労働問題-待ったなしの「貧困」問題。

 日本という国が、すでに、待ったなしの「貧困」問題を抱えてしまっている実態を、毎日新聞は2016年12月25日、「<貧困>『40代下流』と親世代に共倒れの危機」、という記事で伝えました。
毎日新聞は、「学校卒業時にバブル崩壊後の就職氷河期に直面し、非正規雇用で働き続けたり、転職を繰り返したりした人たちがそろそろ40代になります。結婚せず、実家で暮らしている人も多いでしょう。元気な親はいずれ老い、自分も年を取ります。10年後、彼らが50代になった時にいったい何が起きるのか。そのことを想像させるケースを紹介します。」、とNPO法人ほっとプラス代表理事・藤田孝典の話で始めます。
 話は、母親の年金なしでは暮らせない50代男性に起こった問題で、これから予想される「団塊世代が直面する史上初の事態」についてです。
 この男性に起こったことについては、下記の記事のとおりです。
 藤田孝典さんは、「団塊世代が直面する史上初の事態」をこのように説明しています。


(1)現在の40代の親はちょうど団塊世代以上の人たち。70代前後の高齢者です。彼らには高齢者の概念を壊す三つの特徴があることをご存じでしょうか。
(2)一つは企業福祉の後退世代であること。
【職業人生の終盤に失われた20年があり、企業間競争の激化や年功序列型賃金の崩壊で、退職金や福利厚生を減らされた最初の世代です。逃げ切り世代と言われながらも、その上の世代より恵まれてはいません。一番最初に「高齢貧困」に直面するかもしれない最初の世代です。】
(3)もう一つは、家族福祉から排除されがちな世代であること。
【核家族化の中心世代で、同居家族が多くありません。また、子供の非正規率が高く、子供からの援助をあてにできません。むしろ、親の年金を支えに暮らさなければならない子供を持っています。実際に「親の死を隠して年金を受給しています。どうしたらいいでしょうか」という子供からの相談を受けたことがあります。子供がブラック企業で働いていたり、非正規雇用だったり、精神疾患を持っていたりして、お互いを支えられず、共倒れしかねない家族が多いのです。親の死亡を隠し、遺体を捨てたり放置したりして、年金を不正に受給する事件はここ数年増え続けています。東京都品川区では今年、死亡した母親(当時82歳)を自宅に放置し、死亡届を出さず、母親の口座に振り込まれた年金約81万円をだまし取ったとして、同居の息子(43)が死体遺棄と詐欺の罪で逮捕・起訴されました。多くの手口は、親が生きていると偽って「年金受給権者現況届」を日本年金機構に郵送し、年金を振り込ませるものです。】
(4)三つ目の特徴は、長寿化です。
【健康寿命が70歳前後、日本人の平均寿命が男性80.79歳、女性87.05歳(2015年)ですから、定年後20年近くも生きることになります。どこかで医療、介護の世話になり、それがきっかけで経済的に破綻する人が増える可能性があります。】


 藤田孝典さんは、 高齢者の貧困は、①一つは企業福祉の後退世代であること、②家族福祉から排除されがちな世代であること、③家族福祉から排除されがちな世代であること、という三つの要因で起こりやすくなっている、と説明します。
 結局、「団塊世代の親と子供世代は10年後、このような事態に直面することになる」、と警告しています。
つまり、「『40代下流』と親世代に共倒れの危機」、という貧困問題がより鮮明になるというわけです。


 以下、毎日新聞の引用。







毎日新聞-<貧困>「40代下流」と親世代に共倒れ機の危-2016年12月25日


<貧困>「40代下流」と親世代に共倒れの危機


 学校卒業時にバブル崩壊後の就職氷河期に直面し、非正規雇用で働き続けたり、転職を繰り返したりした人たちがそろそろ40代になります。結婚せず、実家で暮らしている人も多いでしょう。元気な親はいずれ老い、自分も年を取ります。10年後、彼らが50代になった時にいったい何が起きるのか。そのことを想像させるケースを紹介します。【NPO法人ほっとプラス代表理事・藤田孝典】

