最高裁は、令状なしGPS捜査について、「プライバシー侵害」で違法と判断。

 標題について、朝日新聞は2017年3月16日、次のように報じた。


(1)裁判所の令状をとらずに捜査対象者の車にGPS(全地球測位システム)端末を設置して行動確認する「GPS捜査」について、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は15日、プライバシーを侵害しており、令状なしの実施は違法とする初判断を示した。今後のGPS捜査について、『新たな法律をつくることが望ましい』とも述べた。」
(2)判決で大法廷は、憲法35条が定める「令状なく住居や所持品に侵入、捜索を受けることのない権利」について検討。住居だけでなく、「これらに準ずる私的領域に侵入されない権利が含まれる」との新解釈を示した。その上でGPS捜査について「プライバシーが守られるべき場所も含めた移動を継続的、網羅的に把握することが可能」と指摘。憲法35条の権利への「公権力の侵入」にあたり、裁判所の令状が必要な「強制捜査」だと判断した。
(3)さらに、現在の刑事訴訟法の規定にある令状でGPS捜査が可能かについても検討。犯罪と関係のない行動まで把握できるうえ、事前に令状を対象者に示せないことなどから「令状を出すとしたら、裁判官が様々な条件をつける必要がある」と述べ、現在の令状では疑問があり、「立法措置が望ましい」と言及した。
(4)岡部喜代子裁判官ら3人は、補足意見で「法制化までは時間がかかり、それまでGPS捜査がすべて否定されるべきでない」と指摘。ただ、「ごく限られた重大な犯罪捜査」に限った上で、慎重に判断すべきだとした。
(5)GPS捜査が強制捜査か、令状なしにできる「任意捜査」かをめぐっては、各地の裁判で判断が分かれていた。この日、判決が言い渡されたのは車で侵入盗などを繰り返したとして窃盗罪などに問われた岩切勝志被告(45)。GPS捜査で集めた証拠の採用が争われたが、一審、二審ともに懲役5年6カ月の有罪とし、最高裁も維持した。
(6)GPS捜査は、違法な高速走行などで尾行逃れを繰り返す相手への対策として、有効性が高かった。犯罪捜査には一定のプライバシー侵害がつきもので、全く許されないわけではない。新しい技術を使って捜査機関が情報を得ることは、自白重視から客観証拠重視へと変わりつつある刑事裁判の流れにもかなう。それでも最高裁大法廷は、位置情報を網羅的に把握できるGPS技術の特性を重視。法律に根拠がなければ侵害できない「私的領域」を従前より広くとらえる踏み込んだ憲法解釈を示して立法を促し、捜査機関の乱用に警鐘を鳴らした。GPSに限らず、メールや防犯カメラ映像など、技術の進歩で個人が様々なデータを残すことは避けられない。憲法で保障された人権を守りつつ、捜査機関は明文化されたルールのもとで情報を扱うことが求められる。(千葉雄高)





by asyagi-df-2014 | 2017-03-16 22:47 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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