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社説、論説から。~大分合同新聞20180130~

 大分合同新聞は2018年1月30日、「米軍の実弾砲撃訓練 沖縄の負担は軽減されたのか」、とその論説で論評した。
大分合同新聞は、何を言いたいのか。
それは、「沖縄県で米軍機の事故やトラブルが頻発する中、今年も日出生台演習場で在沖縄米軍による実弾砲撃訓練が始まる。訓練に先立って先発隊が29日、到着した。本隊は30、31の両日に演習場入りし、2月5~14日の10日間にわたり訓練する。参加人員は海兵隊約200人。155ミリりゅう弾砲6門や車両約50台を使用する予定。同演習場での訓練は4年連続で13回目となる。」、に関わってである。
 それは、日出生台での在沖米海兵隊の実弾砲撃訓練が沖縄の負担軽減に、本当に繋がっているのか、という疑問である。


 大分合同新聞は、沖縄の負担軽減の実態の一部を次のように指摘する。


(1)「沖縄県渡名喜(となき)村では今月23日、村営ヘリポートに米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)所属のAH1攻撃ヘリコプターが不時着した。現場から近くの小中学校まで約250メートルしかない。今年に入って不時着は3回目。昨年から事故が相次いでおり、「近い将来に取り返しのつかないことが起こるのでは」と多くの住民が危機感を募らせているという。」
(2)「防衛省の調査では、在日米軍機の事故・トラブルは2016年が11件だったが、17年は25件と2倍以上に増加している。北朝鮮情勢が緊迫化する中、米軍の訓練が激化していること、近年の軍事予算の削減や機体の老朽化が背景にあるのではと指摘されている。」
(3)「しかし、疲労や負担が重なったからといって整備や点検をおろそかにすることは、断じて許されない。米軍機の事故が起きるたびに、政府は飛行自粛を要請するものの、米軍は間もなく安全が確認できたとして事故機の飛行を再開。それを政府が追認するパターンが続いている。」


 こうした沖縄の状況を受けて、大分合同新聞の矛先は、当然、地元の問題への疑問に繋がる。


(1)「大分県や由布、九重、玖珠の地元3市町でつくる4者協と、九州防衛局(福岡市)が結ぶ覚書が昨年10月、確認書に格上げされた。防衛局の担当者は『より一層、重くなったと受け止めている』と話しているが、米軍側と認識は共有できているのだろうか。」
(2)「米軍による地元説明会も9回目(12年)を最後に開かれていない。地元の不安解消には情報公開が不可欠だ。昨年の訓練では覚書を破って午後8時以降も砲撃を続けた。」
(3)「沖縄に対しての態度と同様、米軍の地元軽視の姿勢は強まっていると考えざるを得ない。」
(4)「また陸上自衛隊が佐賀空港(佐賀市)に配備を計画している新型輸送機オスプレイの訓練地の一つに、日出生台演習場が浮上したことも懸念材料だ。九州防衛局は『具体的な計画があるわけではない』と返答しているが、陸自航空部隊は九州内の4演習場で訓練をしており、『日出生台も念頭に置いている』という。」
(5)「同機は国内外で事故が相次ぎ、昨年8月には米軍所属機がエンジン不調で大分空港に緊急着陸。民間機専用の地方空港に軍用機が11日間も駐機し続ける異常事態となった。機体の危険性の問題もあるが、自衛隊と米軍では地元への配慮は全く違う。万一、米軍が日出生台で使うことにでもなれば、住民の精神的苦痛は計り知れない。」


 だから、大分合同新聞は、『目下の同盟』に邁進するだけの安倍晋三政権に対して、次のように主張する。


 「沖縄の痛みを軽減するための本土分散移転だったが、実際に沖縄の負担はどの程度軽減されたのだろう。単に米軍の訓練場所を増やし、南北に延びる国内の多様な気候や地形を提供してしまっただけではないか。危険と不安が国内各地に拡散されただけで、この問題を終わらせてはならない。政府は断固たる姿勢で米軍と向き合い検証する必要がある。」


 こうした大分合同新聞の指摘に沿って、きちんと事実を押さえる必要がある。
 これからの日出生台が抱える問題の解決に向けて。
 例えば、沖縄県の北部訓練場変換問題が示した次のものである。

 政府主催の北部訓練場返還式典で、菅義偉官房長官は「本土復帰後、最大規模の返還だ。県内の米軍施設の約2割が減少し、沖縄の基地負担軽減に大きく資する」とその意義を強調したという。
 しかし、沖縄の問題は、本土復帰の時点に留まるものではない。この北部訓練場は、普天間飛行場などと同じように、戦後米軍によって強制的に奪われた土地であり、本来、全面返還がなされなければならないものである。このことからしても、決して、「歴史的成果」という代物ではない。
 まして、今回の北部訓練場は、返還される約4千ヘクタールは米軍が「使用不可能」とする土地であり、無条件に返還されて当然の土地でなのである。
 むしろ、この地域の人々やその自然環境は、「墜落」の恐怖や騒音被害に覆われているし、高江の貴重な動植物は「危機的状況」にすでに追い込まれている。
 結局、安倍晋三政権が喧伝する「SACO合意の成果」は、古い基地を返す代わりに、日本側が最新鋭の基地を提供して在沖米軍基地を強化するこであり、「負担軽減」どころか、「負担の拡大」、「負担の恒常化」でしかない。
 今回の日本政府が行った北部訓練場の一部返還は、日本国憲法が定める地方自治の本旨に反するものであり、自治権に基づく自己決定権を侵すものである。
 つまり、北部訓練場の返還とは、安倍晋三政権の得意とする「まやかし」政策でしかなかった。




by asyagi-df-2014 | 2018-02-04 07:00 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人