【金平茂紀の新・ワジワジー通信(27)】(沖縄タイムス)を読む。

 金平茂紀(以下、金平)は、沖縄タイムスでの【金平茂紀の新・ワジワジー通信(27)】を、「驕(おご)れる人も久しからず。『平家物語』冒頭の文章に含まれるこのセンテンスの重みを僕らは今思い知らされている。」と始める。
 これだけで、誰のことを指しているのかは恐らくわかるだろう。もちろん、金平は、「『安倍一強』などと中世の貴族のごとく栄華を極めたかのように語られてきた政権のありように、国民は今醒(さ)めた視線を送り始めている。森友学園問題、加計学園問題、『「共謀罪』法の強引な可決成立のさせ方、政権内での身内・お友だちに対する度を越した庇(かば)いよう、そして忘れてはならないのは、沖縄県の声に対して聞く耳を持たない強圧的姿勢、それらに向けられた国民の視線である。驕れる人も久しからず。」、と続ける。
 話は、「『平家物語』に材をとって、平清盛の四男・知盛を主人公に描いた木下順二の戯曲に『子午線の祀り』がある。」、と続く。これまた、話の続きを予想させる。
 金平が語りかけた「そして忘れてはならないのは、沖縄県の声に対して聞く耳を持たない強圧的姿勢、それらに向けられた国民の視線である。驕れる人も久しからず。」の意味を、「平家物語」に語らせるのである。
 それは、「平家側にいた当時8歳の安徳天皇は海に身を投じ死に至る。天皇家の正統性を証明する『三種の神器』」とともに平家側の高位の者たちは次々に海に身を投げた。つまり集団入水自殺を遂げたのである。海上で展開された人間同士による戦争でも、月の軌道上の移動による潮流の変化という自然の摂理の前には人間など全くあらがうことができない。今から800年以上前にあったとされる海の上での人間の悲劇の根源にある冷徹な事実である。」。


 観念の人となっていた金平は地上に降り立ち、今度は、肉声で沖縄を語り始める。


(1)ダブルスタンダード(二重基準)を多用する指導者は信用できない。信頼されない。尊敬されない。驕れる人も久しからず。自国民に対しては「美しい日本の自然環境を守りましょう」と説きながら、他国民に対してなら「自然環境を壊すことも仕方がないだろう」と言えば、その指導者は人間としても失格だ。ところがそんな当たり前のことが、自国民である沖縄に限っては通じないのだ。ダブルスタンダード、問題ない。批判はあたらない。適切な処置が講ぜられているものと考えております。いけない、官房長官話法がうつったか。
(2)北部沖縄の大浦湾海域は豊かな自然に恵まれ、とりわけサンゴの群生地もあって、生物多様性の生きた教科書と言われている。海と近接して生態系で深くつながっている「やんばるの森」は環境省が国立公園に指定している自然の宝庫だ。そんな場所に軍事基地やヘリパッドをつくろうという発想自体がまず正気の沙汰ではないのだ。
(3)ごく普通のアメリカ人100人を大浦湾に招いて、彼ら彼女らに海の美しさを見せたらいい。ああ、何て美しい海なんだ。こんな豊かで美しい海をもつあなたたちがうらやましいと言うだろう。キャンプ・シュワブの兵士やその家族だってそのことを本能的にわかっているから、これまでも大浦湾で潜水や水泳を堂々とやっていた。そこを埋め立てて巨大なあなたたちアメリカ軍のための新基地をつくるというのだ。おかしいと思うでしょ? 北谷海岸に溢(あふ)れているアメリカ人ダイバーたちに聞いてみてもいい。大浦湾を埋め立てるなんて本当は馬鹿(ばか)げていると思うでしょう? 彼らは軽くウインクするだろう(イエス)。
(4)6月に僕は、大浦湾の通称チリビシという場所で潜ってみて群生するアオサンゴをみた。かなり大きなアオサンゴが垂直方向に成長していた。大浦湾にはアオサンゴやハマサンゴ、ミドリイシ、ユビエダハマサンゴなど多様なサンゴが生きている。直径5メートルくらいのハマサンゴは500年から1千年生きているそうだ。ミドリイシでさえ2メートルまでなるのには20年近くの歳月がかかると言われている。今月13日に、地元ダイバーたちが大浦湾に潜って、キャンプ・シュワブ内の「K9」護岸工事地点先端からわずか30メートルほどの海中にコブハマサンゴが生息していて、周囲をサカナたちが泳ぐ姿を確認したという。その護岸からは今も次々に砕石が海中に投入されている。
(5)沖縄防衛局、海上保安庁、沖縄県警および本土派遣の警察官、砕石をピストン輸送する建設業者は、彼らから見れば「全員一心一丸となって」、逆から見れば「まるで、ぐるになって」基地建設工事を推進している。今現在も彼らは時々刻々作業にまい進している。彼らの一人一人は、目の前に広がる美しい海が埋め立てられることを本当に望んでいるのか。
(6)「滅私」は僕ら日本人の得意技だ。反対派の人々が体を張って工事を止めようとしている。抗議船や手こぎのカヌーで海に繰り出す。圧倒的な物理的な力で排除される。美しい海の上を毎日のように防衛局や海保の警備艇が航行する。防衛局に借り上げられた漁船が海上をたゆたっている。それで決して少なくない日銭が銀行口座に振り込まれる。


 再び観念の人となった金平は、最後に、こう言い放つ。
 その姿は、般若の面を装っていた。


 「僕はその海上の実景をみながらもう一つの光景を幻視していた。平家が滅亡した壇ノ浦の海戦の頃からすでにこの大浦湾で生きていたサンゴを、800年以上の時を経て、今僕ら人間はそれを殺そうとしている。その『驕れる人たち』は、海を殺すばかりか、その海で代々生活を営んできた漁業者たちから漁を奪おうとしている。運用年数40年、耐用年数200年という設計仕様で巨大な軍事基地を、海を埋め立ててつくろうとしている。
 できてしまえばもっと長く使われるかもしれない。嘉手納基地も普天間基地もできてからもう70年以上がたっている。アオサンゴは100年単位で生きている。驕れる平家の時代から生きているのもいる。つくづく人間は愚かだと思う。それでいいはずはない。」




by asyagi-df-2014 | 2017-07-31 05:46 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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