「私がもし働きかけて決めているとあれば、責任を取る」。傲慢な捨て台詞に本当の責任を取らせなくては。(1)

 加計学園問題に関して、朝日新聞は、2017年5月25日、次のように報じた。


(1)安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」が、国家戦略特区で獣医学部新設を認められた経緯をめぐり、前川喜平・前文部科学事務次官が「総理のご意向」などと書かれた一連の文書の存在を認める証言をし、野党は追及を強める構えをみせている。政府は学部新設を「岩盤規制の改革」と強調するが、その手続きの公平性が改めて問われそうだ。
(2)約半世紀ぶりの獣医学部の新設について、政府は「規制緩和の成果だ」と強調する。菅義偉官房長官は18日の会見で「(国家戦略特区は)何年も手がつけられなかった規制の岩盤にドリルで風穴を開ける制度。総理の指示のもと、スピーディーに(規制改革を)実現をすべく関係省庁が議論を深めるのは当然のこと」と強調した。
(3)獣医学部の新設は「岩盤規制の改革」なのか。
 特区での規制緩和にはもともと「お試し」の意味合いがある。特区で成功すればそれが「風穴」となり、全国に広がるきっかけになるからだ。
 その成功例とされるのが保育士不足対策だ。保育士の国家試験は従来、年1回だった。そこで、3年間は試験を受けた自治体だけで働く「地域限定保育士」という資格をつくり、2015年度から特区内の4自治体に限定して導入された。そこでは保育士試験が実質年2回となり、保育士増に効果があったため、16年度から全国的に保育士試験が年2回行われるようになった。公園内に保育所をつくれるようにする規制緩和も、特区から全国に広がった。
(4)獣医学部はどうか。獣医師が増えすぎないよう、文部科学省は告示を出して新設を認めてこなかった。今回、特区で認めることになったが、あくまで獣医学部のない「空白地域」に「1校限り」で認めるというもの。条件を絞った理由について、安倍首相は今月8日の国会で「(日本)獣医師会からの強い要望だった」と答弁。学部新設に反対してきた「抵抗勢力」に配慮した結果、限定的な規制緩和になったと説明した。その結果、同じように獣医学部をつくりたかった京都産業大学(京都市)には門戸が開かれなかった。「参入の壁」となっている文科省告示もそのまま残っているため、規制で守られた獣医学部の側に加計学園が加わる構図になる。
(5)郭洋春・立教大教授(アジア経済論)は「規制緩和することが問題なわけではないが、今回の手続きは透明性や中立性、公平性を欠いている。規制緩和は口実で、安倍首相に近い人に便宜を図ったという構図に見えてしまう」と指摘する。

■手続きの「公平性」再び争点に
(6)前川氏の証言で再び争点になりそうなのが、加計学園を特区の事業者に選んだ手続きの「公平性」だ。安倍政権が2015年、成長戦略「日本再興戦略」で学部新設を検討すると表明し、昨年11月、首相が議長を務める「国家戦略特区諮問会議」で新設方針を正式決定。今年1月、事業者に加計学園が応募した。この手順自体は、特区の事業者を選ぶ通常のやり方だ。
 野党が問題視するのは、安倍首相と、加計学園の加計孝太郎理事長の親密な関係だ。二人は長年の友人で、朝日新聞の首相動静によると、13年11月以降、ゴルフ4回、会食11回をともにしている。首相の妻昭恵氏が同席することも多く、家族ぐるみの付き合いだ。
 昭恵氏は15年、加計学園が運営する認可外保育施設の名誉園長に就任。また、首相側近の萩生田光一官房副長官は学園が経営する千葉科学大学(千葉県銚子市)の客員教授、昨年9月まで内閣官房参与だった元文科官僚の木曽功氏は同大学の学長だ。
 野党は、友人関係を背景に「加計学園ありき」の不公平な制度運用がなかったのか、首相側から何らかの働きかけがなかったのかを国会で追及してきたが、政府は一切否定している。選定過程を改めて検証して明らかにする姿勢は見せていない。
(7)選定過程で文科省の官僚トップにいた前川氏は、加計学園が事業者になることを想定して「行政がゆがめられた」と語った。こうした証言を踏まえ、野党は追及を強める構えだ。
(8)3月の参院予算委。「政策がゆがめられているのではないか」とただした社民党の福島瑞穂氏に対し、安倍首相は言い切った。「私がもし働きかけて決めているとあれば、責任を取る」
(岡崎明子、星野典久)


