「オスプレイが沖縄県名護市の安部の浅瀬に墜落」を各紙の社説・論説で考える。

 標題について、「47NEWS-社説・論説」から、2016年12月15日づけのものを取りあげる。
 その見出しは、次のものである。
(1)北海道新聞社説-オスプレイ事故 やはり起きてしまった
(2)信濃毎日新聞社説-オスプレイ事故 徹底した究明と公表を
(3)中日新聞社説-オスプレイ事故 家の上に落ちていたら
(4)福井新聞論説-オスプレイ不時着、大破 犠牲リスクさらに高まる
(5)神戸新聞社説-オスプレイ大破/沖縄県民の不安が現実に
(6)山陽新聞社説-オスプレイ事故 安全への不安が現実に
(7)高知新聞社説-【オスプレイ事故】国は毅然とした対応取れ
(8)佐賀新聞論説-オスプレイ事故 徹底的な原因究明求めよ
(9)南日本新聞社説-[オスプレイ大破] 総点検まで運用停止を
(10)琉球新報社説-オスプレイ墜落 海兵隊撤退しかない 訓練場返還式典は中止せよ
(11)沖縄タイムス社説-[オスプレイ墜落]海兵隊撤退へ舵を切れ
 また、全国紙2016年12月15日付けの社説は次のようになっている。
(12)朝日新聞社説-オスプレイ大破 懸念が現実になった
(13)東京新聞社説-オスプレイ事故 家の上に落ちていたら
 特徴的なのは、「墜落」という言葉を使用したのが、沖縄の二紙だったことだ。これは、二社の記者が現地を踏み、正確に伝えようとしたことの現れである。ただし、他社も、大本営発表の「着水」は使用していない。大本営発表をそのまま伝える「愚」からは逃れられている。
 「海兵隊撤退」と触れることができたのは琉球新報と沖縄タイムスだけであった。
 「訓練場返還式典の返還等」については、北海道新聞・中日新聞(東京新聞)と沖縄の二社が触れていた。
 「オスプレイの安全への不安」と「沖縄への配慮」及び「原因の徹底追究」をそれぞれの地方紙が取りあげている。
 地方紙と全国紙の二社の主張は、差異は少ない。
各新聞社の主張をまとめると次のようになる。


Ⅰ.北海道新聞社説
(1)重大事故への懸念が、日本国内で初めて現実になった。オスプレイは開発段階から墜落事故が相次いでおり、構造上の欠陥を指摘する声は根強い。危険性が拭えない米軍機を、普天間のような住宅密集地の中にある基地に配備すること自体、やはり根本的な問題がある。
(2)翁長知事は欠席の意向を事故前から表明している。県の抗議にもかかわらず、近くでオスプレイが危険な訓練を繰り返していることなどが理由だ。日米両政府は、式典よりも考えるべきことがあるのではないか。
(3)大切なのは沖縄における危険の除去である。普天間飛行場を名護市辺野古に移したところで、それは危険のたらい回しでしかない。

Ⅱ.信濃毎日新聞社説
(1)安全性への不安を募らせる事故だ。原因を徹底究明し、つぶさに公表する必要がある。
(2)日本政府は安全が確認されるまでの飛行停止を要請し、米側は運用を当面停止するとした。当然である。ケネディ駐日米大使は飛行再開についても日本政府と緊密に調整したいと述べている。政府は国民に対し状況を逐一、説明する必要がある。原因究明を米軍任せにはできない。地元の海上保安部は航空危険行為処罰法違反容疑で捜査に着手した。何があったのか、しっかり解明しなくてはならない。
(3)飛行の停止だけでなく、配備についても政府は米国側との交渉や再検討をすべきだ。沖縄県の翁長雄志知事は「直ちにオスプレイの飛行を中止して配備撤回を求めたい」と述べている。名護市や沖縄本島北部にある米軍訓練場の地元でも抗議の声が上がった。
(4)沖縄だけではない。米軍の定期整備拠点に選ばれた陸上自衛隊木更津駐屯地、経由地として頻繁に飛来している米軍岩国基地、陸自が導入する機体の配備を要請されている佐賀空港など、各地で動揺が広がっている。米空軍の訓練空域は長野県内を含め、全国に及ぶ。国民の間に不安を残したまま配備を進めれば反発が高まるだけだ。

Ⅲ.中日新聞社説(東京新聞)
(1)沖縄県名護市沖で米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイが「不時着」した。起こるべくして起きた事故だ。米側は同機の飛行を一時停止すると表明したが、同機の国内配備そのものを見直すべきだ。
(2)米側は同機の安全性を確認するまで飛行の一時停止を表明したが、沖縄への配備そのものと、ヘリパッド建設を中止すべきだ。オスプレイは普天間飛行場に二十四機が配備され、東京の横田基地にも配備計画がある。日本は主権国家らしく米国に対峙(たいじ)すべきで、米国に黙って従い配備を続行するのは無謀でしかない。
(3)ヘリパッドの年内完成を急ぐ日米両政府は二十二日に北部訓練場の返還式典を予定しているが、翁長雄志知事は出席しないと表明した。オスプレイが重大事故を起こして何をことほぐのか。工事を即刻中止し、式典も中止すべきだ。

Ⅳ.福井新聞論説
(1)沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事は配備撤回を要求している。17機を導入した陸上自衛隊は2019年度から佐賀空港に順次配備する計画で、住民らの不安が広がる。事故原因の徹底究明は当然だが、米軍の十分な情報提供がなされるかだ。早期の運行再開は許されない。
(2)あろうことか、米軍側は民家などを避けて被害を防いだ操縦士をたたえ、「感謝されるべきだ」などと高飛車な態度を取っている。日本を見下す姿勢がはからずも露呈した。那覇の海上保安本部は捜査を受け入れるよう米軍に申し入れている。決して事故を矮小(わいしょう)化させてはならない。
(3)日本政府は米側が飛行を一時停止し、再開についても話し合う意向を示したことを評価した。日米同盟の緊密な連携を強調する狙いだろうが、沖縄の抗議を無視して強行配備した責任は日本政府にもあるのだ。
(4)問題の根深さは日米安全保障条約に基づく日米地位協定の不平等条約にある。米軍の軍事機密がどれだけ提供されるのか。配備要請を受けている佐賀県など他の関係自治体、住民らの不安は強まる。日本人が犠牲になるリスクは高まった。

