日本国憲法は公布七十年の節目の日に考える。

 2016年11月3日、日本国憲法は公布七十年の節目を迎えた。
東京新聞は、「<憲法70年を歩く>きょう公布70年 沖縄を誰が守る」、との記事を掲載した。
東京新聞は、沖縄の現状を通して、この国の憲法の意味を問うた。
まずは、東京新聞はこのように沖縄の今を描写する。


 沖縄県北部・東村(ひがしそん)の森で見つけた木の実。楕円(だえん)形で筋状の出っ張りがある。そう、ウルトラマンの顔そっくり。水辺に落ち、川や海に浮かんで運ばれる。
 そこから連なる亜熱帯の森に東村高江(たかえ)周辺の米軍用ヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)建設現場がある。
 「排除ッ!」。機動隊の隊列が、ゲート手前の路上に座り込む市民の腕や足をつかみ、羽交い締めにし、力ずくで路肩へと抱え出す。後ずさりし、記者の足に触れた女性の背中は震えていた。


 続いて、「『教授』と呼ばれる元裁判官」を描く。


 この抗議現場に通い、「教授」と呼ばれる元裁判官がいる。仲宗根(なかそね)勇さん(75)で、裁判所職員から「弱者の権利を守りたい」と五十一歳で簡易裁判所の判事になった。指名されると、スピーチに立つ。「警察官諸君! 憲法が保障する人権と自由を害する権限の乱用があってはならない。警察法二条に書いてあるぞ」
 沖縄は一九四五年の地上戦の末、米軍の支配下に置かれる。日本国憲法は、七二年の本土復帰まで適用されなかった。仲宗根さんは当時、近所の畑で「黒い塊」を見た。米兵に乱暴された女性の死体だった。地元うるま市でも米軍は「銃剣とブルドーザー」で土地を奪い、基地を広げた。


 東京新聞は、仲宗根勇さんの痛烈な批判を伝える。


 「むき出しの暴力だった。だからこそ憲法が沖縄人に光り輝いて見えた。人権が守られる、平和な暮らしを取り戻せる、とね」。ところが公布七十年の節目を前にして起こったことは。「解釈改憲で集団的自衛権が容認され、憲法違反の安全保障関連法が成立してしまった」

「沖縄では機動隊や海保の国家暴力を総動員しているのに、『彼らは国民のために頑張っている』と煙幕を張るためだ」。

「国家の暴走を縛る憲法と立憲主義が、時の権力者の恣意(しい)で着物のように簡単に脱ぎ捨てられた。米軍統治時代よりもワジワジして(怒って)いる」


 あわせて、前泊博盛沖縄国際大教授の次の声を伝える。


「在日米軍は、本土からは外国の脅威を倒してくれるウルトラマンに見えるが、沖縄から見ると怪獣でしかない。私たちを守ってくれる真のウルトラマンは憲法のはず」。


 東京新聞の辻渕智之記者は、こう続ける。


「だが七十年前に生まれたその『実』は根づくどころか、どこかに漂流しようとしている。」


 確かに、日本国憲法は、沖縄で最も光り輝いていた時が一瞬であったとしてもあった。
 それは、「むき出しの暴力だった。だからこそ憲法が沖縄人に光り輝いて見えた。人権が守られる、平和な暮らしを取り戻せる、とね」、と。
しかし、「解釈改憲で集団的自衛権が容認され、憲法違反の安全保障関連法が成立してしまった」。
 果たして、日本国憲法はどんなかたちで漂流しているというのか。
 思っているほどには、すでに中味はなくなってしまっているのではないか。
 でも、実を育てるのは、人の営みのはずである。
 少なくとも、日本国憲法で育った来た証は、それぞれが持っているはずなのだから。


 以下、東京新聞の引用。








東京新聞-<憲法70年を歩く>きょう公布70年 沖縄を誰が守る-2016年11月3日 07時05分



 沖縄県北部・東村(ひがしそん)の森で見つけた木の実。楕円(だえん)形で筋状の出っ張りがある。そう、ウルトラマンの顔そっくり。水辺に落ち、川や海に浮かんで運ばれる。

 そこから連なる亜熱帯の森に東村高江(たかえ)周辺の米軍用ヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)建設現場がある。

 「排除ッ!」。機動隊の隊列が、ゲート手前の路上に座り込む市民の腕や足をつかみ、羽交い締めにし、力ずくで路肩へと抱え出す。後ずさりし、記者の足に触れた女性の背中は震えていた。

 この抗議現場に通い、「教授」と呼ばれる元裁判官がいる。仲宗根(なかそね)勇さん(75)で、裁判所職員から「弱者の権利を守りたい」と五十一歳で簡易裁判所の判事になった。指名されると、スピーチに立つ。「警察官諸君! 憲法が保障する人権と自由を害する権限の乱用があってはならない。警察法二条に書いてあるぞ」

 沖縄は一九四五年の地上戦の末、米軍の支配下に置かれる。日本国憲法は、七二年の本土復帰まで適用されなかった。仲宗根さんは当時、近所の畑で「黒い塊」を見た。米兵に乱暴された女性の死体だった。地元うるま市でも米軍は「銃剣とブルドーザー」で土地を奪い、基地を広げた。

 「むき出しの暴力だった。だからこそ憲法が沖縄人に光り輝いて見えた。人権が守られる、平和な暮らしを取り戻せる、とね」。ところが公布七十年の節目を前にして起こったことは。「解釈改憲で集団的自衛権が容認され、憲法違反の安全保障関連法が成立してしまった」

 安倍晋三首相は、国会の所信表明で海上保安庁と警察、自衛隊への拍手を促した。「沖縄では機動隊や海保の国家暴力を総動員しているのに、『彼らは国民のために頑張っている』と煙幕を張るためだ」。仲宗根さんは思う。「国家の暴走を縛る憲法と立憲主義が、時の権力者の恣意(しい)で着物のように簡単に脱ぎ捨てられた。米軍統治時代よりもワジワジして(怒って)いる」

 基地問題に詳しい前泊博盛(まえどまりひろもり)沖縄国際大教授(55)は言う。「在日米軍は、本土からは外国の脅威を倒してくれるウルトラマンに見えるが、沖縄から見ると怪獣でしかない。私たちを守ってくれる真のウルトラマンは憲法のはず」。だが七十年前に生まれたその「実」は根づくどころか、どこかに漂流しようとしている。 (辻渕智之)
     ◇
 きょう三日、日本国憲法は公布七十年の節目を迎えた。岐路に立つ憲法。憲法と戦後史を結ぶ地を記者が訪ねる。



by asyagi-df-2014 | 2016-11-06 09:15 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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