沖縄の「負担軽減」を考える。(2)

 沖縄県の米軍北部訓練場7824ヘクタールの約半分が、2016年12月22日に返還される。
 このことを、安倍晋三政権は、沖縄の「負担軽減」の実現と最大限利用することになる。その背後には、米軍基地機能強化と自衛隊の共同利用という新たな「沖縄の負担拡大」がすでに用意されているにもかかわらずである。
 ここで、沖縄の「負担軽減」を考える。


 このことに関して、琉球新報は2016年11月30日、「知事ヘリパッド容認 原点に立ち返るべきだ 基地負担軽減に逆行する」、とその社説で著した。
翁長雄志沖縄県知事は、「苦渋の選択」と表現して、米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)新設を容認した。
 この知事の判断は、沖縄の負担問題を本質的に反映させる。
琉球新報は、「県民を裏切る重大な公約違反と断じざるを得ない。過重な米軍基地負担軽減を求める民意に背くものであり、容認できない。」、と結論づけ、「ヘリパッド容認は高江区民をないがしろにしている。そのことに知事は気付いてほしい。県民要求を実現させることが知事の務めである。知事はいま一度その原点に立ち返り、ヘリパッド容認を撤回すべきだ。」と主張する。
 また、具体的に、このように指摘する。


Ⅰ.知事選公約で「ヘリパッドはオスプレイの配備撤回を求めている中で連動し反対する」としていたことに反する。知事のヘリパッド容認は、騒音などが増す東村高江区民の生活環境破壊をいとわない政府に、知事自らが手を貸すことにほかならない。再考を強く求める。


Ⅱ.知事は北部訓練場の過半返還について「苦渋の決断の最たるものだ。約4千ヘクタールが返ってくることに異議を唱えるのは難しい」と述べた。ヘリパッド新設を返還条件とする政府の強硬姿勢に屈したとしか見えない。返還される約4千ヘクタールは米軍が「使用不可能」とする土地だ。返還されて当然の土地であり、ヘリパッド新設反対と過半の返還を受け入れることは矛盾しない。北部訓練場も普天間飛行場などと同様に、米軍によって奪われた土地である。本来ならば、知事は北部訓練場の全面返還を求めてしかるべきである。「異議を唱えるのは難しい」とすること自体、理解に苦しむ。


Ⅲ.知事は「オスプレイの配備撤回があれば、ヘリパッドもなかなか十二分には運用しにくいのではないか」と述べた。楽観的過ぎる。県内全41市町村長と議長らが2013年1月、オスプレイ配備撤回などを求める建白書に署名したが、政府は一顧だにしない。そのような状況で「配備撤回があれば」との仮定の話をすることは、無責任のそしりを免れない。高江では既に2カ所のヘリパッド運用が始まっている。


Ⅳ.高江では8月ごろまでオスプレイが午後10時以降も離着陸訓練を繰り返しているのが確認されている。その影響で眠れずに睡眠不足の児童らが欠席する事態も起きた。残りのヘリパッドが完成して本格運用が始まれば、昼夜を問わずオスプレイの騒音に区民がさらされるのは目に見えている。ヘリパッド容認は、今後も騒音被害などを高江区民に押し付けることを認めることである。それを「苦渋の選択」で片付けられては、区民はたまらない。人口約150人の高江を切り捨てることは断じて認められない。知事は高江を訪れて区民の声に耳を傾けるべきである。


Ⅴ.SACO合意が沖縄の基地負担軽減につながると、知事は考えているようだが、果たしてそうか。基地負担軽減を装うが、SACO合意の本質は古い基地を返す代わりに、日本側が最新鋭の基地を提供して在沖米軍基地を強化することにある。その分、県民の過重な基地負担はさらに増すことになる。県民要求に逆行する。
 辺野古新基地と北部訓練場の新たなヘリパッドを連動させた北部の基地強化がSACO合意の狙いだ。欺瞞(ぎまん)に満ちたSACO合意を批判し、辺野古新基地とヘリパッド新設に反対を政府に突き付けることが知事の取るべき態度だ。


