オスプレイ空中給油再開の暴挙は許されない。(2)-地方紙4紙から-

 米軍は2017年1月6日、安倍晋三政権の後押しの基に、オスプレイ空中給油再開を平然と行った。
 2017年1月6日及び7日付けの社説や論説でこの問題に触れた新聞社は、地方紙だけであった。
 沖縄県の2紙以外では、中国新聞は「オスプレイ空中給油、再開容認、納得できない」、茨城新聞は「空中給油訓練 再開容認は撤回すべきだ」、河北新報「オスプレイ運用再開/最優先すべきは住民の安全」、新潟日報は「空中給油再開 事故原因究明が先である」、とこの問題への米軍と政府の対応を批判的に論評した。
各紙の社説・論評から、「オスプレイ空中給油再開」を考える。
今回は、沖縄以外のこの四紙から見てみる。
各四紙の主張等は、次のとおりである。


Ⅰ.主張
(中国新聞)
(1)事故原因も調査中で特定されていない段階だ。十分に安全性が確保されたとは言い難い。反対する沖縄県民の声も無視した訓練の再開である。到底理解できない。
(2)政府が「安全に給油を実施する準備が整った」と強調しても、沖縄住民の納得は得られまい。最終的な原因理解を待たずに、訓練を強行する米軍と、いうがままに受け入れる日本政府の姿勢に疑問がある。そもそも日本側は、事故機の主要部分は米軍が回収したため、実際には見ていない。日米地位協定にも阻まれ、事故原因の究明に関与できていない。米側の説明だけを根拠にして、どうやって国民の安全に責任を負うのだろう。再開の判断を見直すべきである。
(3)普天間を拠点にする海兵隊のオスプレイは岩国基地(岩国市)に煩雑に飛来し、千葉県の陸上自衛隊木更津駐屯地で定期整備も始まる。その陸自も17機を導入し、東京都の米軍横田基地には空軍が配備する計画だ。低空飛行訓練ルートは九州から四国、東北地方まで広範囲に設定されているとされる。安全性に疑問の残るオスプレイが、日本各地の空を飛び回るようになる現実を直視しなければならない。沖縄だけの問題で済ませてはならない。


(河北新報)
(1)まだ不時着事故の原因究明が終わっていないというのに、である。在日米軍はきのう、普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属の新型輸送機オスプレイによる空中給油訓練を再開させた。事故再発への不安はもちろん、訓練どころか配備自体に強く反対してきた沖縄県民の声を無視する日米両政府への怒りは爆発寸前だろう。翁長雄志知事は「米軍の要求を最優先する姿勢は信頼関係を損ねる」と憤りをあらわにした。当然である。なぜ今、そんなに急がなければならないのか、理解に苦しむ。
(2)残念ながら、日米地位協定が立ちはだかって、日本側は事故捜査や調査に関与できない。だからといって、米軍の主張をうのみにするだけでは無責任のそしりは免れない。事故防止のためにも協定の見直しに踏み込むべきだ。
(3)選挙期間中、日本に対して米軍駐留経費の負担増を唱えたトランプ次期米大統領の登場と無縁ではあるまい。給油訓練再開をのんだ背景には新政権を刺激するのは得策ではない、との官邸の思惑も働いただろうが、日本の態度はあまりにも腰が引けている。
(4)「沖縄に戦後71年も基地を押しつけて、まだ犠牲を強いるのか」-。このままでは県民の反基地感情が、手を付けられないほど燃え上がりかねない。オスプレイは本土も飛行している。最優先すべきは、住民の安全確保である。


