2017年4月25日-日本という国の「暴挙」を視る。(1)

 「政府・沖縄防衛局は25日朝、新基地建設に向け、名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部を埋め立てる護岸工事に着手した。土砂の流出防止などのため、護岸で埋め立て予定地の周りを囲み、このあと、年度内にも大量の土砂を投入する計画だという。1996年の普天間飛行場返還合意から今年で21年。辺野古問題は文字通り、大きな節目を迎えた。」(沖縄タイムス)。
 このことを考える。


 沖縄タイムスは、この様子をこう伝える。


 袋に詰めた石材がクレーンにつるされ、大浦湾の海に、一つまた一つと、投じられていく。
 汚濁防止膜を固定するためのコンクリートブロックが228個投入されたとき、自分の体が傷つけられるような思いを抱いた市民が少なくなかった。今また、県との事前協議も県による立ち入り調査もないまま、石材が容赦なく海底に投じられていく…。


 沖縄タイムスは、この「暴挙」をこのように結論づける。


Ⅰ.埋め立て工事を急ぎ、県民の中に「もう後戻りができない」という現実追認のあきらめの感情をつくり出す。それが政府の狙いであることは明らかである。だが、県を敵視し、話し合いを一切拒否して強引に工事を進めようとする姿勢は、沖縄の現状を無視した「安倍1強体制」のおごりの表れ、というしかない。
Ⅱ.改めて強調したい。新基地建設のため大浦湾を埋め立てるのは愚行である。
Ⅲ.憲法・地方自治法に基づく国と地方の関係を破壊し、沖縄の現役世代だけでなく子や孫の世代にも過重な基地負担を負わせる。かけがえのないサンゴ生態系を脅かし、絶滅危惧種のジュゴンに致命的な影響を与えるおそれがある。
Ⅳ.海兵隊は沖縄でなければならない、という議論も根拠がない。新基地建設は、沖縄の犠牲を前提にした公平・公正さを欠いた差別政策というほかない。政府が工事を強行すれば、この先、沖縄と本土の住民同士の対立が深まり、日米安保体制そのものを不安定にすることになるだろう。


 沖縄タイムスは、この結論を次のように説明する。


(1)米軍は普天間返還合意の4年前、92年には早くも、MV22オスプレイの配備を前提に、代替施設の必要性を認識していたことが、内部文書で明らかになっている。
(2)日本側からの「普天間返還要請=県内移設」は、米軍にとって渡りに船、だった。普天間のど真ん中にある制約の多い老朽化した基地を、日本政府の予算で、望む場所に移設できるからだ。
(3)日本側は県内移設によって海兵隊を沖縄に引き留めることを追求し続けた。歴代の政権の中でも安倍政権は特に、米国のご機嫌取りに終始し、沖縄には目が向かない。
(4)埋め立て工事に5年、全体工期に9・5年。MV22オスプレイの墜落大破事故があったにもかかわらず、その間、普天間飛行場を使い続けるというのか。
(5)政府自民党の中には「辺野古問題は終わった」という空気が支配的である。だが、こうした主張はあまりにも一面的である。
(6)沖縄タイムス社・朝日新聞社・琉球朝日放送が22、23の両日、共同で実施した電話による県民意識調査によると、辺野古移設については「反対」が61%だったのに対し、「賛成」は23%だった。埋め立て工事を始めようとしている安倍政権の姿勢については65%が「妥当でない」と答えた。「妥当だ」は23%にとどまった。
(7)県知事選、名護市長選、衆院選、参院選で示された辺野古反対の民意は、一点の曇りもなく明白だ。


 沖縄タイムスは、最後に、「有権者の過半が辺野古反対だという民意の基調は今も変わっていない。」、との結論の基に、次のように、「20170425」以降を提起する。


 「辺野古問題に関しては、埋め立ての法的な正当性と政治的正当性が対立し、ねじれたままになっているのである。この問題は司法の判決ではなく政治でしか解決できない。
 政府が話し合いを拒否し、強硬姿勢を示し続けるのであれば、県は重大な覚悟をもって、工事差し止めの仮処分や埋め立て承認の撤回など、法的な対抗措置を早急に打ち出すべきである。沖縄側から基地政策の全面的な見直しを具体的に提起するときがきた。」


