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「共謀罪」を考える。(42)-沖縄タイムス2017年6月15日より-

 2017年6月15日7時46分、日本という国は、大きな破壊の道に踏み込んだ。
 しかし、負けるだけではいけないと、心ある人たちは闘いを表明する。
 さあ、一人ひとりがこの闘いに繋がろう。


 沖縄タイムスは、2017年6月14日、「心縛(しんばく)」の連載を開始した。
 その意味を、「国会で審議中の「共謀罪」。戦前の治安維持法同様だとして警鐘がならされる。戦前の社会は、同法で心を縛られ、自由を失い戦争へ突き進んだ。連載『心縛(しんばく)』は沖縄戦と現在を結び、私たちの社会の危機を考える。」、と綴る。
 沖縄タイムスは、2017年6月14日、「『こんな世に生まれたことが悪かった』 歌う自由、大伯父への思い 【心縛「共謀罪」と沖縄戦・1】」、と次のように報じた。


(1)5月下旬、那覇市安里のライブハウス。激しいビートに安里成文さん(39)=大阪市=が熱唱する。「ワッツーシゾンビ」のボーカル。「2000年代半ばから大阪で新しい音楽をやるバンドとして活動してきた」。本番前のもの静かな横顔。大伯父・安里成忠とどこか重なる。成忠は20歳で死亡した。1931年の沖縄教育労働者組合(OIL)事件で治安維持法違反に問われ、拷問を受けた末のことだ。奈良で生まれ育つ理由となった大伯父の存在。「僕は大伯父を尊敬しています」。まっすぐに受け止める。
(2)OIL弾圧直前。世界恐慌による砂糖価格暴落で沖縄は「ソテツ地獄」と呼ばれた大不況に苦しんだ。子どもの身売り、出稼ぎ。学校は長欠児童が続出した。青年や教師は社会運動で社会を変えようと試みた。25年の治安維持法成立以降、社会運動の弾圧が激化。OILは31年1月に結成、その1カ月後には指導者真栄田一郎、成忠ら4人が逮捕された。警官が剣道の防具を着て何度も体当たりする凄惨(せいさん)な拷問。成忠も真栄田も精神に変調を来し家に戻され死亡した。
(3)いとこがまとめた冊子『安里成忠のこと』。生前の姿を伝える。旧真和志村壺川の2間の家。座敷牢で成忠は砂利と小石を並べていた。「クングトウル(こんな)世の中に生まれあわしたことが悪かったのでしょう」。父親は多くを語らなかった。「水ぶくれした白い顔、15、16歳の子ども」のような成忠。傍らに目の不自由な弟がいたと記録する。成文さんの祖父だ。奈良で珍しい安里姓を名乗る祖父は鍼灸(しんきゅう)師だった。「不自由な体で家族に手紙も残さず、沖縄を出たと聞いた」。家族の間でそれ以上話題にすることはなかった。成文さんが祖父の来し方を知ったのは中学生のころ。押し入れの箱から成忠の冊子を見つけた。母を早く亡くし、弟の面倒を見る優しい兄。体が弱かったが情熱家で勉強熱心だった成忠の姿がつづられていた。
(4)事件当時、祖父は18歳。私立沖縄盲学校を卒業後、那覇市の旅館で鍼灸の仕事をしていた。「共産党員の弟だ」。指弾が相次いだ。「世間の眼はものすごく冷たかった」。祖父は1人沖縄を後にした。記憶の中の祖父は自由な人。「ええのん、聞いとるな」。孫の聴く音楽にも興味を示した。沖縄民謡を愛し、バイオリンを弾き、ビートルズを口ずさんだ。なにげない日常を大切にした。成文さんも心のままに歌い、自身の音楽を追求する。「大伯父は命懸けで信念をつらぬいた」。成忠が闘った自由を思う。
(編集委員・謝花直美)





by asyagi-df-2014 | 2017-06-18 06:39 | 共謀罪 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人