2017年1月1日、社説・論説を読む。(1)-沖縄の2紙から-

 2017年が明けた。
 さて、どのような事態にどのように立ち向かうことになるのか。
まずは、窮乏化する同じ大地に立つこと。
そして、反撃の術を見極めること。
各紙の2017年1月1日の社説及び論説を読む。


 最初に、沖縄の2紙から。
 常に状況に追い込まれてきた歴史の中で、この2紙は、沖縄人の誇りある闘いを支えるという「決意」をもとに、沖縄の未来を提起してきた。
 2017年1月1日、沖縄の2紙は、このように語りかけた。
 琉球新報は、「『屋良朝苗主席は復帰前日に発表した談話で『県民自体がまず自主、主体性を確立して、この世紀の大事業と取り組む決意を新たにしなければならない』と県民に呼び掛けた。復帰45年は『本土並み』とは程遠い。屋良主席の言葉を胸に刻み、主体性を確立して日米両政府を突き動かし、県民自らの手で『沖縄の未来』を切り開きたい。」
、と。
 沖縄タイムスは、「沖縄の先人たちは、国策に翻弄(ほんろう)されながらも人間としての尊厳と『自治・自立』を求め、困難な道を切り開いてきた。愚直で、寛容性に富み、ユーモアを好みつつ、抵抗の精神を失わなかった多くの名もない先人たちに学びたい。『危機』を『機会』に転換させる知恵と行動力が、いまほど求められているときはない。」、と。
2紙は、このように訴える。


Ⅰ.主張
(琉球新報)
(1)新年を迎えて 「復帰の誓い」今こそ 米軍優先に終止符打とう。日本復帰から45年となる新年を迎えた。この間、さまざまな困難が立ちはだかった。それを県民の力で乗り越え、時代を切り開いてきたことを誇りたい。過酷な米施政権下にあっても、圧政に抗して主席公選を実現させ、復帰を勝ち取った不屈の精神は今も県民に宿っている。安倍政権の強権姿勢にひるむことなく米軍優先に終止符を打ち、復帰時に誓った「平和で明るい豊かな県づくり」にまい進したい。
(2)格差が広がり、貧困問題が顕在化している。その一因は沖縄の成長を阻む米軍基地にある。県民総所得に占める基地関連収入は復帰時の15・5%から2013年度は5・1%に減った。基地は沖縄の発展に必要ないのである。沖縄の未来を担う子どもたちの健やかな成長を保障するためにも、米軍基地の負担軽減に努めることは社会の責務であることを深く認識したい。
(3)屋良朝苗主席は復帰前日に発表した談話で「県民自体がまず自主、主体性を確立して、この世紀の大事業と取り組む決意を新たにしなければならない」と県民に呼び掛けた。
復帰45年は「本土並み」とは程遠い。屋良主席の言葉を胸に刻み、主体性を確立して日米両政府を突き動かし、県民自らの手で「沖縄の未来」を切り開きたい。
(沖縄タイムス)
(1)耐え難い被害が現実に出ているのに、それを放置する政府は、政府として失格だ。両地域について直ちに実効性のある対策を打ち出すよう強く求めたい。
(2)辺野古沿岸域に大型コンクリートブロックを投下した15年1月以降、音響に敏感なジュゴンが確認されていない。名護市安部のオスプレイ墜落現場付近は、3頭のうち2頭の生息域である。政府は、大浦湾におけるジュゴン調査、オスプレイを前提とした北部訓練場の環境影響評価(アセスメント)の再調査を実施すべきである。
(3)目の前の被害に目をつぶって埋め立てに狂奔してはならない。
(4)沖縄の先人たちは、国策に翻弄(ほんろう)されながらも人間としての尊厳と「自治・自立」を求め、困難な道を切り開いてきた。愚直で、寛容性に富み、ユーモアを好みつつ、抵抗の精神を失わなかった多くの名もない先人たちに学びたい。「危機」を「機会」に転換させる知恵と行動力が、いまほど求められているときはない。


