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社説、論説から。~ノーベル平和賞授賞演説20171212~

全国の新聞社の気になる社説、論説を不定期に取り上げて考える。
多くの内容は、「社説・論説-47NEWS」からの紹介となる。




 2017年12月10日、ノーベル平和賞授賞式で、受賞演説が行われた。
 西日本新聞、南日本新聞、山陽新聞、神戸新聞、新潟日報、北海道新聞の六社の社説を通して、このことの意味を考える。
この六社の社説の見出しは次のものである。


(1)西日本新聞社説-ノーベル賞演説 核保有国はこの声を聞け
(2)南日本新聞社説-[ノーベル平和賞] 核廃絶への努力後押し
(3)山陽新聞社説-平和賞授賞式 被爆者の声にどう応える
(4)神戸新聞社説-ノーベル授賞式/平和について語り合おう
(5)新潟日報社説-平和賞授賞演説 核廃絶への誓いを新たに
(6)北海道新聞社説-平和賞演説 核兵器とは共存できぬ


 こうした見出しを見ただけで、この地方氏の見解は、主張の強さ等の違いはあるとしても、同じ方向性を向いていることがわかる。
 まず、六社は次のように主張する。


(1)西日本新聞社説
①「感動的なスピーチだった。しかし同時に、それに耳を傾けようともしない指導者たちがいることに暗然とした思いを抱く。」
②「『核兵器の開発は、国家が偉大さの高みにのぼることを意味しません。むしろ、この上なく暗い邪悪の深みに転落することを意味するのです。核兵器は必要悪ではありません。絶対悪なのです』。一言一句胸に刻みたい演説だ。ところが核抑止にこだわる核保有五大国はICANが推進した核兵器禁止条約に強く反発しており、現地大使の授賞式出席を事実上ボイコットした国もある。『聞く耳持たぬ』と言わんばかりだ。」
③「サーローさんは核兵器禁止条約を『光』に例え、こう続けた。『世界中の皆さんに、広島の倒壊した建物の中で私が耳にした言葉を繰り返します。【諦めるな。頑張れ。光が見えるか。それに向かって這(は)っていくんだ】』。核保有国の政府に問いたい。この究極の祈りに耳をふさぐことが、果たして許されるのか。」


(2)南日本新聞社説
①「核廃絶に向けて世界が一層努力することを、世界的権威のノーベル賞が強く後押ししたといえる。」
②「サーローさんは『核武装国とその【傘の下】の共犯者は私たちの警告を心に刻みなさい』と述べた。条約を『核兵器の終わりの始まりにしよう』という訴えに、122カ国・地域が賛同したことを忘れてはならない。」
③「唯一の被爆国でありながら条約に参加しない日本には、国際社会の厳しい視線が向けられている。河野太郎外相は『日本政府のアプローチとは異なるが、核廃絶というゴールは共有している』と主張する。しかし、日本が主導して24年連続で国連で採択された核兵器廃絶決議は、今年の提案で条約に直接言及しなかった。賛成国が昨年より減ったのは、日本の姿勢に対する批判の表れであろう。」
④「受賞を機に、日本が核兵器のない世界の実現に向け、具体的な行動をとることを強く促したい。」


(3)山陽新聞社説
①「日本の立ち位置も揺らいでいる。国連総会は今月、日本が主導して毎年提案している「核兵器廃絶決議案」を採択したが、賛成は昨年より11カ国減り、棄権が8カ国増えた。
決議案は、日本も参加を見送った核兵器禁止条約に直接言及せず、核兵器の非人道性に関する表現も後退したことが反発を呼んだようだ。唯一の戦争被爆国であり、同時に米国の「核の傘」に入って米国と共同歩調をとる動きに、国際社会から厳しい目が注がれているといえよう。」
②「ICANへの平和賞授賞について、河野太郎外相は『禁止条約は日本政府のアプローチとは異なるが、核廃絶というゴールは共有している』とし、核保有国と非保有国の信頼関係再構築に力を注ぐ考えを示した。両者の亀裂が広がる中、橋渡し役を自任する日本が果たすべき責任は大きい。核の非人道性を世界に広め、核廃絶を後押ししていくことが求められる。」


