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この国の荒廃。慰安婦問題の資料展示施設「女たちの戦争と平和資料館」に、爆破予告。それでも、「言論を暴力に結び付けない社会」の実現を。

 標題について、朝日新聞は2016年10月30日、「はがきには黒字と赤字で『爆破する 戦争展示物撤去せよ 朝日赤報隊』と書かれている。9月30日の消印で配達され、10月5日にスタッフが見つけ、翌6日に警視庁戸塚署に被害届を出した。wamは『言論を暴力に結びつけない社会を』と題するメディア向けの呼びかけ文を在京の新聞社や通信社に送り、30日にホームページで発表した。」、と報じた。
 また、「wamによると、2005年の設立以来、嫌がらせは日常的にあったが『爆破予告は初めて』という。今年5月末、8カ国・地域の団体が共同で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産(世界の記憶)に元慰安婦らの証言記録や運動の記録を登録申請した。申請に日本からwamも加わった。」、と伝えた。


 アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(略称wam)は、2016年10月29日、このように呼びかけている。


Ⅰ.事実
 2016年10月5日、私たちが運営するアクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(略称wam)に、「朝日赤報隊」を名乗る者からwamの爆破を予告する葉書が届きました。文面は「爆破する 戦争展示物を撤去せよ 朝日赤報隊」、消印は「9月30日 新宿局」です。wamでは直ちに戸塚警察署に被害届を出しました。
Ⅱ.wamの活動
 wamは戦時性暴力の根絶をめざし、いまだ解決されていない日本軍「慰安婦」問題について、その被害と加害の事実を、証言を中心に展示を行って11年が経過しました。日本軍「慰安婦」制度に焦点を当てた特別展を行うときも、日本軍以外の軍隊による現代の性暴力被害を併せて展示しています。加害者への不処罰の連鎖を食い止めるために、勇気を奮って証言した被害者の被害事実を記録し記憶していくことを大切に、活動を続けてきました。
Ⅲ.wamの主張及び呼びかけ
(1)設立以来、さまざまな形での嫌がらせは日常的にありましたが、このような爆破予告は初めてです。その原因を考えると、最近急激に増えた産経新聞やそのデジタルニュースでwamを名指しした記事の増加に思い当ります。特にユネスコ記憶遺産の「『慰安婦』の声」を被害国とともに登録申請して以降、産経新聞には櫻井よしこ氏の連載や(2016年10月3日)や高橋史朗氏の記事(2016年6月15日)に、wamの名前だけでなく、個人名も挙げた批判記事が掲載されるようになりました。
(2)ユネスコの記憶遺産に関してさまざまな意見と見解がありその主張はお互いに尊重されなくてはなりません。しかし、日本の言論は、右翼のテロによって傷つけられてきた歴史があります。近年では1987年、赤報隊を名乗る何者かによって朝日新聞の新聞記者小尻知博氏が殺害されました。1990年には本島等長崎市長が「天皇にも戦争責任はあると思う」と発言したことを理由に、右翼団体幹部に銃撃されました。そして現在も、「慰安婦」の記事を書いたことのある元朝日新聞記者の植村隆氏と家族への脅迫などがあります。日本の言論空間には、国家中心の思想や政府を批判する者たちに対する暴力による恫喝と圧殺が、その底流に脈々と流れていると言わざるをえません。
(3)産経新聞は歴史認識の違いを「歴史戦」と名付け、歴史をめぐる言論を「戦争」という暴力に結び付けて語っています。同調者たちへの影響力は計り知れないものがあり、紙面で個人を名差しすることは「攻撃命令」でもあると指摘するブログ・ウォッチャーもいます。
(4)日本の自由な言論空間を豊かにしていくことこそが人権を守り、日本の民主主義を豊かにすると私たちは信じています。言論を暴力や人権侵害に結び付けない努力こそが、今私たちに求められています。私たちは「言論を暴力に結び付けない社会」の実現を、産経新聞及び報道に携わる全ての方々に、あらためて呼びかけます。


