電通の「鬼十訓」。今も生きて過労死を産む。

 朝日新聞は2016年10月28日、「電通、染みついた鬼十則 『命を削って給料もらってる』」、と電通の過労死問題を批判した。
 その「鬼十則」(吉田秀雄記念事業財団のHPに掲載)とは、つぎのものである。


1.仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
2.仕事とは、先手先手と働き掛けて行くことで、受け身でやるものではない。
3.大きな仕事と取り組め、小さな仕事は己れを小さくする。
4.難しい仕事を狙え、そしてそれを成し遂げるところに進歩がある。
5.取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは…。
6.周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
7.計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
8.自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
9.頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
10.摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。


 朝日新聞は、過労死問題について電通が如何に無責任であるのかを、前回の事件とともに報告する。


(1)バブル経済の終わりが近い1991年8月。電通に入社して2年目のラジオ局(当時)の男性社員が自宅で自殺した。24歳だった。
(2)長時間労働でうつ病になったのが自殺の原因だとして、遺族は電通の責任を問う訴訟を東京地裁に起こした。遺族側は、深夜の退館記録などをもとに、男性が長時間労働を強いられていたと主張。会社側は男性の自己申告による記録をもとに、『時間外労働が突出して多いわけではない』『在館時間がすべて業務にあてられていたわけではない』などと反論した。
(3)地裁判決は、男性が亡くなった8月に10回、前の月も12回、東京の本社を午前2時以降に退社していたと認定。こうした事実をもとに、『常軌を逸した長時間労働をしていた』として遺族の訴えを認めた。
(3)裁判は最高裁まで争われ、2000年3月、電通に安全配慮義務違反があったと認定された。「長時間の業務で疲労が蓄積すると、労働者の心身の健康を損なう危険のあることは周知のところだ」「会社は労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務がある」。初めてこう言い切った最高裁判決は「過労死問題のバイブル」(岩城穣弁護士)になった。


 このことからわかることは、電通が、労働者に、「常軌を逸した長時間労働をしていた」(させていた)、という事実である。
 最高裁は、「長時間の業務で疲労が蓄積すると、労働者の心身の健康を損なう危険のあることは周知のところだ」「会社は労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務がある」、と初めてこう言い切った判決であった。
 この最高裁判決は、「過労死問題のバイブル」、となった。
 はっきりしているのは、、電通が、労働者に、「常軌を逸した長時間労働させていた」、という事実である。


 この事件を電通は責任を認めて遺族と和解。
 これ以後は、「再発防止に向け、『長年にわたって適正な勤務管理、長時間勤務抑制、社員の健康維持のための取り組みを実施してきた』(広報部)と説明する。」、というはずであった。
しかし、朝日新聞は、このように続ける。


(1)14年6月に関西支社(大阪市)が、昨年8月には東京・汐留の本社が、違法な長時間労働をさせたとして労働基準監督署から是正勧告を受けていた。その4カ月後、男性と同じ24歳で新入社員の高橋まつりさんが過労自殺した。
(2)さらに、本社勤務だった男性社員が3年前に亡くなり、過労死を認められたと関係者は明かす。『全国過労死を考える家族の会』の寺西笑子代表は『過労死を繰り返す企業には社会的な監視が必要だ』と憤る。


 朝日新聞は、こうした電通の過労死を厭わない企業体質に言及する。


(1)違法な長時間労働が常態化していた疑いがあるとみて、東京労働局の「過重労働撲滅特別対策班(かとく)」などが今月14日、本支社に抜き打ち調査に入り、刑事事件としての立件も視野に調べを進めている。
(2)「取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……」。電通の4代目社長で、「広告の鬼」と呼ばれた故吉田秀雄氏が1951年に書いたという10カ条の遺訓「鬼十則」の一節だ。長時間労働を助長しかねない電通の企業風土を象徴する社員の心得として知られ、高橋さんの遺族側が問題視している。
(3)「鬼十則」は今も、電通の社員手帳に残る。中堅社員の一人は「うちの哲学。入社研修で学んだし、一部はそらんじられる」と話す。「良くも悪くも体育会系でタテ社会」の社風で、「花形の局では『1年の年次の違いは海よりも深い』と言われている」という。
(4)「命を削って給料をもらっているところはある。今回の過労自殺はひとごととは思えない」とも話した。


 朝日新聞は、現在の電通の動きを次のように伝える。


(1)電通は17日、石井直社長名の社員向け文書で「当社が是認してきた『働き方』は、当局をはじめとするステークホルダー(利害関係者)から受容されえない」と言及。会社は、午後10時の一斉消灯と退館、午後10時~早朝5時の深夜業務の禁止を社員に通達した。スタンドライトの点灯や社外での深夜業務も禁じた。
(2)25日午後10時過ぎ。本社の明かりは一斉に消えていった。しかし、社員の反応は冷ややかだ。ある中堅社員は「パソコンを自宅に持ち帰って、こっそりとサービス残業することになるだけ。立件を何としても避けようとしているようにしか思えない」と話す。
(3)電通の労働組合も24日、会社の対策が「場当たり的なものになってしまう可能性がある。社員にしわ寄せがいくことを懸念している」とのメッセージを組合員に出した。


