「オスプレイが沖縄県名護市の安部の浅瀬に墜落」を琉球新報及び沖縄タイムスの社説で考える。

 標題について、考える。
今回の「墜落」の構図を、琉球新報は次のように指摘する。


「墜落の要因は激しい訓練にもある。高江ヘリ着陸帯への離着陸の頻度は増し、宜野座村や金武町の抗議をよそに、騒音防止協定に抵触する深夜まで両町村の住宅地上空で物資宙づり訓練が続いている。そして、今回の墜落は風速が強い暗闇の中での空中給油訓練中に起きた。練度向上を最優先し、民意を無視して危険な訓練を強行する海兵隊の組織体制、人権意識の希薄さが引き起こしたのだ。同じ日の夜、配備先の普天間飛行場に別のオスプレイが胴体着陸していたことも明らかになった。」


 あわせて、琉球新報と沖縄タイムスは、米国の軍事植民主義に基づく「軍隊の論理」での対応のあり方に、次のように強く抗議する。


「駐留する地の住民感情を全く認識していない。この人の思考回路はどうなっているのか。米軍統治下に逆戻りしたかと錯覚する。安慶田光男副知事の抗議に対し、在沖海兵隊トップのニコルソン四軍調整官は『操縦士は住宅、住民に被害を与えなかった。県民に感謝されるべきだ。表彰ものだ』とのたまい、抗議されること自体に不満を示した。机をたたき「政治問題にするのか」と開き直る場面もあった、という。沖縄を見下す『植民地意識丸出し』(安慶田副知事)の暴言だ。トップの姿勢が軍隊組織に悪影響を及ぼす。海兵隊は沖縄社会と到底相いれない異物と化している。一刻も早く姿を消してもらいたい。」(琉球新報)

「安慶田光男副知事の抗議を受けた在沖米海兵隊トップのニコルソン四軍調整官は『遺憾に思う』としながらも、かなり興奮した様子で、『パイロットは住民にも住宅にも被害を与えなかった。パイロットのすばらしい行動は感謝されるべきだ』とテーブルをたたいてまくし立てた、という。この発言に見られるのは、典型的な『軍人の論理』『軍隊の論理』である。県を代表して抗議した安慶田副知事に逆ギレしたということは、四軍調整官としての資質に著しく欠けることを自ら暴露したようなものだ。」


 さて、両紙の主張のまとめは次のようになる。

Ⅰ.琉球新報
(1)この危険で不気味な灰色の機体が飛ぶ限り、どこに落ちてもおかしくない。県民の命と尊厳を守り、犠牲者を出さないためになすべきことが一層鮮明になった。それは危険機種の撤収にとどまらない。欠陥機を運用する在沖米海兵隊の全面撤退と辺野古新基地、高江ヘリ着陸帯の建設断念を強く求める。
(2)海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイが13日夜、名護市安部の海岸に墜落した。多くの県民が「落ちるべくして落ちた」と背筋が凍る恐怖感を味わっている。沖縄配備を強行した上、危険な訓練を放置する日米両政府への強い怒りが基地の島に充満している。
(3)日米両政府は北部訓練場の過半返還の記念式典を22日に催す予定だが、東村高江のヘリ着陸帯建設を急ぐ強権的対応が強い反発を招く中、墜落事故まで起きた。式典強行は県民感情を逆なでする。翁長雄志知事は式典中止を要求した。北部訓練場は返還を前に基地機能強化が際立ち、安倍政権が口にする「負担軽減」は虚飾に満ちている。安倍政権で「基地負担軽減」を担う菅義偉官房長官は式典中止を決断すべきだ。
(4)海兵隊によると、事故機は空中給油を受ける訓練中に切れた給油管がプロペラを破損し、不安定になったという。制御できなくなったから海に落ちたのだ。墜落の衝撃で機体はバラバラになって波間に漂った。それでも海兵隊と日本政府は「不時着」と言い張る。オスプレイが使う辺野古新基地計画などへの影響を抑えようとする矮小化は見苦しい。
(5)海兵隊の安全管理は全く機能していない。オスプレイを巡り、2012年に全41市町村長と議長が建白書に署名し、「オール沖縄」で配備に反対した。今も建白書は生きている。翁長県政は海兵隊撤退にこぎ着ける包括的基地施策を立案し、日米政府との折衝力を高めてもらいたい。
(6)県内での米軍機墜落は今年2件目で日本復帰後48件目だ。年に1度以上、米軍機が落ちる都道府県がどこにあるのか。オスプレイは試作段階を含めて墜落事故が相次ぎ、37人が犠牲になっている。この欠陥機が飛び続ければ、墜落などの重大事故は避けられない。安全対策を尽くすといっても新たな犠牲を防ぐ担保にはならない。沖縄の空から消えてもらうしかないのである。
(7)海上保安庁の合同検証要求に対する米軍の返答はなく、現場から報道陣を遠ざけるよう県警に規制を促す場面もあった。日本の主権が発揮できない現場統制、日米地位協定の欠陥も正さねばならない。


