2014年 11月 18日 ( 1 )

沖縄から-沖縄知事選の結果を受けて、試合終了のホイッスルを鳴らす時が来た。

 今回の沖縄県知事選挙の結果は、辺野古新基地建設については、沖縄タイムスの「試合終了のホイッスルを鳴らすときだ」ということを実現しなければならない時期を迎えたということを示している。

 2014年11月17日付の各紙の社説を見てみると、全国紙と地方紙の主張の差が非常に大きいことに改めて気づかされる。それは、自己決定権の実現こそが各地方紙の存在基盤そのものを規定するという事実の重みの違いなのかもしれない。それにしても一部全国紙の主張はあまりにもひどい。

 以下に、2014年11月17日付の主立った社説の主張を要約する。最初に、地方紙からのもの。

・沖縄タイムスは、次のようにまとめている。
「沖縄の人々が長い間、心の底にしまい込んでいた感情が、マグマとなって一気に地表に噴き出した。予想を上回る歴史的な選挙結果である。」
「1月の名護市長選に続いて再び、『埋め立て承認・辺野古移設反対』の強固な民意が示されたことになる。沖縄の多数意思が何を求めているかは、もはや疑う余地がないほど明白だ。」
「もはや辺野古移設をめぐって丁々発止と渡り合う時期は過ぎた。『地元の頭越しには進めない』という普天間問題初期の政府方針に立ち戻り、計画見直しに向けた話し合いに入るべきである。」
「結果は仲井真氏のオウン・ゴール。『辺野古ノー』と同時に、『仲井真ノー』が示された選挙でもあった。」

・琉球新報は、次のように主張する。
「新たな基地は造らせないとの民意は揺るがない。県知事選で、そのことがあらためて証明された。」
「約10万票の大差は、県民が『沖縄のことは沖縄が決める』との自己決定権を行使し、辺野古移設拒否を政府に突き付けたことを意味する。一方、政府は選挙結果にかかわらず、辺野古移設を進めると明言しているが、民主主義国家として許されない。埋め立て承認で地元の了解が得られたと受け止めているようだが、それも間違いだ。」
「政府は辺野古移設の是非を最大の争点とした知事選で示された民意を真摯(しんし)に受け止め、辺野古移設を断念すべきだ。それこそが安倍政権の言う『沖縄に寄り添う』ことを具現化することになる。米政府も民主主義に立脚すれば、民意の重みを無視できないはずだ。」
 また、沖縄県民が努力しなければならないことについても次のように指摘する。
「東村高江では住民の反対を無視し、新たな米軍ヘリパッドの建設計画が進められている。翁長氏はオスプレイ配備に反対する立場からヘリパッド建設に反対している。建設断念に追い込んでほしい。県内全41市町村長が署名した『建白書』の求めるオスプレイ配備撤回の実現にも知事として力を注いでもらいたい。
 基地問題の解決はこれからが正念場である。辺野古移設など米軍基地の過重負担を強いる政府の厚い壁を突き破るためには、県民世論の後押しが欠かせない。『建白書』の精神に立ち返り、さらに幅広いオール沖縄で基地問題解決を訴え、翁長氏を支援する態勢の再構築も求められる。」

・西日本新聞は、「これほど明確に示された沖縄の民意を、政権は無視できるのか」と指摘し、「もし、政権がこの状況を軽視し『国家の論理』を沖縄に押し付け続ければ、沖縄の心はますます本土から離れてしまう。沖縄と本土との一体感さえ揺らぎかねない。安倍政権は、沖縄の民意を正面から受け止め、あらためて米国と協議して『辺野古』以外の選択肢を検討して欲しい。一地域の犠牲の上に成り立つ安全保障など、もう限界だと悟るべきだ。」と、主張する。

・北海道新聞は、「移設を強引に進めてきた政府に対する強い拒絶反応である。安部晋三首相はじめ政府・与党は重く受け止めなければならない。辺野古での移設作業をこれ以上進めてはならない。地元の反対意見を無視する姿勢を改め、対話の道を模索することが不可欠だ。」と、指摘する。

・中日新聞は、「これ以上の米軍基地建設を拒否する県民の重い選択だ。安倍内閣は真摯に受け止めるべきである。」と政府に注文を付け、「選挙期間中、多くの自民党議員に加え、菅官房長官も異例の選挙応援に入った。そこで訴えたのは、那覇空港第二滑走路の早期完成や米映画テーマパークUSJの沖縄誘致支援だ。経済振興策は必要だとしても、県内移設受け入れを前提とした露骨な手法である。基地押しつけに『構造的差別』を感じ始めた沖縄県民には、もはや通用しない。」と、まとめる。
 また、「在日米軍基地の規模や配置、沖縄県民の負担軽減は引き続き、すべての日本国民が考えるべき課題である。決して過去の問題ではない。」と、指摘する。

