日本弁護士連合会の「いわゆる共謀罪を創設する法案を国会に上程することに反対する意見書」を読む。

 日本弁護士連合会(以下、日弁連とする)は2017年2月17日、「いわゆる共謀罪を創設する法案を国会に上程することに反対する意見書」を発表した。
 また、「2017年2月17日付けで「いわゆる共謀罪を創設する法案を国会に上程することに反対する意見書」を取りまとめ、同年2月23日付けで法務大臣および外務大臣に提出しました。」、とホームページに掲載した。
 日弁連は、「日本弁護士連合会は、いわゆる共謀罪を創設する法案を国会に上程することに反対する。」、とこの意見書の趣旨を説明している。
 「いわゆる共謀罪を創設する法案を国会に上程することに反対する意見書」の要約は次のものである。


Ⅰ.共謀罪法案の概要
 現行の「組織的な犯罪の 処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」(以下「組織的犯罪処罰法」という。) の第6条の2に「テロ等準備罪」を創設し、織的犯罪集団の活動として、組 織により行われる重大な犯罪の遂行を2名以上で計画した場合で、計画に係る 犯罪の実行のための資金又は物品の取得等の準備行為が行われたときに処罰するとされている。そして、共謀罪法案は、3つの厳しい要件(①犯罪主体を「組織的犯罪集団」 に限定、②「計画」の存在、「準備行為」を処罰条件とする)を規定してお り、人権の侵害や恣意的な取締りにはつながらず、これまでの批判は回避されているとしている。

Ⅱ.共謀罪法案の基本的な問題
 ⅰ.共謀罪法案は、現行刑法の体系を根底から変容させるものとなること
 ⅱ.共謀罪法案においても、犯罪を共同して実行しようとする意志を処罰の対象とする基本的性格は変わらないと見るべきこと
(理由)
   ①「組織的犯罪集団」と規定しても犯罪主体が適切に限定されないこと
   ②「計画」の要件が存在しても犯罪の成立が適切に限定されないこと
   ③「準備行為」の要件は適切に機能しないこと
   ④構成要件の人権保障機能が阻害される恐れがあること
   ⑤まとめ:共謀罪法案において3つの要件が付加されたとしても従前の共謀罪法案と同じく、犯罪を実行しようとする意志を処罰の対象とす
        る姿勢に変化はないものと見るべきである。
 ⅲ.罪名を「テロ等準備罪」と改めても、監視社会を招くおそれがあること
   ①共謀罪法案の構成要件は上述のとおりであるところ、この構成要件から、共謀罪法案がテロ等に対してのみ適用される犯罪類型であること
    は読み取れない
   ②犯罪の成否を明確にし、人権保障を担っている構成要件が機能せず、検挙しようとする捜査機関の恣意的な判断を入れる余地が出てくる
   ③市民団体や労働組合等の活動を警察が日常的に監視し、行き過ぎた行動に対して、共謀罪であるとして立件するおそれもあり、市民の人権に少なからぬ影響を及ぼしかねない
Ⅲ.国連越境組織犯罪防止条約との関係
   境組織犯罪防止条約の締結について反対するものではないが、我が国においては国連越境組織犯罪防止条約との関係でも当然に共謀罪の創設
   を必要とするものではない
(理由)
 ⅰ.「予備」、「陰謀」、「準備」の段階の処罰立法がすでになされていること  
 ⅱ.テロ対策のための立法がなされてきたこと
 ⅲ.条約の一部保留を行う余地があること
 ⅳ.テロ対策等の必要性があれば、個別具体的な立法で対応すべきことであること

Ⅳ.結論
 ⅰ.テロ対策自体についても既に十分国内法上の手当はなされており、テロ対策のために政府・与党が検討・提案していたような広範な共謀罪
   の新設が必要なわけではない。
 ⅱ.また、国内法の整備状況を踏まえると、共 謀罪法案を立法することなく、国連越境組織犯罪防止条約について一部留保し て締結することは
   可能である。
 ⅲ.もし、テロ対策や組織犯罪対策のために新たな立法が必要であるとしても、政府は個別の立法事実を明らかにした上で、個別に、未遂以前
   の行為の処罰をすることが必要なのかという点を踏まえて、それに対する個別立法の可否を検討すべきである、個別の立法事実を一切問わず
   に、法定刑で一律に多数の共謀罪を新設する共謀罪法案を立法すべきでない。
 ⅳ.いわゆる共謀罪を創設する法案を国会に上程することに反対する。



 日弁連の「いわゆる共謀罪を創設する法案を国会に上程することに反対する。」の意見書の論理は、明確である。
この意見書の指摘する「共謀罪法案の基本的な問題」と「結論」によって、いわゆる共謀罪法案の問題点の指摘は正鵠を射ている。
 もしかしたら、反対する側の本気度が問われているのかもしれない。




by asyagi-df-2014 | 2017-02-26 07:52 | 共謀罪 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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