 この琉球新報の社説を通して見えてくるもの、安倍晋三政権が押し付けている「沖縄の負担軽減」策は、次のことでしかない。


(1)残りのヘリパッドが完成して本格運用が始まれば、昼夜を問わずオスプレイの騒音に区民がさらされるのは目に見えている。ヘリパッド容認は、今後も騒音被害などを高江区民に押し付けることを認めることである。
(2)北部訓練場も普天間飛行場などと同様に、米軍によって奪われた土地である。本来ならば、知事は北部訓練場の全面返還を求めてしかるべきである。
(3)返還される約4千ヘクタールは米軍が「使用不可能」とする土地だ。返還されて当然の土地である。
(4)基地負担軽減を装うが、SACO合意の本質は古い基地を返す代わりに、日本側が最新鋭の基地を提供して在沖米軍基地を強化することにある。その分、県民の過重な基地負担はさらに増すことになる。



 以下、朝日新聞の引用。









琉球新報社説-知事ヘリパッド容認 原点に立ち返るべきだ 基地負担軽減に逆行する-2016年11月30日 06:01



 県民を裏切る重大な公約違反と断じざるを得ない。過重な米軍基地負担軽減を求める民意に背くものであり、容認できない。


 翁長雄志知事が東村と国頭村にまたがる米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)新設を事実上容認した。
 知事選公約で「ヘリパッドはオスプレイの配備撤回を求めている中で連動し反対する」としていたことに反する。
 知事のヘリパッド容認は、騒音などが増す東村高江区民の生活環境破壊をいとわない政府に、知事自らが手を貸すことにほかならない。再考を強く求める。

 切り捨て許されぬ

 知事は北部訓練場の過半返還について「苦渋の決断の最たるものだ。約4千ヘクタールが返ってくることに異議を唱えるのは難しい」と述べた。ヘリパッド新設を返還条件とする政府の強硬姿勢に屈したとしか見えない。
 返還される約4千ヘクタールは米軍が「使用不可能」とする土地だ。返還されて当然の土地であり、ヘリパッド新設反対と過半の返還を受け入れることは矛盾しない。
 北部訓練場も普天間飛行場などと同様に、米軍によって奪われた土地である。本来ならば、知事は北部訓練場の全面返還を求めてしかるべきである。「異議を唱えるのは難しい」とすること自体、理解に苦しむ。
 知事は「オスプレイの配備撤回があれば、ヘリパッドもなかなか十二分には運用しにくいのではないか」と述べた。楽観的過ぎる。
 県内全41市町村長と議長らが2013年1月、オスプレイ配備撤回などを求める建白書に署名したが、政府は一顧だにしない。そのような状況で「配備撤回があれば」との仮定の話をすることは、無責任のそしりを免れない。高江では既に2カ所のヘリパッド運用が始まっている。
 高江では8月ごろまでオスプレイが午後10時以降も離着陸訓練を繰り返しているのが確認されている。その影響で眠れずに睡眠不足の児童らが欠席する事態も起きた。残りのヘリパッドが完成して本格運用が始まれば、昼夜を問わずオスプレイの騒音に区民がさらされるのは目に見えている。
 ヘリパッド容認は、今後も騒音被害などを高江区民に押し付けることを認めることである。それを「苦渋の選択」で片付けられては、区民はたまらない。
 人口約150人の高江を切り捨てることは断じて認められない。知事は高江を訪れて区民の声に耳を傾けるべきである。

 欺瞞に満ちたSACO

 知事は「SACO(日米特別行動委員会最終報告)の着実な実施と地元2村との信頼などを考える中で、オスプレイ配備撤回で物事は収れんされるのではないか」としている。
 SACO合意が沖縄の基地負担軽減につながると、知事は考えているようだが、果たしてそうか。
 基地負担軽減を装うが、SACO合意の本質は古い基地を返す代わりに、日本側が最新鋭の基地を提供して在沖米軍基地を強化することにある。その分、県民の過重な基地負担はさらに増すことになる。県民要求に逆行する。
 辺野古新基地と北部訓練場の新たなヘリパッドを連動させた北部の基地強化がSACO合意の狙いだ。欺瞞(ぎまん)に満ちたSACO合意を批判し、辺野古新基地とヘリパッド新設に反対を政府に突き付けることが知事の取るべき態度だ。
 知事は15年5月の辺野古新基地建設断念を求める県民集会で「うちなーんちゅ、うしぇーてー、ないびらんどー(沖縄人をないがしろにしてはいけませんよ)」と述べた。ヘリパッド容認は高江区民をないがしろにしている。そのことに知事は気付いてほしい。
 県民要求を実現させることが知事の務めである。知事はいま一度その原点に立ち返り、ヘリパッド容認を撤回すべきだ。


by asyagi-df-2014 | 2016-12-03 07:23 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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