・福井新聞は、「基地問題は沖縄に押しつけているだけでは何も解決しない。沖縄が抱える厳しい現状を直視し政府、国民全体で「負担の解消」を考えていくべきではないか。」と、問題の本質を見抜く。

・徳島新聞は、「『地元の理解が得られない移設を実現することは事実上、不可能だ』と翁長氏が主張したように、辺野古はもはや『現実的』な選択肢といえなくなったのではないか。ただ、住宅密集地に囲まれ、世界で最も危険とされる普天間飛行場を固定化していいはずがない」と、まとめる。

・高知新聞は、「基地負担とひき替えにふんだんに『アメ』を与えるといった常とう手段は、もはや通用しないことを肝に銘じるべきだろう。」と指摘し、「安倍首相は常々、『沖縄の方々の気持ちにも寄り添う』と述べている。それが本心なら翁長氏勝利の結果を謙虚に受け止め、民意を尊重する姿勢に方向転換するべきではないか。」と主張する。

 ここからは、全国紙の主張である。

・朝日新聞は、「『沖縄に寄り添う』と繰り返してきた安倍政権である。辺野古への移設計画は白紙に戻すしかない。」と、明確に主張を示し、「『基地は県民が認めてできたわけではない。今回、辺野古移設を受け入れれば、初めて自ら基地建設を認めることになる。それでいいのか』。県内にはそんな問題意識が渦巻く。それは『本土』への抜きがたい不信であるとともに、『自己決定権』の問題でもある。自分たちが暮らす土地や海、空をどう使うのか、決める権利は本来、我々にこそある、と。」と問題を抉ってみせる。最後に
「明白になった沖縄の民意をないがしろにすれば、本土との亀裂はさらに深まる。地元の理解を失って、安定した安全保障政策が成り立つはずもない。知事選を経て、普天間問題は新たな段階に入った。二者択一の思考停止から抜け出す好機だろう。政府は米国との協議を急ぎ、代替策を探るべきだ。」と、主張する。

・東京新聞は、「普天間返還のためとはいえ、米軍基地をこれ以上、沖縄県内につくるのはやめてほしい、というのは県民の素直な想いと理解する。・・・今回の選挙結果は、『アメとムチ』によって県内移設を強行してきた安倍内閣に対する『不信任』でもある」と、政府の責任を追及する。

 さて、地方紙や他の全国紙と際だった違いを見せたのは、読売新聞である。
・読売新聞は、「曲折の末、ようやく軌道に乗った米軍普天間飛行場の移設を停滞させてはならない。新知事に慎重な対応を求めたい。」とする。そして、当選したばかりの翁長新知事に、「徹底的に移設を阻止しようとすれば、政府との対立は避けられない。その場合、年3000億円台の沖縄振興予算をどうするか、という問題も生じよう」と、脅しをかける。それは、高知新聞の「基地負担とひき替えにふんだんに『アメ』を与えるといった常とう手段は、もはや通用しないことを肝に銘じるべきだろう。」という指摘との質の違いを感じざるを得ない。最後に、「翁長氏も現実路線に立ち、政府との接点を探ってはどうか」と締める。
 この読売の現実路線というものの薄さは、どうしようもないものである。

 さて、今回の沖縄知事選の結果を受けて、沖縄の二紙をはじめ、各紙から受け止めた大事な視点は、次のものである。

(1)新たな基地は造らせないとの民意は揺るがない。沖縄県知事選で、そのことがあらためて証明された。
(2)「沖縄のことは沖縄が決める」との自己決定権を行使したものである。
(3)「地元の頭越しには進めない」という普天間問題初期の政府方針に立ち戻り、計画見直しに向けた話し合いに入るべきである。政府は米国との協議を急ぎ、代替策を探るべきだ。
(4)米政府も民主主義に立脚すれば、民意の重みを無視できないはずだ。
(5)在日米軍基地の規模や配置、沖縄県民の負担軽減ついて、沖縄が抱える厳しい現状を直視するなかで、政府、国民全体で、沖縄の「負担の解消」を考えていくべきではないか。
 
 試合終了のホイッスルを鳴らし、自分たちで考える時が来た。


 以下、沖縄タイムスと琉球新報、朝日新聞及び読売新聞の引用。




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by asyagi-df-2014 | 2014-11-18 05:27 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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