山城博治沖縄平和運動センター議長の長期拘束が3カ月。明らかに人権蹂躙だ。

 山城博治沖縄編和運動センター議長の長期勾留について、沖縄タイムスは2017年1月18日に「[山城議長勾留3カ月]権限濫用の人権蹂躙だ」、琉球新報は2017年1月19日に「山城氏拘束3カ月 国際批判招く人権侵害だ」、とその社説でそれぞれが批判した。
まずは、二紙の主張をまとめる。


Ⅰ.主張
(沖縄タイムス)
 山城議長は大病を患っており、長期の勾留による健康への影響が心配だ。家族との接見すら認められておらず、人権蹂躙(じゅうりん)としか言いようがない。ただちに釈放すべきだ。
(琉球新報)
(1)那覇地方裁判所、那覇地検は国内外からの「人権侵害」の批判を深刻に受け止めるべきだ。
(2)基地反対運動の中心人物を長期拘束することで「反対運動を萎縮させる」政治弾圧の意図を疑っている。


Ⅱ.事実
(沖縄タイムス)
(1)東村高江のヘリパッド建設や名護市辺野古の新基地建設に対する抗議行動で、公務執行妨害などの容疑で逮捕された沖縄平和運動センターの山城博治議長の勾留が3カ月に及ぶ。
(2)逮捕容疑は3件ある。まず、昨年10月17日、米軍北部訓練場の侵入防止のために沖縄防衛局が設置していた有刺鉄線をペンチで2カ所切断したとして、器物損壊の疑いで準現行犯逮捕された。同月20日には、公務執行妨害と傷害の容疑で逮捕された。8月25日に北部訓練場の工事用道路で、侵入防止フェンスを設置していた防衛局の職員の肩をつかみ激しく揺さぶる行為などで、頸椎(けいつい)捻挫と右腕打撲のけがを負わせた疑いだ。これらで起訴された後の11月29日、今度は辺野古の新基地建設を巡る抗議行動に関連して威力業務妨害の疑いで逮捕された。1月28日から30日の間、キャンプ・シュワブ工事用ゲート前でコンクリートブロック約1400個を積み上げるなど、防衛局の工事業務を妨害した疑い。12月20日に追起訴された。
(琉球新報)
 米軍北部訓練場のヘリパッドや辺野古新基地建設の反対運動の先頭に立つ山城博治沖縄平和運動センター議長の長期拘束に対する抗議と釈放要求が相次いでいる。釈放を要求する国内外4万人の署名が地裁に提出された。英字紙ジャパンタイムズに寄稿があり、「人権後進国」が発信される事態となった。


Ⅲ.問題点
(沖縄タイムス)
(1)容疑の内容を見る限り、3カ月もの勾留には強い違和感を覚える。反対派リーダーを何が何でも長期間拘束し、政府に盾突く抗議行動を萎縮させようという思惑が透けて見えるのだ。
(2)10カ月前の行動まで持ち出して逮捕を繰り返し、起訴後も証拠隠滅の恐れがあるなどとして釈放が認められていない。機動隊員が抗議する市民を力ずくで強制排除し、市民側からけが人が出ても、おとがめなしなのとは対照的だ。
(3)辺野古を巡り政府と県の対立が続く中、沖縄の民意を力でねじ伏せようとする動きに危機感が高まっているのだ。
(4)警察法は、警察の責務の遂行に当たり「不偏不党かつ公平中正」を旨とし、「権限を濫用(らんよう)することがあってはならない」と定めている。警察は自らこれに背いているとしか見えず、まさに「警察国家」へと突き進もうとしている。政治的弾圧に司法までもが追随し、極めて危険だ。
(5)山城議長は大病を患っており、長期の勾留による健康への影響が心配だ。家族との接見すら認められておらず、人権蹂躙(じゅうりん)としか言いようがない。ただちに釈放すべきだ。
(琉球新報)
(1)山城議長は逮捕後の身体拘束が3カ月に達した。がんを患い病状悪化が懸念されるが、家族の面会すら認められず、靴下の差し入れも拒まれた。政府は「靴下の差し入れが認められない事例はない」と不当な対応を認めている。家族によると「昨年12月の血液検査で白血球値が下がり感染症の恐れがあり、腕立て伏せで体を鍛え納豆を口にしている」という。山城議長の公判は3月以降とされる。これ以上、勾留が長期化すると、さらに体調の悪化が危惧される。那覇地検、地裁は必要な医療や健康維持に留意した上で、早急な釈放を判断すべきだ。
(2)ジャパンタイムズに寄稿した米国の弁護士で明治大特任教授のローレンス・レペタ氏は、山城議長の長期拘束を「国際人権法」および、日本も批准する「国際人権規約」に反すると指摘している。
(3)山城議長はヘリパッド建設現場で有刺鉄線1本を切った器物損壊容疑で逮捕され、別件の逮捕、起訴を含め拘留が長期化している。レペタ氏は刑法学者らの指摘を踏まえ「このような微罪が仮に有罪となっても刑務所収監には至らない」と疑問視する。3カ月に及ぶ身体拘束は、判決を上回る刑罰に等しいと見ているのである。
(4)国内の刑法学者らは個別事件では異例の「釈放要求」声明を出した。共通するのは「必要性のない拘束」であり「政治的表現を制限するもの」との批判である。いずれも基地反対運動の中心人物を長期拘束することで「反対運動を萎縮させる」政治弾圧の意図を疑っている。レペタ氏は山城議長の長期拘束を国際人権規約に反する「恣意(しい)的な逮捕、拘束」と見なし、「独裁的な国家が反対派を黙らせる常とう手段」になぞらえている。


Ⅳ.広がる批判
(沖縄タイムス)
(1)異様な事態に、国内外から批判が上がっている。
(2)17日には、市民団体が早期釈放を求める3万9826人分の署名を集め、那覇地裁へ提出した。地裁前での集会では、約200人(主催者発表)が「一日も早く釈放せよ」と訴えた。
(3)県内外の刑事法の研究者41人は緊急声明を発表した。抗議行動に絡んだ起訴事実は政治的表現行為だとし、捜査が終わり証拠隠滅の恐れがないことから「速やかに解放すべきだ」と長期勾留を批判した。
(4)日本国際法律家協会や環境NGOのネットワークも声明で釈放を求めた。海外識者10人は、連名による声明で「基地を沖縄に強要し続ける国家に逆らい、諦めない姿勢そのものが最大の罪とされている」と断じた。
(琉球新報)
 山城議長の人権侵害の批判は、警察、検察、司法を従わせ、民意を力でねじ伏せる政府の横暴に向けられていると知るべきだ。


 山城博治さんの拘束は、2016年10月17日以来、何と3カ月を過ぎるものとなった。
 このことについて、「那覇地方裁判所、那覇地検は国内外からの『人権侵害』の批判を深刻に受け止めるべきだ。」(琉球新報)。
 また、このことは、「基地反対運動の中心人物を長期拘束することで『反対運動を萎縮させる』政治弾圧の意図」、を充分に疑わせるものである。
 さらに、「山城議長は大病を患っており、長期の勾留による健康への影響が心配だ。家族との接見すら認められていない」(沖縄タイムス)、という状況がある。
 こうした状況は、人権蹂躙としか言いようがない。ただちに釈放すべきだ。




by asyagi-df-2014 | 2017-01-20 08:27 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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