Ⅴ.神戸新聞社説
(1)現在使用中のMV22オスプレイは操縦が難しいとされ、開発段階から多くの事故を起こしている。米軍は今回の事故原因を徹底的に調査するとともに、積極的に情報を公開すべきだ。その上で、一貫して配備に反対してきた沖縄県民の声にしっかり向き合う必要がある。
(2)沖縄で事故を起こせば、ますます住民の反基地感情が高まることは明らかで、米軍も慎重に運用してきた。それでも事故は起きた。その事実は重い。さらに同じ日、別のオスプレイが普天間飛行場で胴体着陸していたことも明らかになった。今の機種で本当に安全を確保できるのか、疑問と言うしかない。
(3)事故を受けて各地の米軍基地の地元で不安の声が広がる。オスプレイは陸上自衛隊も17機を導入し配備を進めている。日本政府は対応について再考すべきではないか。

Ⅵ.山陽新聞社説
(1)だが、別のオスプレイが普天間飛行場で胴体着陸していたことも明らかになった。過剰な基地負担を強いられてきた沖縄が、一連の事故で態度を硬化させるのは当然だ。県は配備の撤回をあらためて求めた。米軍だけでなく、日本政府も厳しく受け止めねばならない。
(2)衝撃は全国各地に広がっている。オスプレイは東京、静岡などの米軍基地にたびたび飛来するほか、山口・岩国基地への26年までの配備が予定されている。輸送能力の高さが評価され、陸上自衛隊も19年度からの佐賀空港への配備を地元に要請中だ。こうした地域で理解を得ることは一層難しくなろう。だが、安全への懸念を払拭(ふっしょく)しないままの運用や配備は絶対にあってはならない。

Ⅶ.高知新聞社説
(1)在沖縄米軍トップのニコルソン沖縄地域調整官は「パイロットは県民に被害を与えなかった。感謝されるべきだ」と述べた。この傲岸(ごうがん)不遜さは何だろう。これではオスプレイの配備や運用、ひいては日米安保条約に基づく在日米軍の活動への理解など、到底得られるはずがない。
(2)日本政府も米側の「安全宣言」を受け入れ、沖縄への配備のほか陸上自衛隊への導入計画を進めている。それでも今回、国内では初となるオスプレイの重大事故が起きた。米側の説明を「うのみ」にしてきた政府の責任も問われよう。
(3)そもそも人為ミスによる事故が続発すること自体おかしい。ミスを誘発する機体の欠陥がありはしないか。そんな疑問も浮かんでこよう。
(4)安全を確認するには原因の究明が大前提だ。そのためには米軍の調査や発表に頼るだけではなく、日本側も主体的に事故の捜査に携わることが欠かせない。ところが現状では「米軍基地外での米軍機事故に関するガイドライン」によって、事故機の残骸や部品は米軍が管理する決まりとなっている。日本政府は合同調査を阻むこうした「壁」を、一つ一つ取り払っていかなければならない。
(5)9月には米攻撃機AV8ハリアーが沖縄本島沖に、今月もFA18戦闘攻撃機が本県沖に墜落した。米軍機事故で国民の命が脅かされている。脅威の根本には日本の空を自由に航行することを認めた日米地位協定がある。状況の打開へ地位協定の改定も見据えた、毅然(きぜん)とした対応が政府には求められる。 

Ⅷ.佐賀新聞論説
(1)米軍は今回の事故について「空中給油の訓練で、給油機の燃料ホースがオスプレイのプロペラで切れて、機体が不安定になった」と説明し、機体そのものが事故原因でないことを強調する。ただ、その程度のトラブルが事故につながるのならば、やはり、どこか構造上に問題があると考えるべきではないのか。米側は過去の事故で、いずれも「人為的なミスが主要因」と総括しているが、今回は十分な検証を求めたい。
(2) 日本も1機100億円超の大金で購入し、自衛隊機として使用する計画だ。今、しっかり安全性を調べておかないと、操縦する自衛隊員が危険にさらされるし、今後の事故も「人為的なミス」で片付けられる恐れさえある。
(3)気になるのは事故について、日米ともに「不時着」という言葉を使い続けている点だ。不時着とは、操縦者の制御がきく状態で、目的地以外に緊急着陸することを意味する。
機体が大破している状況を見れば、「墜落」ととれる。在沖縄米軍トップの「パイロットは県民に被害を与えないように不時着した。感謝されるべきだ」という説明には強い違和感を覚える。
(4)山口祥義知事が「原因がうやむやのままで、受け入れの判断をすることはありえない」と徹底的な究明を求めているが当然だろう。佐賀県の場合、住宅街に落ちるのも恐ろしいが、海に落ちてもノリ漁など漁業に甚大な被害を与える。安全性に不安を抱えた機体が国防に貢献するということは考えられない。

Ⅸ.南日本新聞社説
(1)米軍は事故を重く受け止め、原因究明を徹底してもらいたい。同時に、日本側に説明した「自発的着水」についても真相を明らかにするため、第11管区海上保安本部(那覇)の捜査を受け入れるべきだ。機体が大破しているのになぜ墜落ではないのか、国民が納得する説明が必要である。
(2)事故現場は、普天間飛行場の移設先である名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブからわずか湾一つ挟んだ所にある。移設に反対する沖縄県と名護市が「基地ができればオスプレイの危険度が増す」と、反発を強めるのは避けられまい。
(3)オスプレイは陸上自衛隊が17機の導入を計画するなど国内で増える恐れがある。その導入や鹿屋での訓練前に全機を総点検し、終わるまでは運用停止を求めたい。

Ⅹ.朝日新聞社説
(1)米軍や政府は「不時着」だというが、翁長知事が示した「墜落」との認識こそふさわしい。
(2)許しがたいのは米軍側の態度である。日本国内でのオスプレイの運用を当面停止したのは当然だが、在沖米軍トップの四軍調整官は抗議した副知事に対し「パイロットは住宅や住民に被害を与えなかった。感謝されるべきだ」と話したという。占領者意識丸出しの暴言というほかない。政府は事実確認のうえ、発言の撤回と謝罪を強く求めるべきだ。
(3)この事故と暴言は、沖縄が直面している現実を、多くの人に改めて思いおこさせた。
墜落の恐怖、騒音の苦しみ、奪われる普通のくらし、重大な事故・事件をくり返しても反省しない米軍、県民より米国の顔色をうかがう日本政府……。
(4)オスプレイは12年秋から米軍普天間飛行場に順次配備され、いまは24機にまで増えた。事故機はその中の1機だ。同飛行場をめぐっては、オスプレイも含め、夜間早朝や人口密集地上空での飛行を制限する日米合意がある。だが県の測定によると、制限時間帯でも1日平均で10回を超える騒音が記録され、有名無実化している。先月あった爆音訴訟の判決で那覇地裁沖縄支部は「米軍と国によって、住民に対する違法な被害が漫然と放置されている」と、厳しく指摘した。また、本島中部の宜野座(ぎのざ)村では先日来、オスプレイが水タンクをつり下げて民家上空を飛行する訓練を行っている。地元の抗議を米軍は無視し、政府は有効な手を打てないでいる。
(5)来週20日に普天間飛行場の移設をめぐる辺野古訴訟の最高裁判決が予定され、22日には米軍北部訓練場の一部返還がある。返還といっても、オスプレイの離着陸帯の新設が条件になっており、基地機能の強化との受けとめが沖縄では支配的だ。そんなときに起きた事故である。政府が対応を誤れば、県との間の溝はさらに深まる。
(6)米軍に原因の究明と徹底した情報公開を迫るのはもちろん、同様の事故が起きたとき、日本側も調査に関与できる仕組みの導入を働きかけるなど、県民・国民を向いた対応を求めたい。
(7)沖縄の負担はもはや限界だ。これを軽減する道を、いま一度根底から問い直す。「墜落」をその契機にしてほしい。


