2014年 07月 06日 ( 1 )

集団的自衛権-今後の運動についての一つの示唆

 今後の運動のあり方について、井上正信弁護士が、一つの示唆を示してくれています。
「【NPJ通信・連載記事】憲法9条と日本の安全を考える」(井上 正信弁護士)を、以下必要項目を抜粋し引用。

・閣議決定は公明党が妥協してしまった以上、阻止することは不可能です。他方で閣議決定だけではほとんど意味はありません。確かにこれまでの政府解釈を根本的に変更するのですから、大きな一歩を踏み出したことは間違いありません。しかしそれだけで物事が変わるというものではないという点も、抑えておく必要があります。

・7月1日の閣議決定により、二つのことに途を開こうとしています。一つは12月に予定されている新しい日米防衛協力の指針に集団的自衛権行使や国際平和協力活動での武力行使、グレーゾーンで自衛隊が行動することを前提にした内容を盛り込むこと。もう一つは9月から始まるはずの臨時国会で、集団的自衛権行使や国際平和協力活動で武力行使をすることを前提にした防衛法制の改正法案を閣法として提出するということです。

・日米防衛協力の指針策定は阻止できないでしょう。しかし、臨時国会へ提出される法案に対する反対運動をこれから強めて行けば、それを阻止できる展望はあります。臨時国会で防衛法制の改正が安倍内閣の思うようにならなければ、防衛協力の指針の内容にも影響を与えるでしょう。

・私は、閣議決定はこれから始まろうとする本格的なせめぎ合いの「号砲」という位置づけと理解しています。閣議決定に対する市民の怒りは今頂点に達しています。6月30日の官邸前の抗議行動では4万人が声を上げたとのことです。安倍内閣がいくら憲法破壊の閣議決定をしても、憲法9条は無傷で残っています。

閣議決定やこれから提出される法案が憲法違反であることは動かせません。今こそ憲法9条の意義を私達が確かめ確信し、安倍内閣には思い知らせるチャンスです。

5 今後の法整備の進め方

閣議決定には、立法措置をとると明確に記述している箇所が3カ所ある。グレーゾーン事態での米艦防護のための自衛隊法第95条の改正、国際平和協力活動での「駆け付け警護」と「任務遂行のための武器使用権限」のための法改正(PKO協力法と思われる)、集団的自衛権行使である。それ以外にも、グレ-ゾーン事態での自衛隊の出動規定についても法改正の可能性を示唆している。

現在の有事法制を含む防衛法制はすべて個別的自衛権行使とそれ以外での海外での武力行使禁止原則に基づいて組み立てられている。今回の閣議決定が国内防衛法制に及ぼす影響はすべての防衛法制にわたるものになる。

・集団的自衛権行使、国連安保理による軍事的措置に関しては、武力攻撃事態法と自衛隊法、防衛省設置法、周辺事態法、周辺事態船舶検査法の改正が必要になる。
・武力攻撃事態法では、集団的自衛事態や国連安保理の軍事的措置の事態での自衛隊の出動手続き、自衛隊法では、第3条自衛隊の任務、第6章自衛隊の行動、第7章自衛隊の権限のいくつかの条文の改正が必要となる。
・防衛省設置法は防衛省の任務、所掌事務の改正が必要になる。
・周辺事態法では、後方地域支援概念を取り払うこと、第3条別表を大幅に改正が必要になる。
・周辺事態船舶検査法は全面改正になるであろう。同法は戦時臨検とは異なり、対象船舶の国籍国の同意、乗船検査は船長の同意、進路変更や寄港地変更については強制措置は出来ない、船舶への危害射撃は出来ないなど、軍事的強制は不可能な法律だ。

・グレーゾーン事態では、領海警備法(仮称)のような新規立法が企てられているが、現在のところ公明党との合意がないので、今後の動きを注目する必要がある。グレーゾーン事態で米艦防護のための自衛隊法第95条(武器防護のための武器使用)改正が必要だ。

・PKO協力法改正は、既に民主党内閣時代に法案化作業は終了し、内閣法制局との意見調整が残されるだけとなっている。内容は不明であるが、それが出発点となろう。

・在外邦人救出では、自衛隊法第84条の3、同法第94条の5の全面改正が必要になる.現行法は在外邦人の輸送に関する規定であるから、在外邦人救出活動が加わるであろう。

・有事法制の改正では、集団的自衛事態での国民保護法の改正、米軍支援法、特定公共施設利用法などの個別事態法制の改正も不可欠になる。

・政府は閣議決定と同時に各省庁で防衛法制改正に関する検討を開始している。新しい日米防衛協力の指針の内容をにらみながら、防衛法制の改正作業が進められるであろう。しかし、検討される防衛法制の改正は、閣議決定が憲法第9条に違反する内容であるから、いずれも憲法9条との矛盾抵触は避けられないであろう。
・どのような法案を何時提出するかは、今後政府内での法案作成作業の進捗と、国民世論の動向を見据えて判断されるであろう。例えばグレーゾーン事態での自衛隊の行動・権限の強化は、警察庁や海上保安庁が強く抵抗するであろう。臨時国会へ提出される法案がどのくらいの本数になるかわからないが、最低限度、自衛隊法、防衛省設置法、周辺事態法、同船舶検査法、PKO協力法くらいは予想される。


by asyagi-df-2014 | 2014-07-06 16:14 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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