(4)神戸新聞社説
①「サーローさんは「原爆で亡くなった二十数万の魂を身の回りに感じてほしい。一人一人に名前があった。誰かに愛されていた」と語りかけた。国連で採択された核兵器禁止条約は『光』だ。共に分かち合おう。そして核兵器の終わりの始まりにしよう-。胸に響く訴えだった。」
②「条約には120を超す非核保有国の願いが込められ、ノーベル賞も後押しする。国際世論の高まりを否定すべきではない。」
③「同じことが日本政府にも言える。条約は前文に『ヒバクシャの受け入れ難い苦しみに留意する』と記す。異論はないはずだ。『(ICANと)目指すゴールは同じ』と言うのなら、行動で示してもらいたい。」
④「核保有国も『核の傘』に入る国々も対話の姿勢を欠いてはならない。核廃絶と平和について、もっと語り合うべきだ。」


(5)新潟日報社説
①「ノーベル平和賞の長い歴史の中で、初めて被爆者が授賞式で演説を行い、核兵器の非人道性を世界に訴えた。この重みを忘れず、核廃絶を進める誓いを新たにしたい。」
②「核保有国はサーローさんの訴えをきちんと受け止め、核の抑止力を安全保障の根幹に位置付ける政策を見直すべきだ。」
③「日本は唯一の被爆国であるにもかかわらず、米国の『核の傘』に頼っているため、禁止条約に参加していない。河野太郎外相は平和賞の授賞式後、『条約は、日本政府のアプローチとは異なるが、核廃絶というゴールは共有している』との談話を発表した。ならば、核保有国と非保有国との間に立ち、核廃絶を着実に前進させるため具体的に行動することが求められよう。」


(6)北海道新聞社説
①「ICANと活動をともにしてきたサーロー節子さん(85)=カナダ在住=が被爆者として初めて授賞式で演説した。13歳の時に広島で被爆したサーローさんは、自身の凄惨(せいさん)な体験を語り『核兵器は必要悪でなく絶対悪だ』と強調した。地獄図を見たサーローさんの言葉をあらためてかみしめたい。」
②「同時に、あらゆる核兵器を非合法化する核兵器禁止条約を早期に発効させる必要がある。核保有国や、日本など米国の『核の傘』に依存する国は条約に反対しているが、核兵器が再び使われれば、人類に破滅的な影響が避けられない。『人類は核兵器と共存できない』という被爆者の訴えを重く受け止めなければならない。」
③「核保有国は、核を持つことにより、敵の攻撃を未然に防ぐ『核抑止力』を主張する。しかし、サーローさんが言うように『【抑止力】とは、軍縮を抑止するもの』でしかないのが現状である。北朝鮮も核開発の理由に『抑止力』を挙げている。」
④「核廃絶を目指すと言いながら、米国の核抑止力に頼る日本は、身動きがとれなくなっている。唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約の署名、批准に一歩を踏み出すべきではないか。」
⑤「サーローさんと一緒に登壇したICANのフィン事務局長(35)は『私たちは死より生を選ぶ数十億の市民の代表だ』と述べた。ICANは、市民の立場から、大国の利害のぶつかり合う問題の解決を目指す。こうした活動に光が当てられた意義は大きい。」


 日本政府は、「唯一の被爆国でありながら条約に参加しない日本には、国際社会の厳しい視線が向けられている。河野太郎外相は『日本政府のアプローチとは異なるが、核廃絶というゴールは共有している』と主張する。しかし、日本が主導して24年連続で国連で採択された核兵器廃絶決議は、今年の提案で条約に直接言及しなかった。賛成国が昨年より減ったのは、日本の姿勢に対する批判の表れであろう。」、との南日本新聞の指摘を、冷静に受け止めなくてはならない。
 確かに、「原爆で亡くなった二十数万の魂を身の回りに感じてほしい。一人一人に名前があった。誰かに愛されていた」ことを、まずは感じることから始めよう。

 今、私たちは、これほどの、魂を揺さぶる言葉を受け取ることができた。
 じっくり、この魂の言葉を自らで辿ろうではないか。


「『世界中の皆さんに、広島の倒壊した建物の中で私が耳にした言葉を繰り返します。【諦めるな。頑張れ。光が見えるか。それに向かって這(は)っていくんだ】』。核保有国の政府に問いたい。この究極の祈りに耳をふさぐことが、果たして許されるのか。」


 そして、「ーベル平和賞の長い歴史の中で、初めて被爆者が授賞式で演説を行い、核兵器の非人道性を世界に訴えた。この重みを忘れず、核廃絶を進める誓いを新たにしたい。」(新潟日報)と確認する中で、『核兵器は必要悪でなく絶対悪だ』と一人一人が世界に向けて発信しよう。




by asyagi-df-2014 | 2017-12-25 06:46 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人