 各紙の社説等をまとめると次のことが言える。
(1)「一貫して配備に反対してきた沖縄県民の声にしっかり向き合う必要がある。」(神戸新聞)
(2)「脅威の根本には日本の空を自由に航行することを認めた日米地位協定がある。状況の打開へ地位協定の改定も見据えた、毅然とした対応が政府には求められる。」(高知新聞)
(3)「米軍は今回の事故について『空中給油の訓練で、給油機の燃料ホースがオスプレイのプロペラで切れて、機体が不安定になった』と説明し、機体そのものが事故原因でないことを強調する。ただ、その程度のトラブルが事故につながるのならば、やはり、どこか構造上に問題があると考えるべきではないのか。米側は過去の事故で、いずれも『人為的なミスが主要因』と総括しているが、今回は十分な検証を求めたい。」(佐賀新聞)
(4)「米軍に原因の究明と徹底した情報公開を迫るのはもちろん、同様の事故が起きたとき、日本側も調査に関与できる仕組みの導入を働きかけるなど、県民・国民を向いた対応を求めたい。」(朝日新聞)

 特に、朝日新聞の「沖縄の負担はもはや限界だ。これを軽減する道を、いま一度根底から問い直す。『墜落』をその契機にしてほしい。」、ということに尽きる。


 以下、各紙の社説、論説の引用。








(1)北海道新聞社説-オスプレイ事故 やはり起きてしまった-2016年12月15日


 重大事故への懸念が、日本国内で初めて現実になった。

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を拠点にする米海兵隊の新型輸送機オスプレイ1機が、同県名護市沖に不時着、大破した。

 翁長雄志知事が「大きな衝撃を受けている」と国に抗議し、オスプレイの飛行中止や配備撤回を求めたのはもっともだ。

 オスプレイは開発段階から墜落事故が相次いでおり、構造上の欠陥を指摘する声は根強い。

 危険性が拭えない米軍機を、普天間のような住宅密集地の中にある基地に配備すること自体、やはり根本的な問題がある。

 オスプレイの基地機能は国外の、住民被害の恐れがない場所に移すべきではないか。

 米軍側は事故機について空中給油を受ける訓練中だったと説明。燃料ホースが切れ不安定になり、普天間に戻ろうとしたが、陸地上空で不具合が生じる事態を避けるため、現場に不時着したという。

 オスプレイを巡っては、墜落や着陸失敗などによる搭乗員の死傷事故が後を絶たない。米軍側は今回の事故を重く受け止め、原因を徹底的に調査し、情報をつまびらかにせねばならない。

 理解できないのは、稲田朋美防衛相の説明である。「自発的に着水したと聞いている。墜落ではない」というが、事故機は胴体から翼がもげて大破している。墜落と受け止められても仕方あるまい。

 オスプレイは本州の各米軍基地にも飛来し、活動の幅を広げている。航空イベントで、陸自丘珠駐屯地(札幌市)に展示されたこともある。

 今回の事故で、オスプレイに対する不安が沖縄県内のみならず、全国に広がっている。

 安倍晋三首相も「重大な事故」との認識を示している。政府に求められるのは、事を穏便に済ませるための努力ではなく、国の導入計画も含め、オスプレイ配備の是非を改めて検討することだろう。

 折しも今月下旬、米軍北部訓練場(沖縄県東村など)の部分返還に関する式典が行われる。

 翁長知事は欠席の意向を事故前から表明している。県の抗議にもかかわらず、近くでオスプレイが危険な訓練を繰り返していることなどが理由だ。

 日米両政府は、式典よりも考えるべきことがあるのではないか。

 大切なのは沖縄における危険の除去である。普天間飛行場を名護市辺野古に移したところで、それは危険のたらい回しでしかない。


(2)信濃毎日新聞社説-オスプレイ事故 徹底した究明と公表を-2016年12月15日


 米軍普天間飛行場に所属する輸送機オスプレイが沖縄県名護市沖に不時着した。

 安全性への不安を募らせる事故だ。原因を徹底究明し、つぶさに公表する必要がある。

 日本国内で初めての重大事故である。13日午後9時半ごろに発生した。乗員5人は米軍が救助、2人がけがをしている。まかり間違えば、より深刻な事態になりかねなかった。

 米軍側によると、空中給油機から給油を受ける訓練中だった。燃料を渡すホースが切れ、機体が不安定になったという。普天間に帰還しようとしたものの、陸地の上空で不具合が生じるのを避けるため浅瀬を選んで不時着したと日本政府に説明している。

 どのような経緯でホースが切れたのか、なぜ不時着しなければならない状況になったのか…。説明通りだとしても、疑問は残る。尾翼が折れるなど胴体部分は大破した。不時着より墜落と言う方が適切なのではないか。

 プロペラの角度によってヘリコプターと固定翼機に飛行モードを切り替えられる。開発段階から事故が相次ぎ、安全性への懸念は根強い。2012年のモロッコでの墜落などは「人為ミス」が原因とされた。今回の事故は改めて操縦の難しさを感じさせる。

 日本政府は安全が確認されるまでの飛行停止を要請し、米側は運用を当面停止するとした。当然である。ケネディ駐日米大使は飛行再開についても日本政府と緊密に調整したいと述べている。政府は国民に対し状況を逐一、説明する必要がある。

 原因究明を米軍任せにはできない。地元の海上保安部は航空危険行為処罰法違反容疑で捜査に着手した。何があったのか、しっかり解明しなくてはならない。

 飛行の停止だけでなく、配備についても政府は米国側との交渉や再検討をすべきだ。沖縄県の翁長雄志知事は「直ちにオスプレイの飛行を中止して配備撤回を求めたい」と述べている。名護市や沖縄本島北部にある米軍訓練場の地元でも抗議の声が上がった。