(茨城新聞)
(1)事故原因の調査が終わってもいないのに、なぜ日本政府は訓練再開を認めたのか。到底受け入れられない決定である。米軍は昨年12月13日に、空中給油の訓練中に沖縄県名護市の沿岸に不時着、大破する重大事故を起こした新型輸送機オスプレイによる給油訓練を再開すると日本側に伝達、政府は容認した。事故からまだ1カ月もたっていない上、米側は「事故調査は継続中」としている。安倍晋三首相は先のハワイ・ホノルルでのオバマ米大統領との首脳会談で「安全確保と情報提供」を求めたはずだ。今回の対策説明で、何を根拠に政府が「安全に空中給油を再開する準備は整った」と判断したのか。大いに疑問だ。
(2)安倍首相は、国民の生命と財産を守るのが国家の役割だとしばしば強調する。だが見切り発車のような訓練再開の容認は国民の生命を軽視するものではないか。少なくとも事故原因の最終調査結果が出るまで再開容認を撤回すべきだ。
事故は沖縄本島沖の空域で、夜間の給油訓練中に発生した。だが米軍は事故からわずか6日後に飛行を全面再開し、日本政府はこれを容認した。そして今回の空中給油訓練の再開である。
(3)沖縄では米軍普天間飛行場の移設が計画される名護市辺野古沿岸部の埋め立てを巡り、承認を取り消した県側の敗訴が最高裁で確定した直後に政府は工事を再開した。沖縄県の意向を無視する対話なき強行策は対立を深めるばかりだ。


(新潟日報)
(1)沖縄の不安は全く解消されていない。県民感情を踏みにじる行為と言わざるを得ない。
(2)米軍はプロペラがホースに接触した原因について「搭乗員の資質や乱気流、降雨などが影響した可能性を調べている」と説明するにとどまっている。米軍は機体に問題はないとして、事故の6日後に飛行を再開した。給油訓練については、パイロットの教育や、地上でのシミュレーションなどを完了し、再開準備が整ったとした。だが、事故の原因を完全に究明しなければ、再開の準備などできるはずがない。
(3)夜間の給油訓練は、機体同士の間合いの取り方などで、特に高い技能が必要だ。短期間で向上させることができたのか。米軍は今後も給油訓練は陸地の上空では実施しないとしている。だが、先月の訓練も洋上で行われたのに、人家への墜落という最悪の事態を招きかねなかった。洋上ならば安全とは言えないのだ。米軍がやらなければならないのは事故調査だ。そして再発防止策を講じ、県民に説明し、理解を得るのが筋である。それまで給油訓練をしないように求めたい。
(4)日本政府の容認判断は、看過することができない。菅義偉官房長官は「事故防止に有効と認められる対策を幅広く取っていると認められた」と、理由を述べた。しかし、在日米軍の法的な地位を定めた日米地位協定が壁となり、政府は主体的な事故調査をほとんどしていない。菅氏は給油訓練の実施状況について、米軍に照会する考えはないとした。これでは県民に対して、あまりにも無責任ではないか。
(5)対立をこれ以上深めないために、政府は沖縄県としっかりと向き合うべきである。


Ⅱ.問題点
(中国新聞)
(1)オスプレイノプロペラは大きい。水平にした固定翼モ-ドから垂直離着陸モ-ドにプロペラの向きを転換する際に、機体が不安定となるほど、空中給油時の危険性は一部の専門家から指摘されていた。米軍が主張するように、機体や装備に問題がなかったとしても、なぜホ-スとプロペラが接触するトラブルが起きたのか、という根本的な原因は明らかになっていない。操縦の難しさに加え、構造上の問題点も無視できないはずだ。
(2)米軍は「人的要因と乱気流などの環境要因、夜間の空中給油の複雑さが重なった可能性がある」と説明している。浦返せば、搭乗員のスキルや気象条件によっては、これからも事故は起きる可能性があるということではないか。
(3)稲田朋美防衛省は、米側の再発防衛策について「防衛省の専門的知見や経験と照らしても妥当だ」と評した。しかし、搭乗員の県連や陸上でのシュミュレ-ションなどを1カ月足らず繰り返しただけで、どれだけ安全性が担保できたのか疑問が残る。