 この電通の過労死問題の根本的解決は、「命を削って給料をもらっているところはある。今回の過労自殺はひとごととは思えない」、という地点からの解放に取り組みことでしか
解決できない。


 以下、朝日新聞の引用。







朝日新聞-電通、染みついた鬼十則 「命を削って給料もらってる」-2016年10月28日05時00分



 バブル経済の終わりが近い1991年8月。電通に入社して2年目のラジオ局(当時)の男性社員が自宅で自殺した。24歳だった。

 長時間労働でうつ病になったのが自殺の原因だとして、遺族は電通の責任を問う訴訟を東京地裁に起こした。遺族側は、深夜の退館記録などをもとに、男性が長時間労働を強いられていたと主張。会社側は男性の自己申告による記録をもとに、「時間外労働が突出して多いわけではない」「在館時間がすべて業務にあてられていたわけではない」などと反論した。

 地裁判決は、男性が亡くなった8月に10回、前の月も12回、東京の本社を午前2時以降に退社していたと認定。こうした事実をもとに、「常軌を逸した長時間労働をしていた」として遺族の訴えを認めた。

 裁判は最高裁まで争われ、2000年3月、電通に安全配慮義務違反があったと認定された。「長時間の業務で疲労が蓄積すると、労働者の心身の健康を損なう危険のあることは周知のところだ」「会社は労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務がある」。初めてこう言い切った最高裁判決は「過労死問題のバイブル」(岩城穣弁護士)になった。

 電通は責任を認めて遺族と和解。再発防止に向け、「長年にわたって適正な勤務管理、長時間勤務抑制、社員の健康維持のための取り組みを実施してきた」(広報部)と説明する。

 しかし、14年6月に関西支社(大阪市)が、昨年8月には東京・汐留の本社が、違法な長時間労働をさせたとして労働基準監督署から是正勧告を受けていた。その4カ月後、男性と同じ24歳で新入社員の高橋まつりさんが過労自殺した。

 さらに、本社勤務だった男性社員が3年前に亡くなり、過労死を認められたと関係者は明かす。「全国過労死を考える家族の会」の寺西笑子代表は「過労死を繰り返す企業には社会的な監視が必要だ」と憤る。

 違法な長時間労働が常態化していた疑いがあるとみて、東京労働局の「過重労働撲滅特別対策班(かとく)」などが今月14日、本支社に抜き打ち調査に入り、刑事事件としての立件も視野に調べを進めている。

 「取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……」。電通の4代目社長で、「広告の鬼」と呼ばれた故吉田秀雄氏が1951年に書いたという10カ条の遺訓「鬼十則」の一節だ。長時間労働を助長しかねない電通の企業風土を象徴する社員の心得として知られ、高橋さんの遺族側が問題視している。

 「鬼十則」は今も、電通の社員手帳に残る。中堅社員の一人は「うちの哲学。入社研修で学んだし、一部はそらんじられる」と話す。「良くも悪くも体育会系でタテ社会」の社風で、「花形の局では『1年の年次の違いは海よりも深い』と言われている」という。

 「命を削って給料をもらっているところはある。今回の過労自殺はひとごととは思えない」とも話した。

 電通は17日、石井直社長名の社員向け文書で「当社が是認してきた『働き方』は、当局をはじめとするステークホルダー(利害関係者)から受容されえない」と言及。会社は、午後10時の一斉消灯と退館、午後10時~早朝5時の深夜業務の禁止を社員に通達した。スタンドライトの点灯や社外での深夜業務も禁じた。

 25日午後10時過ぎ。本社の明かりは一斉に消えていった。しかし、社員の反応は冷ややかだ。ある中堅社員は「パソコンを自宅に持ち帰って、こっそりとサービス残業することになるだけ。立件を何としても避けようとしているようにしか思えない」と話す。

 電通の労働組合も24日、会社の対策が「場当たり的なものになってしまう可能性がある。社員にしわ寄せがいくことを懸念している」とのメッセージを組合員に出した。(高野真吾、大内奏、編集委員・沢路毅彦)

     ◇
「鬼十則」(吉田秀雄記念事業財団のHPより)
1.仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
2.仕事とは、先手先手と働き掛けて行くことで、受け身でやるものではない。
3.大きな仕事と取り組め、小さな仕事は己れを小さくする。
4.難しい仕事を狙え、そしてそれを成し遂げるところに進歩がある。
5.取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは…。
6.周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
7.計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
8.自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
9.頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
10.摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。


by asyagi-df-2014 | 2016-11-01 05:49 | 書くことから-労働 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
画像一覧