 沖縄だけではない。米軍の定期整備拠点に選ばれた陸上自衛隊木更津駐屯地、経由地として頻繁に飛来している米軍岩国基地、陸自が導入する機体の配備を要請されている佐賀空港など、各地で動揺が広がっている。

 米空軍の訓練空域は長野県内を含め、全国に及ぶ。国民の間に不安を残したまま配備を進めれば反発が高まるだけだ。

(3)中日新聞社説-オスプレイ事故 家の上に落ちていたら-2016年12月15日


 沖縄県名護市沖で米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイが「不時着」した。起こるべくして起きた事故だ。米側は同機の飛行を一時停止すると表明したが、同機の国内配備そのものを見直すべきだ。

 大破したオスプレイの機体が無残な姿をさらしている。事故が起きたのは名護市のわずか八十メートル沖の浅瀬だった。これが人々の暮らす集落の上に落ちていたなら-。

 米側は「コントロールを失った状況でなく自発的に着水した」と墜落の可能性を否定するが、その言葉を県民が信用できるだろうか。国内の事故でありながら、日米地位協定を盾にして現場の捜査権は日本の警察にはなく米側にあるからだ。日本側は事故の原因究明や情報提供を、米側にお願いしているだけである。

 現場は米側が規制線を張り、機動隊は米軍の意向に沿って立ち入りを制限する。取材しようとする記者たちもそれに阻まれている。

 また、オスプレイの国内での重大事故は初めてだが、米国本土やアフガニスタン、ハワイなどでは墜落、不時着事故が相次いでいる。専門家は機体の特性として操作の難しさなど、その危険性についてずっと指摘してきた。

 にもかかわらず、日本政府の姿勢は甘い。二〇一二年に初めて普天間飛行場に配備された際、米側の安全だという説明を頼りに導入を決めた経緯がある。飛行モードの転換についても米側と覚書を結んでいるが、反故(ほご)にされている。最近も宜野座村の民有地上空で物資のつり下げ訓練が行われ、県民の批判を浴びたばかりだ。

 名護市より北の東村や国頭村では北部訓練場の一部返還条件としてヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)建設が強行されている。まさにオスプレイが使う施設で、県民は危険がさらに増える建設など受け入れられるはずもない。

 米側は同機の安全性を確認するまで飛行の一時停止を表明したが、沖縄への配備そのものと、ヘリパッド建設を中止すべきだ。

 オスプレイは普天間飛行場に二十四機が配備され、東京の横田基地にも配備計画がある。日本は主権国家らしく米国に対峙(たいじ)すべきで、米国に黙って従い配備を続行するのは無謀でしかない。

 ヘリパッドの年内完成を急ぐ日米両政府は二十二日に北部訓練場の返還式典を予定しているが、翁長雄志知事は出席しないと表明した。オスプレイが重大事故を起こして何をことほぐのか。工事を即刻中止し、式典も中止すべきだ。


(4)福井新聞論説-オスプレイ不時着、大破 犠牲リスクさらに高まる-2016年12月15日

 米軍普天間飛行場所属の新型輸送機オスプレイ1機が海上に不時着した。国内での重大事故は初めてだ。胴体や翼は大破し無残な姿をさらけ出した。以前から安全性が問題視されてきたが、やはり事故は起きた。

 沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事は配備撤回を要求している。17機を導入した陸上自衛隊は2019年度から佐賀空港に順次配備する計画で、住民らの不安が広がる。事故原因の徹底究明は当然だが、米軍の十分な情報提供がなされるかだ。早期の運行再開は許されない。

 不時着現場は普天間飛行場の移設先である名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブに近く、民家からは数百メートルしか離れていない。

 米軍側は、空中給油機から給油を受ける訓練中に機体が不安定化、浅瀬を選んで不時着したと日本政府に説明した。普天間へ帰還しようとしたが、陸地上空で不具合が生じる事態を避けたとする。米側説明は機体本体の故障ではないことを印象づけたいようだが、大破状況から「墜落だと認識している」と翁長知事が疑念を抱くのはもっともだ。

 あろうことか、米軍側は民家などを避けて被害を防いだ操縦士をたたえ、「感謝されるべきだ」などと高飛車な態度を取っている。日本を見下す姿勢がはからずも露呈した。那覇の海上保安本部は捜査を受け入れるよう米軍に申し入れている。決して事故を矮小(わいしょう)化させてはならない。

 日本政府は米側が飛行を一時停止し、再開についても話し合う意向を示したことを評価した。日米同盟の緊密な連携を強調する狙いだろうが、沖縄の抗議を無視して強行配備した責任は日本政府にもあるのだ。

 オスプレイは12年7月、岩国基地に搬入され、10月に普天間配備を開始。現在24機が運用されている。辺野古移設に際しても配備が計画され、地元は「新基地が建設されれば危険性はさらに増す」と反発する。

 さらに、米軍北部訓練場の一部返還が来週に迫る中で、条件として日本側が建設中のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)でのオスプレイ運用が想定される。政府は早々に事故原因に言及、影響を最小限にとどめようと躍起だが、沖縄の怒りを増幅させるだけだ。

 オスプレイは、輸送能力や性能は優れていても、航空機とヘリ機能を併せ持つだけに操縦が困難。機体の大きさに比べてもプロペラが小さく、機体の転換モードでは不安定になると指摘する専門家もいる。

 開発段階から事故が続発し、1991〜2000年までに4回の墜落事故が発生、30人が死亡した。昨年5月にも米ハワイ州で訓練中、着陸に失敗し、22人が死傷。13日には普天間飛行場で胴体着陸していたことが判明した。

 問題の根深さは日米安全保障条約に基づく日米地位協定の不平等条約にある。米軍の軍事機密がどれだけ提供されるのか。配備要請を受けている佐賀県など他の関係自治体、住民らの不安は強まる。日本人が犠牲になるリスクは高まった。


(5)神戸新聞社説-オスプレイ大破/沖縄県民の不安が現実に -2016年12月15日

 決して起こしてはならない事故が起きてしまった。

 沖縄県の米軍普天間飛行場に所属する新型輸送機オスプレイが名護市辺野古沖に落ち、搭乗員5人のうち2人がけがをした。空中給油の訓練中に起きた事故という。

 米軍と日本政府は「不時着」と発表したが、沖縄県は機体の破損状況から「墜落」と受け止め、オスプレイの配備撤回を求めた。

 浅瀬に横たわる事故機の映像を見ると機体はバラバラに大破し、翼が胴体部分から離れている。制御不能となったことは間違いなさそうだ。

 街中に落ちていたらどうなっていたか。1959年の宮森小学校への米軍ジェット機墜落、2004年の沖縄国際大学への大型ヘリ墜落など沖縄で起きた惨事が頭をよぎる。

 普天間飛行場の移設計画で揺れる地元辺野古や、オスプレイが使用するヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の建設が進む北部訓練場周辺で、住民から「不安が現実になった」と声が上がるのは当然である。

