2014年 06月 26日 ( 2 )

安倍晋三政権の「成長戦略」に強く反対する 2

 この「成長戦略」については、以前にも書いているが、「現政権が行おうとしている『成長戦略』は、実は、あるべき『規制緩和』という重しをはずし、一握りの収奪者だけに利潤を集中させる構造変換政策に過ぎないものであり、新自由主義の悪しき政策に過ぎない」ということをまず指摘する必要がある。
 これまでの新自由主義がもたらしたものは、富の過度な一部集積と労働者・国民の窮乏化であり、地方の疲弊という姿しか作り出してはいない。
 この新自由主義ということについては、 例えば、琉球新報は2014年6月18日の社説で「 成長戦略、市場原理主義でいいのか」と新自由主義に基づく成長戦略への疑問を投げかけた。
 以下、琉球新報社説、引用。


 日本企業の国際競争力を高めるとの大義名分の下、大企業を優遇する半面、生活者への配慮に欠けるという印象は否めない。
 政府は、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の「第3の矢」となる新たな成長戦略の素案を示した。安倍晋三首相が「岩盤」と呼ぶ農業、雇用、医療分野の規制の改革を打ち出した。法人税減税や労働時間規制の緩和など、経済界や投資家の要望をほぼ全面的に受け入れたのが最大の特徴だ。
 昨年6月に公表された成長戦略は、めぼしい政策に乏しく、アベノミクスの生命線である株価の急落を招くなど市場を失望させた。新たな成長戦略が「株価重視」と指摘されるゆえんだ。
 ただ、市場を意識するあまり、議論が生煮えとの批判も根強い。新成長戦略の具体的な制度設計はこれからで、スケジュールや数値が明確でないためだ。目玉とする法人税減税の財源の裏付けがないのが象徴的だ。
 一方、法人税減税の穴埋めとして、赤字企業でも対象となる外形標準課税の強化が取り沙汰され、中小零細企業へのしわ寄せが懸念される。雇用の規制緩和でも人件費の抑制や長時間労働を助長するとの批判もある。成長戦略の行方は不透明と指摘せざるを得ない。
 安倍政権が中小零細や家計に冷ややかと映るのは、「トリクルダウン理論」が見え隠れするからだ。滴が上から下にしたたり落ちるように、大企業が潤えば中小零細企業も栄え、やがて賃金上昇など社会全体に恩恵が及ぶとの考え方だ。
 ただ、この理論はあくまでも仮説で実証されたわけではない。しかも、この理論は、中央と地方の格差や貧困の拡大を招いた「小泉構造改革」にも通底する。
 過去、十数年の日本経済の停滞は、市場原理主義が、消費性向の高い若年・子育て世代の貧困を招いたからという指摘もある。だとすれば、安倍政権の生活者軽視の成長戦略は、効果が薄いどころか、むしろ経済の縮小を招かないか。
 さらにアベノミクスは、国家の繁栄のためには国民の痛みもいとわないという、国家至上主義的な考え方も見え隠れする。集団的自衛権の行使容認など安全保障政策とも重なるが、極めて危うい。
 成長戦略は、主役である国民の不安や不満を置き去りにしてはならない。理念から見直すべきだ。

 ただ、小泉政権を引き継いだ第1次安倍政権以来、この内閣は、「成長戦略は、主役である国民の不安や不満を置き去りにしてはならない」ことを基本理念とするような叡智は持ち合わせていない。
 
 今回の「成長戦略」を考える上で最も重要な観点は、「3.11をどう捉えるか」ということから、一連の政策について考えてみることの重要性である。
 「3.11をどう捉えるか」という発想を出発点にすることでしか、実は持続可能な社会を築くことはできないことを肝に銘じなければならない。
 例えば、2014年5月21日の大飯原発運転祭止め判決で、樋口英明裁判長は、次の判決を下した。
 
