「沖縄の負担軽減」という偽り。

 沖縄タイムスは、2017年6月1日、「『住民の苦痛、わかっているのか』 U2偵察機の嘉手納基地・旧駐機場使用 周辺首長が憤り」、と報じた。
 何のことなのか。
 沖縄タイムスは、2017年6月3日、この事実関係を次のように解説している。


(1)米空軍嘉手納基地の第18航空団が今年1月に移転を終えた旧海軍駐機場を継続使用する考えを示した。21年前の日米特別行動委員会(SACO)最終報告で日米両政府が移転を盛り込んだのは、地元の負担軽減のためだ。だが、米軍は移転後も米本国所属のKC135空中給油機を駐機させるなど、旧駐機場を外来機の新たな「拠点」として位置づけているのが実態で、負担軽減に逆行しているのは明らかだ。(政経部・大野亨恭)
(2)住宅地に近い旧駐機場の移転は地元住民の強い希望だった。日本政府は157億円を投じて新駐機場を建設、21年かけ、ようやく実現した。だが、移転後も旧駐機場の使用を継続するのであれば、米軍に使い勝手のいい施設を日本の税金で増設したことを意味する。
(3)日本政府関係者は、SACO合意文書に「移転後は使用しない」と明記されていないことから、事実上黙認している。ここに根本的な認識の間違いがある。そもそものSACOの趣旨は、沖縄の米軍基地の整理・縮小と負担軽減だ。
(4)4、5月の嘉手納基地でのパラシュート降下訓練など、SACO合意の形骸化が著しい。いずれも、米軍は運用を理由に、基地を自由使用している。明らかな沖縄の負担増だ。

 沖縄タイムスは、沖縄の怒りや憤りについて、このように伝えている。


(1)米太平洋空軍の在韓米軍烏山(おさん)基地所属のU2偵察機が31日、米軍嘉手納基地に飛来し、旧海軍駐機場を使用したことに、周辺自治体の首長は「日米合意違反だ。米軍は住民の苦痛をわかっているのか」と一斉に反発した。沖縄市と嘉手納町、北谷町でつくる「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(会長・桑江朝千夫沖縄市長)は、関係機関へ近日中に抗議する。
(2)旧駐機場のある嘉手納町の當山宏町長は「政府間の約束を一方的に破る米軍は常識から外れている」と怒りをあらわにした。同日朝には、沖縄防衛局や外務省沖縄事務所に使用禁止を求めたばかり。「20年かかりようやく実現した移転は騒音や悪臭被害をなくすためのもの。歴代司令官もそのように話していた。米軍は地元の事情を理解しているのか」と語気を強めた。
(3)海軍駐機場の移転先である沖縄市の桑江市長は、「受け入れは苦渋の決断だった。日米両政府間の約束を無視する米軍は市の決断を無意味にしている」と憤った。「なぜ暫定的に旧駐機場が必要なのか、米軍も政府もしっかり説明するべきだ」と求めた。
(4)野国昌春北谷町長も「日本が費用負担しやっと海軍が移っても空軍が使うなら、何のための日米合意だったのか」といら立ちを隠せない。降下訓練や外来機の訓練も続き嘉手納の機能強化は顕著と指摘。「米軍に強く抗議する。日本政府にもしっかり対応してほしい」と話した。


 さて、問題は、このことを主権侵害として捉えることができるかにある。
 まずは、「主権回復へ地位協定改定を」とした2017年6月3日の琉球新報の社説をみる。
琉球新報は、この問題の本質を、「沖縄は軍事植民地かと疑いたくなるような事態だ。」、と見透かす。
 琉球新報の指摘は、「米空軍嘉手納基地の海軍旧駐機場について、嘉手納基地は今後も継続して使用する意向を示した。しかも日米両政府が駐機場の移転を明示した日米特別行動委員会(SACO)最終報告での合意に『違反していない』とまで明言した。」、という安倍晋三政権の対応にあった。
 この安倍晋三政権の対応とは、「2国間の合意を無視する暴挙に対して、稲田朋美防衛相は今回の使用を「例外的」として米軍の使用を全面的に認める考えを示した。旧駐機場の使用中止も求めていない。」、ということでしかなかった。
 だから、琉球新報はその社説で、「沖縄は占領地ではない。米軍の一方的な使用継続と、それを追認する日本政府は、静かに暮らしたいという県民の願いを踏みにじっている。県民の生命と人権を軽視する姿勢を直ちに撤回すべきだ。」、と要求する。
 沖縄タイムスもまた2017年6月3日、このことに関して次のように解説する。


