2014年 07月 11日 ( 1 )

残業代ゼロ問題-厚労省審議始まる

 残業代ゼロ問題が、いよいよ審議の本舞台に挙げられた。
 朝日新聞は、2014年7月8日の朝刊で「政府の成長戦略の目玉である労働時間の規制緩和について話し合う厚生労働省の審議会が7日、始まった」と報じた。
 以下、朝日新聞引用。

「残業代ゼロ」対象めぐり応酬 厚労省審議会

 政府の成長戦略の目玉である労働時間の規制緩和について話し合う厚生労働省の審議会が7日、始まった。労働時間ではなく成果で賃金を決める「残業代ゼロ」になる新制度や、あらかじめ決めた時間に応じて賃金を払う裁量労働制の対象を広げることも議論された。いずれも働き過ぎを助長する恐れがあり、その防止策も焦点だ。

 ■経営「1000万円以上は狭い」/労組「長時間労働を助長」

 「1千万円以上では中小企業が活用できない」「長時間労働が合法的に助長される」。7日の労働政策審議会の労働条件分科会。成果で賃金を決める新制度の対象拡大を求める中小企業の代表者と、働き過ぎの助長を懸念する労働組合代表が、真っ向から対立した。

 残業代ゼロの働き方を巡っては、経済界は当初年収条件をつけない案を示したが、世論の反発を受け、成長戦略では対象者を「年収1千万円以上」「高度な職業能力を持つ」などに絞り込んだ。だが、この年収制限では給与所得者の4%しか対象にならない。労働者の7割は中小企業で働いており、経済界からは対象拡大を求める声がくすぶる。

 年収制限がなく、より多くの働き手に影響するのが裁量労働制の拡大だ。はじめに労使で働く時間を想定し、残業代込みの賃金を払う。働いた時間が想定を超えても、企業は追加の残業代は出さなくていい。いまは企画や調査、研究職といった一部の職種に限って認められている。7日の会合では「ニーズはあるが、十分に活用されていない」との意見が経営側から出た。

 こうした緩和策は、効率アップを望む経営側が強く求めてきた。一方、働き過ぎを防ぐ仕組みがないまま、働き手の健康を守る労働時間の規制を緩めれば、働き手が損をかぶることになりかねない。

 2013年度に、うつ病など「心の病」で労災認定された人は436人と過去2番目の多さだった。くも膜下出血や心筋梗塞(こうそく)の労災認定も306人と3年連続で300人を超えた。多くは長時間労働が原因だ。

 分科会の顔ぶれは経営側、労組、学者など有識者の計21人。残業代ゼロの新制度の議論にこれまで労働者代表は参加しておらず、働き手の意見をどこまで反映できるかが注目される。

 分科会では他に、出退勤時間を自由に決められるフレックスタイムの改善策も議論する。子育てや介護を抱える人が働きやすいよう、有給休暇と組み合わせて賃金が減らないような仕組みも検討する。議論は年内続く見通しで、政府は年明けの通常国会で労働基準法の改正をめざす。(山本知弘)

 ■労働時間の規制緩和で議論されるポイント
 ◆労働時間と賃金を切り離す「残業代ゼロ」の働き方を新設
 賃金は成果で決まり、どれだけ長く働いたかは関係なくなる制度をつくる。対象者には「年収1千万円以上」などの条件をつける
 ◆裁量労働制の拡大
 あらかじめ労使で労働時間を想定しておき、残業代込みの賃金を支払う働き方の対象者を、いまの研究者や調査業務以外に拡大する
 ◆働き過ぎ防止の取り組み強化
 長時間労働を防ぐ歯止めをつくったり、有給休暇をとりやすくしたりして、労働時間が増えるのを防ぐ
 ◆フレックスタイム制の拡大
 出退勤時間を自由にできる制度の使い勝手をよくするため、働いた時間が短くても有給休暇を使えば、賃金が減らないようにする

 この日(7月8日)に、二つの社説が出た。意外と興味深いものだ。
 朝日新聞は、「過労死―立法契機に防止図れ」で、「この法律には、長時間労働を直接規制する条文はない。だから『過労死を防ぐ力は弱い』という受け止め方もある。しかし『過労死』という言葉が初めて法律に書き込まれた意味は大きい。11月を、過労死等防止啓発月間にすることも決まった。長時間労働をなくすためには、私たち一人一人の意識改革が欠かせない。『長時間労働があって当たり前』。そんな意識が職場に残っていないか、点検するきっかけにもできるだろう。小さな一歩かも知れない。しかし、この一歩を生かして過労死のない社会につなげたい。」と論調を展開している。
日本経済新聞は、「正社員の雇用増も大事な成長戦略だ」で、「だが、雇用情勢が好転しているとは言い切れない。正社員に比べ賃金の安い非正規労働者に需要が偏っているからだ。・・・雇用の不安定な非正規労働者が4割に迫っている現状を放置はできない。働く人の収入を増やして消費を刺激し、それが企業の生産活動を活発にして新たな雇用を生むという好循環をつくるためにも、非正規で働く人が正規雇用に就きやすくする必要がある。・・・ 成長戦略として雇用分野では、労働時間制度の改革や外国人労働者の活用などが注目されている。だが非正規雇用対策も重要だ。必要な取り組みを着実に進めたい。」としている。


  このように問題点は、明確になっている。成長戦略ではない、労働者に軸足を置いた新しい視点が必要である。


by asyagi-df-2014 | 2014-07-11 05:45 | 書くことから-労働 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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