2014年 07月 20日 ( 2 )

集団的自衛権-国会集中審議を考える

2014年7月14日と15日の集団的自衛権の集中審議について、2014年7月16日の全国の新聞社の社説を比べてみた。
 いささか、長文になる。
 
 河北新報の社説(7月16日)は、「自衛権集中審議/国民の疑問深まるばかりだ」としている。
以下、河北新報の引用。


 答弁を重ねるほどに「明確な危険」の範囲が広がり、「必要最小限度」の規模が変化して、自衛隊の活動に歯止めが利かなくなる恐れが高まる。
 そんな懸念が浮き彫りになり、安全保障政策の大転換に対する国民の不安を払拭(ふっしょく)するどころか、増すばかりではないか。
 集団的自衛権の行使を可能とする閣議決定を踏まえて14、15両日、衆参両院の予算委員会で行われた集中審議である。
 閣議決定後初めての国会論戦。安倍晋三首相は、ときに野党の質問をはぐらかす一方で、閣議決定を補足する説明で踏み込んだ答弁を繰り出し、集団的自衛権をめぐり自衛隊に認める「武力行使3要件」の曖昧さが抱える危うさを、あらためて見せつけた。
 「明白な危険」など3要件で明示した「限定容認」の不明瞭さが浮かび上がり、武力行使の範囲や規模が政府の裁量でより幅広く認定される可能性があるということだ。
 安倍首相らは14日の衆院予算委で、同盟国の米国が攻撃を受けた場合や、石油供給が絶たれて日本に打撃を与えるような経済危機は、行使の可否を判断するケースに当たり得る、との認識を明らかにした。
 中東における機雷掃海は受動、限定的と容認し、国連決議で侵略国を制裁する集団安全保障への参加も3要件の範囲で可能とした。
 15日の参院予算委では、3要件の一つ「必要最小限度」の武力行使について、相手国の攻撃の規模や態様によって変わり得る、との認識も示した。
 歯止めの機能不全状態につながりかねず、国民の懸念が募るだろう。
 「密接な関係にある他国」も、米国以外は「相当限定される」と、日米同盟強化の手段とする本音を隠さない。台頭する周辺国への抑止力を期待し、米国に見捨てられないための緊密な関係の構築を、ということだろうか。国力に陰りが見えるとはいえ、基地を提供する代わりに守ってもらう、日米安保条約の根幹が揺らごう。
 米国への協力が存立を脅かされない要諦だとすれば、その分米国の戦争に引き込まれるリスクは高まる。覚悟を問われた安倍首相は深入りを避けた。政治に必要な国民への誠意や説得の姿勢を欠いていないか。
 集団的自衛権行使による防衛は自国、他国を区別しない。国際的に使い分けは通用しにくく、そこにも自衛限定の論理が破綻しかねない一端がのぞく。
 安保政策は日々の暮らしとの関わりが薄く、論議も専門的になりがちだ。分かりづらい抽象的な議論を重ねても国民に届かない。安倍首相は説明責任を尽くし、野党は具体的な課題を示し追及してこそ、是非が明確になる。ともに責任は重い。
 集団的自衛権行使が今なぜ必要で、3要件の歯止めが有効に機能するのか。国民が最も知りたい論点への議論が2日間の日程では足りない。引き続き、審議の機会を持つべきである。


 東奥日報(7月16日)は、「議論不十分が浮き彫り/『集団的自衛権』審議」としている。
 以下、東奥日報の引用。

 集団的自衛権の行使容認で、国民の生命や平和な暮らしを守れるのか。なぜ戦後日本が守ってきた「専守防衛」を維持できると言えるのか。疑念は晴れるどころか、深まった。

 集団的自衛権の行使容認をめぐる衆参両院予算委員会の集中審議が終了した。

 安倍政権が憲法解釈の変更による行使容認を閣議決定して以降、初の国会論戦だった。だが、政府側が限定的な行使を強調しながら、政府の裁量で幅広く行使が認定されかねないという矛盾が露呈した。

