法務省は、ヘイトスピーチの典型を例示した文書を、地方自治体に提供。

 標題の意味について、あらためて考えてみます。
 標題について、毎日新聞は2017年2月6日、次のように報じました。


(1)特定の人種や民族などへの憎悪をあおるヘイトスピーチについて法務省は、公共施設の使用許可の判断基準やヘイトスピーチの典型を例示した文書を、地方自治体に提供している。昨年6月のヘイトスピーチ対策法施行を踏まえた「参考情報」の位置づけで、「ヘイトスピーチ対策プロジェクトチーム」が作成した。法務省人権擁護局は「積極的にヘイトスピーチを解消する取り組みを進めてほしい」と話す。
(2)公共施設の使用許可について、地方自治法は「正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない」と規定している。このため今回の文書は、事前に判明している集会などの内容・実施方法や主催者が過去に行った同種イベントから「諸事情を総合的に勘案して判断する」とした。
(3)不許可とする場合は、表現行為の事前規制となり、表現や集会の自由を保障した憲法との関係が問題になる。このため文書は、不許可とする要件や、自治体側の判断の手続きを公表するよう推奨している。
(4)ヘイトスピーチの典型例としては、「○○人は殺せ」などの脅迫的言動や、ゴキブリに例えるなど著しく侮蔑する言動を挙げた。地域社会からの排除を扇動する言動も該当し、「○○人は強制送還すべきだ」などの言動を例示。その上で、背景や前後の文脈などの諸事情によって「どのような意味が含まれる言動か考慮する必要がある」としている。(5)法務省は昨年末、全国の法務局を通じて自治体への文書提供を開始。3日現在で、23都道府県の68自治体に提供したという。【鈴木一生】


 法務省は、「ヘイトスピーチに焦点を当てた啓発活動」の中で、次のように指摘しています。


 近年,特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動がいわゆるヘイトスピーチであるとして社会的関心を集めています。こうした言動は,人々に不安感や嫌悪感を与えるだけでなく,人としての尊厳を傷つけたり,差別意識を生じさせることになりかねません。
 近時,このヘイトスピーチが,マスメディアやインターネット等で大きく報道されるなど,更に社会的な関心が高まっている上,平成26年7月の国連自由権規約委員会による日本政府報告審査における最終見解【PDF】※及び同年8月の国連人種差別撤廃委員会による同審査における最終見解【PDF】※で,政府に対してヘイトスピーチへの対処が勧告されています。
 また,このような情勢の中,国会において,「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」が成立し,平成28年6月3日(金)に施行されました。
 こうした中,法務省の人権擁護機関では,これまでの「外国人の人権」をテーマにした啓発(「外国人の人権を尊重しましょう」)に加え,下記の手法により,こうしたヘイトスピーチがあってはならないということを,御理解いただきやすい形で表した,より効果的な各種啓発・広報活動等に積極的に取り組んでいます。


 実は、日本という国は、2016年8月の「国連人種差別撤廃委員会による同審査における最終見解」で国連から勧告されていました。
 この勧告についてまとめてみます。


Ⅰ.委員会は,締約国内において,外国人やマイノリティ,とりわけ韓国・朝鮮人に対し,人種差別的デモ・集会を行う右翼運動や団体により,差し迫った暴力の扇動を含むヘイトスピーチが広がっているという報告を懸念する。
Ⅱ.また,委員会は公人や政治家による発言がヘイトスピーチや憎悪の扇動になっているという報告にも懸念する。
Ⅲ.委員会は,ヘイトスピーチの広がりや,デモ・集会やインターネットを含むメディアにおける人種差別的暴力と憎悪の扇動の広がりについても懸念する。
Ⅳ.さらに,委員会は,これらの行動が必ずしも適切に捜査及び起訴されていないことを懸念する(第4条)。
Ⅴ.人種差別的ヘイトスピーチへの対処に関する一般的勧告35(2013年)を想起し,委員会は,人種差別的スピーチを監視し対処する措置は,抗議の表現を奪う口実として使われるべきではないことを想起する。しかしながら,委員会は,締約国に人種差別的ヘイトスピーチやヘイトクライムから保護する必要のある社会的弱者の権利を擁護する重要性を喚起する。それゆえ,委員会は,締約国に以下の適切な措置をとるよう勧告する。


 この上で、「委員会は,締約国に以下の適切な措置をとるよう勧告」を受けていました。 適切な処置とは次のものでした。


(a) 憎悪及び人種差別の表明,デモ・集会における人種差別的暴力及び憎悪の扇動にしっかりと対処すること。
(b) インターネットを含むメディアにおいて,ヘイトスピーチに対処する適切な措置をとること。
(c) そのような行動について責任ある個人や団体を捜査し,必要な場合には,起訴すること。
(d) ヘイトスピーチを広めたり,憎悪を扇動した公人や政治家に対して適切な制裁措置をとることを追求すること。
(e) 人種差別につながる偏見に対処し,また国家間及び人種的あるいは民族的団体間の理解,寛容,友情を促進するため,人種差別的ヘイトスピーチの原因に対処し,教授法,教育,文化及び情報に関する措置を強化すること。


 つまり、ヘイトスピーチへの対応は、日本国にとって緊急に取り組まなければならない国際的課題だったわけです。
こうした中での「法務省は昨年末、全国の法務局を通じて自治体への文書提供を開始。3日現在で、23都道府県の68自治体に提供したという。」、という対応だったわけです。
「法務省人権擁護局は『積極的にヘイトスピーチを解消する取り組みを進めてほしい』と話す。」、との対応は、あたり前の姿なのです。
したがって、法務省は、次のような典型的はヘイトスピーチ「例」を示しました。


※法務省作成-典型的なヘイトスピーチ
▽脅迫的言動
「○まる人は殺せ」
「○○人を海に投げ入れろ」
▽著しく侮蔑する言動
 特定の国・地域の出身者について「ゴキブリ」などの昆虫、動物、物に例える。 このほか、隠語や略語が用いられたり、一部を伏せ字にしたりするケースもある。
▽地域社会から排除することを扇動する言動
「○○人はこの町から出て行け」
「○○人は祖国へ帰れ!」
「○○人は強制送還すべきだ」


 これからは、これがヘイトスピーチ解消に向けた一つの規範となるわけです。
 私たちはあらためて、2016年8月の「国連人種差別撤廃委員会による同審査における最終見解」という勧告をじっくり咀嚼する必要があります。





by asyagi-df-2014 | 2017-02-25 07:05 | 書くことから-ヘイトクライム | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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