沖縄の2016年は。沖縄タイムスは、「『土人』『シナ人』発言」を読者が選んだ、と伝える。では、自分たちの2016は。

 考えてみれば、2016は、問われた年だったのだ。
 自らの主体性を試された日々だったのだ。
 それは、「構造的差別では語るに足らない、もうひとつの差別が浮き彫りになった1年だった。」(仲村清司さん)。
 事実が見えた。まして、「国家の仕組みが構造的差別だとすると、人が人を見下す民族的差別が表出した。」(仲村清司さん)、と。
 今、茨木のり子の詩が聞こえてくる。
「悪意はどこまでも広がるが、善意の声はすぐにかき消されてしまう。抵抗するためには小さき者、声なき者の声に耳を澄ませて聞き取らなければならない。」(喜納えりかさん)の声に、重なる。
 茨木のり子の詩が、沖縄の声と共鳴する。


ばさばさに乾いていく心を
ひとのせいにするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか


苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし


初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった


駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄


自分の感受性ぐらい
自分で守れ
ばかものよ




 沖縄タイムスは2016年12月30日、「ことし1年間を象徴する言葉として、沖縄タイムスがノミネートした19語の中から読者が選ぶ『沖縄版・流行語大賞2016』に、『【土人】【シナ人】発言』が決まった。東村高江周辺のヘリパッド建設に反対し、現場で抗議する人々に対し、いずれも大阪府警の機動隊員が言った。発言は機動隊員個人の問題ではなく、琉球処分からつながる本土側の県民への差別意識が露骨に出た言葉として批判が集中した。」、と報じた。
 果たして、日本人が選ぶ「2016」に「『土人』『シナ人』発言」は入るだろうか。
沖縄が「琉球処分からつながる本土側の県民への差別意識が露骨に出た言葉」として位置づける重要性に、どうやら「本土」の大部分は気づきもしないのだろう。
なお、2位及び3位についても、「2位は、名護市安部の海岸に米軍普天間飛行場所属のオスプレイが墜落したことを受けた『オスプレイ墜落?不時着?』が選ばれた。国内配備後、機体が大破した初めての重大事故で、配備に反対してきた県民の間に衝撃が広がる中、米軍や政府は『墜落』という言葉を使わず、『不時着水』を繰り返した。3位もオスプレイ墜落に関連し、在沖米軍トップのニコルソン四軍調整官が『被害がなかったことは【感謝されるべきだ】』との発言が選ばれた。」、と沖縄タイムスは報じた。
  沖縄タイムスは、沖縄の2016を次のように伝える。


 ことし1年間を象徴する言葉として、沖縄タイムスがノミネートした19語の中から読者が選ぶ「沖縄版・流行語大賞2016」に、「『土人』『シナ人』発言」が決まった。東村高江周辺のヘリパッド建設に反対し、現場で抗議する人々に対し、いずれも大阪府警の機動隊員が言った。発言は機動隊員個人の問題ではなく、琉球処分からつながる本土側の県民への差別意識が露骨に出た言葉として批判が集中した。
 投票は20日から5日間、本紙ホームページやファクスで受け付け、計147人が参加。複数投票も可能とし、「土人」「シナ人」発言は投票総数の約6割を占める79票を集めた。
 2位は、名護市安部の海岸に米軍普天間飛行場所属のオスプレイが墜落したことを受けた「オスプレイ墜落?不時着?」が選ばれた。国内配備後、機体が大破した初めての重大事故で、配備に反対してきた県民の間に衝撃が広がる中、米軍や政府は「墜落」という言葉を使わず、「不時着水」を繰り返した。
 3位もオスプレイ墜落に関連し、在沖米軍トップのニコルソン四軍調整官が「被害がなかったことは『感謝されるべきだ』」との発言が選ばれた。


