2014年 06月 13日 ( 2 )

集団的自衛権を考える-04


集団的自衛権を考える-04

 「安部晋三首相は、15日の会見では、言いたいことを言えなかったかもしれないが、すでに決めていた『いいたいこと』については、強引に推し進めることにしている」と前に書いたが、6月12日の朝日新聞の次の記事は、まさしくこのことを説明するものになっている。
以下、引用。


 安倍晋三首相は11日、今国会初の党首討論で、他国を武力で守る集団的自衛権を使えるようにする憲法解釈の変更について「政府として立場を決定し閣議決定する」と明言した。ただ、なぜ憲法解釈の変更で使えるようにするかには正面から答えなかった。一方、公明党は閣議決定に応じない考えを崩していない。
 民主党の海江田万里代表は、憲法解釈の変更で行使を認めることは「許されない」と批判。憲法改正ではなく解釈変更で認める理由をただした。
 首相は朝鮮半島有事を念頭に日本人を乗せた米艦艇を自衛隊が守る事例を挙げ、「今までの解釈では守れない」と指摘。「憲法の前文、13条に平和生存権があり、国民の幸福追求権がある。いま挙げた事例で、憲法が国民の命を守る責任を果たさなくていいと言っているとは、私にはどうしても思えない」と反論した。しかし、憲法9条には一切触れず、なぜ9条の解釈変更が必要で、どのように変えるのかも説明しなかった。
 海江田氏はまた、中東のペルシャ湾・ホルムズ海峡での機雷除去を挙げ、「戦闘中で、自衛隊員の命が失われる可能性がある。そういう時も首相は命を捨てろというのか」と質問。首相は「確かに機雷の掃海は危険な任務だ」と認めた。一方で「ホルムズ海峡で機雷が敷設され、封鎖された際、経済パニックが起きる。日本は決定的にその被害を受ける」と指摘。日本が責任を果たす必要があるとの考えを示した。
 首相は「みんなの党や(日本)維新の会の諸君は、あえてしっかりと国民の皆様に(行使容認の)立場を表明している」とも述べた。(鶴岡正寛)
 ■公明難色「論点多く残っている」
 安倍首相が改めて閣議決定を明言したが、公明党は「まだ議論すべき点は多く残されている」と難色を示す。「22日の今国会会期末までの閣議決定」に向け、攻防が激しくなっている。
 自民党の高村正彦副総裁と公明党の北側一雄副代表は11日朝、東京都内で秘密裏に会談した。高村氏は閣議決定文案を示しつつ「13日の与党協議でこの原案を配り、検討に入ることを認めてほしい」と求めたが、北側氏は「集団的自衛権は、まだ党内議論にも入っておらず難しい」と拒否した。
 別の場所でも自公両党の幹事長・国会対策委員長が意見交換しており、自民党の石破茂幹事長は記者団に「公明党は(閣議決定について)『難しい』とは言うが『できない』とは言っていない」と合意への期待感を示した。政府関係者は「与党幹部には12日に閣議決定案を説明する。もう妥協の余地はない。あとは公明党が集団的自衛権を認めるか、認めないかだ」と語り、公明に合意へ決断を迫る構えだ。飯島勲内閣官房参与も10日、米国での講演で、公明党と支持母体・創価学会との「政教分離」の関係に触れ、公明党に揺さぶりをかけた。
 両党間で、こうした水面下の動きが先行する一方、最も立場の開きがあるとされる両党首の会談はまだ行われていない。
 党首討論では、公明の山口那津男代表は与党党首のため質問せず、首相の左後方席で議論を見守った。集団的自衛権の行使に極めて慎重な山口氏は硬い表情のまま首相の発言にペンを走らせ、周囲の自民党議員が首相に拍手しても同調しなかった。終了後、記者団に感想を聞かれると、「全体的な印象としてはかみ合っていない」と物足りなさすら口にした。首相も討論では公明との協議に触れず、両党首の溝の深さが際だった。(冨名腰隆、岡村夏樹)