Ⅱ.沖縄タイムス
(1)外務省や防衛省は、沖縄で「住民第一」ではなく「米軍ファースト」の基地政策を取り続けている。その結果、米軍の権利主張が強まり、過重負担の解消を求める県民の取り組みに露骨な敵意を示すようになった。安全が確認されるまでオスプレイの飛行を停止する、と米軍は言う。機体の欠陥や故障などが原因でないとすれば、どういう方法で安全を確認するのか。住民生活への影響なしに、この狭い島で訓練を繰り返すことはおよそ不可能であり、墜落の危険と不安は絶えずつきまとう。もはやオスプレイの配備撤回と海兵隊撤退を求め舵を切る以外に、抜本的な解決の道は見いだせない。
(2)海兵隊撤退によって安全保障上の不安が高まるのであれば、本土側が引き取るか、グアム、ハワイを含むアジアへの分散配備をもっと進めるべきだ。沖縄に犠牲と負担を押しつけ続ける安全保障政策は維持できない。まず成すべきことは、米軍普天間飛行場の一日も早い運用停止に向け、早急に日米協議を開始することである。
(3)当面の緊急措置としては、宜野座村城原区に隣接するキャンプ・ハンセンのヘリパッドや、東村高江を取り囲むように設置された北部訓練場のヘリパッドを使ったオスプレイ訓練を中止することだ。
(4)犠牲者を出してからでは遅い。
(5)政府は22日、北部訓練場の約半分の返還に合わせ、記念式典を開く。負担軽減をアピールする狙いがあるのだろう。だが、面積を減らすことが直ちに負担軽減につながるわけではない。高江の人々からすればヘリパッドの移設は、被害の拡大にほかならない。オスプレイの墜落事故が起き、宜野座村城原区や東村高江の人々がオスプレイ訓練に悲鳴を上げているこのときに、ほんとうに式典を開くつもりなのか。「政治ショー」を中止し、両地域の被害をなくすことに傾注すべきである。


 今回の「墜落」事故を受けて、基本にならなけねばならないのは、「犠牲者を出してからでは遅い。」、ということである。
 それは、沖縄タイムスの「もはや悠長なことを言ってはいられない。政府や米軍が事態の沈静化を優先し、その場しのぎの対応に終始するのであれば、犠牲者を出す前に、私たち自身が強い意思と覚悟をもって対処していかなければならない。」、ということでもある。
 具体的には、琉球新報の「危険機種の撤収にとどまらない。欠陥機を運用する在沖米海兵隊の全面撤退と辺野古新基地、高江ヘリ着陸帯の建設断念を強く求める。」、
沖縄タイムスの「もはやオスプレイの配備撤回と海兵隊撤退を求め舵を切る以外に、抜本的な解決の道は見いだせない。」、ということである。


