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2017年2月8日、沖縄の状況を考える。

 2017年2月7日、名護市辺野古沖にコンクリートブロックが沈められた。
この問題を、沖縄タイムス、琉球新報、徳島新聞から考える。
 沖縄タイムスは2017年2月8日、このことについて次のように評した。


Ⅰ.政府は名護市辺野古沖にコンクリートブロックを沈め、新基地建設の進展を宣伝した。三つのメッセージがある。県民に「諦めてください」。本土に「忘れてください」。米国に「任せてください」。
Ⅱ.思えば遠くに来た。新基地反対の知事と名護市長がそろった2014年、工事がここまで進むと考えた県民は少なかっただろう。選挙でも運動でも十分に努力して、民意を示してきた。小泉政権が一つ前の基地建設案を断念した05年当時をはるかに上回るレベルに達している。


 また、2017年2月8日、琉球新報は「菅長官会見 論理破綻した『負担軽減』」、徳島新聞は「辺野古海上工事 対立は解消できないのか 」、とその社説で批判した。
 まず、琉球新報は「菅義偉官房長官は会見で、辺野古移設が「沖縄の基地負担軽減」になるとの持論を展開した。しかし誤った情報、政府側に都合よく解釈した言説が目立ち、看過できない。」、と政府の沖縄認識そのものを問題視する。
 琉球新報の指摘する問題点は次のものである。


Ⅰ.会見で菅氏は「よく地元は反対だと言われているが、辺野古地区の3区長は条件付き容認と明確に言っている」と述べた。だが、辺野古新基地建設現場に最も近い久辺3区のうち、久志区は移設反対を堅持している。
Ⅱ.そもそも行政上の最小単位となる基礎自治体は区ではなく、市町村と特別区だ。地方自治法は基礎自治体のあり方として「地域行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担う」と規定する。地域行政に責任を負う名護市の市長は辺野古新基地建設に明確に反対している。しかし菅氏の言う「地元」から名護市は抜け落ちる。
Ⅲ.安倍政権の成果として2014年に普天間飛行場のKC130空中給油機全15機を岩国基地に移駐したと強調する。しかし、KC130は今も沖縄で空中給油訓練を繰り返す。昨年12月に名護市安部で起きた垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの墜落事故につながった空中給油訓練は沖縄で行われ、事故後も岩国基地のKC130が飛来して訓練しており、危険性は消えていない。
Ⅳ.辺野古新基地ができれば「いずれの飛行経路も海上となり」、「住宅防音が、実はゼロになる」と菅氏は言うが、辺野古新基地のV字滑走路の先には住宅やリゾートホテルがある。加えて本島内では住宅地上空を問わず、夜間を問わず米軍機の訓練が行われており、騒音も危険性も存在する。
Ⅴ.「辺野古移設は17年前に県知事、市長が同意して、翁長雄志知事も当時、県内移設を堂々と演説した」とも解説した。しかし、その移設計画は稲嶺恵一知事(当時)の公約を基に1999年に閣議決定された「軍民共用、15年の使用期限」案だった。同案は2006年に小泉政権下で正式に廃止され、滑走路がV字に2本と、軍港を備える機能強化された計画に変貌した。


 このように、琉球新報は、安倍晋三政権の沖縄政策の欺瞞性を告発する。
 続いて、 徳島新聞は、「沖縄の民意を置き去りにしたままでは、国民の理解は得られまい。政府の対応に強い疑念を抱く。」、とその立ち位置を明確にする。
そして、徳島新聞は、次のように主張する。


Ⅰ.昨年末にいったん終結した法廷闘争に再び発展する可能性もはらむ。泥沼化を望む人がどこにいるだろうか。
Ⅱ.昨年末にいったん終結した法廷闘争に再び発展する可能性もはらむ。泥沼化を望む人がどこにいるだろうか。
Ⅲ.昨年末には、普天間所属の新型輸送機オスプレイが不時着事故を起こしたのに、米軍が飛行を再開した。県民の怒りが高まったばかりだ。
Ⅳ.沖縄では、衆参両院の選挙で辺野古移設に反対した候補が全勝するなど、民意は明らかである。
Ⅴ.大事なのは、過重な基地負担に苦しんでいる沖縄の思いに寄り添う姿勢だ。政府に求められるのは、このまま埋め立てへ突き進むことではないはずである。政府はトランプ政権と共に、事態を変える努力を続けなければならない。