 さて、次に、前川喜平前事務次官の発言に触れて。


(1)安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」が国家戦略特区に獣医学部を新設する計画について、今年1月まで文部科学事務次官だった前川喜平氏(62)が23日、東京都内で朝日新聞の取材に応じた。内閣府から文科省に「総理のご意向」などと伝えられたと記された文書について、前川氏は自らが担当課から説明を受けた際に示されたと証言。獣医学部の新設については、加計学園を前提に検討が進んだとして、「行政がゆがめられた」と語った。
(2)前川氏が証言した文書は民進党が国会で示し、文科省に調査を求めたA4判の8枚。この中には、文科省が最短のスケジュールで獣医学部新設を実現するよう、内閣府から「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だと聞いている」などと言われたと記された部分がある。朝日新聞も同じ文書を入手している。
(3)前川氏はこの文書について「獣医学部の新設について、自分が昨年秋に、担当の専門教育課から説明を受けた際、示された」と証言した。同氏によると、昨年9月9日~10月31日に計6回、専門教育課の課長や課長補佐らと事務次官室で獣医学部の新設について打ち合わせをした。9月28日の打ち合わせでは、「『獣医学部新設に係る内閣府からの伝達事項』との文書を示されたと記憶している」という。
(4)また「総理のご意向」「官邸の最高レベル」などの文言について「誰だって気にする。(文科省側が)圧力を感じなかったといえば、うそになる」と述べた。
(5)獣医学部の新設予定地の愛媛県今治市や同県は加計学園とともに、小泉政権が始めた「構造改革特区」での獣医学部新設を15回提案したが、文科省がすべて却下。安倍政権が設けた国家戦略特区で、2015年に県と市が獣医学部新設を提案した。獣医学部新設を認める際は、獣医師の需要見通しなどを検討することが前提となる。しかし今回は、需給をつかさどる農林水産省や公衆衛生を担当する厚生労働省から、獣医師が足りないとの需給見通しや、新分野での必要な人材ニーズなどが示されない中で、内閣府から新設を認めるよう求められていたとして、「内閣府の言い分は『トップダウンで決めるから文科省は心配するな』ということだと受け止めた」と振り返った。さらに「踏むべきステップを踏めず、筋を通せなかった。『こんなことは認められない』と私が内閣府に対して強く主張して筋を通すべきだった。反省している」と語った。
(6)一方、8枚の文書について、菅義偉官房長官は17日の記者会見で「怪文書みたいな文書じゃないか」と述べ、松野博一文科相も19日、「該当する文書の存在は確認できなかった」とする調査結果を発表した。前川氏は「あるものが、ないことにされてはならないと思った」と語った。
(7)朝日新聞は24日、文科省に対し、文書について①専門教育課が当時の事務次官への説明で示したのか②同課で作成したのか――などについて書面で質問したが、同省は「行政内部のことで、回答すべきものではないので、お答えできません」と書面で答えた。
(8)前川氏は事務次官だった今年1月、文科省の違法な「天下り」問題に自ら関与していたとして減給処分を受け、引責辞任した。


 こうして、朝日新聞が明らかにしたことは、次のことである。


Ⅰ.前川氏はこの文書について「獣医学部の新設について、自分が昨年秋に、担当の専門教育課から説明を受けた際、示された」と証言したこと。
Ⅱ.「『総理のご意向』『官邸の最高レベル』などの文言について『誰だって気にする。(文科省側が)圧力を感じなかったといえば、うそになる』と述べたこと。
Ⅲ.8枚の文書について、前川氏は「あるものが、ないことにされてはならないと思った」と語ったこと。


 確かに、加計学園問題は「行政がゆがめられた」問題である。
 だとしたら、その頂点に立つ責任ある者は、自らを厳しく律するしかない。
 一つには、前川氏の「あるものが、ないことにされてはならないと思った」ということに答えるためにも。





by asyagi-df-2014 | 2017-05-26 07:11 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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