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「中山義隆石垣市長が石垣島への陸上自衛隊受け入れを表明」を考える。

 琉球新報は2016年12月26日、「石垣市平得大俣への自衛隊配備を巡り、中山義隆市長は26日午前10時、市役所で記者会見を開き、受け入れる考えを表明した。尖閣諸島周辺での中国公船による領海侵犯などを挙げ『南西諸島地域の防衛体制の充実ということが極めて重要である』との認識を示し『市民の生命・財産を守る立場として石垣島への陸上自衛隊配備について理解した上で、配備に向けた諸手続きを開始することを了承する』と説明した。」、と報じた。
 このことについて考える。
 琉球新報は、2016年12月27日の社説で、次のようにまとめている。


Ⅰ.問題点
(1)候補地近辺の開南、於茂登、嵩田、川原の4地区が反対する中で、地元への説明も不十分なままの受け入れ表明は、禍根を残すことになる。本来なら、防衛省の計画全体を見定め、住民への影響を図った上で受け入れか否かを決めるのが市長の責務だ。少なくとも直接影響を受けるであろう、4地区とは話し合うべきだった。これまで「市民の声を聞いて判断する」と繰り返してきた市長自身の発言とも矛盾する。
(2)配備ありきの姿勢では市民の了解は得られない。中山市長は、防衛省側に計画の詳細を明らかにさせた上で、民意を問うて決定すべきだ。


Ⅱ.視点
(1)配備については昨年11月、防衛副大臣が石垣市に警備部隊と地対空、地対艦ミサイル部隊(計500~600人)を配備する方針を伝え、平得大俣地区の市有地とその周辺を候補地に挙げた。あれから1年以上たつが基地の面積や施設の位置など詳細は明らかにされていない。住民生活への影響が見えない中で、候補地に近い4地区が配備に反対するのも当然だろう。
(2)中山市長は防衛省による2回の住民説明会、市主催の公開討論会と市議会の議論を経たとしているが、近隣4地区との面談は見送った。説明不足の感は否めない。
(3)住民のもう一つの懸念は、陸自配備が逆に先島の緊張を高めるというものだ。
(4)陸自レーダーの配備によっては、市登野城にある国の電波望遠鏡の観測に影響し国立天文台のプロジェクトを阻害する可能性もある。
(5)中山市長は「南西地域の防衛体制充実のために陸自配備が必要だ」と抑止力論を挙げるが、専門家から疑問も出ている。元防衛官僚で官房副長官補を務めた柳沢協二氏は「最前線にパワーがあれば『(中国を)拒否する力』はある」と認める一方で、「相手側に本当に戦争する意思があれば、最初に攻撃される」と述べている。陸自配備は抑止力という点でも、もろ刃の剣なのだ。


 
 今回の石垣市長の陸上自衛隊受入表明は、明らかに、(1)陸自配備が逆に先島の緊張を高めること、(2)基地の面積や施設の位置など詳細は明らかにされていないなど地域住民への説明責任が果たされていないこと、(3)日本政府が進める南西諸島の島嶼防衛計画(要塞化)は、米軍再編(エアシーバトル構想)の中に沖縄を組み込むこと,という理由から大きな問題がある。


 以下、琉球新報の引用。








(1)琉球新報-中山石垣市長、自衛隊配備受け入れ表明-2016年12月26日 11:09



 【石垣】石垣市平得大俣への自衛隊配備を巡り、中山義隆市長は26日午前10時、市役所で記者会見を開き、受け入れる考えを表明した。尖閣諸島周辺での中国公船による領海侵犯などを挙げ「南西諸島地域の防衛体制の充実ということが極めて重要である」との認識を示し「市民の生命・財産を守る立場として石垣島への陸上自衛隊配備について理解した上で、配備に向けた諸手続きを開始することを了承する」と説明した。
【琉球新報電子版】


(2)琉球新報社説-石垣陸自受け入れ 住民影響と抑止力の説明を-2016年12月27日 06:02


 中山義隆石垣市長が石垣島への陸上自衛隊受け入れを表明した。


 中山市長は、防衛省から具体的な計画が出ていないことを認めた上で、今後、計画の詳細が分かっても「受け入れ拒否は考えていない」と述べた。「石垣島への配備は国の専権事項と思っている」とも述べた。
 候補地近辺の開南、於茂登、嵩田、川原の4地区が反対する中で、地元への説明も不十分なままの受け入れ表明は、禍根を残すことになる。
 配備については昨年11月、防衛副大臣が石垣市に警備部隊と地対空、地対艦ミサイル部隊(計500~600人)を配備する方針を伝え、平得大俣地区の市有地とその周辺を候補地に挙げた。あれから1年以上たつが基地の面積や施設の位置など詳細は明らかにされていない。
 住民生活への影響が見えない中で、候補地に近い4地区が配備に反対するのも当然だろう。
 陸自レーダーの配備によっては、市登野城にある国の電波望遠鏡の観測に影響し国立天文台のプロジェクトを阻害する可能性もある。
 中山市長は防衛省による2回の住民説明会、市主催の公開討論会と市議会の議論を経たとしているが、近隣4地区との面談は見送った。説明不足の感は否めない。
 住民のもう一つの懸念は、陸自配備が逆に先島の緊張を高めるというものだ。
 中山市長は「南西地域の防衛体制充実のために陸自配備が必要だ」と抑止力論を挙げるが、専門家から疑問も出ている。元防衛官僚で官房副長官補を務めた柳沢協二氏は「最前線にパワーがあれば『(中国を)拒否する力』はある」と認める一方で、「相手側に本当に戦争する意思があれば、最初に攻撃される」と述べている。陸自配備は抑止力という点でも、もろ刃の剣なのだ。
 本来なら、防衛省の計画全体を見定め、住民への影響を図った上で受け入れか否かを決めるのが市長の責務だ。少なくとも直接影響を受けるであろう、4地区とは話し合うべきだった。これまで「市民の声を聞いて判断する」と繰り返してきた市長自身の発言とも矛盾する。
 配備ありきの姿勢では市民の了解は得られない。中山市長は、防衛省側に計画の詳細を明らかにさせた上で、民意を問うて決定すべきだ。


by asyagi-df-2014 | 2016-12-30 09:18 | 米軍再編 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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