 ◇母親の年金なしでは暮らせない50代男性から電話

 ある日の午後、1本の電話がかかってきました。「今朝がた、母が亡くなったんですが、どうすればいいか分からなくて……」という内容でした。
 電話してきたのは埼玉県内の53歳の男性。朝起きたら、同居の母親(87)が亡くなっていたというのです。
 「今ご遺体はどこにあるんですか?」「隣に……」「お金あります?」「はい、母の貯金が少しぐらいは……」「じゃあ、まずは警察を呼んで、そのあと葬祭業者さんを呼んで、ちゃんと手続きをして、お母さんを見送ってあげましょうよ」「あ、そうですよね」--そこまで話して、男性はようやく現実に戻った様子でした。
 男性の話をまとめると、以下のような状況でした。
 亡くなった母親は学校の先生をしていて、離婚したあとずっと息子と2人暮らしでした。いっときは校長も務めたキャリア教育者で、ばりばり働いてきた、頼りがいのあるお母さんだったようです。
 教師を定年退職し、嘱託を経て年金生活に。公立だったので共済年金があり、月額年金は23万円ほどありました。一方、53歳の息子は、若いころは普通に働いていましたが、30代で病気になり、仕事を辞めて実家に戻りました。実家は県内の公団住宅です。
 母親に認知症の兆しも出てきて、息子は懸命に支えていたようです。そして母親の年金は、日雇いなどで得られる以外の定収入を持たない息子を支えていました。文字通り、2人が互いに支え合って生きていたのです。

 ◇支え合ってきた母子バランスが崩壊

 母親の突然の死は、その状況を一気に変えました。息子を支える年金がなくなり、住む場所も失いそうになったからです。
 葬儀を終えて一段落したところで、私たちが手続きを進めました。まず住居の確保。母親が借りていた公団住宅は、契約は1代限りなので出て行ってくれ、という態度でした。しかし、出て行くにもお金がありません。
 私たちが代わって交渉し、事態が好転するまでしばらくの間だけ、部屋を引き続き使わせてもらうよう了承してもらいました。
 彼は53歳で持病があり、おそらく普通の就職は難しいでしょう。精神的な疾患も少しあるようです。人付き合いがちょっとうまくできないだけで、そんなに変な人ではありませんが、これから生きていくのは相当につらいでしょう。生活保護で暮らしを立て直すことが必要でした。
 今も特例で同じ部屋に住んでいますが、そう長期間は住み続けられないため、母親の預貯金を使い切った時点で、生活保護を申請し、別の部屋を探すことにしました。もちろん、申請には私たちが同行します。

 ◇団塊世代が直面する史上初の事態とは

 現在の40代の親はちょうど団塊世代以上の人たち。70代前後の高齢者です。彼らには高齢者の概念を壊す三つの特徴があることをご存じでしょうか。
 一つは企業福祉の後退世代であること。職業人生の終盤に失われた20年があり、企業間競争の激化や年功序列型賃金の崩壊で、退職金や福利厚生を減らされた最初の世代です。逃げ切り世代と言われながらも、その上の世代より恵まれてはいません。一番最初に「高齢貧困」に直面するかもしれない最初の世代です。
 もう一つは、家族福祉から排除されがちな世代であること。核家族化の中心世代で、同居家族が多くありません。また、子供の非正規率が高く、子供からの援助をあてにできません。むしろ、親の年金を支えに暮らさなければならない子供を持っています。実際に「親の死を隠して年金を受給しています。どうしたらいいでしょうか」という子供からの相談を受けたことがあります。
 子供がブラック企業で働いていたり、非正規雇用だったり、精神疾患を持っていたりして、お互いを支えられず、共倒れしかねない家族が多いのです。
 親の死亡を隠し、遺体を捨てたり放置したりして、年金を不正に受給する事件はここ数年増え続けています。
 東京都品川区では今年、死亡した母親(当時82歳)を自宅に放置し、死亡届を出さず、母親の口座に振り込まれた年金約81万円をだまし取ったとして、同居の息子(43)が死体遺棄と詐欺の罪で逮捕・起訴されました。
 多くの手口は、親が生きていると偽って「年金受給権者現況届」を日本年金機構に郵送し、年金を振り込ませるものです。
 三つ目の特徴は、長寿化です。健康寿命が70歳前後、日本人の平均寿命が男性80.79歳、女性87.05歳(2015年)ですから、定年後20年近くも生きることになります。どこかで医療、介護の世話になり、それがきっかけで経済的に破綻する人が増える可能性があります。
 高齢者の貧困は、以上の三つの要因で起こりやすくなっています。団塊世代の親と子供世代は10年後、このような事態に直面することになるのです。


by asyagi-df-2014 | 2016-12-29 07:38 | 書くことから-労働 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
画像一覧