 「言論を暴力に結び付けない社会」の実現を、ともに呼びかけます。


以下、朝日新聞及びwamの呼びかけの引用。







(1)朝日新聞-慰安婦問題の資料館に爆破予告 はがきに「撤去せよ」-2016年10月30日 20時7分


 NPO法人が運営する慰安婦問題の資料展示施設「女たちの戦争と平和資料館」(wam、東京都新宿区)は30日、同館に爆破予告のはがきが届いたと明らかにした。

 はがきには黒字と赤字で「爆破する 戦争展示物撤去せよ 朝日赤報隊」と書かれている。9月30日の消印で配達され、10月5日にスタッフが見つけ、翌6日に警視庁戸塚署に被害届を出した。wamは「言論を暴力に結びつけない社会を」と題するメディア向けの呼びかけ文を在京の新聞社や通信社に送り、30日にホームページで発表した。

 wamによると、2005年の設立以来、嫌がらせは日常的にあったが「爆破予告は初めて」という。

 今年5月末、8カ国・地域の団体が共同で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産(世界の記憶)に元慰安婦らの証言記録や運動の記録を登録申請した。申請に日本からwamも加わった。

 1987年5月に朝日新聞阪神支局が襲撃され、記者2人が死傷した事件では「赤報隊」を名乗る犯行声明が届いたが、犯人は捕まらず時効が成立している。


(2)Wam-新聞各社・通信社へ呼びかけ文「言論を暴力に結びつけない社会を」を送付


昨日、以下の通りの呼びかけ文を、産経新聞、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、日経新聞、東京新聞、共同通信、時事通信あてに送付しました。

産経新聞社、及び日本軍「慰安婦」問題を報道する各メディアの方々へ
      言論を暴力に結びつけない社会を

2016年10月5日、私たちが運営するアクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(略称wam)に、「朝日赤報隊」を名乗る者からwamの爆破を予告する葉書が届きました。文面は「爆破する 戦争展示物を撤去せよ 朝日赤報隊」、消印は「9月30日 新宿局」です。wamでは直ちに戸塚警察署に被害届を出しました。

wamは戦時性暴力の根絶をめざし、いまだ解決されていない日本軍「慰安婦」問題について、その被害と加害の事実を、証言を中心に展示を行って11年が経過しました。日本軍「慰安婦」制度に焦点を当てた特別展を行うときも、日本軍以外の軍隊による現代の性暴力被害を併せて展示しています。加害者への不処罰の連鎖を食い止めるために、勇気を奮って証言した被害者の被害事実を記録し記憶していくことを大切に、活動を続けてきました。

設立以来、さまざまな形での嫌がらせは日常的にありましたが、このような爆破予告は初めてです。その原因を考えると、最近急激に増えた産経新聞やそのデジタルニュースでwamを名指しした記事の増加に思い当ります。特にユネスコ記憶遺産の「『慰安婦』の声」を被害国とともに登録申請して以降、産経新聞には櫻井よしこ氏の連載や(2016年10月3日)や高橋史朗氏の記事(2016年6月15日)に、wamの名前だけでなく、個人名も挙げた批判記事が掲載されるようになりました。

ユネスコの記憶遺産に関してさまざまな意見と見解がありその主張はお互いに尊重されなくてはなりません。しかし、日本の言論は、右翼のテロによって傷つけられてきた歴史があります。近年では1987年、赤報隊を名乗る何者かによって朝日新聞の新聞記者小尻知博氏が殺害されました。1990年には本島等長崎市長が「天皇にも戦争責任はあると思う」と発言したことを理由に、右翼団体幹部に銃撃されました。そして現在も、「慰安婦」の記事を書いたことのある元朝日新聞記者の植村隆氏と家族への脅迫などがあります。日本の言論空間には、国家中心の思想や政府を批判する者たちに対する暴力による恫喝と圧殺が、その底流に脈々と流れていると言わざるをえません。

産経新聞は歴史認識の違いを「歴史戦」と名付け、歴史をめぐる言論を「戦争」という暴力に結び付けて語っています。同調者たちへの影響力は計り知れないものがあり、紙面で個人を名差しすることは「攻撃命令」でもあると指摘するブログ・ウォッチャーもいます。

日本の自由な言論空間を豊かにしていくことこそが人権を守り、日本の民主主義を豊かにすると私たちは信じています。言論を暴力や人権侵害に結び付けない努力こそが、今私たちに求められています。私たちは「言論を暴力に結び付けない社会」の実現を、産経新聞及び報道に携わる全ての方々に、あらためて呼びかけます。

2016年10月29日
特定非営利活動法人「女たちの戦争と平和人権基金」理事一同
アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」運営委員一同


by asyagi-df-2014 | 2016-11-04 08:16 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

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