「原子力発電所は、電気の生産という社会的には重要な機能を営むものではあるが、原子力の利用は平和目的に限られているから(原子力基本法2条)、原子力発電所の稼動は法的には電気を生み出すための一手段たる経済活動の自由(憲法22条1項)に属するものであって、憲法上は人格権の中核部分よりも劣位に置かれるべきものである。しかるところ、大きな自然災害や戦争以外で、この根源的な権利が極めて広汎に奪われるという事態を招く可能性があるのは原子力発電所の事故のほかは想定し難い。かような危険を抽象的にでもはらむ経済活動は、その存在自体が憲法上容認できないというのが極論にすぎるとしても、少なくともかような事態を招く具体的危険性が万が一でもあれば、その差止めが認められるのは当然である。」

 この判決は、「原子力発電所の稼動は法的には電気を生み出すための一手段たる経済活動の自由(憲法22条1項)に属するものであって、憲法上は人格権の中核部分よりも劣位に置かれるべきものである」と人格権の立場から最優先されるべきは命の問題だと位置づけている。

 「3.11」との関連で、「3.11をどう捉えるか」という発想を出発点にすることに関して、次のように断定している。

「原子力発電技術の危険性の本質及びそのもたらす被害の大きさは、福島原発事故を通じて十分に明らかになったといえる。本件訴訟においては、本件原発において、かような事態を招く具体的危険性が万が一でもあるのかが判断の対象とされるべきであり、福島原発事故の後において、この判断を避けることは裁判所に課された最も重要な責務を放棄するに等しいものと考えられる。」

 つまり、「3.11をどう捉えるか」という発想を出発点にするということは、「3.11]以後の政府の政策に最も必要なものは、「福島原発事故の後において、この判断を避けることは裁判所に課された最も重要な責務を放棄するに等しいものと考えられる。」という視点から、まずは命の問題に立ち返ることから、日本のあり方そのものについて考え直すということである。

 結論的に言うと、今回の「成長戦略」には、この視点が全くない。
 だとしたら、今回の安部晋三内閣の「成長戦略」には、反対するしかない。


by asyagi-df-2014 | 2014-06-26 06:30 | 書くことから-労働 | Comments(0)

安倍晋三政権の「成長戦略」に強く反対する。

 朝日新聞は、2014年6月24日、「成長戦略と骨太方針を閣議決定」と報じた。
以下、朝日新聞引用。


 安倍内閣は24日、経済政策の指針となる新たな成長戦略と「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)を閣議決定した。国と地方を合わせた法人実効税率を来年度から数年かけて20%台に下げるほか、働いた時間より「成果」を重視する雇用制度を導入するなど、経済界が求めてきた政策を多く盛り込んだ。

 この日夕、骨太の方針をまとめる経済財政諮問会議と、成長戦略をまとめる産業競争力会議を合同で開き、終了後の臨時閣議で正式に決めた。安倍晋三首相は記者会見で「日本経済が持つ可能性を開花させるため、いかなる壁も打ち破っていく」と説明した。

 骨太の方針では、「50年後に1億人を維持する」という人口目標を政府として初めて掲げた。いまの人手不足を解消し、将来の働き手を確保するため、子育て支援などを柱とした女性の就労支援策や、外国人に日本で働いて技術を学んでもらう「技能実習制度」の拡充なども打ち出した。来年度の予算編成に反映したり、今後の国会で関連の法改正案を提出したりする。

