2014年 11月 10日 ( 1 )

原発問題-田中俊一委員長(2014年11月5日)の記者会見から

日本火山学会原子力問題対応委員会は、 2014年11月2日、「巨大噴火の予測と監視に関する提言」を行った。
特に、「噴火警報を有効に機能させるためには,噴火予測の可能性,限界,曖昧さの理解が不可欠である.火山影響評価ガイド等の規格・基準類においては,このような噴火予測の特性を十分に考慮し,慎重に検討すべきである.」という提言については、原子力規制委員会に大きな不満(影響)を与えたと見え、2014年11月5日の原子力規制委員会田中俊一委員長の記者会見の中で、このことに関してのいささか主観的すぎる反論が行われている。
 この会見の模様については、原子力規制委員会のホームページの「原子力規制委員会記者会見録」を参照されたい。
 この田中委員長の会見について、「抗議声明」というかたちで、批判がなされている。
 ここでは、この「抗議声明」を参考に、田中委員長の記者会見での発言を批判する。

 第一番目に、「火山の専門家の警告を無視していたのは原子力規制委員会」ということについてである。
 記者会見での発言の引用の一部は、次の通りである。

「だから、火山学会が今さらのごとくそんなことを言うのは、私にとっては余り本意ではないですね」
「だから、逆に言うと、とんでもないことが起こるかも知れないということを平気で言わないで、それこそ火山学会を挙げて必死になって夜も寝ないで観測をして、我が国のための国民のために頑張ってもらわないと困るんだよ。」
「言葉尻を捉えてというつもりはないのですが、火山学会が今さらそんなことを言うのは私にとっては本意ではないというのは、少し言い過ぎなのではありませんか。」という質問に対して、「そんなことないと思いますよ。国会で、私が1回このカルデラ噴火のことでいろいろ議論があって、そこから何か急にカルデラ噴火がどうのこうのと騒ぎ出したけれども、そんなに日本にとって非常に極めて大変な1億2,000万人も死んでしまうような状況が起こる自然現象があるのだということであれば、それが相当の確率で起こるということであれば、もっと早急に発信して来るべきではないでしょうか。それが科学者の社会的責任なのですよ。そういう点で、私は委員長としてではなくて、科学者としてそういうところを本意ではないと思うのです。」


 このことについて「抗議声明」は、次のような反論をする。
①原子力規制委員会は、委員にも原子力規制庁にも火山の専門家が一人もいない状況で、火山審査から専門家を排除し、専門家による警告を無視し続けたという事実があること。
②川内原発の適合性審査では、ヒアリングの機会すらなく、審査書案が出た後8月25日になってようやく、火山モニタリング検討チームが開催され、火山学会原子力問題対応委員会石原和弘委員長、火山噴火予知連絡会藤井敏嗣会長、火山ガイド策定時に唯一、専門家としてヒアリングを受けた東大地震研中田節也教授らが招へいされたに過ぎないという事実でしかないこと。

 実は、火山モニタリング検討チームは、8月25日の会議で、川内原発の火山審査について、次のような指摘を行っている。
①運用期間中の破局的噴火の可能性が十分小さいとする原子力規制委員会の判断に疑義があること。
②モニタリングにより噴火の予知・予測は可能であるとする九州電力の主張に根拠がない
こと。
③マグマ供給の変化が地表のモニタリングでは把握できない可能性があり、地下のモニタリングが必要であること。
④カルデラ火山のモニタリングが事業者の手に負えるものではないこと。
⑤前兆が現れるのはせいぜい数ヶ月前であり、核燃料搬出の時間的余裕をもって予測することなど不可能であること。

 この指摘と、「抗議声明」の批判は、規制委員会委員長の会見内容を遙かに超えた整合性を持っている。

 第二番目に、「3ヶ月で核燃料の搬出はできる」ということについてである。
 記者会見での発言の引用の一部は、次の通りである。

「5年前に予測するというのは無理だと皆さんおっしゃっているわけで、そこをできるというのが安全神話なのではないかという批判があるわけです。」という質問に対して、「放射能に汚染されると言うけれども、どの程度の汚染の広がりかということですよ。別にシミュレーションすることもないでしょう。核実験とかいろいろな核爆弾とかそういう経験もあるわけですから、冷静によく考えたらどうですか。」
「これまで伺っていた話だと、年単位、通常であれば5年程度と伺っていたのですけれども、その3ヶ月というのは、具体的にどのようにやったら3ヶ月でできるということなのでしょうか。」とい
いう質問に対して、「余り検討は細かくしたことはないけれども、例えば、そういった使用済燃料をどういうふうに見るかということもありますけれども、国が破滅するような状況のときに、どういうことをやっておくべきだということで、3ヶ月の期間をどう活用したらいいかというのはこれからの課題かも知れないですけれどもね。」

 このことについて「抗議声明」は、次のような反論をする。
①根拠もなく答弁しているに過ぎないこと。
②取り出して3ヶ月では、温度だけでなく放射能のレベルも高く、輸送容器に移すことはできないし、仮に強引に行ったとしても、そのための輸送容器を開発しなければなりません。何より、搬出先を3ヶ月で選定するのはできないこと。
③「放射能に汚染されると言うけれども、どの程度の汚染の広がりかということですよ。別にシミュレーションすることもないでしょう。核実験とかいろいろな核爆弾とかそういう経験もあるわけですから、冷静によく考えたらどうですか。」と述べ、核燃料が燃えても、汚染はたいしたことはないと開き直っただけであること。

 この反論で充分であるが、「国が破滅するような状況のとき」という委員長発言を,規制委員会は、再稼働問題でも根本的な発想と基本とすべきである。

 第三番目に、「火山影響評価ガイドの見直し」についてである。
 このことについては、日本火山学会原子力問題対応委員会の「巨大噴火の予測と監視に関する提言」を、規制委員会として、真摯に受け散ることが必要との立場に立つ必要がある。

 以下、「提言」と「抗議声明」の引用。




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by asyagi-df-2014 | 2014-11-10 18:01 | 書くことから-原発 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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