 今月22日にはヘリパッド建設と引き換えに米軍北部訓練場の約半分が返還され、沖縄と首相官邸で式典が開かれる予定だ。その直前の事故に、政府関係者から「最悪のタイミング」と嘆く声が聞かれる。

 日本でオスプレイの重大事故が起きたのは初めてだ。事態を重く見た在沖縄米軍はすぐに記者会見を開き、事故原因を説明するとともに県民に謝罪した。

 現在使用中のMV22オスプレイは操縦が難しいとされ、開発段階から多くの事故を起こしている。米軍は今回の事故原因を徹底的に調査するとともに、積極的に情報を公開すべきだ。その上で、一貫して配備に反対してきた沖縄県民の声にしっかり向き合う必要がある。

 沖縄で事故を起こせば、ますます住民の反基地感情が高まることは明らかで、米軍も慎重に運用してきた。それでも事故は起きた。その事実は重い。さらに同じ日、別のオスプレイが普天間飛行場で胴体着陸していたことも明らかになった。今の機種で本当に安全を確保できるのか、疑問と言うしかない。

 事故を受けて各地の米軍基地の地元で不安の声が広がる。オスプレイは陸上自衛隊も17機を導入し配備を進めている。日本政府は対応について再考すべきではないか。


(6)山陽新聞社説-オスプレイ事故 安全への不安が現実に-2016年12月15日


 沖縄にとっての不安が現実になった。決して見過ごせない重大事故である。

 沖縄・普天間飛行場に配備されていた米軍の新型輸送機オスプレイが訓練中に海上に不時着、大破した。

 日本政府は安全が確認されるまでの飛行停止と原因究明を求め、米軍側も当面の飛行停止を決めた。「大変遺憾。オスプレイ飛行の安全確保が大前提だ」と安倍晋三首相も言うように、徹底的な原因究明が不可欠だ。

 事故を起こした機体は名護市の岸から約80メートルの浅瀬で、胴体や翼が分離した状態で見つかった。乗員5人は救助され、2人がけがをした。

 事故はなぜ起きたのか。米軍の説明では、空中給油の訓練中にプロペラが給油ホースを切断して機体が不安定になり、陸地の上空での不具合を避けようと、浅瀬を選んで不時着した。機体はコントロールを失っておらず、パイロットの意思で着水したという。

 だが、機体が大破した現場を見る限り、墜落に近いようにも思える。「あわや」の状況にはなかったのだろうか。

 オスプレイは開発段階からトラブルが相次ぎ、安全性への疑問が指摘される輸送機である。これまでに墜落事故などで30人以上が死亡した。昨年5月にもハワイで着陸に失敗し、2人が死亡した。

 そのため沖縄への配備をめぐっては県民が激しく反対運動を展開。米軍が強行する形で2012年12月から本格運用が始まった。

 現在、沖縄には24機が配備されている。飛行訓練が頻繁に繰り返され、住宅地が密集している普天間飛行場周辺だけでなく、飛行ルートで住民を巻き込む事故が起きないか心配されてきた。

 今月には、オスプレイが訓練で何らかの物体をつり下げて民家の上空を連日飛行する様子が見られ、不安が広がっていたという。県民には配備や訓練がなし崩し的に拡大されたとの不満が強い。

 在沖縄米軍トップが「沖縄の人々に謝罪する」と記者会見で異例の発言をしたのも、県民感情を沈静化させたい思惑があるのだろう。

 だが、別のオスプレイが普天間飛行場で胴体着陸していたことも明らかになった。過剰な基地負担を強いられてきた沖縄が、一連の事故で態度を硬化させるのは当然だ。県は配備の撤回をあらためて求めた。米軍だけでなく、日本政府も厳しく受け止めねばならない。

 衝撃は全国各地に広がっている。オスプレイは東京、静岡などの米軍基地にたびたび飛来するほか、山口・岩国基地への26年までの配備が予定されている。輸送能力の高さが評価され、陸上自衛隊も19年度からの佐賀空港への配備を地元に要請中だ。

 こうした地域で理解を得ることは一層難しくなろう。だが、安全への懸念を払拭(ふっしょく)しないままの運用や配備は絶対にあってはならない。


(7)高知新聞社説-【オスプレイ事故】国は毅然とした対応取れ-2016年12月15日


 恐れていたことが現実となった。
 米軍の新型輸送機オスプレイが沖縄県名護市沖に不時着し大破した。搭乗員5人は救助されたが、2人がけがを負った。
 陸地から80メートルしか離れていない浅瀬。機体はプロペラがちぎれ翼がもげるなど、胴体部分がバラバラの無残な姿をさらしている。住宅密集地だったら大惨事となっていた。
 米側は空中給油訓練中、燃料ホースが切れて機体が不安定になった、と説明。陸地上空で不具合となるのを避けるため、浅瀬に不時着したとしている。在沖縄米軍トップのニコルソン沖縄地域調整官は「パイロットは県民に被害を与えなかった。感謝されるべきだ」と述べた。
 この傲岸(ごうがん)不遜さは何だろう。
 これではオスプレイの配備や運用、ひいては日米安保条約に基づく在日米軍の活動への理解など、到底得られるはずがない。
 オスプレイは開発段階からトラブルが相次ぎ、海兵隊員らが死亡する墜落事故も度々起きている。米軍はその都度、操縦士の技量など人為的ミスを原因に挙げ、機体の構造上の欠陥は否定してきた。
 日本政府も米側の「安全宣言」を受け入れ、沖縄への配備のほか陸上自衛隊への導入計画を進めている。それでも今回、国内では初となるオスプレイの重大事故が起きた。米側の説明を「うのみ」にしてきた政府の責任も問われよう。
 航空機とヘリコプターの機能を併せ持つオスプレイは、ヘリモードで降下する際、速度など一定の条件が重なると回転翼が生み出す空気の渦に入り込んでしまう。そうなると揚力を失い、制御不能に陥る構造的な問題も指摘されている。
 そもそも人為ミスによる事故が続発すること自体おかしい。ミスを誘発する機体の欠陥がありはしないか。そんな疑問も浮かんでこよう。
 今回の不時着に関しても、稲田防衛相は「コントロールを失った状況ではなく自発的に着水したと聞いている。墜落ではない」と強調している。安全性が確認されるまでの間、オスプレイの飛行停止も要請し、米軍も受け入れた。
 しかし安全を確認するには原因の究明が大前提だ。そのためには米軍の調査や発表に頼るだけではなく、日本側も主体的に事故の捜査に携わることが欠かせない。
 ところが現状では「米軍基地外での米軍機事故に関するガイドライン」によって、事故機の残骸や部品は米軍が管理する決まりとなっている。日本政府は合同調査を阻むこうした「壁」を、一つ一つ取り払っていかなければならない。
 9月には米攻撃機AV8ハリアーが沖縄本島沖に、今月もFA18戦闘攻撃機が本県沖に墜落した。米軍機事故で国民の命が脅かされている。脅威の根本には日本の空を自由に航行することを認めた日米地位協定がある。状況の打開へ地位協定の改定も見据えた、毅然(きぜん)とした対応が政府には求められる。 