(1)米空軍嘉手納基地の第18航空団が今年1月に移転を終えた旧海軍駐機場を継続使用する考えを示した。21年前の日米特別行動委員会(SACO)最終報告で日米両政府が移転を盛り込んだのは、地元の負担軽減のためだ。だが、米軍は移転後も米本国所属のKC135空中給油機を駐機させるなど、旧駐機場を外来機の新たな「拠点」として位置づけているのが実態で、負担軽減に逆行しているのは明らかだ。(政経部・大野亨恭)
(2)住宅地に近い旧駐機場の移転は地元住民の強い希望だった。日本政府は157億円を投じて新駐機場を建設、21年かけ、ようやく実現した。だが、移転後も旧駐機場の使用を継続するのであれば、米軍に使い勝手のいい施設を日本の税金で増設したことを意味する。
(3)日本政府関係者は、SACO合意文書に「移転後は使用しない」と明記されていないことから、事実上黙認している。ここに根本的な認識の間違いがある。そもそものSACOの趣旨は、沖縄の米軍基地の整理・縮小と負担軽減だ。
(4)4、5月の嘉手納基地でのパラシュート降下訓練など、SACO合意の形骸化が著しい。いずれも、米軍は運用を理由に、基地を自由使用している。明らかな沖縄の負担増だ。


 琉球新報は、沖縄の怒りや憤りの理由を次のように示す。


(1)米軍が沖縄で両政府の合意を無視できるのは、騒音問題や基地の運用に日本の主権が及ばず、日本政府も物を申せないからだ。元凶は基地の自由使用を米軍に認める日米地位協定にある。日本政府は地位協定改定に踏み込み、沖縄での主権を取り戻す努力をすべきだ。
(2)SACO最終報告の騒音軽減策は、海軍駐機場を「主要滑走路の反対側に移転する」と明記している。「追加的な施設の整備の実施スケジュールを踏まえ」という前提はあるが、どこにも新駐機場完成後に併用するという文言はない。
(3)運用上の理由を盾に新旧の駐機場を併用するのであれば、SACOの前提である沖縄の負担軽減を口実に、基地の機能拡大を図った「焼け太り」にほかならない。
(4)新駐機場の運用が始まったのはSACO合意から20年余りたった今年1月だ。しかも当初から米軍は旧駐機場も利用し、地元住民から「無意味」との指摘があった。
(5)  住民らの怒りは当然だ。移転は本来、住宅地に近い駐機場からの夜間の騒音などを軽減することが目的だ。さらに嘉手納町の調査では、発がん性物質が含まれる可能性のある「黒色粒子」が駐機場の方向から民間地に流れたことも分かっている。


 したがって、琉球新報は、この社説で、次のように主張する。


Ⅰ.日本政府は、単なる運用改善や使用中止要請にとどめる状況ではないことを肝に銘じてもらいたい。
Ⅱ.旧駐機場の利用から透けて見えるのは、日米が共に県民の生命や人権を軽視していることだ。これ以上、県民を危険と騒音にさらすことは許されない。日米とも状況を改善すべく行動するときだ。座視することがあってはならない。


 また、沖縄タイムスも、今回のことを次のように指摘する。


Ⅰ. それを許している最大の要因は、日本政府の弱腰な姿勢にある。負担軽減を目的としたグアム移転を含む米軍再編計画に関しても、米軍は一方的に再検討に言及した。それでも日本政府は否定も反論も苦言も呈さない。
Ⅱ.旧駐機場問題で「SACOに反しない」との米軍の回答を許せば、SACO合意そのものが根底から揺らぐ。


 何のことだったのか。
 それは、日本が主権侵害されているということだったのだ。
 それも、安倍晋三政権が自ら手を貸している中で。
こんなことは許されない。





by asyagi-df-2014 | 2017-06-06 07:18 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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