「土人」「シナ人」発言を考える。(4)

 大阪府警の機動隊員による「土人」「シナ人」発言を考える。
 「差別する側の意識が変わらないと問題は解決しない」、と識者は評する。
 つまり、差別する側の植民者の自覚がなされるのかどうかだ。
 人種差別撤廃条約に違反する問題なのだ。


 青年法律家協会大阪支部は、2016年10月20日、「大阪府機動隊員および松井知事の発言への抗議声明」で「沖縄の人々への『土人』などの暴言は許されない」との抗議を表明した。
この抗議声明の要約は次のものである。
まず、差別発言について。


(1)これは、現場にいた市民への重大な侮辱であるとともに、沖縄県に住むすべての人々に対する差別的・侮辱的な意識の表れでもある。
(2)公務員は憲法尊重擁護義務(憲法99条)を負うのであり、憲法が保障する基本的人権を直接的に侵害する暴言は断じて許されない。
(3)警察法第2条2項は、警察官の活動について「いやしくも日本国憲法 の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない」と規定している。また、国家公安委員会が定めた「警察職員の職務倫理及び服務に関する規則」は、警察職員の職務倫理として「人権を尊重し、公正かつ親切に職務を執行すること」を求めている。今回の機動隊員の発言がこれら法令に違反していることは明らかである。


 次に、大阪府知事の対応について。


(1)この機動隊員発言に関して大阪府の松井一郎知事は、10月19日の午後9時12分に、インターネット(ツイッター)上で、「ネットでの映像を見ましたが、表現が不適切だとしても、大阪府警の警官が一生懸命命令に従い職務を遂行していたのがわかりました。出張ご苦労様。」と発言した。しかし、今回の発言は表現が不適切というにとどまらない。およそ職務執行上の必要性が認められる発言ではなく、沖縄の人々の人格を根底から踏みにじる言葉であり、侮辱罪など刑事処罰の対象ともなり得る言動である。それ自体、正当に「職務を遂行していた」と評価できるものではない。大阪府警察の最高指揮権者である知事が、機動隊員の言動を追認して正当化するような発言をしたことに対して、私たちは強く抗議する。
(2)いま大阪府において求められているのは、この機動隊員を「ご苦労様」と労うことではない。事実を解明し、当該隊員を含むすべての警察職員に対してあらためて職務倫理および人権擁護の使命を指導教育することである。


 この上で、次のように主張する。


 警察権を含む国家権力の発動は、日本国憲法および刑事訴訟法などの法規に従い、その範囲内でのみ認められる。これは、権力による人権侵害を回避する立憲主義の基本原則である。大阪府および松井一郎知事は、この基本原則に立ち返り、真摯に謝罪をするとともに、二度と今回と同様の事態が生じないよう再発防止策を具体化するべきである。


 以下、青年法律家協会大阪支部の抗議声明の引用。








大阪府機動隊員および松井知事の発言への抗議声明



―― 沖縄の人々への「土人」などの暴言は許されない ――


 2016年10月18日午前9時47分ころ、沖縄県東村高江の米軍北部訓練場N1ゲート近くの斜面において、ヘリパッド基地建設に抗議する市民に対して、大阪府警から現地へ派遣された機動隊員が「触るな、クソ!」「ボケ、土人が」などと差別的な発言を含む暴言を吐き、市民を侮辱し威圧した。
 これは、現場にいた市民への重大な侮辱であるとともに、沖縄県に住むすべての人々に対する差別的・侮辱的な意識の表れでもある。公務員は憲法尊重擁護義務(憲法99条)を負うのであり、憲法が保障する基本的人権を直接的に侵害する暴言は断じて許されない。
 警察法第2条2項は、警察官の活動について「いやしくも日本国憲法 の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない」と規定している。また、国家公安委員会が定めた「警察職員の職務倫理及び服務に関する規則」は、警察職員の職務倫理として「人権を尊重し、公正かつ親切に職務を執行すること」を求めている。今回の機動隊員の発言がこれら法令に違反していることは明らかである。
 この機動隊員発言に関して大阪府の松井一郎知事は、10月19日の午後9時12分に、インターネット(ツイッター)上で、「ネットでの映像を見ましたが、表現が不適切だとしても、大阪府警の警官が一生懸命命令に従い職務を遂行していたのがわかりました。出張ご苦労様。」と発言した。しかし、今回の発言は表現が不適切というにとどまらない。およそ職務執行上の必要性が認められる発言ではなく、沖縄の人々の人格を根底から踏みにじる言葉であり、侮辱罪など刑事処罰の対象ともなり得る言動である。それ自体、正当に「職務を遂行していた」と評価できるものではない。大阪府警察の最高指揮権者である知事が、機動隊員の言動を追認して正当化するような発言をしたことに対して、私たちは強く抗議する。
 いま大阪府において求められているのは、この機動隊員を「ご苦労様」と労うことではない。事実を解明し、当該隊員を含むすべての警察職員に対してあらためて職務倫理および人権擁護の使命を指導教育することである。
 警察権を含む国家権力の発動は、日本国憲法および刑事訴訟法などの法規に従い、その範囲内でのみ認められる。これは、権力による人権侵害を回避する立憲主義の基本原則である。大阪府および松井一郎知事は、この基本原則に立ち返り、真摯に謝罪をするとともに、二度と今回と同様の事態が生じないよう再発防止策を具体化するべきである。


2016年10月20日
                   青年法律家協会 大阪支部
                        議長  弁護士 大 前  治


by asyagi-df-2014 | 2016-10-25 09:43 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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