞
 「平和主義」の国是からの逸脱を重ねる安倍政権の姿勢は、容認するわけにはいかない。
 自民党の「1強」状態で、野党は存在感に乏しい。とはいえ、安保政策の転換はまだ国会の承認を受けておらず、民意に沿うとは言えない。政府の対米交渉先行を、野党は後半国会で厳しく追及すべきだ。
(5)山陰中央新聞
 安倍内閣はガイドラインの改定を具体化した形の安全保障関連法案を5月14日にも閣議決定する予定で、その後に国会論議が始まる。自公両党はガイドラインの改定直前、安保法制に実質合意した。だが、与野党の本格的な論戦に先立って日米政府間でガイドライン改定に踏み切ったことは国会軽視で、本末転倒との批判を免れない。
 日米安保条約は日本の安全と極東の平和と安全を維持するために、米軍の日本駐留を認めている。今回の改定で自衛隊と米軍の協力が世界中に拡大すれば、条約の趣旨から逸脱する。どう対米追従に歯止めをかけるか。国会での論議の深化が求められる。
(6)高知新聞
 拡大する自衛隊活動の裏付けとなる安全保障法制は与党が実質合意したとはいえ、国会審議はまだ始まっていない。国民への説明や国会の論議より米国との約束を先行させる政府の姿勢は許されない。
 憲法と日米安保条約は一字一句変わらないのに、「国のかたち」は大きく変わってしまう。国民の理解を置き去りにしたまま、安倍政権が突っ走ることは到底容認できない。国会での徹底的な論議を強く求める。
(7)西日本新聞
 この指針の下で、政府が必要と判断すれば、自衛隊は「世界のどこでも、いつでも」米軍を支援できるようになる。自衛隊が米国の軍事戦略の歯車として組み込まれていくことになりはしないか。
 そうなれば、専守防衛を大原則としてきた日本の安全保障政策は変質し、自衛隊の海外活動に伴う危険も高まるばかりだろう。
 また、新指針は政府と与党が進める安全保障法制見直しを先取りした内容になっている。安保法制の国会審議も始まっていない現時点で、法改正を前提とした役割分担を対外的に約束するのは本末転倒であり、断じて容認できない。
(8)佐賀新聞
 日米政府がガイドラインをまとめたのを受けて、米国の世界戦略へ組み込まれると懸念の声が上がっている。しかし、自衛隊と米軍の一体化が強まるのを懸念とするのか、意義のある同盟の深化とするかは政治的な立場によって評価が異なる。
 今はまだ国民の関心が追いついていないが、何よりも安全保障は国民の命と財産、国土を守るためのもの。再改定でも日本の活動は専守防衛、非核三原則などに従うことも明記している。国会で政府が国際情勢や危機感をきちんと説明した上、理解を得ながら法整備を進めなければならない。
(9)南日本新聞
 オバマ政権は軍事の軸足をアジア太平洋地域に移す「リバランス(再均衡)」政策を掲げるものの、財政難で国防予算の削減を余儀なくされている。同盟国や友好国との関係強化を打ち出しており、今回の改定は日本が軍事的負担を肩代わりした格好だ。
 日米安保条約は日本の安全と極東の平和を維持するために、米軍の日本駐留を認めている。防衛協力が世界中に広がれば条約の趣旨からも大きく逸脱する。
 安保政策の見直しは国民の理解を得ることが大前提だ。国会で徹底した議論を尽くすべきだ。
(11)琉球新報)
米政府は尖閣諸島を「日米安全保障条約5条の適用対象」としている。だが米軍投入は米議会の承認が必要となる。尖閣有事の際でも米政府が議会承認を求めたり、議会が承認したりする可能性は低い。米軍の役割を「支援」にとどめたのはその反映であろう。
 米軍が自衛隊と共同で島しょ防衛で戦闘行為を実施することなどあり得ないということだ。
 にもかかわらず、米軍が即座に参戦するとの誤解を国民に与える日本政府の印象操作はあまりにも不誠実である。
(12)沖縄タイムス)
 「2プラス2」の共同文書には普天間飛行場の辺野古移設が「唯一の解決策」と書き込まれた。日本政府が県と約束した普天間の「5年以内運用停止」は盛り込まれていない。 中谷元・防衛相は、5年以内運用停止を米側に伝達したとするが、回答はなかったという。まるで子どもの使いだ。本気度が感じられない。
 辺野古移設が進まないのは、県民の意志に反した計画だからだ。日米首脳会談を待たず「2プラス2」による辺野古移設の再確認は、選挙で示された正当な民意を無視するものであり、到底受け入れられない。



さて、このガイドライン改訂に関しては、「平時から緊急事態まで、時と場所を問わず自衛隊と米軍が一体化するのは間違いない。」(高知新聞)ということであることは間違いない。
 つまり、「安倍政権はこれまで築いてきた『平和国家日本』を大きく変容させようとしている。日本は『戦争をしない国』として世界の信頼を得てきた。それが今、『戦争ができる国』にとどまらず『戦争をする国』へと大きくかじを切った。(琉球新報)」と、いうことである。
 結局、「『平和主義』の国是からの逸脱を重ねる安倍政権の姿勢は、容認するわけにはいかない。」との神戸新聞の主張が、このガイドライン改定をまさしく言い当てている。
 確かに、琉球新報の「戦後70年の節目の年に、日本は重要な分岐点に立っていることを国民は強く自覚し、危機意識を持つ必要がある。」と、強く感じる。

 以下、各新聞社の社説等の引用。




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by asyagi-df-2014 | 2015-04-30 05:50 | 米軍再編 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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