 次に、琉球新報は、まず、次のように押さえる。


 「翁長雄志知事は『環境保全の重要性を無視した暴挙だ』と厳しく批判した。しかも政府の岩礁破壊許可の期限は切れている。政府は無許可で工事を強行したのだ。
 法治主義を放棄する政府の行為は許されない。翁長知事が『護岸工事は始まったばかりだ。二度と後戻りができない事態に至ったものではない』」と述べたように、県民は政府の専横に屈するわけにはいかない。私たちは諦めない。」


 また、琉球新報はこの「暴挙」を「県民の諦めを狙う着工」と指摘し、次のように分析する。


(1)護岸工事は25日午前に始まり、5個の石材を海中に投下した。うるま市長選で政府与党が支援した現職の3選勝利を踏まえた工事着工は、新基地建設に反対する県民の諦念を引き出すことを狙ったのは間違いない。
(2)稲田朋美防衛相は会見で「護岸工事の開始は普天間飛行場の全面返還を実現する着実な一歩となると確信している」と述べた。稲田防衛相の「確信」は県民意思と隔絶しているばかりではなく、民主国家が取るべき手続きを足蹴(あしげ)にしているのだ。
(3)漁業権に関する知事権限や岩礁破砕の更新手続きに関する政府と県の対立は残されたままだ。仲井真弘多前知事の埋め立て承認書の規定を踏まえ、県は本体工事前の事前協議を求めたが、政府は協議打ち切りを県に通告した。法的に護岸工事着手の環境が整っていないのは客観的に見ても明らかなのだ。それを無視し、工事を強行する政府に法治国家を掲げる資格は全くない。
(4)菅義偉官房長官は24日の会見で、最高裁判決に触れながら「主文の趣旨に従って県と国が努力することが大事だ。法治国家であり決着はついた」と語った。しかし、政府は法治国家が取るべき手続きを放棄しているのだ。これで決着したとは到底言えない。
(5)新基地の完成までには約10年を要する。政府はその間、普天間飛行場の危険性を放置するのか。仲井真前知事の埋め立て承認時に「5年以内の運用停止」を政府と約束した。ところが翁長県政になり政府は「(運用停止は)辺野古移設への県の協力が前提」と突然言いだし、約束をほごにした。
(6)新基地建設という米国との合意に固執し工事を強行する一方で、普天間飛行場の周辺に住む宜野湾市民の負担軽減に向けた具体策を講じようとしないのだ。政府の不作為を許すわけにはいかない。


 さらに、琉球新報は「今も続く分断と収奪」と、次のように続ける。


(1)今年は日本国憲法の施行70年、サンフランシスコ講和条約の発効から65年、沖縄の施政権返還から45年の節目の年である。
(2)沖縄の民意に反する護岸工事着手に直面し、私たちは「分断と収奪」に象徴される米統治に続く、今日の「不公正」の横行に強い憤りを抱かざるを得ない。
(3)施政権を切り離され、人権と財産を奪われ続けた米統治から脱するため、県民は施政権返還を希求した。ところが、米軍基地は存続し、相次ぐ事件・事故による人権侵害が続いている。米国との同盟関係の維持を追求する政府は、県民を公正に扱おうとはしない。
(4)軍用地強制使用や訓練による環境悪化、航空機騒音に対する県民の異議申し立てに政府は正面から向き合おうとせず、むしろ法的に抑え込むか権限を奪い取るという行為を繰り返してきた。
(5)同じような態度を沖縄以外の国民に対してもできるのか。米統治の「分断と収奪」は今も続いていると言わざるを得ない。それが復帰45年を迎える沖縄の現実だ。


 この上で、琉球新報もまた、このようにまとめる。


 「私たちは政府の不誠実な態度にいま一度明確な態度を示さなければならない。翁長知事は自身の公約を具現化するために、直ちに埋め立て承認撤回に踏み切るべきだ。県民は知事の決断を待ち望んでいる。」


 この2017045に日本という国がしでかしたことは、あらためて、沖縄の「同じような態度を沖縄以外の国民に対してもできるのか。米統治の『分断と収奪』は今も続いていると言わざるを得ない。それが復帰45年を迎える沖縄の現実だ。」(琉球新報)という実態を焦点化した。
 その意味で、今回の新基地建設のため大浦湾を埋め立てるのは愚行であり、許されない「暴挙」である。





by asyagi-df-2014 | 2017-04-27 07:39 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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