2014年 06月 17日 ( 1 )

『亡国の安保政策』を読む



『亡国の安保政策』を読む
                    (『亡国の安保政策』;岩波書店 柳澤協二)

 この時期に読む本の一冊かなと思っています。どうやら本の紹介記事になりますが。
 例えば、「『国家が国民に優越する』グロテスクな社会に変貌いていくことは予想できる」、という指摘は、現在の政治の危険な方向性を示すものとして共有できますし、「日本防衛を目的とした日本の集団的自衛権行使という論理は成立しない」という論点も、正鵠を得ていると言えます。
 特に、第5章の「『積極的平和主義』の罠」を見てみます。
 定義のない「積極的平和主義」として、次のことを指摘しています。

 「憲法解釈を見直した場合、積極的平和主義がどのように変貌するのかについては、全く説明がない」
 「施政方針演説でも国家安全保障戦略でも、『積極的平和主義とは何か』という定義は、一切説明されず、盛りこまれた具体的な政策メニューも、憲法解釈の見直しがなくとも可能なものばかりだった」

 そして、このように続けます。

 「安倍首相が言う積極的平和主義は、実は国民受けしやすい具体的事例を羅列するだけで、戦略的理念も、戦後史のどこを変えるのかといった歴史的視座もないことが分かる。また、集団的自衛権の行使容認がどのような合意を持つのかについて、責任ある説明もしていないことが判然とするのである」

 そして、結論です。

 「結局のところ、安倍政権の積極的平和主義のスローガンは、憲法解釈変更への国民の抵抗を減らすためのレトリックにすぎない」

 こうした見解は、研究者等にとってはあたりまえのものでしかないと思います。
 また、平和を作っていくためには、まず「戦争を避けるためにはどうすべきか」が大事なはずですが、このことが安倍政権には、完全に喪失しています。
 このことについて、作者は、次のように展開します。

 「戦争を避けるためにはどうするべきか。・・・。問われているのは、『国家の知性である政府』が、国民の過度なナショナリズムをいかに沈静化するかである。・・・、戦争を避ける方向とは逆の方向で行動している。危険の本質はそこにある。」

 この本の最後に書かれていることは、次のことです。

 「戦争は、政治の延長である。より明確に言えば、政治の失敗が本来防げるはずの『無駄な戦争』を引き起こす。その自覚を欠いているとすれば、そのような戦略は、『亡国の安保政策』と言わざるを得ない。」 


さて、安部晋三に対して批判的に書かれた文章の欄外からは、「安部晋三の不思議さ」についてが、ふんわりと伝わってくる気がします。
 このことについて、やはり、徹底的批判が必要だなという気がしています。


by asyagi-df-2014 | 2014-06-17 06:03 | 本等からのもの | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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