(8)佐賀新聞論説-オスプレイ事故 徹底的な原因究明求めよ-2016年12月15日


 米軍の新型輸送機オスプレイが沖縄県名護市の海に落ちて大破した。同機は海外で事故が続いており、安全性が問題視されていたが、国内で初めての事故となる。沖縄県民が抱いていた不安が現実化した形になり、佐賀空港への配備計画にも影響を与えそうだ。

 海の浅瀬には原形をとどめず、バラバラになった機体が散乱していた。米軍の乗組員5人が無事だったことは幸いだった。しかし、現場近くには住宅街がある。民家に落ちていたらと想像すると、ぞっとする。

 沖縄県は国が進める米軍普天間飛行場の辺野古移転について反対を唱え続けている。同県では大学敷地内にヘリコプターが墜落するなど米軍機の事故が相次いだ。翁長雄志知事が「とんでもないこと」と怒るのはもっともだ。

 オスプレイは両翼に可動式のプロペラがあり、飛行機のように速く飛べるだけでなく、ヘリコプターのように垂直離着陸できる。活用範囲が広い新型機として期待も大きい。しかし、米兵2人が死亡した昨年5月のハワイの墜落事故など海外で事故が続いている。

 米軍は今回の事故について「空中給油の訓練で、給油機の燃料ホースがオスプレイのプロペラで切れて、機体が不安定になった」と説明し、機体そのものが事故原因でないことを強調する。

 ただ、その程度のトラブルが事故につながるのならば、やはり、どこか構造上に問題があると考えるべきではないのか。米側は過去の事故で、いずれも「人為的なミスが主要因」と総括しているが、今回は十分な検証を求めたい。

 日本も1機100億円超の大金で購入し、自衛隊機として使用する計画だ。今、しっかり安全性を調べておかないと、操縦する自衛隊員が危険にさらされるし、今後の事故も「人為的なミス」で片付けられる恐れさえある。

 気になるのは事故について、日米ともに「不時着」という言葉を使い続けている点だ。不時着とは、操縦者の制御がきく状態で、目的地以外に緊急着陸することを意味する。

 機体が大破している状況を見れば、「墜落」ととれる。在沖縄米軍トップの「パイロットは県民に被害を与えないように不時着した。感謝されるべきだ」という説明には強い違和感を覚える。

 事故の影響を最小限に抑えようという意図でもあるのだろうか。米軍のトラブルはいつも日米同盟の厚いベールに包まれ、十分な情報が出てこない。日本政府も過剰な配慮で米軍をかばう。この構図が今回の「不時着」事故でも出てきて、検証が不十分なまま終結しないか不安もある。

 防衛省は今、佐賀空港へのオスプレイ配備計画をめぐり、佐賀県と交渉を続けている。配備予定の17機はすべて事故機と同型機だ。また、米軍が訓練で佐賀空港を使用する可能性も残っており、事故は無関係とは言えない。

 山口祥義知事が「原因がうやむやのままで、受け入れの判断をすることはありえない」と徹底的な究明を求めているが当然だろう。

 佐賀県の場合、住宅街に落ちるのも恐ろしいが、海に落ちてもノリ漁など漁業に甚大な被害を与える。安全性に不安を抱えた機体が国防に貢献するということは考えられない。(日高勉)


(9)南日本新聞社説-[オスプレイ大破] 総点検まで運用停止を-2016年12月15日



 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属の新型輸送機オスプレイ1機がおとといの夜、名護市沖の浅瀬に不時着した。

 胴体付近から翼がもげて大破した機体を、海面にさらす無残な姿に軍用機の面影はない。

 日本でオスプレイの重大事故は初めてだ。乗員5人は米軍が救出したが、人家などに落ちていたらと思うとぞっとする。

 沖縄県の翁長雄志知事は沖縄防衛局長に「オスプレイの配備撤回を求めたい」と述べた。県民の安全を守る立場から当然だろう。

 稲田朋美防衛相も在日米軍に、安全が確認されるまでの飛行停止と原因究明を要請した。翁長知事と同様、配備見直しに踏み込むぐらいの姿勢で臨むべきだ。

 米軍は事故を重く受け止め、原因究明を徹底してもらいたい。

 同時に、日本側に説明した「自発的着水」についても真相を明らかにするため、第11管区海上保安本部(那覇)の捜査を受け入れるべきだ。

 機体が大破しているのになぜ墜落ではないのか、国民が納得する説明が必要である。

 事故現場は、普天間飛行場の移設先である名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブからわずか湾一つ挟んだ所にある。

 移設に反対する沖縄県と名護市が「基地ができればオスプレイの危険度が増す」と、反発を強めるのは避けられまい。

 オスプレイは主翼両端のプロペラの角度を変えて、ヘリコプターのような垂直離着陸と固定翼機並みの速度での飛行ができる。

 だが、開発段階から事故が相次ぎ安全性が懸念されてきた。

 1991~2000年に起きた4回の墜落事故で30人が犠牲になった。量産決定後の12年から15年にかけては、モロッコや米・ハワイでの墜落事故などで海兵隊員らが死傷した。

 事故機のほとんどは海兵隊仕様のMV22で今回もそうだった。在日米軍は普天間飛行場に24機配備している。

 そのうち数機が、海上自衛隊鹿屋基地で予定される米軍岩国基地(山口県)の空中給油機の訓練に参加することになっている。

 鹿屋でのオスプレイの訓練は地上給油とされるものの、飛来してくることに変わりはない。防衛省は「MV22の安全性を確認した」としていたが、実際に事故は起きたのである。

