「2・10『高プロ・裁量労働制の規制緩和に反対し、真に実効性ある長時間労働規制を求める院内集会』アピール」を読む。

 2017年2月10日(金)に、「高プロ・裁量労働制の規制緩和に反対し、真に実効性のある長時間労働の規制を求める院内集会」が衆議院第一議員会館で開催されました。
 この集会の様子を、主催者は、「300人収容の会場でしたが、会場に入りきらない350名を超える参加者の方々にお集まりいただきました。かなり遠方からお越しいただいた方もいらっしゃいます。お集まりいただきました皆さま、ご参加いただき発言を下さいました国会議員の皆さま、誠にありがとうございます。深く御礼申し上げます。」、と日本労働弁護団のホームページで報告しています。
 また、この院内集会で、「高プロ・裁量労働制の規制緩和に反対し、真に実効性ある長時間労働規制を求める院内集会」アピールが採択されました。
 このアピールから安倍晋三政権の「働き方改革」について考えます。
まず、このアピールの指摘についてまとめます。


Ⅰ.長時間労働が引き起こしているもの


(1)日本社会に蔓延している長時間労働が引き起こす最大の問題は、数多くの労働者の命と健康を奪っているということである。
(2)2014年6月20日に「過労死等防止対策推進法」が満場一致で可決、成立したが、これは何よりも過労死・過労自死が蔓延する社会を変えたいという、数多くの過労死等の家族と国民の切実な声を受け止めた結果に他ならない。にもかかわらず、「過労死等防止対策推進法」が施行された後も、一向に過労死等の命と健康の被害は無くならない。このことは、本集会に寄せられた当事者の声で改めて確認された。
(3)長時間労働の弊害は、労働者の生命と健康被害にとどまらない。長時間労働は男性を職場に縛り付ける一方で、女性を家庭に縛り付けて真の女性の活躍を阻害し、家事や育児に関わりたいと考える男性の家庭での生活時間を奪ってきた。さらには労働者が地域社会で活動する機会をも奪っている。


Ⅱ.政府の「働き方改革」が本来目指さなければならないもの


 政府が「働き方改革」として長時間労働の是正に取り組む方針を掲げるのも、このような長時間労働による様々な弊害を、ようやく認識したからであろう。本集会に寄せられた当事者の声に真摯に耳を傾ければ、今求められているのは、日本の雇用社会から過労死・過労自死を根絶するとともに、労働者にゆとりのある生活時間を取り戻せるような、厳格且つ実効性のある労働時間規制であることは明らかである。


Ⅲ.安倍晋三政権の「働き方改革」の実像


(1)現在報道されている政府が検討している長時間労働の規制策は、労働基準法を改正し、時間外労働の上限を原則として「月45時間」「年間360時間」と規定するものの、その一方で企業の繁忙期に対応できるよう6か月は例外を設け、「月最大100時間」「2か月平均80時間」の時間外労働を認めるものになっている。
(2)私たちも、長時間労働を是正するために労働基準法を改正し、36協定でも超えることができない時間外労働の上限を定め、違反企業に罰則を科すことは賛成である。
(2)しかし、「月最大100時間」「2か月平均80時間」という例外は、厚生労働省が定めた「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準」に達するものであり、到底認めることはできない。これでは過労死・過労自死の根絶どころか、労働者の命と健康を守ることができず、労働者の十分な生活時間を確保できない。
(3)しかも、現在国会で継続審議となっている「労働基準法改正案」で政府が導入しようとしている「高度プロフェッショナル制度」は、一部の専門職の労働者を労働基準法の労働時間規制から適用除外とするホワイトカラー・エグゼンプションであり、さらに改正案は企画業務型裁量労働制度も大幅に拡大するものとなっている。これらの改正は労働時間規制を大きく緩和するものであり、長時間労働を助長するものに他ならない。政府の労働時間政策は完全に矛盾し、破たんしている。


Ⅳ.主張


(1)わが国の雇用社会に蔓延する長時間労働をなくすために真に実効性のある規制は、労働時間の上限規制はもちろん、勤務間インターバル規制を導入し、使用者に罰則付きで全ての労働者の労働時間記録義務を課する労基法の改正である。
(2)我々は、日本社会で働く全ての労働者の命と健康を守り、生活時間を取り戻すため、政府が国会に提出し継続審議となっている「労基法改正案」を白紙に戻し、真に実効性ある長時間労働規制を強く求める。


 私たちがまず確認しなければならないことは、「日本社会に蔓延している長時間労働が引き起こす最大の問題は、数多くの労働者の命と健康を奪っているということである。」、ということです。
 この上で、現在の長時間労働が引き起こす問題を克服するために、安倍晋三政権の掲げる「働き方改革」が有効なものであるかかどうかという判断を求められます。
 次に、もしも、この「働き方改革」が有効な政策にはならないとするなら、何が必要になるのかを明確にする必要がある、ということになります。


 結局、現在報道されている政府が検討している長時間労働の規制策が、「労働基準法を改正し、時間外労働の上限を原則として『月45時間』『年間360時間』と規定するものの、その一方で企業の繁忙期に対応できるよう6か月は例外を設け、『月最大100時間』『2か月平均80時間』の時間外労働を認める」ものであるなら、この例外が、、「厚生労働省が定めた『脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準』に達するもの」であることから、到底現在の長時間労働の解決策にはとどきません。。
 このアピールが指摘するように、「過労死・過労自死の根絶どころか、労働者の命と健康を守ることができず、労働者の十分な生活時間を確保できない。」政策に過ぎないもであり、今回の安倍晋三政権の掲げる「働き方改革」は長時間労働の規制を謳っているにもかかわらず、逆に、労働者の命と健康をこれまで以上に奪うものでしかありません。
 また、あわせて、安倍晋三政権は、一方では「労働基準法改正案」を継続審議したままであり、「高度プロフェッショナル制度」の導入を強く意図しています。
 このことは、このアピールでも「『労働基準法改正案』で政府が導入しようとしている『高度プロフェッショナル制度』は、一部の専門職の労働者を労働基準法の労働時間規制から適用除外とするホワイトカラー・エグゼンプションであり、さらに改正案は企画業務型裁量労働制度も大幅に拡大するものとなっている。これらの改正は労働時間規制を大きく緩和するものであり、長時間労働を助長するものに他ならない。」、と指摘されています。
 つまり、安倍晋三政権の労働時間政策は「完全に矛盾し、破たんしている。」のです。
 

 であるとしたら、今後の労働政策について、次のことに取り組むことが必要です。


Ⅰ.「わが国の雇用社会に蔓延する長時間労働をなくすために真に実効性のある規制は、労働時間の上限規制はもちろん、勤務間インターバル規制を導入し、使用者に罰則付きで全ての労働者の労働時間記録義務を課する労基法の改正である。」。
Ⅱ.したがって、日本社会で働く全ての労働者の命と健康を守り、労働者が人らしくあるための生活時間を取り戻すために、「政府が国会に提出し継続審議となっている「労基法改正案」を白紙に戻し、真に実効性ある長時間労働規制を強く求める。」、ことに取り組む。





by asyagi-df-2014 | 2017-02-27 08:06 | 書くことから-労働 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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