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社説、論説から。~琉球新報20171214・沖縄タイムス20171214~

 日本政府の「不作為」の罪は極まっているのではないか。
 落ちた所は普天間第二小学校の運動場のど真ん中。13日午前10時8分ごろのことだ。
落ちたものは、重さ約7・7キロ、約90センチ四方のCH53E大型ヘリ金属製の窓枠。
 実は、「7日には、CH53ヘリに使われているのと同じ円筒状の部品が、普天間第二小から約1キロ東にある『緑ヶ丘保育園』に落下した。」(沖縄タイムス)にもかかわらずである。
 このとについて、2017年12月14日付けの沖縄二紙の社説で考える。


Ⅰ.沖縄タイムス社説-米軍ヘリ窓落下]飛行停止し閉鎖を急げ


ⅰ.主張
(1)「もはや判で押したような安易な対応は許されないし、許さない覚悟が私たち自身にも求められている。」
(2)「普天間飛行場の全機種の飛行を直ちに停止し、飛行場閉鎖に向けた計画づくりに早急に着手すべきである。」
(3)「事故のたびに同じことが繰り返されるのは、沖縄の側の『弱さの表れ』という側面もある。『弱さ』とは、政府や米軍を本気で動かすだけの取り組みが足りない、という意味である。選挙中は抗議行動にも議会決議にも熱心だが、選挙が終わると後が続かない。政府は沖縄のそのような弱点を熟知しているから、いつも敏感に反応するが、抜本的な対策を打ち出すことはなく、事故は繰り返される。状況を根本から変えるような大きな取り組みが必要だ。」
(4)「なぜ事故が続くのか。空からの不安を抱えながら暮らさないといけないのか。狭い沖縄に、住宅地域と隣接するように米軍基地を押し込んでいるからである。そして、米本土でなら広大な土地でやるような軍事訓練を実施しているからである。」
(5)「辺野古新基地は機能が強化され、負担軽減にはならない。米軍機は、沖縄の空をわが物顔で飛び、基地と隣り合わせで生活する県民を危険にさらし続けることになる。」
(6)「政府は自ら考える負担軽減が、現実にそぐわないことを直視すべきである。」


ⅱ.事故の経過等
(1)「普天間第二小から滑走路までわずか350メートル。運動場のフェンスの向こう側は飛行場である。離発着の際の安全が確保されているとは言い難い、異様なほどの近さだ。普天間飛行場の周囲には学校や公共施設などが約120カ所存在する。」
(2)「7日には、CH53ヘリに使われているのと同じ円筒状の部品が、普天間第二小から約1キロ東にある『緑ヶ丘保育園』に落下した。父母会が県と県議会に園上空の飛行禁止を求める嘆願書を提出したのは12日。その翌日にCH53ヘリの窓の落下事故が起きたのである。嘆願書には命の危険と隣り合わせの恐怖、米軍機が頭上を飛び交う異常な日常への不安がつづられている。」
(3)「普天間第二小の父母も同じことを切実に感じているはずだ。普天間飛行場の全機種の飛行を直ちに停止し、飛行場閉鎖に向けた計画づくりに早急に着手すべきである。」
(4)「落下事故を起こした米軍普天間飛行場のCH53大型ヘリは、2004年8月に沖縄国際大学の構内に墜落したヘリの同型機である。」
(5)「13日はMV22オスプレイが名護市安部の沿岸部に墜落、大破した事故からちょうど1年という節目の日にあたる。」
(6)「CH53やオスプレイによる事故が後を絶たないという事実は、政府や米軍が強調する再発防止策は実効性が乏しく、再発を防ぐことができないことを物語っている。」
(7)「都市部のど真ん中にある普天間飛行場の運用、演習場と住宅地が隣接する小さな島でのオスプレイの飛行訓練には、もともと無理があるのだ。日米合意された航空機騒音規制措置は、米軍が『運用上必要』と判断すれば午後10時以降の夜間訓練も可能となっている。米軍をしばっているようで、実は実効性の伴わないざるのような取り決めになっているのである。」
(8)「米軍機からの部品などの落下事故やトラブルが後を絶たない。11月30日には、嘉手納基地に暫定配備された最新鋭ステルス戦闘機F35Aが、約450グラムのパネルを洋上に落としたばかりである。5月にも同基地所属のF15C戦闘機が約2・3キロの部品を海上に落としている。2015年には普天間所属ヘリが、総重量200キロを超えるミサイル装置などを落下させるなど、年間で8件も相次ぎ、昨年も岩国基地所属機が県内でゴム製部品を落としている。」
(9)「県によると、米軍機から部品などが落下した事故は、復帰後から先月末までに67件が確認されている。部品を上空から落としても原因や責任が全てつまびらかにされるわけでもない。事故の数自体も米軍の対応も尋常ではなく、この繰り返しにはもう耐えられない。」


ⅲ.12月7日の事故
(1)「宜野湾市野嵩の緑ヶ丘保育園で7日午前、米軍機からのものとみられる円筒状の物体が落ちているのが発見された。保育園の屋根に物が落ちる大きな音がして、職員が確認して見つかった。音がしたのは、米軍機が上空を通過した直後という。地域住民によるとCH53E大型ヘリが飛んでいるのを目撃しており、米軍機から落ちた可能性が極めて高い。米軍は速やかに調査し、詳細を明らかにするべきだ。」
(2)「物体は、高さ9・5センチ、直径7・5センチほどの瓶のようなものという。航空機からの落下物は、材質や重量の軽重に関係なく、地上にいる人の命や財産を脅かすもので、空からの凶器である。一歩間違えば大惨事につながる。」
(3)「保育園によると、園庭では約50人の園児が遊んでいた。物体が落下した園屋内には、園児8人と職員2人がいた。幸い園児や職員らに被害はなかったが、人に直撃していたらと考えるだけで、ぞっとして身震いする。」
(4)「保育園は、米軍普天間飛行場から約300メートルの位置にあり、米軍機の離着陸コースの下にある。神谷武宏園長は『たまたまけが人はいなかったが、この基地がある限り、人命軽視だと思う』と語った。園長の恐怖のまじった憤慨は当然のことで、落下事故の不安は普天間周辺の住民も常に抱えているものである。」
(5)「翁長雄志知事は『深刻な事故と認識している』とし、米軍の物と分かれば強く抗議する考えを示した。県そして政府には、県民の命と暮らしを最優先にした対応を求める。」


