2017年4月25日、辺野古新基地建設での護岸工事の着手を前にして。-沖縄からの告発-

 2017年4月25日、この日のことを琉球新報は、「辺野古新基地建設問題は埋め立て工事という新たな局面を迎えた。」、と次のように報じた。


(1)米軍普天間飛行場の移設先とされる名護市辺野古の海域で政府は25日午前、新基地建設の埋め立ての第一段階となる護岸工事に着手した。午前9時20分、作業員が砕石をクレーンで海中に投下した。多くの県民が県内移設に反対し、県も事前協議や岩礁破砕許可申請の必要性など国の手続き不備を指摘する中、政府は工事を強行した。1996年の普天間飛行場返還合意から21年、辺野古新基地建設問題は埋め立て工事という新たな局面を迎えた。
(2)翁長雄志知事は『あらゆる手法』で工事を阻止すると表明しており、今後は県による工事差し止め訴訟や埋め立て承認撤回の時期が注目される。
(3)護岸は石材を海中に積み上げ、埋め立て区域の囲壁を作るもの。一部護岸ができ次第、土砂を海中に投入する埋め立ても進める。大量の石材や土砂が海中に投下されるため海の原状回復は困難となる。
(4)辺野古新基地建設問題を巡っては2013年12月、当時の仲井真弘多知事が埋め立てを承認した。14年11月の知事選で辺野古新基地建設阻止を掲げた翁長氏が当選し、15年10月に埋め立て承認を取り消した。国は違法確認訴訟を起こし、最高裁は16年12月、国勝訴の判決を出した


 この予想された事態を想定して、琉球新報と沖縄タイムスは、それぞれがこのことに関しての記事を掲載した。
 まず、沖縄タイムスはその社説で、「[県民意識調査]揺るがない辺野古反対」、と次のように押さえた。
 最初に、沖縄県民の民意について次のように指摘する。


(1)「復帰45年」を前に、沖縄タイムス社、朝日新聞社、琉球朝日放送(QAB)が実施した県民意識調査で、新基地に「反対」する人が61%を占めた。「賛成」は23%にとどまった。辺野古違法確認訴訟で県の敗訴が確定し、辺野古沿岸部で埋め立てに向けた準備作業が進む中で示された県民の意志である。
(2)新基地反対の県民世論は、旧民主党政権時代の2010年ごろから変わっていない。
(3)「復帰40年」を前に沖縄タイムス社と朝日新聞社が実施した調査でも新基地「反対」が66%で、「賛成」は21%だった。
(4)新基地建設反対を公約にした翁長雄志知事が前知事を約10万票の大差で破った知事選で、県民意識の変化は決定的になった。
(5)同様の手法で行った15年6月の調査では新基地「反対」が66%、「賛成」が18%。同年4月には「反対」63%、「賛成」22%だった。
(6)新基地を争点にした主要選挙も流れを一にする。名護市長選、衆院選、参院選と新基地に反対する候補者が完全勝利したからだ。


 この上で、沖縄タイムスは、この民意の意味を次のように分析する。


(1)民意の背景にあるのは、沖縄に米軍基地が過度に集中している現状への差別感、沖縄のことは沖縄が決めるといった自己決定権要求の高まり-などである。
(2)政府は既成事実を積み上げれば、「あきらめ感」が広がると考えているかもしれないが、新基地に反対する声は後戻りすることはない。


 また、安倍晋三内閣と翁長知事の支持率についても、次のように触れる。


(1)意識調査では安倍内閣と翁長知事の支持率も聞いている。安倍内閣に対し県内では「支持しない」が48%で「支持する」の31%を大きく上回った。朝日新聞社の全国世論調査では「支持」が50%で「不支持」が30%。沖縄と全国では逆の結果になった。
(2)安倍政権は辺野古や高江のヘリパッド建設で工事を強行。高江に全国から機動隊を大量動員し、辺野古の陸と海で強権的姿勢をとり続ける。「辺野古が唯一の解決策」と繰り返し、県との「対話」をないがしろにした対応が県民の危機感を高め、それが安倍内閣の支持率低下につながったのだろう。
(3)翁長知事への「支持」は58%、「支持しない」は22%。自民党支持層でも支持と不支持が拮抗(きっこう)した。今年に入ってから宮古島市、浦添市、うるま市の市長選で翁長知事が推す候補者が3連敗するなど、知事の求心力低下を指摘する声もある。しかし、5割を超える支持率は、新基地に反対する翁長知事への期待感がなお根強いことを表している。