 このブロック投下で明らかになった安倍晋三政権の手法そのものについて、沖縄タイムスは「あらためて、安倍政権は常軌を逸している。法解釈を曲げ、警察や海保を使って、偏執的なまでに米国の意向に沿った工事を進めてきた。」、琉球新報は「菅氏の言う『沖縄の負担軽減』は逆に沖縄の基地機能強化につながっており、論理破綻しているのだ。」、徳島新聞は「しかし、これでは沖縄との分断が深まるだけである。」、と批判する。
 沖縄タイムスは、「今また、歴史の岐路に立っている。」、と「沖縄の今」を位置づける。
 また、「沖縄側は強く対抗せざるを得ない。『危ない基地はいらない』という最低限の主張である。命を守る正当防衛と言ってもいい。」、と「沖縄の今」を分析する。


 さて、私たちが立つべき地平は、やはり、「沖縄とともに強く対抗していく。なぜなら、この行為は『危険な基地はいらない』という基本的な命を守るあたりまえの主張であるから。もちろん、これは正当防衛と言ってもいいものである。」、にある。


 以下、琉球新報、徳島新聞、沖縄タイムスの引用。








(1)琉球新報社説-菅長官会見 論理破綻した「負担軽減」-2017年2月8日 06:02


 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、海上の本体工事が始まっ
た6日、菅義偉官房長官は会見で、辺野古移設が「沖縄の基地負担軽減」になるとの持論を展開した。

 しかし誤った情報、政府側に都合よく解釈した言説が目立ち、看過できない。
 会見で菅氏は「よく地元は反対だと言われているが、辺野古地区の3区長は条件付き容認と明確に言っている」と述べた。だが、辺野古新基地建設現場に最も近い久辺3区のうち、久志区は移設反対を堅持している。
 そもそも行政上の最小単位となる基礎自治体は区ではなく、市町村と特別区だ。地方自治法は基礎自治体のあり方として「地域行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担う」と規定する。
 地域行政に責任を負う名護市の市長は辺野古新基地建設に明確に反対している。しかし菅氏の言う「地元」から名護市は抜け落ちる。
 安倍政権の成果として2014年に普天間飛行場のKC130空中給油機全15機を岩国基地に移駐したと強調する。しかし、KC130は今も沖縄で空中給油訓練を繰り返す。昨年12月に名護市安部で起きた垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの墜落事故につながった空中給油訓練は沖縄で行われ、事故後も岩国基地のKC130が飛来して訓練しており、危険性は消えていない。
 辺野古新基地ができれば「いずれの飛行経路も海上となり」、「住宅防音が、実はゼロになる」と菅氏は言うが、辺野古新基地のV字滑走路の先には住宅やリゾートホテルがある。加えて本島内では住宅地上空を問わず、夜間を問わず米軍機の訓練が行われており、騒音も危険性も存在する。
 「辺野古移設は17年前に県知事、市長が同意して、翁長雄志知事も当時、県内移設を堂々と演説した」とも解説した。しかし、その移設計画は稲嶺恵一知事(当時)の公約を基に1999年に閣議決定された「軍民共用、15年の使用期限」案だった。同案は2006年に小泉政権下で正式に廃止され、滑走路がV字に2本と、軍港を備える機能強化された計画に変貌した。
 菅氏の言う「沖縄の負担軽減」は逆に沖縄の基地機能強化につながっており、論理破綻(はたん)しているのだ。


(2)徳島新聞社説- 辺野古海上工事 対立は解消できないのか-2017年2月8日


 沖縄の民意を置き去りにしたままでは、国民の理解は得られまい。政府の対応に強い疑念を抱く。

 米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設先とする名護市辺野古の沿岸部で、政府が海上工事を本格化させた。