 また、このことについて、「本土との温度差が浮き彫りに」、と次のように続けた。


 「衝撃的な発言だった」「沖縄の1年を象徴する言葉だった」。東村高江の米軍北部訓練場周辺で10月18日、大阪府警から派遣されている機動隊員が、工事に抗議する市民に対し「触るなくそ。どこつかんどんじゃボケ。土人が」「だまれ、こら、シナ人」などと発言した。ことしの「沖縄版・流行語大賞」投票者の55・2%が「土人」「シナ人」発言を選んだ。
 理由は「本土との温度差と沖縄に対する差別感情が浮き彫りにされた」などがあり、2位の「オスプレイ墜落?不時着?」、3位の「感謝されるべきだ」と複数回答で選んだ人も多かった。三つの言葉を“同質”として「言葉が持つ意味や背景に注目し、直していかなければならない流行語」「日本の人権意識が丸出しになった」「沖縄弾圧がひどくなった1年を表している」と憤る意見があった。
 また、国が強行するヘリパッド建設をはじめ、名護市辺野古の新基地建設を巡る国と県との法廷闘争がある中、6位の「不当弾圧」、12位の「違法確認訴訟」も関連して票を集めた。


 さらに、仲村清司さんと喜納えりかさんの次のような談話を載せた。


■仲村清司さん(58)作家・沖大客員教授
 ベストテンの上位が基地問題で占めている。沖縄が厳しい状況に置かれていることが、そのまま投票結果に表れた。機動隊員による「土人」「シナ人」発言、オスプレイ墜落に伴うニコルソン四軍調整官の「感謝されるべきだ」発言の根底には差別がある。
 構造的差別では語るに足らない、もうひとつの差別が浮き彫りになった1年だった。国家の仕組みが構造的差別だとすると、人が人を見下す民族的差別が表出した。日本政府と沖縄、本土と沖縄の溝が深まった。ここまで言われるのかと想像もしていなかった言葉に、衝撃を受けた結果が得票に反映されたのだろう。
■喜納えりかさん(41)ボーダーインク編集者
 投げつけられた侮蔑(ぶべつ)の言葉が、今年を象徴するものとして選ばれた。まずはそのことを忘れずにおきたいと思う。発言そのものだけではなく、かろうじて保ってきた建前が崩壊したという衝撃も反映されたのだろう。振り返ってみると、つくづくそんな年だった。
 悪意はどこまでも広がるが、善意の声はすぐにかき消されてしまう。抵抗するためには小さき者、声なき者の声に耳を澄ませて聞き取らなければならない。


 さて、このことについて、私たちがどのように答えることができるのか。
 2016をどのように総括できるのか。まさしく、それが、問題なのだ。


 以下、沖縄タイムスの引用。







沖縄タイムス-衝撃の言葉が象徴する沖縄の1年… 読者が選ぶ「沖縄版流行語大賞2016」-2016年12月30日 11:00



 ことし1年間を象徴する言葉として、沖縄タイムスがノミネートした19語の中から読者が選ぶ「沖縄版・流行語大賞2016」に、「『土人』『シナ人』発言」が決まった。東村高江周辺のヘリパッド建設に反対し、現場で抗議する人々に対し、いずれも大阪府警の機動隊員が言った。発言は機動隊員個人の問題ではなく、琉球処分からつながる本土側の県民への差別意識が露骨に出た言葉として批判が集中した。

 投票は20日から5日間、本紙ホームページやファクスで受け付け、計147人が参加。複数投票も可能とし、「土人」「シナ人」発言は投票総数の約6割を占める79票を集めた。

 2位は、名護市安部の海岸に米軍普天間飛行場所属のオスプレイが墜落したことを受けた「オスプレイ墜落?不時着?」が選ばれた。国内配備後、機体が大破した初めての重大事故で、配備に反対してきた県民の間に衝撃が広がる中、米軍や政府は「墜落」という言葉を使わず、「不時着水」を繰り返した。

 3位もオスプレイ墜落に関連し、在沖米軍トップのニコルソン四軍調整官が「被害がなかったことは『感謝されるべきだ』」との発言が選ばれた。

 明るい話題から発信された言葉としては、「世界のウチナーンチュ」が4位に入った。26カ国・2地域から過去最多の7297人が海外から参加した「第6回世界のウチナーンチュ大会」(10月26~30日)。閉会式では「世界のウチナーンチュの日」宣言があり、海外から来た県系人と県民が互いの絆を再確認した。