 沖縄タイムスは、「名護市辺野古の新基地建設に反対する沖縄の民意は揺るがない。」とし、次のようにまとめる。


 「沖縄防衛局は25日にも護岸工事に着手する。石材などを初めて辺野古沿岸部に投入し、埋め立ての外枠を造る。意識調査では本格的な埋め立て工事を始めようとする安倍政権の姿勢について『妥当でない』が65%に上った。基地負担の軽減について安倍内閣が沖縄の意見を『聞いていない』としたのは計70%に達している。新基地建設が民意に反するのは明らかだ。」


 また、琉球新報はその社説で、「辺野古護岸着工へ 埋め立て承認撤回する時だ」と提起した。
 具体的に、次のように触れた。


(1)3月末に岩礁破砕許可の期限が切れたにもかかわらず、沖縄防衛局は無許可状態で工事を強行してきた。県は護岸工事によって、土砂の投下やしゅんせつなどの行為があれば岩礁破砕行為に当たるとみている。
(2)菅義偉官房長官は「日本は法治国家」と繰り返している。ならば違法行為に当たる護岸工事の着工を中止すべきである。
(3)一方、翁長雄志知事は、大量の石材などが海底に投じられ現状回復が困難になる護岸工事を許さず、埋め立て承認の撤回を決断する時だ。


 また、琉球新報は、次のように状況を分析する。


(1)護岸工事に向け防衛局はこれまで、米軍キャンプ・シュワブの浜辺で、護岸用の石材を運搬する車両やクレーンが通行する「付け替え道路」の敷設を進めてきた。先週末までに汚濁防止膜を海中に広げる作業を終えた。うるま市長選挙も終えたことから、工事に踏み切ることにした。
(2)護岸工事は石材を海中に投下し、積み上げて埋め立て区域を囲む。埋め立て区域北側の「K9」護岸の建設から着手する。一部護岸ができ次第、土砂を海中に投入する埋め立ても進める。
(3)政府は地元漁協が漁業権放棄に同意したことをもって漁業権が消失し、岩礁破砕の更新申請は必要なくなったと主張する。これに対し県は、漁業権は公共財であり知事がその設定を決定するもので、漁業権を一部放棄する変更手続きには、地元漁協の内部決定だけでなく知事の同意が必要だとして、国の岩礁破砕許可の申請義務は消えていないと主張し、双方平行線をたどっている。
(4)仲井真弘多前知事の埋め立て承認書に留意事項が付いている。第1項で「工事の実施設計について事前に県と協議を行うこと」を義務付けている。このため県との協議なしに本体工事を実施できないはずだが、政府は一方的に協議の打ち切りを通告した。


 琉球新報は、このようにその主張をまとめる。


 これが「法治国家」といえるだろうか。留意事項に違反した国に対して、知事は埋立承認権者として承認を撤回できるはずだ。
 知事選で圧倒的多数の信任を得た辺野古新基地阻止の公約を実現するため、承認撤回のタイミングを逃してはならない。


 さて、SACO合意後のこの20年間だけでも、日米両政府による沖縄への植民地主義的手法は、度を超えている。
 それでも沖縄は、沖縄タイムスが押さえるように、その悲惨を超えるかたちで『否』の民意を失わずに来た。
しかし、このところの沖縄からの「県配移設」等の意見・思いは、沖縄の限界を超える沖縄からの告発であると言える。
 したがって、この2017年4月25日の安部晋三政権の「暴挙」をどのように捉えることができるのかが、日本全体として問われている。
沖縄県による「承認撤回」を人ごととして受けとめることは間違いである。





by asyagi-df-2014 | 2017-04-26 07:37 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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