 自衛隊の海外派遣を随時可能にする恒久法の制定など、新たな政府の方針も次々に明らかになった。

 やはり2日間の議論では不十分過ぎる。法整備を進める前に論点を整理し、もっと時間をかけて国会で議論を尽くすべきだ。

 審議で安倍首相は再三、新たな武力行使の3要件が「厳格な歯止めになる」と強調した。

 3要件にある「明白な危険」については「攻撃国の意思、能力、事態の発生場所、規模、態様、推移などの要素を総合的に考慮し、わが国に戦禍が及ぶ蓋然(がいぜん)性、国民が被る犠牲の深刻性、重大性などから判断する」とした。

 しかし、具体的にどのような事例に限るのか、厳格な歯止めとなる根拠はあいまいだ。政府の裁量で認定の幅が拡大される可能性は否定できない。

 首相が持ち出したのが、中東の海上交通路(シーレーン)での機雷掃海活動である。石油の供給不足により、「国民生活に死活的な影響が生じ、わが国の存立が脅かされる事態は生じ得る」とし、3要件に当てはまるとの考えを示した。

 機雷掃海は国際法上は武力行使に当たる。民主党の岡田克也元代表が「機雷除去から戦闘行為になる可能性はないとはいえない」と指摘したのは当然だ。

 首相はまた、3要件を満たせば、米艦防護や米国に向かうミサイル迎撃など、政府が与党に示した8事例の全てに対応ができるとの見解も表明した。

 自衛隊に認める「必要最小限度」の武力行使については、「密接な関係にある他国に対する武力攻撃の規模、態様に応じて判断する」と述べた。武力行使が際限なく広がりかねないという懸念は強まる。

 首相は、集団的自衛権の行使容認を、年内改定を予定する日米防衛協力指針に反映させる考えだ。一方、秋の臨時国会には関連法案を提出せず、来春以降に先送りするという。

 10月の福島県知事選、11月の沖縄県知事選や来春の統一地方選への影響をにらんでいるのは明らかだ。

 共同通信社の世論調査では、憲法解釈変更の閣議決定について「検討が十分に尽くされていない」との回答が82%に上った。

 首相は「国民に丁寧に説明し理解を求める」と言明した。ならば国民と誠実に向き合い、説明責任を果たす機会を設けるべきだ。国民を「蚊帳の外」に置いたまま、行使容認への法整備を進めてはならない。



 京都新聞(7月16日)は、「自衛権集中審議 『歯止め』が曖昧すぎる」と。
 以下、京都新聞の引用。

 あらためて「歯止め」の曖昧さが浮き彫りになった。
 集団的自衛権の行使容認をめぐり衆参両院の予算委員会で2日間の集中審議が終わった。閣議決定後、初の国会論議で安倍晋三首相は「限定容認」を強調し、武力行使の新3要件が「厳格な歯止めになる」と述べた。
 新3要件は他国への攻撃でも国民の権利が根底から覆される「明白な危険」がある場合、必要最小限度の行使を認める。だが時の政権の裁量で幅広く適用される恐れがある。
 安倍首相は、中東のホルムズ海峡が機雷封鎖されて原油輸入に支障が出る例を挙げ、日本に打撃を与える経済危機も該当し得るとの見解を明言。中東での機雷掃海への自衛隊派遣に言及した。
 停戦前の掃海は国際的に武力行使と見なされるうえ、地理的制約を明記しなかった閣議決定を一歩踏み込んだといえる。
 また、同盟国の米国が攻撃を受けた場合も該当する可能性があるとし、武力行使を伴う集団安全保障も容認した。これでは「限定容認」と言い難い。「新3要件は一見厳しいが、何の限定もしていないに等しい」(岡田克也民主党元代表)との批判は当を得ている。
 安倍首相は自衛隊の海外派遣を随時可能にする恒久法の制定を検討するとも述べたが、なし崩しに海外任務拡大が進まないか。
 閣議決定直後の共同通信社の世論調査で、行使容認への反対が54・4%と賛成を大きく上回った。多くの国民が十分に検討を尽くしていないと答えた。
 国民の疑問に説明責任を果たすべき安倍首相は、行使容認の意義は持論を得得と展開する一方、質疑をはぐらかす応答が少なくなかった。特に自衛隊員を危険にさらすリスクは終始答弁を避けた。これでは議論はかみ合わない。
 安全保障政策の大転換は、世論が割れる重要な問題だ。本来なら日程をたっぷり取って審議すべきであるのに、集中審議は衆参ともわずか1日ずつだった。
 与党は首相らの外遊日程を理由に日程拡大を拒否したが、閣議決定を懸念する世論のほとぼりを冷ましたい意図が透ける。野党側も行使容認への立場の違いもあって迫力を欠く質疑が目に付いた。
 安全保障関連の法案提出は、来年の通常国会に先送りされる見通しながら、生煮えの論議では国民の政治に対する不信が募る。
 臨時国会でも審議を重ね、与野党ともに国民が納得できるよう議論を積み上げるべきだ。



