辺野古裁判沖縄県敗訴を考える。(4)

 琉球新報は2016年12月12日、「名護市辺野古の新基地建設を巡り、石井啓一国土交通相が翁長雄志知事を訴えた「辺野古違法確認訴訟」で最高裁は12日までに、上告審判決を今月20日午後3時に言い渡すことを決めた。辺野古沿岸部の埋め立て承認取り消しを違法とし、知事が敗訴した福岡高裁那覇支部の判決の見直しに必要な弁論を開かないため、県側敗訴が確定する見通し。」、と報じた。
今回の「辺野古裁判沖縄県敗訴」を考える

 このことに関して、沖縄タイムスは2016年12月13日、「判決は違法確認のみ、工事再開に直結せず 辺野古訴訟:元裁判官に聞く」、と元裁判官仲宗根勇さんの話を掲載した。
 これを要約する。


Ⅰ.確定判決
(1)法的には「県敗訴=工事再開」ではない。今回のような確認訴訟の判決は違法であることの確認にすぎず、執行力がない。翁長雄志知事が埋め立て承認取り消し処分を自発的に取り消すという行政手続きをとらない限り、国が工事を再開する根拠は復活しない。
(2)憲法の保障する自治権の観点からすれば、確定判決を前提にいかなる措置を講じるかは、翁長知事の意思に委ねられる。地方自治法は、自治体が違法とされた事務処理を放置し続けることを想定し、極めて強権的な「代執行」の手続きを設けている。
(3)翁長知事は「確定判決に従う」「取り消し処分を取り消す」と明言。「司法判断に従うのは行政の長として当然」と説明してきた。一方、仲宗根氏は国と地方が対等・協力の関係になった1999年改正の地方自治法の趣旨に基づけば「県の利益を守るために代執行訴訟まで争うという選択も、知事の責任を果たすことになる」と主張した。
Ⅱ.和解条項
(1)和解条項では、承認取り消しを違法とする国の是正指示に対し、国地方係争処理委員会の審査をへて、県が国を相手に訴訟を提起すると定める。しかし、実際には係争委は違法、適法を判断せず、協議を求めた。県は提訴を見送り、国が県を相手に「違法確認訴訟」を起こす展開になった。
(2)県は、違法確認訴訟を和解条項の「枠外」、国は「枠内」と位置付ける。国がこだわる理由を仲宗根氏は「9項のわなを生かすためだ」とみる。9項には「判決に従い、主文及びそれを導く理由に沿った手続きを実施する」と明記する。
(3)確定判決が訴訟後も影響を持つ「既判力」について、民事訴訟法114条1項は「主文に限る」と定める。つまり、9項は本来既判力のない「理由」に既判力を持たせる内容で、有効であれば県はそれに反する主張ができなくなる。仮に「辺野古が唯一」といった高裁判決が確定すると、今後の知事権限を行使する際、県は従来の主張を封印される可能性がある。菅義偉官房長官が「最高裁が最終判断」と述べ、訴訟後の翁長氏の権限行使をけん制するのはそのためだ。
(4)仲宗根氏は国の動きを警戒しつつ、「国が違法確認訴訟を起こした時点で9項は死んだ。訴訟後は和解条項に拘束されないと考えるべきだ」と県の立場を支持している。


 今後に向けて、いくつかのことを整理することができる。
 

(1)法的には「県敗訴=工事再開」ではない。
(2)国が工事を再開する根拠の復活は、翁長雄志知事が埋め立て承認取り消し処分を自発的に取り消すという行政手続きによって生じる。
(3)したがって、次の段階は、翁長雄志沖縄県知事が、「司法判断に従う」道を選択するか「県の利益を守るために代執行訴訟まで争う」道を選するか、ということになる。


 以下、沖縄タイムスの引用。








沖縄タイムス-判決は違法確認のみ、工事再開に直結せず 辺野古訴訟:元裁判官に聞く-2016年12月13日 11:30



 沖縄県の敗訴が確定した場合、法律的にどんな展開が予想されるのか。工事再開までの流れと、ことし3月の和解条項の及ぶ範囲について、元裁判官で、うるま市具志川9条の会の仲宗根勇共同代表に聞いた。(特別報道チーム・福元大輔)


確定判決

 法的には「県敗訴=工事再開」ではない。今回のような確認訴訟の判決は違法であることの確認にすぎず、執行力がない。翁長雄志知事が埋め立て承認取り消し処分を自発的に取り消すという行政手続きをとらない限り、国が工事を再開する根拠は復活しない。

 憲法の保障する自治権の観点からすれば、確定判決を前提にいかなる措置を講じるかは、翁長知事の意思に委ねられる。地方自治法は、自治体が違法とされた事務処理を放置し続けることを想定し、極めて強権的な「代執行」の手続きを設けている。

 翁長知事は「確定判決に従う」「取り消し処分を取り消す」と明言。「司法判断に従うのは行政の長として当然」と説明してきた。

 一方、仲宗根氏は国と地方が対等・協力の関係になった1999年改正の地方自治法の趣旨に基づけば「県の利益を守るために代執行訴訟まで争うという選択も、知事の責任を果たすことになる」と主張した。

和解条項

 和解条項では、承認取り消しを違法とする国の是正指示に対し、国地方係争処理委員会の審査をへて、県が国を相手に訴訟を提起すると定める。しかし、実際には係争委は違法、適法を判断せず、協議を求めた。県は提訴を見送り、国が県を相手に「違法確認訴訟」を起こす展開になった。

 県は、違法確認訴訟を和解条項の「枠外」、国は「枠内」と位置付ける。国がこだわる理由を仲宗根氏は「9項のわなを生かすためだ」とみる。9項には「判決に従い、主文及びそれを導く理由に沿った手続きを実施する」と明記する。

 確定判決が訴訟後も影響を持つ「既判力」について、民事訴訟法114条1項は「主文に限る」と定める。つまり、9項は本来既判力のない「理由」に既判力を持たせる内容で、有効であれば県はそれに反する主張ができなくなる。

 仮に「辺野古が唯一」といった高裁判決が確定すると、今後の知事権限を行使する際、県は従来の主張を封印される可能性がある。菅義偉官房長官が「最高裁が最終判断」と述べ、訴訟後の翁長氏の権限行使をけん制するのはそのためだ。

 仲宗根氏は国の動きを警戒しつつ、「国が違法確認訴訟を起こした時点で9項は死んだ。訴訟後は和解条項に拘束されないと考えるべきだ」と県の立場を支持している。


by asyagi-df-2014 | 2016-12-15 16:30 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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