(河北新報)
(1)「事故防止に有効と認められる対策を幅広く取っていると認められた」(菅義偉官房長官)というのが、政府が容認した理由だ。米軍による空中給油訓練に関する幅広い教育措置やシミュレーターを使った訓練が、それだという。しかし、肝心の事故原因は依然解明されていない。空中給油の際にオスプレイのプロペラが給油ホースに接触したことまでは分かっているが、根本的な原因は特定されず、米軍が現在精査中だ。搭乗員の資質や乱気流、降雨が影響している可能性を調べているという。しかし、強大なプロペラを持つが故に操縦が難しく、度々事故を起こすオスプレイに構造的な問題はないのだろうか。
(2)米軍は高圧的に映る。在沖縄米軍トップは今回の事故について、海への不時着によって惨事を避けられたことを捉えて、「操縦士は感謝されるべきだ」と言い放った。どれだけ沖縄県民の感情を逆なでしたことか。自国の軍事上のメリットには目をつぶり、「日本を守ってやっているのに、文句を言われる筋合いではない」と言わんばかりである。


(茨城新聞)
(1)問題点を三つ挙げたい。一つ目は、事故に対して日本独自の調査が行われなかったという点だ。海上保安庁は航空危険行為処罰法違反の容疑で捜査するため協力を申し入れたが、米軍は応じなかった。機体の主要部分は米軍が回収してしまった。米軍関連の事件事故では日米地位協定の下、同様の事態が繰り返される。周辺住民の不信や不安、基地への反発を一層募らせることになろう。
(2)二つ目は、米側の原因説明が納得できるものではないという点だ。事故は空中給油中にオスプレイのプロペラと給油ホースが接触して発生した。米側はオスプレイの機体に構造的、機械的な問題はなかったと説明。搭乗員間の意思疎通などの人的要因と、乱気流などの環境要因に、「夜間の空中給油の複雑さが重なり」事故が起きた可能性があるとしている。しかしこの説明では、人的、環境的な要因が重なれば今後も事故が起きる可能性があるということではないか。日本政府がなぜこの説明を受け入れたのか疑問だ。
(3)三つ目は、日米同盟を理由に米軍を優先する姿勢だ。米側は「搭乗員は空中給油の技能と練度を維持する必要がある」と説明したが、これは軍の都合にすぎない。
防衛省は「飛行の安全確保が大前提だが、空中給油の重要性を理解する」と訓練再開容認の理由を説明した。パイロットの教育や地上でのシミュレーションなど1カ月にも満たない対応策で十分だと認めたのは納得できない。


 確かに、地方紙四紙が主張する次の四点が重要になる。


Ⅰ.そもそも日本側は、事故機の主要部分は米軍が回収したため、実際には見ていない。日米地位協定にも阻まれ、事故原因の究明に関与できていない。米側の説明だけを根拠にして、どうやって国民の安全に責任を負うのだろう。再開の判断を見直すべきである。(中国新聞)
Ⅱ.普天間を拠点にする海兵隊のオスプレイは岩国基地(岩国市)に煩雑に飛来し、千葉県の陸上自衛隊木更津駐屯地で定期整備も始まる。その陸自も17機を導入し、東京都の米軍横田基地には空軍が配備する計画だ。低空飛行訓練ルートは九州から四国、東北地方まで広範囲に設定されているとされる。安全性に疑問の残るオスプレイが、日本各地の空を飛び回るようになる現実を直視しなければならない。沖縄だけの問題で済ませてはならない。(中国新聞)
Ⅲ.残念ながら、日米地位協定が立ちはだかって、日本側は事故捜査や調査に関与できない。だからといって、米軍の主張をうのみにするだけでは無責任のそしりは免れない。事故防止のためにも協定の見直しに踏み込むべきだ。(河北新報)
Ⅳ.対立をこれ以上深めないために、政府は沖縄県としっかりと向き合うべきである。(茨城新聞)


 最後に、「沖縄に戦後71年も基地を押しつけて、まだ犠牲を強いるのか」(河北新報)、この問題の根本の一つは、ここにある。





by asyagi-df-2014 | 2017-01-14 09:08 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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