日本の大学などの学術界に、2008年から16年までの9年間で、米軍からの研究助成金が提供される。

 朝日新聞は2017年2月9日、標題について次のように報じた。



(1)日本の大学などの学術界に、2008年から16年までの9年間で少なくとも135件、総額8億8千万円に上る米軍からの研究助成が提供されていることがわかった。助成金は大学本体以外に、関連のNPO、ベンチャー、学会などに流入していた。日本の学術界は戦後、軍事組織からの助成に一線を引いてきたが、米軍からの研究助成が根付きつつある実態が浮かび上がった。
(2)助成金は、米国の陸空海軍がそれぞれ提供する形で、20年ほど前から始まった。対象は基礎研究に限られる。日本政府は関与せず、米軍から直接、資金が提供される。使い道の自由度が高く使いやすい一方、結果的に軍事に活用される可能性がある。
(3)日本の研究者への助成金を記載した米政府の支出データベースを朝日新聞が分析したところ、08年から9年間の助成総額は大学本体が104件約6億8400万円、大学と関連の深いNPO法人が13件1億1200万円。ほかに国の研究機関(7600万円)、学会(1千万円)、大学発ベンチャー(560万円)が続いた。
(4)NPOは、競技会や展示会などを通じた科学振興を目的とした団体などが主。ある大学教授は、代表を務めるNPO法人で助成を受けた理由について「大学に届けると問題になるおそれがあった」と話した。
(5)研究テーマをみると、人工知能やサイバー防衛などのIT分野が目立つ。レーザー技術、高温超伝導などの新素材開発などもある。
(6)東京・六本木を拠点に助成活動を行っている空軍のアジア宇宙航空研究開発事務所(AOARD)によると、助成額は1件あたり年に200万~400万円が標準で、期間は1~3年。助成は米同時多発テロ事件が起きた01年を境に増加している。国内では日本学術会議が過去に2回、軍事研究を行わないとする声明を出した。防衛省が15年度に大学などを対象にした研究費制度を始めたのをきっかけに同会議が対応を議論しているが、軍事組織の資金受け入れに慎重な意見が多い。

 なお、米軍から研究費の助成を受けている主な大学名等について、次のように報告している。


 ◆大阪大/19/3億200万円/レーザーや船体に関する研究
 ◆東京工業大/9/5880万円/人工知能(機械学習)の研究
 ◆物質・材料研究機構/7/7110万円/材料開発に関する研究
 ◆東北大/7/4570万円/素材の解析や評価
 ◆奈良先端科学技術大学院大学/7/3580万円/センサーの開発など
 ◆北陸先端科学技術大学院大学/6/3190万円/ビッグデータ解析
 ◆金沢工業大/6/2180万円/船舶に関する研究
 ◆京都大/4/2070万円/アンテナ用素材の研究
 ※2008~16米会計年度。総額は1ドル=112円で換算、米政府の支出データベースから作成


 米軍再編の流れのなかに、すでに日本の学術界が組み込まれてしまっている。
 もともと、こうした助成金は、「使い道の自由度が高く使いやすい一方、結果的に軍事に活用される可能性がある。」(朝日新聞)ことは当然のことである。
 まさしく、日本は「岐路」に立たされている。




by asyagi-df-2014 | 2017-02-09 12:01 | 米軍再編 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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