沖縄県知事への「スラップ訴訟」は、地方自治の本旨を歪めるものでしかない。

 沖縄タイムスは2017年3月28日、「菅義偉官房長官は27日の会見で、翁長雄志沖縄県知事が辺野古新基地建設に関する前知事の埋め立て承認の撤回に踏み切れば、翁長知事に対し損害賠償請求を行う可能性を示唆した。工事の継続に加え、心理的な対抗措置も取る構えだ。」、と報じた。
 このことについて、琉球新報は2017年3月29日、「知事に賠償請求検討 国家権力で抑え込むのか」、と社説で批判した。
 沖縄県知事への「スラップ訴訟」とも言える問題について、考える。
琉球新報は、まず、この安倍晋三政権の恫喝的手法について、「自治体の長が認められた権限を行使することに対し、『権限乱用』と言い募って国が知事個人に損害賠償を求める。国と対等であるはずの自治体の長の判断を、損害賠償という脅しで抑圧することが法治国家で許されるだろうか。もはや乱訴の趣である。」、と断じる。
また、沖縄県が行う「撤回」そのものについては、「国が根拠とする違法確認訴訟はあくまで前知事が出した埋め立て承認を取り消した翁長知事の判断を対象としたものだった。今回、翁長知事が表明した『撤回』は、前知事の承認後に生じた瑕疵(かし)を問うものだ。県側は撤回の理由として埋め立て承認時に付した留意事項違反や環境への負荷、県民の民意などを挙げるはずで、前回の違法確認訴訟とは問われる内容が違う。」、と説明する。
 さらに、今回の「菅氏は、知事が撤回して工事が中断する間、国家賠償法などに基づき人件費や機材リース代、警備費用などの損害賠償を求める考え」に対しては、次のように反論する。


(1)そもそも菅氏の発言は、政策に反対する市民運動などを萎縮させる目的で国や企業などが個人を訴えるスラップ訴訟の性格も帯びる。
(2)国家賠償法では公務員個人に対して損害賠償を求める求償権があるが、専門家は県知事に対して求償権があるのは県であり、国ではないと指摘する。政権与党内に慎重論があるにもかかわらず、金田勝年法相は「所要の措置を検討している」と述べ、進める考えを示した。法解釈も都合よく自らに引き寄せ、新基地建設を拒否する民意も無視し、なりふり構わぬ姿勢が見える。
(3)国は過去に、米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯建設に反対する市民を通行妨害で訴え、スラップ訴訟だと批判された。次は県民を代表する知事を相手取りスラップ訴訟をするつもりか。


 琉球新報は、「国家権力で根強い反対の声を抑え込むのは法治国家ではない。」、と結ぶ。


 さて、こうした安倍晋三政権の強硬姿勢に、気づかされることがある。
 実は、琉球新報は、2017年3月26日に、次のように報じていた。


「自民党の沖縄県連(照屋守之会長)は25日までに、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設問題に対する県連の政策について、現状の『辺野古移設を含むあらゆる可能性を追求』するとの内容から『辺野古移設を容認し、(普天間の)早期返還の実現を図る』とする内容へと変更する方針を固めた。4月8日の県連大会で正式に決定する。」


 こうした自民党の意向は、官房長官等の発言ときちんと重なる。
 沖縄自民党は、安倍晋三政権の恫喝政治の前座の位置を喜んで果たすというのか。




by asyagi-df-2014 | 2017-03-30 07:37 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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