 では、これからどうするか。
 ここでは、2014年6月11日の毎日新聞の社説を-集団的自衛権、理屈通らぬ閣議決定案-を引用する。


 政府・自民党は、集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈変更の閣議決定の原案を、今月13日にも与党協議で示し、今国会中の閣議決定を目指す方針を明確にした。
 これまでに明らかになった原案の内容をみると、歴代政権が過去40年以上、積み重ねてきた憲法解釈の一部をつまみ食いして都合良く解釈し直しており、理屈が通っていない。
 原案は、1972年に田中内閣が参院決算委員会に示した政府見解を根拠にしている。
 政府見解は「自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置」を認めたうえで、「その措置は必要最小限度の範囲にとどまるべき」だとして、「集団的自衛権の行使は憲法上、許されない」と結論づけた。
 原案は、この見解が認める「自衛のための必要最小限度」の武力行使の範囲に、限定的な集団的自衛権の行使が含まれると憲法解釈を変更するのが柱だ。政府見解を根拠にしながら、結論だけを全く逆のものにひっくり返している。
 これほどの安全保障政策の大転換をするなら、憲法改正を国民に問うしかないと私たちは主張してきた。だが政府・自民党は、憲法の解釈変更で突破する道を選択し、その根拠を探してきた。
 最初は、米軍駐留の合憲性などが争われた59年の砂川事件最高裁判決を根拠に「最高裁は個別的、集団的の区別をせずに必要最小限度の自衛権を認めている」と主張した。だが、公明党などから「判決は個別的自衛権を認めたものだ」と批判を受けて、代わりに持ってきたのが72年の政府見解だ。
 政府高官はこう解説する。
 政府見解が展開した基本論理は正しい。ただ「集団的自衛権の行使は許されない」という結論が間違っていた。だから「行使は許される」という結論を「当てはめる」−−。
 こんな説明に納得できる人が果たしてどれほどいるのだろうか。
 公明党は、閣議決定の原案の協議に入ることに難色を示している。政府・自民党は、公明党の理解を得るため、原案の表現を「集団的自衛権を行使するための法整備について今後検討する」などぼかすことも検討しているようだが、実質的には憲法解釈変更を閣議決定するのと変わらない。
 10日の与党協議では、政府が集団的自衛権の行使容認が必要とする8事例について、初めて本格的議論が行われた。個別的自衛権や警察権で対応できるという公明党と、集団的自衛権でなければ対応できないという自民党の主張は平行線だった。議論は始まったばかりだ。こんな生煮え状態で閣議決定すべきでない。


 どんなに考えても、閣議決定に正当性はない。
 では、どうすれば。


by asyagi-df-2014 | 2014-06-13 18:00 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

沖縄から-「訓練水域」の変更


沖縄から-「訓練水域」の変更

 今回の辺野古埋立手続きの策動について、気になる記事があります。
 沖縄タイムスは、2014年5月28日、「シュワブ沖、立入禁止水域拡大へ」と報じています。
 その記事は、次のようなものです。

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に向け、防衛省が漁船操業制限法に基づき、キャンプ・シュワブ周辺の米軍提供水域内での漁業や航行について制限する手続きを始めたことが27日、分かった。埋め立て工事区域がすっぽり入る範囲で、移設に反対する住民らを締め出し、作業を円滑に進める狙いがあるとみられる。

 防衛相から農林水産相をへて、県水産課が27日、名護市と漁業権を持つ名護漁協、県漁連に意見照会の文書を出した。6月5日までの回答を求めている。

 地元の意向を踏まえ、農水相は防衛相に6月18日までに意見を提出する。関係者によると、防衛省は制限の設定について米軍とも調整しており、7月上旬をめどに官報での告示を目指しているという。

 移設予定地のキャンプ・シュワブ沖は、米軍の提供水域が5区域に分かれており、それぞれに制限がある。沿岸部に接する第1、2区域は米軍の排他的使用が認められ、漁業や立ち入りを常時禁止。その外側の第3区域は船舶の停泊、係留、投錨、潜水、その他のすべての継続的行為を禁止するが、航行や立ち入りに制限はない。