 選んだ理由として「ウチナーンチュのアイデンティティーを感じることができた」などが挙げられた。

「本土との温度差が浮き彫りに」

 「衝撃的な発言だった」「沖縄の1年を象徴する言葉だった」。東村高江の米軍北部訓練場周辺で10月18日、大阪府警から派遣されている機動隊員が、工事に抗議する市民に対し「触るなくそ。どこつかんどんじゃボケ。土人が」「だまれ、こら、シナ人」などと発言した。ことしの「沖縄版・流行語大賞」投票者の55・2%が「土人」「シナ人」発言を選んだ。

 理由は「本土との温度差と沖縄に対する差別感情が浮き彫りにされた」などがあり、2位の「オスプレイ墜落?不時着?」、3位の「感謝されるべきだ」と複数回答で選んだ人も多かった。三つの言葉を“同質”として「言葉が持つ意味や背景に注目し、直していかなければならない流行語」「日本の人権意識が丸出しになった」「沖縄弾圧がひどくなった1年を表している」と憤る意見があった。

 また、国が強行するヘリパッド建設をはじめ、名護市辺野古の新基地建設を巡る国と県との法廷闘争がある中、6位の「不当弾圧」、12位の「違法確認訴訟」も関連して票を集めた。

 5位の「子どもの貧困」は、昨年の9位から票を伸ばして2年連続でランクインした。県は1月、沖縄の子どもの貧困率が29・9%と発表。都道府県として初めての調査で、全国の16・3%の2倍近く上回る深刻な状況、18歳以下の3人に1人が貧困状態で暮らしている実態が明らかになった。ひとり親世帯の貧困率は58・9%で、さらに厳しい数字となった。選んだ理由として「連日報道され、新聞やテレビで深刻な状況を思い知らされた」などがあり、関心の高さを示した。

 一方、明るい話題として4位の「世界のウチナーンチュ」、7位の「雪観測」、8位の「のあちゃん・ひまりちゃんを救え」、9位の「Bリーグ開幕(GO!GO!キングス)」がトップテン入り。

 重い心臓病のため、米国での心臓移植手術が必要だった翁長希羽(のあ)ちゃん(2)と、森川陽茉莉(ひまり)ちゃん(1)を救おうと、県内を中心に計7億円以上の寄付が集まった。「のあちゃん・ひまりちゃんを救え」を選んだ理由として、「悲しく暗いニュースが多い中で、のあちゃん、ひまりちゃんが回復に向かっていることが何よりもうれしかった」などの声が寄せられた。

 また、1月に沖縄本島で初めて降雪があった「雪観測」には「県民大興奮だった」、「Bリーグ開幕(GO!GO!キングス)」には、「キングスからたくさんの元気をもらった」などの理由が並んだ。

沖縄の窮状表れた 

■仲村清司さん(58)作家・沖大客員教授

 ベストテンの上位が基地問題で占めている。沖縄が厳しい状況に置かれていることが、そのまま投票結果に表れた。機動隊員による「土人」「シナ人」発言、オスプレイ墜落に伴うニコルソン四軍調整官の「感謝されるべきだ」発言の根底には差別がある。

 構造的差別では語るに足らない、もうひとつの差別が浮き彫りになった1年だった。国家の仕組みが構造的差別だとすると、人が人を見下す民族的差別が表出した。日本政府と沖縄、本土と沖縄の溝が深まった。ここまで言われるのかと想像もしていなかった言葉に、衝撃を受けた結果が得票に反映されたのだろう。

 その中で明るいのは、4位の「世界のウチナーンチュ」だ。ウチナーンチュ大会は基地問題が緊迫している中での開催で、大きな意味のある大会になった。3世、4世が沖縄の歴史や置かれている状況を知り、沖縄で暮らす人と互いに学び合う。沖縄の未来につながる言葉だと思う。(談)

善意に耳澄まそう

■喜納えりかさん(41)ボーダーインク編集者

 投げつけられた侮蔑(ぶべつ)の言葉が、今年を象徴するものとして選ばれた。まずはそのことを忘れずにおきたいと思う。発言そのものだけではなく、かろうじて保ってきた建前が崩壊したという衝撃も反映されたのだろう。振り返ってみると、つくづくそんな年だった。