 以下、琉球新報、沖縄タイムスの引用。








(1)琉球新報社説-<社説>オスプレイ墜落 海兵隊撤退しかない 訓練場返還式典は中止せよ-2016年12月15日


 この危険で不気味な灰色の機体が飛ぶ限り、どこに落ちてもおかしくない。県民の命と尊厳を守り、犠牲者を出さないためになすべきことが一層鮮明になった。
 それは危険機種の撤収にとどまらない。欠陥機を運用する在沖米海兵隊の全面撤退と辺野古新基地、高江ヘリ着陸帯の建設断念を強く求める。
 海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイが13日夜、名護市安部の海岸に墜落した。多くの県民が「落ちるべくして落ちた」と背筋が凍る恐怖感を味わっている。
 沖縄配備を強行した上、危険な訓練を放置する日米両政府への強い怒りが基地の島に充満している。

見苦しい矮小化

 日米両政府は北部訓練場の過半返還の記念式典を22日に催す予定だが、東村高江のヘリ着陸帯建設を急ぐ強権的対応が強い反発を招く中、墜落事故まで起きた。式典強行は県民感情を逆なでする。
 翁長雄志知事は式典中止を要求した。北部訓練場は返還を前に基地機能強化が際立ち、安倍政権が口にする「負担軽減」は虚飾に満ちている。安倍政権で「基地負担軽減」を担う菅義偉官房長官は式典中止を決断すべきだ。
 海兵隊によると、事故機は空中給油を受ける訓練中に切れた給油管がプロペラを破損し、不安定になったという。制御できなくなったから海に落ちたのだ。墜落の衝撃で機体はバラバラになって波間に漂った。それでも海兵隊と日本政府は「不時着」と言い張る。オスプレイが使う辺野古新基地計画などへの影響を抑えようとする矮小(わいしょう)化は見苦しい。
 墜落の要因は激しい訓練にもある。高江ヘリ着陸帯への離着陸の頻度は増し、宜野座村や金武町の抗議をよそに、騒音防止協定に抵触する深夜まで両町村の住宅地上空で物資宙づり訓練が続いている。
 そして、今回の墜落は風速が強い暗闇の中での空中給油訓練中に起きた。練度向上を最優先し、民意を無視して危険な訓練を強行する海兵隊の組織体制、人権意識の希薄さが引き起こしたのだ。同じ日の夜、配備先の普天間飛行場に別のオスプレイが胴体着陸していたことも明らかになった。
 海兵隊の安全管理は全く機能していない。オスプレイを巡り、2012年に全41市町村長と議長が建白書に署名し、「オール沖縄」で配備に反対した。今も建白書は生きている。翁長県政は海兵隊撤退にこぎ着ける包括的基地施策を立案し、日米政府との折衝力を高めてもらいたい。

県民見下す暴言

 駐留する地の住民感情を全く認識していない。この人の思考回路はどうなっているのか。米軍統治下に逆戻りしたかと錯覚する。
 安慶田光男副知事の抗議に対し、在沖海兵隊トップのニコルソン四軍調整官は「操縦士は住宅、住民に被害を与えなかった。県民に感謝されるべきだ。表彰ものだ」とのたまい、抗議されること自体に不満を示した。机をたたき「政治問題にするのか」と開き直る場面もあった、という。
 沖縄を見下す「植民地意識丸出し」(安慶田副知事)の暴言だ。トップの姿勢が軍隊組織に悪影響を及ぼす。海兵隊は沖縄社会と到底相いれない異物と化している。一刻も早く姿を消してもらいたい。
 県内での米軍機墜落は今年2件目で日本復帰後48件目だ。年に1度以上、米軍機が落ちる都道府県がどこにあるのか。オスプレイは試作段階を含めて墜落事故が相次ぎ、37人が犠牲になっている。
 この欠陥機が飛び続ければ、墜落などの重大事故は避けられない。安全対策を尽くすといっても新たな犠牲を防ぐ担保にはならない。沖縄の空から消えてもらうしかないのである。
 海上保安庁の合同検証要求に対する米軍の返答はなく、現場から報道陣を遠ざけるよう県警に規制を促す場面もあった。日本の主権が発揮できない現場統制、日米地位協定の欠陥も正さねばならない。


