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広島地裁は、「国に裁量の逸脱はなく、適法だ」、と言い放つ。(1)

 広島地方裁判所は2017年7月19日、高校の授業料無償化の対象から朝鮮学校を除外した国の処分をめぐる裁判で、「国に裁量の逸脱はなく、適法だ」として、広島朝鮮高級学校側の訴えを退けた。
 「審査基準も合理的で、差別には該当しない。」、との地裁の判決は、歪んだ現状認識に寄り添い、日本国憲法による不断の努力を冷酷に切り捨てている。
 このことを、毎日新聞は2017年7月20日、次のように報じた。


(1)朝鮮学校を高校無償化の適用対象外にしたのは憲法違反だなどとして、広島朝鮮初中高級学校(広島市東区)を運営する「広島朝鮮学園」と元生徒ら約110人が対象外適用の取り消しや慰謝料など約6000万円を国に求めた訴訟で、広島地裁は19日、原告の訴えを全面的に退けた。小西洋裁判長は対象外とした文部科学相の判断について「裁量の範囲逸脱や乱用が認められるとはいえない」と述べた。原告側は近く控訴する方針。
(2)同種訴訟は大阪、東京、名古屋、福岡の4地裁で係争中で、今回が初の判決だった。 判決などによると、高校無償化は2010年4月に当時の民主党政権が導入。私立高校などの生徒には学校を通じて就学支援金が支給される。政府は同年11月の北朝鮮の韓国砲撃で、朝鮮学校の支給審査を停止した。さらに12年12月に発足した第2次安倍政権は、拉致問題の進展がないことなどを理由に支給対象外とする方針を発表。文科省は13年2月、支給基準を定めた省令を削除して朝鮮学校を対象外とした。
(3)原告側は他の外国人学校は対象となっているとし、「政治的、外交的な理由から差別的に扱われている」と主張。民族教育などを学ぶ権利や教育の機会均等を保障する憲法、国際人権法などに違反すると訴えていた。
(4)判決は、北朝鮮や朝鮮総連と朝鮮学校が密接な関係にあり、「不当な支配」を受けて教育基本法に違反する恐れがあるとする国側の主張を認め、「就学支援金が授業料に使われないことが懸念される」と指摘。「審査基準も合理的で、差別には該当しない。適用対象となった他の外国人学校には類似の事情は認められない」とした。文科省は「国の主張が認められたものと受け止めている」とのコメントを発表した。
(5)「権利を得られない悔しさと、やるせない思いでいっぱいです」。広島朝鮮初中高級学校を高校無償化の対象外とすることを認めた19日の広島地裁判決に、元生徒で原告の団体職員、黄希奈(ファンフィナ)さん(25)=広島市南区=は涙をこらえて話した。
 黄さんは出身の岡山県の初中級学校を卒業後、中四国で唯一、高級部がある広島朝鮮学校へ進んだ。無償化法は2年時に成立したが、国は朝鮮学校の支給審査を停止。黄さんは仲間と無償化適用を求める署名活動をしたが実現せず、進学を諦める同級生もいた。「無償化が適用されていれば、大学に進む費用の準備もできた。同じ思いをする後輩が増えると思うと悔しい」と唇をかんだ。
(6)高級学校を運営する広島朝鮮学園の金英雄(キムヨンウン)理事長(59)は記者会見で「多文化共生の歩みに逆行し、到底容認できない」と語気を強めた。高級部は70人が在籍。2012年度以降は広島県・市が合わせて年間約2000万円の補助金支給を凍結し、学校の年間予算は前年度から約2割減った。15年度は授業料を増額。一般校に進む生徒が増え、10年度より在校生は2割以上減った。
(7)弁護団長の足立修一弁護士は「朝鮮学校に対して差別をしていいと言っているに等しい判決」と批判した。



by asyagi-df-2014 | 2017-07-29 06:04 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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