 悪意はどこまでも広がるが、善意の声はすぐにかき消されてしまう。抵抗するためには小さき者、声なき者の声に耳を澄ませて聞き取らなければならない。

 子どもの貧困(5位)、のあちゃん・ひまりちゃんを救え(8位)、LGBT(11位)、熊本支援(16位)がランクインしたことは、そうした意味でも価値が高いはずだ。

 私が「流行語」を選ぶとすれば「正子・R・サマーズさん」を挙げたい。苦難の半生を乗り越えていく凛(りん)とした姿には胸を突かれた。沖縄戦史における貴重な証言も、歴史の否定やあざけりが渦巻く現在の状況に、澄みきった光を照らしたようだった。(談)

 一方、明るい話題として4位の「世界のウチナーンチュ」、7位の「雪観測」、8位の「のあちゃん・ひまりちゃんを救え」、9位の「Bリーグ開幕(GO!GO!キングス)」がトップテン入り。

 重い心臓病のため、米国での心臓移植手術が必要だった翁長希羽(のあ)ちゃん(2)と、森川陽茉莉(ひまり)ちゃん(1)を救おうと、県内を中心に計7億円以上の寄付が集まった。「のあちゃん・ひまりちゃんを救え」を選んだ理由として、「悲しく暗いニュースが多い中で、のあちゃん、ひまりちゃんが回復に向かっていることが何よりもうれしかった」などの声が寄せられた。

 また、1月に沖縄本島で初めて降雪があった「雪観測」には「県民大興奮だった」、「Bリーグ開幕(GO!GO!キングス)」には、「キングスからたくさんの元気をもらった」などの理由が並んだ。

沖縄の窮状表れた 

■仲村清司さん(58)作家・沖大客員教授

 ベストテンの上位が基地問題で占めている。沖縄が厳しい状況に置かれていることが、そのまま投票結果に表れた。機動隊員による「土人」「シナ人」発言、オスプレイ墜落に伴うニコルソン四軍調整官の「感謝されるべきだ」発言の根底には差別がある。

 構造的差別では語るに足らない、もうひとつの差別が浮き彫りになった1年だった。国家の仕組みが構造的差別だとすると、人が人を見下す民族的差別が表出した。日本政府と沖縄、本土と沖縄の溝が深まった。ここまで言われるのかと想像もしていなかった言葉に、衝撃を受けた結果が得票に反映されたのだろう。

 その中で明るいのは、4位の「世界のウチナーンチュ」だ。ウチナーンチュ大会は基地問題が緊迫している中での開催で、大きな意味のある大会になった。3世、4世が沖縄の歴史や置かれている状況を知り、沖縄で暮らす人と互いに学び合う。沖縄の未来につながる言葉だと思う。(談)

善意に耳澄まそう

■喜納えりかさん(41)ボーダーインク編集者

 投げつけられた侮蔑(ぶべつ)の言葉が、今年を象徴するものとして選ばれた。まずはそのことを忘れずにおきたいと思う。発言そのものだけではなく、かろうじて保ってきた建前が崩壊したという衝撃も反映されたのだろう。振り返ってみると、つくづくそんな年だった。

 悪意はどこまでも広がるが、善意の声はすぐにかき消されてしまう。抵抗するためには小さき者、声なき者の声に耳を澄ませて聞き取らなければならない。

 子どもの貧困(5位)、のあちゃん・ひまりちゃんを救え(8位)、LGBT(11位)、熊本支援(16位)がランクインしたことは、そうした意味でも価値が高いはずだ。

 私が「流行語」を選ぶとすれば「正子・R・サマーズさん」を挙げたい。苦難の半生を乗り越えていく凛(りん)とした姿には胸を突かれた。沖縄戦史における貴重な証言も、歴史の否定やあざけりが渦巻く現在の状況に、澄みきった光を照らしたようだった。(談)


by asyagi-df-2014 | 2016-12-31 06:37 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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