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by asyagi-df-2014 | 2014-07-20 13:00 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

パレスチナ-ガザ続報(国連事務総長、和平調停で現地へ)

 ガザの続報について、朝日新聞の記事を、以下引用

 イスラエル軍は18日、パレスチナ自治区ガザに対する地上侵攻を拡大した。攻撃はイスラエルとの境界に近いガザ市東部や南部の住宅地にも及び、市民に被害が広がっている。

 イスラエル軍は予備役を含め5万人以上の兵力をガザ周辺に展開。空爆や戦車の砲撃に続けて地上部隊を進め、ガザを実効支配するイスラム組織ハマスがイスラエル侵入用に掘ったトンネルなど「240カ所のテロ施設を破壊した」と発表した。地元メディアは軍関係者の話として「地上作戦は少なくとも1、2週間は続く」との見通しを示した。

 イスラエル軍の空爆が始まった8日以降、ガザでは子ども50人以上を含む約280人が死亡。2千人以上がけがをしている。一方でガザからのロケット攻撃は18日だけで100発を超えた。イスラエル側にも新たなけが人が出ている。

 ネタニヤフ首相と同日電話で協議した米国のオバマ大統領はイスラエルの行動を「自衛」として支持する一方、増え続けるガザ側の市民の被害に懸念を示した。17日にイスラエルとハマスに対して停戦案を示したエジプト政府は再度、停戦を双方に呼びかけたものの、戦闘は拡大に向かっている。(エルサレム=渡辺淳基)


 イスラエル軍が、パレスチナ自治区ガザへの地上侵攻に踏み切ったことを受けて、国連安全保障理事会は18日、緊急会合を開いて対応を協議した。出席した国連のフェルトマン事務次長(政治担当)は潘基文(パンギムン)事務総長が19日に現地へ向かい、和平調停にあたると発表した。今回の軍事衝突で国連事務総長が現地入りするのは初めて。

 会合にはパレスチナのマンスール国連大使と、イスラエルのプロソル国連大使も出席を許可された。

 マンスール氏は「イスラエルの残虐な攻撃は正当化できない。自衛ではない」と非難し、イスラエルの軍事攻撃非難と停止を求める安保理決議の採択を要求。安保理が動かなければ、国際刑事裁判所などの国際法廷で、イスラエルの責任を追及する考えを示した。

 これに対し、プロソル氏は「ハマスは子どもを乗せた救急車を使って、テロリストをガザのあちこちに配備している」と述べ、ハマス側が子どもを巻き添えにしていると非難。「我々の軍隊はガザで戦っているが、ガザの人々とは戦っていない」と強調した。

 この後、15理事国が自国の見解を述べた。早期停戦の実現や市民保護の強化では一致したが、その実現に向けて、安保理としてどのような対応を取るかの議論には進展しなかった。(ニューヨーク=春日芳晃)


by asyagi-df-2014 | 2014-07-20 05:57 | パレスチナ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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