Ⅱ.琉球新報社説-米軍ヘリ窓落下 普天間飛行場の即閉鎖を


ⅰ.主張
(1)「大切な子どもたちの命が重大な危険にさらされた。看過できない事態である。米軍普天間飛行場を直ちに閉鎖すべきだ。」
(2)「これほどの重大事態にもかかわらず、政府は同型機の飛行停止ではなく、飛行自粛を求めただけだ。あまりにも弱腰すぎる。全ての訓練の即時中止を求める。」
(3)「事故を受け菅義偉官房長官は『(事故は)あってはならない』と発言した。『あってはならない』事故が引き起こされるのは、沖縄に米軍基地が集中しているからである。県民の命を守るためには、海兵隊の撤退しかない。」
(4)「在沖米軍は安全を確保する有効な手だてを打っていないのではないか。『ハインリッヒの法則』によると、1件の重大事故の裏には29件の中程度の事故と、300件のひやりとする過失があるとされる。米軍基地での事故発生頻度にも通じる。」
(3)「現場を視察した翁長雄志知事は『一番守ってあげなければならないものは子どもたちだ。運動場のど真ん中に落ちてきたのは許されない』と述べた。当然である。」
(4)「普天間飛行場には、この1年間に2機が墜落したオスプレイも配備されている。オスプレイの事故率は、配備前の12年と比べ約2倍に上昇している。日本政府は、県民の生命と財産を守るために、米国と主体的に交渉すべきだ。航空法によって航空機から物を落とすことは禁じられている。しかし、米軍は日米地位協定に基づく航空特例法により航空法の適用が除外されている。小学校に落下させる重大事態を招きながら、国内法が適用できない。これでは主権国家とはとうてい言えない。」


ⅱ.事故の経過等
(1)「普天間第二小学校の運動場に、普天間所属のCH53E大型輸送ヘリコプターの窓が落下し、4年生の男児1人の左腕に石が当たった。当時運動場にいた約60人の児童から約10メートルしか離れていなかった。」
(2)「落下した窓は金属製の外枠があり、90センチ四方で、重さ7・7キロ。運動場中央には落下物の痕跡が残り、周辺にはアクリル製とみられる割れた透明板が散らばっていた。落下の衝撃の大きさが分かる。まさに重大事故につながりかねない事態であり、多数の児童が犠牲になった1959年の宮森小学校米軍機墜落を想起させる。」
(3)「落下事故が起きた13日は、普天間所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが名護市沿岸に墜落してから1年に当たる。7日にも普天間第二小から約1キロ東の保育園のトタン屋根に、米軍ヘリの部品と同一の物体が落下したばかりだ。落下地点は園庭から50センチしか離れていなかった。」
(4)「普天間所属のCH53は今年1月と2月に着陸装置が故障した。6月に久米島空港に緊急着陸、10月に東村の牧草地に不時着し炎上した。2004年には沖縄国際大学に墜落した。」


 今必要なことは、沖縄からの「一番守ってあげなければならないものは子どもたちだ。運動場のど真ん中に落ちてきたのは許されない」や「まさに重大事故につながりかねない事態であり、多数の児童が犠牲になった1959年の宮森小学校米軍機墜落を想起させる。」、といった悲痛な訴えを、日本人一人一人が、自らに内在化できるかにかかっている。
 必要ならば、「県によると、米軍機から部品などが落下した事故は、復帰後から先月末までに67件が確認されている。部品を上空から落としても原因や責任が全てつまびらかにされるわけでもない。事故の数自体も米軍の対応も尋常ではなく、この繰り返しにはもう耐えられない。」、との事実を理由にすればいい。
 なぜなら、沖縄から発せられる声は、すでに、「もはや判で押したような安易な対応は許されないし、許さない覚悟が私たち自身にも求められている。」や「事故のたびに同じことが繰り返されるのは、沖縄の側の『弱さの表れ』という側面もある。『弱さ』とは、政府や米軍を本気で動かすだけの取り組みが足りない、という意味である。選挙中は抗議行動にも議会決議にも熱心だが、選挙が終わると後が続かない。政府は沖縄のそのような弱点を熟知しているから、いつも敏感に反応するが、抜本的な対策を打ち出すことはなく、事故は繰り返される。状況を根本から変えるような大きな取り組みが必要だ。」、といった領域にまで達している。
 この沖縄からの声は、『あってはならない』事故が引き起こされるのは、沖縄に米軍基地が集中しているからである。県民の命を守るためには、海兵隊の撤退しかない。」、に繋がる。
 日本人の一人一人は、もう気づくべきである。
 それは、「米軍は日米地位協定に基づく航空特例法により航空法の適用が除外されている。小学校に落下させる重大事態を招きながら、国内法が適用できない。これでは主権国家とはとうてい言えない。」、ということについて。
 また、「辺野古が唯一の解決策」といった強弁が、「政府は自ら考える負担軽減が、現実にそぐわない」のだということを。




by asyagi-df-2014 | 2017-12-16 06:54 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

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