(2)沖縄タイムス社説-[オスプレイ墜落]海兵隊撤退へ舵を切れ-2016年12月15日


 もはや悠長なことを言ってはいられない。政府や米軍が事態の沈静化を優先し、その場しのぎの対応に終始するのであれば、犠牲者を出す前に、私たち自身が強い意思と覚悟をもって対処していかなければならない。

 米軍普天間飛行場に所属する垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが13日夜、名護市安部沿岸の浅瀬に墜落した。

 プロペラがちぎれ、尾翼が折れ、胴体部分はバラバラに大破していた。機体が相当な衝撃を受けたということである。

 米軍の説明によると、本島の東約30キロの上空で夜間の空中給油訓練中、給油機のKC130からオスプレイに燃料を送るホースが切れ、それが原因で不具合が生じた。

 同じ日の夜、別のオスプレイは、着陸装置に問題が生じ、普天間飛行場に胴体着陸していた。
■    ■
 キャンプ・ハンセンに隣接する宜野座村城原区の上空では12月に入って、オスプレイによる物資つり下げ訓練や夜間の旋回飛行訓練が続いた。 12日には城原区(崎濱秀正区長)が沖縄防衛局や県を訪ね、ファルコンと呼ばれるハンセンの着陸帯の撤去とつり下げ訓練の即時中止を申し入れたばかりである。その直後の、オスプレイの重大事故。だが、安慶田光男副知事の抗議を受けた在沖米海兵隊トップのニコルソン四軍調整官は「遺憾に思う」としながらも、かなり興奮した様子で、

「パイロットは住民にも住宅にも被害を与えなかった。パイロットのすばらしい行動は感謝されるべきだ」とテーブルをたたいてまくし立てた、という。

 この発言に見られるのは、典型的な「軍人の論理」「軍隊の論理」である。

 県を代表して抗議した安慶田副知事に逆ギレしたということは、四軍調整官としての資質に著しく欠けることを自ら暴露したようなものだ。

 外務省や防衛省は、沖縄で「住民第一」ではなく「米軍ファースト」の基地政策を取り続けている。その結果、米軍の権利主張が強まり、過重負担の解消を求める県民の取り組みに露骨な敵意を示すようになった。

 安全が確認されるまでオスプレイの飛行を停止する、と米軍は言う。機体の欠陥や故障などが原因でないとすれば、どういう方法で安全を確認するのか。

 住民生活への影響なしに、この狭い島で訓練を繰り返すことはおよそ不可能であり、墜落の危険と不安は絶えずつきまとう。
■    ■
 もはやオスプレイの配備撤回と海兵隊撤退を求め舵(かじ)を切る以外に、抜本的な解決の道は見いだせない。

 全市町村長が署名し、安倍晋三首相にオスプレイの配備撤回を要請した「建白書」の精神に立ち返るときだ。

 海兵隊撤退によって安全保障上の不安が高まるのであれば、本土側が引き取るか、グアム、ハワイを含むアジアへの分散配備をもっと進めるべきだ。

 沖縄に犠牲と負担を押しつけ続ける安全保障政策は維持できない。

 まず成すべきことは、米軍普天間飛行場の一日も早い運用停止に向け、早急に日米協議を開始することである。

 当面の緊急措置としては、宜野座村城原区に隣接するキャンプ・ハンセンのヘリパッドや、東村高江を取り囲むように設置された北部訓練場のヘリパッドを使ったオスプレイ訓練を中止することだ。

 犠牲者を出してからでは遅い。
■    ■
 政府は22日、北部訓練場の約半分の返還に合わせ、記念式典を開く。

 負担軽減をアピールする狙いがあるのだろう。だが、面積を減らすことが直ちに負担軽減につながるわけではない。高江の人々からすればヘリパッドの移設は、被害の拡大にほかならない。

 オスプレイの墜落事故が起き、宜野座村城原区や東村高江の人々がオスプレイ訓練に悲鳴を上げているこのときに、ほんとうに式典を開くつもりなのか。「政治ショー」を中止し、両地域の被害をなくすことに傾注すべきである。


by asyagi-df-2014 | 2016-12-17 09:31 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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