 オスプレイは陸上自衛隊が17機の導入を計画するなど国内で増える恐れがある。その導入や鹿屋での訓練前に全機を総点検し、終わるまでは運用停止を求めたい。


(10)琉球新報社説-<社説>オスプレイ墜落 海兵隊撤退しかない 訓練場返還式典は中止せよ-2016年12月15日


 この危険で不気味な灰色の機体が飛ぶ限り、どこに落ちてもおかしくない。県民の命と尊厳を守り、犠牲者を出さないためになすべきことが一層鮮明になった。
 それは危険機種の撤収にとどまらない。欠陥機を運用する在沖米海兵隊の全面撤退と辺野古新基地、高江ヘリ着陸帯の建設断念を強く求める。
 海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイが13日夜、名護市安部の海岸に墜落した。多くの県民が「落ちるべくして落ちた」と背筋が凍る恐怖感を味わっている。
 沖縄配備を強行した上、危険な訓練を放置する日米両政府への強い怒りが基地の島に充満している。

見苦しい矮小化

 日米両政府は北部訓練場の過半返還の記念式典を22日に催す予定だが、東村高江のヘリ着陸帯建設を急ぐ強権的対応が強い反発を招く中、墜落事故まで起きた。式典強行は県民感情を逆なでする。
 翁長雄志知事は式典中止を要求した。北部訓練場は返還を前に基地機能強化が際立ち、安倍政権が口にする「負担軽減」は虚飾に満ちている。安倍政権で「基地負担軽減」を担う菅義偉官房長官は式典中止を決断すべきだ。
 海兵隊によると、事故機は空中給油を受ける訓練中に切れた給油管がプロペラを破損し、不安定になったという。制御できなくなったから海に落ちたのだ。墜落の衝撃で機体はバラバラになって波間に漂った。それでも海兵隊と日本政府は「不時着」と言い張る。オスプレイが使う辺野古新基地計画などへの影響を抑えようとする矮小(わいしょう)化は見苦しい。
 墜落の要因は激しい訓練にもある。高江ヘリ着陸帯への離着陸の頻度は増し、宜野座村や金武町の抗議をよそに、騒音防止協定に抵触する深夜まで両町村の住宅地上空で物資宙づり訓練が続いている。
 そして、今回の墜落は風速が強い暗闇の中での空中給油訓練中に起きた。練度向上を最優先し、民意を無視して危険な訓練を強行する海兵隊の組織体制、人権意識の希薄さが引き起こしたのだ。同じ日の夜、配備先の普天間飛行場に別のオスプレイが胴体着陸していたことも明らかになった。
 海兵隊の安全管理は全く機能していない。オスプレイを巡り、2012年に全41市町村長と議長が建白書に署名し、「オール沖縄」で配備に反対した。今も建白書は生きている。翁長県政は海兵隊撤退にこぎ着ける包括的基地施策を立案し、日米政府との折衝力を高めてもらいたい。

県民見下す暴言

 駐留する地の住民感情を全く認識していない。この人の思考回路はどうなっているのか。米軍統治下に逆戻りしたかと錯覚する。
 安慶田光男副知事の抗議に対し、在沖海兵隊トップのニコルソン四軍調整官は「操縦士は住宅、住民に被害を与えなかった。県民に感謝されるべきだ。表彰ものだ」とのたまい、抗議されること自体に不満を示した。机をたたき「政治問題にするのか」と開き直る場面もあった、という。
 沖縄を見下す「植民地意識丸出し」(安慶田副知事)の暴言だ。トップの姿勢が軍隊組織に悪影響を及ぼす。海兵隊は沖縄社会と到底相いれない異物と化している。一刻も早く姿を消してもらいたい。
 県内での米軍機墜落は今年2件目で日本復帰後48件目だ。年に1度以上、米軍機が落ちる都道府県がどこにあるのか。オスプレイは試作段階を含めて墜落事故が相次ぎ、37人が犠牲になっている。
 この欠陥機が飛び続ければ、墜落などの重大事故は避けられない。安全対策を尽くすといっても新たな犠牲を防ぐ担保にはならない。沖縄の空から消えてもらうしかないのである。
 海上保安庁の合同検証要求に対する米軍の返答はなく、現場から報道陣を遠ざけるよう県警に規制を促す場面もあった。日本の主権が発揮できない現場統制、日米地位協定の欠陥も正さねばならない。


(11)沖縄タイムス社説-[オスプレイ墜落]海兵隊撤退へ舵を切れ-2016年12月15日


 もはや悠長なことを言ってはいられない。政府や米軍が事態の沈静化を優先し、その場しのぎの対応に終始するのであれば、犠牲者を出す前に、私たち自身が強い意思と覚悟をもって対処していかなければならない。

 米軍普天間飛行場に所属する垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが13日夜、名護市安部沿岸の浅瀬に墜落した。

 プロペラがちぎれ、尾翼が折れ、胴体部分はバラバラに大破していた。機体が相当な衝撃を受けたということである。

 米軍の説明によると、本島の東約30キロの上空で夜間の空中給油訓練中、給油機のKC130からオスプレイに燃料を送るホースが切れ、それが原因で不具合が生じた。

 同じ日の夜、別のオスプレイは、着陸装置に問題が生じ、普天間飛行場に胴体着陸していた。
■    ■
 キャンプ・ハンセンに隣接する宜野座村城原区の上空では12月に入って、オスプレイによる物資つり下げ訓練や夜間の旋回飛行訓練が続いた。 12日には城原区(崎濱秀正区長)が沖縄防衛局や県を訪ね、ファルコンと呼ばれるハンセンの着陸帯の撤去とつり下げ訓練の即時中止を申し入れたばかりである。その直後の、オスプレイの重大事故。 だが、安慶田光男副知事の抗議を受けた在沖米海兵隊トップのニコルソン四軍調整官は「遺憾に思う」としながらも、かなり興奮した様子で、

「パイロットは住民にも住宅にも被害を与えなかった。パイロットのすばらしい行動は感謝されるべきだ」とテーブルをたたいてまくし立てた、という。

 この発言に見られるのは、典型的な「軍人の論理」「軍隊の論理」である。

 県を代表して抗議した安慶田副知事に逆ギレしたということは、四軍調整官としての資質に著しく欠けることを自ら暴露したようなものだ。

 外務省や防衛省は、沖縄で「住民第一」ではなく「米軍ファースト」の基地政策を取り続けている。その結果、米軍の権利主張が強まり、過重負担の解消を求める県民の取り組みに露骨な敵意を示すようになった。

 安全が確認されるまでオスプレイの飛行を停止する、と米軍は言う。機体の欠陥や故障などが原因でないとすれば、どういう方法で安全を確認するのか。

 住民生活への影響なしに、この狭い島で訓練を繰り返すことはおよそ不可能であり、墜落の危険と不安は絶えずつきまとう。
■    ■
 もはやオスプレイの配備撤回と海兵隊撤退を求め舵(かじ)を切る以外に、抜本的な解決の道は見いだせない。

