2015年 01月 16日 ( 1 )

2015年度予算案の閣議決定を各紙社説から考える

 2015年1月14日、政府予算案が閣議決定された。
 このことを、各紙の社説とともに考える。
 各紙の社説とその見出しは、次の通りである。

(1)信濃毎日新聞社説-政府予算案 成長頼みで大丈夫か-

「『経済再生と財政再建の二兎(にと)を追う』は安倍政権の決まり文句だが、予算案を見ると、本当に実現できるのか疑念が募る。」
「しかし、歳入の4割近くを国債に頼っている。借金依存体質は少しも変わっていない。さらに注意しなくてはならないのは、予算案が経済成長で税収が伸びることを前提にして、財政再建を図ろうとしていることだ。当てが外れれば経済も財政も共倒れになる危険がある。」
「首相が力を入れる安全保障関連費用の伸びが目立つ。防衛費は02年度をピークに減少傾向だったが、第2次安倍政権は3年連続で増やしている。18年度までの中期防衛力整備計画によれば、毎年1%近くの増加が見込まれる。16年度は5兆円を突破する可能性がある。軍事重視路線が周辺諸国との間で摩擦をさらに強めないか、心配になる。」
「社会問題化している経済格差への対応も同様だ。税制改正も含め、富の再分配への取り組みが今回の予算案でも弱い。」

(2)新潟日報社説-15年度予算案 足りぬ暮らしへの目配り-

「総額96兆3420億円は過去最大である。規模は勇ましいが、私たちの日々の暮らしが良くなるかは見通せない予算といえる。」
「政府は具体策を打ち出す地方自治体の奮起を求めるが、力の弱い自治体を切り捨てるようなことは許されない。」
「経済と財政のかじ取りはこれからますます難しくなりそうだ。安倍政権の『経済最優先』が正念場を迎える。」

(3)北海道新聞社説-2015年度予算案 道筋見えぬ成長と健全化-

「一方、企業業績の改善で法人税収などが増える見込みから、財源不足を補う新規国債の発行額は6年ぶりに30兆円台に抑えてはいる。しかし歳入の40%前後を国債に頼る借金体質に変わりはない。安倍首相は『経済再生と財政健全化の両立を実現させる予算』と胸を張るが、これでは納得することはできない。」
「過去最大の4兆9800億円に膨らんだ防衛費は安全保障を重視する『安倍カラー』が、より鮮明に打ち出されたと言える。予算編成の基本方針で『聖域なく歳出を見直す』と明記していたはずだ。議論も不十分なままの事実上の聖域化は疑問が残る。」
「生活保護費では、家賃に相当する『住宅扶助』の支給額が引き下げられ、冬の暖房費などに充てられる『冬季加算』も減額される。低所得世帯にとっては最低限の生活保障を脅かされる事態につながりかねないだけに、政府にはより慎重な対応を求めたい。」
「財務省によると国債発行残高は15年度末には807兆円、国と地方の長期債務残高は1035兆円に膨らむという。15年度は新規国債発行額を4兆3870億円減らしたとはいえ、焼け石に水といった状態だ。」

(4)東京新聞社説-15年度予算案 見えない「負担」も語れ-

「政府が決めた二〇一五年度予算案は税収増から借金依存度が改善したとはいえ、依然として借金頼みだ。結局、巨額債務の処理も『禁じ手』を使うのか。」
「アベノミクスは当初から、政府債務を処理するうえで『禁じ手』との指摘があったが、政府与党の楽観的ともとれる姿勢を見せられると、結局アベノミクスは債務削減を企図していると思わざるを得ない。」
「日本の債務残高は、例えれば河原で積み上げる小石の山のようなものだ。何かのはずみで、いつ崩れてもおかしくない。それでも政府が小石を積み上げ続けられるのは、アベノミクスの異次元緩和で金利を低く抑え込んでいるためだ。だが、この人為的な超低金利は預金者や金利生活者、投資家の金利収入を犠牲にしていることに等しい。」
「見えない負担を『可視化』すると、アベノミクスの持つ危うさや、それにもたれかかる財政の脆弱(ぜいじゃく)さが浮かび上がるのである。世界一の借金大国が大盤振る舞いの予算を組み続けるのは、やはりおかしいのである。」

(5)朝日新聞社説-新年度予算案―弱者へしわ寄せなのか-

「もらえる年金やサービスは抑えられる一方、消費税などによる負担は増える。国民にとって痛みの分配は避けられない。」
「政権が予算案で示した解答をひと言でいえば、『所得の少ない人へのしわ寄せ』である。」
「この予算案にも首をかしげる項目が多くある。例えば、整備新幹線である。与党や自治体の要望で北海道など3路線の開業時期の前倒しを決めたが、国と地方が投じる公費が膨らむ危険をはらんでいる。」

(6)毎日新聞社説-15年度予算案 未来への道が見えない-

「しかし、その意気込みは伝わってこない。税収が増える分だけ新たな借金は減らすが、歳出の膨張に歯止めはかからず、一般会計は過去最大の96.3兆円に達した。これではツケ回しをしない健全な未来への道筋は見えない。」
「15年度の目標を達成しても歳入の約4割を借金に頼る不健全な構造は変わらない。政府は20年度のPB黒字化を目指すが、内閣府の試算でも11兆円の赤字が残る。達成には大胆な歳出削減が欠かせない。」
「3年連続増の防衛費や前年度並みの公共事業費などからも厳しい財政規律を守る姿勢はうかがえない。」
 
 結局、今回の政府予算案は、東京新聞の「 世界一の借金大国が大盤振る舞いの予算を組み続けるのは、やはりおかしいのである。」ということであり、朝日新聞の「所得の少ない人へのしわ寄せ」との指摘に尽きる。

 加えて、愛媛新新聞は、沖縄振興予算減額について、「沖縄振興予算が14年度比で4.6%減額となった。減額は5年ぶり。安倍政権が推進する米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に反対する翁長雄志氏が、知事選で勝利したことへの腹いせとみられる。」と、痛快に安部晋三政権の姑息さを指摘した。

 以下、各紙社説の引用。




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by asyagi-df-2014 | 2015-01-16 19:00 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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