Ⅱ.事実-沖縄の今。
(琉球新報)
(1)政府が米軍基地問題で約束した沖縄の過重負担の軽減は、ほとんど成果が見られない。それどころか、基地反対の民意を踏みにじる姿勢がここ数年、顕著になっていることを危惧する。
(2)その一つの源流は復帰前年1971年の「沖縄国会」にある。沖縄米軍基地縮小に関する決議が採択され、佐藤栄作首相はその直後に発言を求め「基地の整理縮小については速やかに実現できるよう、現在からこの問題に真剣に取り組む方針である」と述べた。
政治は結果が全てである。結果を伴わない取り組みは、70年余も米軍基地の重圧に苦しむ県民にとっては何ら意味はない。そもそも真剣に取り組んだかも疑わしい。「基地縮小」決議は国会でなされたものであり、決議は今も生きている。佐藤首相の「真剣に取り組む方針」も政治の責任として歴代政権が引き継ぐことは当然である。だが安倍政権は「米軍基地機能強化」を「沖縄の負担軽減」と言い換えるなど、不誠実な対応に終始している。
(3)復帰前は米軍基地と米政府が県民の前に立ちはだかった。安倍政権になってからは、日本政府が県民弾圧に加わったと言わざるを得ない状況がある。
(4)東村高江集落を取り囲むヘリパッド建設を条件とした米軍北部訓練場の過半返還、宜野湾市の米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古への新基地建設は、いずれも基地機能強化が狙いである。県民の基地負担は確実に増し、国会決議に逆行する。国会決議採択と同じ日に沖縄返還協定が承認されている。自民党の福永一臣氏は賛成討論で「沖縄の返還は、全ての点で本土と同じ状態になることは当然である」と述べている。国会決議もその趣意が通底していると解すべきである。安倍政権は「基地縮小」決議の重みを踏まえ、直ちに実現すべきだ。
(沖縄タイムス)
(1)宜野座村城原の泉さんの自宅は、キャンプ・ハンセン内の「ファルコン」と呼ばれるヘリパッドから約380メートルしか離れていない。昨年12月には連夜オスプレイが自宅真上を旋回してつり下げ訓練などを行った。泉さんはオスプレイが近づくと、2階建ての部屋中の電気をつけ、カーテンを開ける。パイロットに人間が住んでいることを知らせるためだ。墜落の恐怖からである。
 昨年10月からは住居の目印となる「航空標識灯」が設置されたが、自宅付近を避けるようにはみえない。ぜんそくの持病がある泉さんは体調を崩した。金属がきしむような不快な爆音に加え、激しい下降気流で粉じんが舞い上がり、燃料のにおいが漂う。窓ガラスが揺れ、孫が恐怖に襲われ、母親に抱きついてきたこともある。
(2)東村高江の安次嶺さんは妻雪音さん(45)との間に子どもが6人いる。高校生の2人は村内に高校がないため自宅を離れた。うっそうとした木々と小川が流れる自然環境の中で4人の子どもと暮らす。
 子どもたちを伸び伸び育てたいと県内各地を探し回り、たどり着いたのが高江だった。14年前のことだ。子どもたちは小川で水遊びしたり、クワガタムシやカブトムシを捕ったりしてヤンバルの自然を楽しんだ。
 そんな日常が一変したのは2012年に普天間飛行場にオスプレイが配備され、13年と14年に2カ所のヘリパッドが完成してから。自宅から約400メートルしか離れていない。自宅上空が飛行コースに当たり、昨年7月には連夜、低空飛行でオスプレイが迫ってきた。自宅が揺れ、子どもたちは眠れない。体調を崩し、学校を休んだ。隣の国頭村に一時避難したが、もうここには住むことができない、と考えるようになった。
(3)泉さん、安次嶺さんの願いは一つ。「人間らしい普通の暮らしがしたい」。それだけである。

Ⅲ.世界情勢と沖縄
(沖縄タイムス)
(1)世界は第2次世界大戦後に形成された戦後秩序が崩れ、冷戦後の新秩序も形成されないうちに、新たな混迷の時代に入った。自由や民主主義をリードしてきた米欧で「分断と対立」が表面化し、「憎悪と不寛容」の政治が頭をもたげてきた。世界各地でテロがやまない。
(2)米国では「アメリカ・ファースト」を掲げるトランプ大統領が20日に就任するが、国内の分裂状況は収まっていない。先行きの見えない不透明感が世界を覆っている。
(3)沖縄もその影響から完全に免れることはできないであろう。国防長官に元海兵隊大将のマティス氏が起用される見通しである。基地政策で予測不能のトランプ新大統領とのコンビ誕生で基地問題にも少なからぬ影響が出るのは避けられないだろう。


 確かに、屋良朝苗の「県民自体がまず自主、主体性を確立して、この世紀の大事業と取り組む決意を新たにしなければならない」は、核心を突く。
 それは、私たち自身のあり方を、2017の辿るべき道筋を示す。





by asyagi-df-2014 | 2017-01-05 08:16 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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