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安倍晋三首相が、「責任感ない非正規」発言。

 標題について、共同通信は2017年6月28日、次のように報じています。


(1)安倍晋三首相が憲法改正や残業規制などに意欲を示した24日の神戸市の講演で、非正規労働者は責任感ややる気がないと受け取られかねない発言があり、非正規で働く人や専門家から「責任感を持って仕事をしている」「非正規の現場を知らない無神経な発言だ」といった批判が出ている。
(2)首相は講演で、憲法への自衛隊明記の必要性や成長戦略などを語ったほか、正社員と非正規労働者の不合理な待遇差の解消を目指す同一労働同一賃金実現の重要性に触れ「非正規の時にはなかった責任感や、やる気が正規になって生まれていく」と述べた。


 この安倍首相の発言は、サンケイの〝正論〟講演会でのことです。
 自らを補完する読売新聞や産経新聞のところでのみ自由に振る舞う。そんな構図ができあがってしまっています。
 そもそも、安倍が使用する「正社員」は、竹信三恵子が「正社員消滅」で描く構造をすでにもたされてしまっています。したがって、安倍が成長戦略神話の文脈の中で説く「正社員」化とは、実は、労働者にとってより一層の「正社員消滅」でしかありません。、
竹信は、「正社員消滅」を次のように指摘しています。


 非正社員並みの低賃金労働にもかかわらず無期雇用というだけで「正社員」を標榜する会社が出現するようになった。・・・私たちはいま、二つの「正社員消滅」に直面しているといえるのではないだろうか。ひとつは、非正社員の増加による労働現場からの文字通りの「正社員消滅」。そしてもう一つは、「名ばかりの正社員」に象徴されるように、もはや正社員であることが「安定と安心の生活」を全く担保しなくなったという意味での「正社員消滅」だ。
 

 また、大内裕和は、「ブラックバイトに騙されるな!]で非正規雇用の働き方の構造変化を次のように指摘しています。


 派遣労働者を始め、契約社員、パートタイマー、学生アルバイトなどの非正規用が増加し、正規雇用が減少しました。それは低賃金で不安定な労働者が増加したことを意味すると同時に、非正規雇用の働き方にも大きな変化をもたらしました。正規雇用が消滅され続けることによって、彼らが行っていた責任の重い仕事を、非正規雇用が担わざるを得ない状況が生まれました。


 結局、安倍の同一労働同一賃金実現の主張は、成長戦略の題目で目くらましをすることによって、国民・労働者の窮乏化をもたらすものでしかありません。
 まさしく、安倍の主張は、「責任感を持って仕事をしている」「非正規の現場を知らない無神経な発言だ」といった批判が当てはまるものでしかありません。
 このことに加えて、東海林智はそのFB(2017年6月28日)で、次のように批判を加えています。


(1)数日前にFBに加計問題で首相安倍が事の本質を分かっていないと書いたが、同じ場所(サンケイの〝正論〟講演会)でこんな発言をしていた。この発言、非正規を増やしてきた自身、そして歴代自民党政権の労働政策の失敗に目をつぶり、上から目線で「責任感ない非正規」と決めつけるなど問題点は明らかだ。
(2)同様に深刻なのは、これが発言からかなりたってから、報道されたこと。もちろん、ネグレクトするよりはよっぽど良いのだが、この発言が現場の記者の間で問題だと受け止められなかったこと。僕がFBに加計問題のことを書いた時、この講演会の内容はそこしか知らなかった(そこしか報道がなかったし、全文入手もしていなかったので)、けれど、現場で記者は非正規を巡る発言を聞いているのに、発言は数日間スルーされてきた。おそらくだが、発言を知ったネットの民が騒ぎ始めて、気付いたものと思われる(推測ですが、そう考えるのが合理的)。
(3)つまり、現場にいた記者たちは、安倍発言の問題点に気付かなかった、あるいは、首相・安倍と同じ目線で非正規を見ていたということだと思う。ニセモノの安倍政権の働き方改革を持ち上げるメディアにはもちろん分からないだろうが、非正規の仲間に向けられる視線が首相・安倍もメディアも同じであることに小さくないショックを受けた。
(4)力足りないことを情けなく思う。頑張るよ。非正規の仲間のみなさん。だからこそ、声を上げよう。時給1000円も支払うことのないような働き方を強制する奴らに


 もしかしたら、最も深刻なのは、「自らを補完する読売新聞や産経新聞のところでのみ自由に振る舞う構図」を、批判することなく、安易に許しているジャーナリズムの姿勢があるという日本の現状なのかもしれません。





by asyagi-df-2014 | 2017-07-09 05:49 | 書くことから-労働 | Comments(0)

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