 全市町村長が署名し、安倍晋三首相にオスプレイの配備撤回を要請した「建白書」の精神に立ち返るときだ。

 海兵隊撤退によって安全保障上の不安が高まるのであれば、本土側が引き取るか、グアム、ハワイを含むアジアへの分散配備をもっと進めるべきだ。

 沖縄に犠牲と負担を押しつけ続ける安全保障政策は維持できない。

 まず成すべきことは、米軍普天間飛行場の一日も早い運用停止に向け、早急に日米協議を開始することである。

 当面の緊急措置としては、宜野座村城原区に隣接するキャンプ・ハンセンのヘリパッドや、東村高江を取り囲むように設置された北部訓練場のヘリパッドを使ったオスプレイ訓練を中止することだ。

 犠牲者を出してからでは遅い。
■    ■
 政府は22日、北部訓練場の約半分の返還に合わせ、記念式典を開く。

 負担軽減をアピールする狙いがあるのだろう。だが、面積を減らすことが直ちに負担軽減につながるわけではない。高江の人々からすればヘリパッドの移設は、被害の拡大にほかならない。

 オスプレイの墜落事故が起き、宜野座村城原区や東村高江の人々がオスプレイ訓練に悲鳴を上げているこのときに、ほんとうに式典を開くつもりなのか。「政治ショー」を中止し、両地域の被害をなくすことに傾注すべきである。


(12)朝日新聞社説-オスプレイ大破 懸念が現実になった-2016年12月15日


 米軍や政府は「不時着」だというが、翁長知事が示した「墜落」との認識こそふさわしい。

 沖縄県名護市で米軍の輸送機オスプレイが事故を起こした。海岸の集落から300メートルほどしか離れていない浅瀬に、大破して横たわる機体の残骸は、事態の深刻さを雄弁に物語る。

 許しがたいのは米軍側の態度である。日本国内でのオスプレイの運用を当面停止したのは当然だが、在沖米軍トップの四軍調整官は抗議した副知事に対し「パイロットは住宅や住民に被害を与えなかった。感謝されるべきだ」と話したという。

 占領者意識丸出しの暴言というほかない。政府は事実確認のうえ、発言の撤回と謝罪を強く求めるべきだ。

 この事故と暴言は、沖縄が直面している現実を、多くの人に改めて思いおこさせた。

 墜落の恐怖、騒音の苦しみ、奪われる普通のくらし、重大な事故・事件をくり返しても反省しない米軍、県民より米国の顔色をうかがう日本政府……。

 オスプレイは12年秋から米軍普天間飛行場に順次配備され、いまは24機にまで増えた。事故機はその中の1機だ。

 同飛行場をめぐっては、オスプレイも含め、夜間早朝や人口密集地上空での飛行を制限する日米合意がある。だが県の測定によると、制限時間帯でも1日平均で10回を超える騒音が記録され、有名無実化している。

 先月あった爆音訴訟の判決で那覇地裁沖縄支部は「米軍と国によって、住民に対する違法な被害が漫然と放置されている」と、厳しく指摘した。

 また、本島中部の宜野座(ぎのざ)村では先日来、オスプレイが水タンクをつり下げて民家上空を飛行する訓練を行っている。地元の抗議を米軍は無視し、政府は有効な手を打てないでいる。

 来週20日に普天間飛行場の移設をめぐる辺野古訴訟の最高裁判決が予定され、22日には米軍北部訓練場の一部返還がある。返還といっても、オスプレイの離着陸帯の新設が条件になっており、基地機能の強化との受けとめが沖縄では支配的だ。

 そんなときに起きた事故である。政府が対応を誤れば、県との間の溝はさらに深まる。

 米軍に原因の究明と徹底した情報公開を迫るのはもちろん、同様の事故が起きたとき、日本側も調査に関与できる仕組みの導入を働きかけるなど、県民・国民を向いた対応を求めたい。

 沖縄の負担はもはや限界だ。これを軽減する道を、いま一度根底から問い直す。「墜落」をその契機にしてほしい。


(13)東京新聞社説-オスプレイ事故 家の上に落ちていたら-2016年12月15日


 沖縄県名護市沖で米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイが「不時着」した。起こるべくして起きた事故だ。米側は同機の飛行を一時停止すると表明したが、同機の国内配備そのものを見直すべきだ。

 大破したオスプレイの機体が無残な姿をさらしている。事故が起きたのは名護市のわずか八十メートル沖の浅瀬だった。これが人々の暮らす集落の上に落ちていたなら-。

 米側は「コントロールを失った状況でなく自発的に着水した」と墜落の可能性を否定するが、その言葉を県民が信用できるだろうか。国内の事故でありながら、日米地位協定を盾にして現場の捜査権は日本の警察にはなく米側にあるからだ。日本側は事故の原因究明や情報提供を、米側にお願いしているだけである。

 現場は米側が規制線を張り、機動隊は米軍の意向に沿って立ち入りを制限する。取材しようとする記者たちもそれに阻まれている。

 また、オスプレイの国内での重大事故は初めてだが、米国本土やアフガニスタン、ハワイなどでは墜落、不時着事故が相次いでいる。専門家は機体の特性として操作の難しさなど、その危険性についてずっと指摘してきた。

 にもかかわらず、日本政府の姿勢は甘い。二〇一二年に初めて普天間飛行場に配備された際、米側の安全だという説明を頼りに導入を決めた経緯がある。飛行モードの転換についても米側と覚書を結んでいるが、反故(ほご)にされている。最近も宜野座村の民有地上空で物資のつり下げ訓練が行われ、県民の批判を浴びたばかりだ。

 名護市より北の東村や国頭村では北部訓練場の一部返還条件としてヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)建設が強行されている。まさにオスプレイが使う施設で、県民は危険がさらに増える建設など受け入れられるはずもない。

 米側は同機の安全性を確認するまで飛行の一時停止を表明したが、沖縄への配備そのものと、ヘリパッド建設を中止すべきだ。

 オスプレイは普天間飛行場に二十四機が配備され、東京の横田基地にも配備計画がある。日本は主権国家らしく米国に対峙(たいじ)すべきで、米国に黙って従い配備を続行するのは無謀でしかない。

 ヘリパッドの年内完成を急ぐ日米両政府は二十二日に北部訓練場の返還式典を予定しているが、翁長雄志知事は出席しないと表明した。オスプレイが重大事故を起こして何をことほぐのか。工事を即刻中止し、式典も中止すべきだ。


by asyagi-df-2014 | 2016-12-18 11:43 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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