 きのうは埋め立てに向けて、大型コンクリート製ブロックを海底に設置する作業を始めた。汚れの拡散を防ぐ膜を海中に張る際の重りにするものだ。

 政府は、5月にも埋め立て前の最終工程となる護岸造成を始めたい考えだ。

 1996年に日米両政府が返還合意した普天間移設問題は新たな段階に入ったといえよう。

 政府のやり方に対し、沖縄県は反発を強めている。両者の対立は激化しており、基地問題の解決はさらに遠のいたのは間違いない。

 今回の海上工事は、3日に来日したマティス米国防長官との間で辺野古移設の推進を確認したことが、追い風になったのだろう。

 10日に日米首脳会談を控えて、移設計画の着実な進展をアピールしたいとの思惑も透けて見える。

 しかし、これでは沖縄との分断が深まるだけである。翁長雄志(おながたけし)知事は「あらゆる知事の権限」を使って阻止する構えを崩していない。

 昨年末にいったん終結した法廷闘争に再び発展する可能性もはらむ。泥沼化を望む人がどこにいるだろうか。

 県側の担当者は、ブロック設置に関して、重量や個数、位置が当初計画から変更されていると指摘した。防衛省沖縄防衛局に対し、文書で「協議せずに変更することはあり得ず、決して容認できない」と対応を批判した。その上で設置作業に入らないよう要求し、13日までに文書で回答するよう求めている。

 県側は、防衛局の説明の内容次第では法的措置も検討するとしている。護岸や埋め立ての工事に絡む岩礁破砕許可のほか、県外土砂や石材の搬入規制条例に基づく措置、前知事が出した埋め立て承認の撤回など、対抗手段の検討を進めるという。

 3月末で期限となる岩礁破砕許可の更新を認めないとする翁長知事に対し、政府は、許可要件の漁業権を地元漁協が放棄したことを理由に再申請せず、工事を進める構えである。

 昨年末には、普天間所属の新型輸送機オスプレイが不時着事故を起こしたのに、米軍が飛行を再開した。県民の怒りが高まったばかりだ。

 沖縄では、衆参両院の選挙で辺野古移設に反対した候補が全勝するなど、民意は明らかである。

 大事なのは、過重な基地負担に苦しんでいる沖縄の思いに寄り添う姿勢だ。政府に求められるのは、このまま埋め立てへ突き進むことではないはずである。

 政府はトランプ政権と共に、事態を変える努力を続けなければならない。


(3)沖縄タイムス-沖縄に「諦めて」 本土に「忘れて」 米国には「任せて」… 政府が発したメッセージとどう向き合うのか-2017年2月8日 12:47


 政府は名護市辺野古沖にコンクリートブロックを沈め、新基地建設の進展を宣伝した。三つのメッセージがある。県民に「諦めてください」。本土に「忘れてください」。米国に「任せてください」。

 思えば遠くに来た。新基地反対の知事と名護市長がそろった2014年、工事がここまで進むと考えた県民は少なかっただろう。

 選挙でも運動でも十分に努力して、民意を示してきた。小泉政権が一つ前の基地建設案を断念した05年当時をはるかに上回るレベルに達している。

 あらためて、安倍政権は常軌を逸している。法解釈を曲げ、警察や海保を使って、偏執的なまでに米国の意向に沿った工事を進めてきた。

 沖縄側は強く対抗せざるを得ない。「危ない基地はいらない」という最低限の主張である。命を守る正当防衛と言ってもいい。

 行政の権限を使い尽くしても終わりではない。翁長雄志知事の妻、樹子さんはキャンプ・シュワブゲート前で「万策尽きたら夫婦で座り込むと約束している」と語ったことがある。

 戦後史を振り返れば、恩納村では村長が先頭に立って都市型戦闘訓練施設を建設させなかった。うるま市昆布の住民は復帰前、絶対権力者の米軍と直接対峙(たいじ)して土地接収を阻止した。

 政府の期待通りに諦めるか。やりきれないながらも、本土や米国に届くまで声を上げ続けるか。今また、歴史の岐路に立っている。(北部報道部・阿部岳)


by asyagi-df-2014 | 2017-02-12 06:59 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人