 ■新成長戦略の要旨

 【総論】
・日本経済は、実質GDP成長率、雇用情勢、設備投資などの指標をみても力強さを取り戻しつつある。デフレ脱却に向け着実に前進し始めている。
・この1年間の変化を一過性のものに終わらせず、経済の好循環を引き続き回転させるため、日本経済全体としての生産性を向上させ、「稼ぐ力(=収益力)」の強化が不可欠。
 【日本産業再興プラン】
・企業が透明・公正で迅速な意思決定を行う上での諸原則を記載した「コーポレートガバナンスコード」を策定する。
・長時間労働を是正するため、監督体制を強化する。
・時間ではなく成果で評価する新たな労働時間制度を創設。
・19年度末までに「放課後児童クラブ」の定員を約30万人分拡大する。
・育児経験豊かな主婦らを「子育て支援員(仮称)」として認定する仕組みを創設する。
・有価証券報告書に女性役員比率の記載を義務づける。
・女性の活躍を促すため、働き方に中立的な税制・社会保障制度に見直す。
・優秀な外国人材の受け入れ拡大のため環境を整備する。
・外国人技能実習制度を抜本的に見直す。対象職種や受け入れ枠を拡大し、実習期間は最大3年を5年に延長する。
・ロボット技術の活用を広げ、ロボット市場を製造分野で現在の2倍、サービスなど非製造分野で20倍に拡大する。
・数年間で法人実効税率を20%台まで引き下げる。
・国家戦略特区で、外国人家事支援人材に新たな在留資格を与え、創業人材らの受け入れ要件も緩和する。
・年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用方法を見直す。
・地域の活力維持と東京一極集中に歯止めをかけるため、少子化と人口減少克服を目指した総合的な政策推進のため司令塔となる本部を設置する。
 【戦略市場創造プラン】
・医療・介護などを一体的に提供する非営利ホールディングカンパニー型法人制度(仮称)を創設する。
・保険診療と自由診療を組み合わせた混合診療を拡充するため、新たに「患者申し出療養(仮称)」を創設する。
・農地が所有できる農業生産法人の要件を緩和する。地域の農協が創意工夫できる農協改革を推進する。
・訪日外国人旅行者へのビザ発給要件を緩和する。
・富裕層を対象に、最長1年の長期滞在を可能とする制度を来年度から創設する。
 【国際展開戦略】
・国益を最大化する形でのTPP交渉の早期妥結をめざす。
・日本食や放送コンテンツなどを海外に売り込むクールジャパン推進体制を構築する。
 ■骨太の方針の要旨
【アベノミクスの成果と今後の日本経済の課題】
・日本経済は力強さを取り戻しつつある。もはやデフレ状況ではなく、デフレ脱却へ着実に前進している。
・経常黒字の急減は輸入物価上昇の影響が大きい。資源・エネルギーを安定的に確保する必要がある。
・経済成長を通じた税収増とともに、聖域なき歳出削減で、財政健全化が経済再生に寄与する好循環を目指す。
・復興を原状復帰にとどめず、未来社会としての「新しい東北」をつくる。
・50年後に1億人程度の安定した人口構造を目指す。人口減少を克服する司令塔となる本部をつくる。
【中長期の重点課題】
・税制や社会保障制度が女性の働き方に中立なものにするよう検討する。
・働いた成果が適正に評価されるような仕組みを支援。
・国立大学法人への運営費交付金を抜本的に見直す。
・法人実効税率を数年で20%台まで引き下げることを目指す。引き下げは来年度から開始。財源は、アベノミクス効果で日本経済が改善しつつあることを含め、恒久財源を確保し、年末に決める。
・独立社外取締役の導入などで企業の稼ぐ力を上げ、賃金や配当を通じ還元されることが重要。
・人口急減・超高齢化に対応し、インフラ整備や教育など行政サービスの大胆な見直しに着手する。
・府省横断的な国土強靱(きょうじん)化を推進する。
【経済再生と財政健全化】
・国・地方をあわせた基礎的財政収支の赤字(国内総生産に対する割合)を2015年度までに10年度比で半減、20年度までに黒字化を目指す。
・経済財政諮問会議で、半年ごとに財政健全化の進み具合を確認する。
・社会保障給付費は自然増も含め聖域なく見直す。
・都道府県ごとに医療費の目標が設定されるよう、15年通常国会への関連法案提出に向けて検討を進める。
・医療情報を有効活用するため、医療費請求書の社会保障・税番号(マイナンバー)への導入を検討する。
・薬価改定のあり方について、診療報酬への影響にも留意しつつ、その頻度を含めて検討する。
・防災・減災、インフラ老朽化対策を一層重点化する。



安倍晋三政権の「成長戦略」に強く反対する 2。へ続く。









by asyagi-df-2014 | 2014-06-26 05:46 | 書くことから-労働 | Comments(0)

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by あしゃぎの人
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