 2004年の海底ボーリング調査では、第3区域で反対派が作業員と衝突し、調査を中断に追い込んだ経緯がある。

 防衛省は第3区域の大半にかかる埋め立て予定水域で、漁業や航行を制限する。漁業経営上の損失がある場合、名護漁協に補償金が新たに支払われる見通しだ。

 名護市の担当者は「市内でこれまでに米軍への提供水域にからむ制限が変更されたことはない。詳しい内容を確認しながら、調整したい」と話した。


 「辺野古浜通信」は、このことについて、次のように述べています。

 
日米地位協定に基づく沖縄県内の米軍基地の使用についての合意(5.15メモ)の「訓練水域」の変更を行い「第1水域」(一般船の通行不可)を陸岸から50㍍を2000㍍に拡大することと日米安保に基づく「アメリカ合衆国軍の水面使用に伴う漁船の操業制限等に関する法律」の「第一種区域」(常時漁船の操業を禁止する)の拡大を同様に行い、県民を建設予定地から閉め出そうと画策しています。

 県との交渉の中で明らかになったことは、日本政府が法律にも違反して、水域の制限を拡大をして、沖縄県民の抗議行動を弾圧しようとしていることです。このことによって、辺野古・大浦湾を活用している全ての県民に大きな被害を被らせることになります。常時操業が禁止される水域が沿岸から50㍍が2,000㍍に拡大することです。実質的にその分基地が拡大することになります。

 今回のことで一番問題なのは、沖縄県民の抗議行動を弾圧するために、法律の主旨を逸脱して、権力者が勝手に「改定」しようとしていることです。つまり、法律は「『米軍』が水面を使用する場合において、必要があるときは、農水大臣の意見を聞き、一定の区域及び期限を定めて、漁船の操業を制限し、又は禁止することができる」ことになっています。しかし、今回の「『告示』の一部改正」は「米軍が水面を使用する場合」での変更ではなくて、防衛省の工事のためでしかありません。このような法律違反の「改正」できないし、許されません。

 今回の「辺野古埋立」手続きで際だっていることは、名護市への対応を含めて、安倍政権が平気で法律を無視して手続きを進めていることです。これはまさに地方自治を破壊し民主主義を否定するファシズムの手法そのものです。


 また、沖縄タイムスは、2014年5月28日、「辺野古反対住民ら締め出す狙いか」、と次のように解説しています。

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設をめぐり、防衛省はキャンプ・シュワブ周辺の提供水域で漁業や立ち入りの制限を見直し、海上部分での排他的区域を広げることで、移設に反対する住民を作業現場に近寄らせない手法に出た。

 工期短縮を至上命令としており、2004年の海上ボーリング調査での失敗を教訓に「打てる手はすべて打つ」(同省幹部)という姿勢を鮮明にしている。

 シュワブ沿岸部にV字形滑走路を建設する計画では、米軍の管理する基地内の陸上部分に比べ、海上部分での対策が課題となっていた。埋め立て予定水域を網羅する形で立ち入りなどを制限することで、反対派のシーカヤックやボートを使った阻止行動を締め出す狙いがあるとみられる。

 シュワブ周辺の提供水域では陸上施設の保安や水陸両用訓練での使用を目的に、漁業や立ち入りを制限している。工事を目的に制限の範囲を拡大することには政府内で慎重論も出たが、警備を担当する省庁などからの要望が強かったという。

 防衛省は海底ボーリング調査を7月にも実施し、結果を踏まえ、設計、本体工事の発注へと移る。同調査は、その後の進捗(しんちょく)を占う試金石になるとみて、万全を期す構えだ。

 また、調査や工事の区域を明示するためのブイを海上に設置し、侵入行為を厳しく取り締まる方針を確認、全国から省職員を沖縄へ派遣し、人員を強化することも検討している。
 あの手この手を尽くし、反対派の対策を講じるほど、地元の頭越しに移設を強行する難しさが浮かび上がっている。(政経部・福元大輔)

 
この訓練水域の変更についての問題点は、「辺野古浜通信」の指摘する、「今回のことで一番問題なのは、沖縄県民の抗議行動を弾圧するために、法律の主旨を逸脱して、権力者が勝手に『「改定』しようとしていること」であることは確かです。この手法は、集団的自衛権の解釈変更を姑息な手段で図ろうとするやり方そのものです。
 ただ、一方では、「あの手この手を尽くし、反対派の対策を講じるほど、地元の頭越しに移設を強行する難しさが浮かび上がっている」との沖縄タイムスの見解についても、よくわからないところもありますが、冷静に視ておく必要があります。


by asyagi-df-2014 | 2014-06-13 05:40 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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