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沖縄の人々は「先住民族」を考える。-奄美大島から与那国島まで話されているしまくとぅばは、「方言」ではなく「琉球語」。-

 あらためて、沖縄の人々は「先住民族」、ということを考える。
 沖縄タイムスは2016年10月9日、「『琉球語と日本語は別』 新垣友子氏、復興へ行政の後押し求め」、と次のように報じた。


(1)「琉球諸語復興のための言語計画-現状と課題」特別講演会(主催・沖縄キリスト教平和研究所)が8日、西原町の沖縄キリスト教学院大学であり、しまくとぅばの現状と課題が報告された。同学院大学の新垣友子准教授(言語学)は、ユネスコの基準では奄美大島から与那国島まで話されているしまくとぅばは、日本語とは別の独立した言語として識別されているとし、「方言」ではなく「琉球語」として認識を改めるよう呼び掛けた。
(2)また、言語継承の危機状態にあった英国のウェールズでは、ウェールズ語と英語を同等とする「言語法」を制定したり、ウェールズ語教育を義務化するなど、復興政策を開始して以来、全人口の2割にまで激減していた話者が、徐々に増えてきていることを紹介。「琉球諸語の復興には、行政にも強く働きかける必要がある」と訴えた。
(3)琉球大学の島袋純教授(政治学)はしまくとぅばの保存・普及・継承に向けた県の施策を説明。しまくとぅばを使う人を2022年までに県民の88%に増やす目標を掲げているが、学校教育での取り組みが弱く、施策効果に疑問があると指摘した。次世代に継承するには、しまくとぅば学習の推進のため条例を制定し、「学校教育で習得する機会を設けるべきだ」と語った。


 例えば、日本軍慰安婦の問題では、世界基準ではなく、日本の「歴史」として捉えて一方的に解釈することが、大きな混乱をもたらしている。
 では、沖縄の人々の先住民族の規定とは、どのような意味をもつのかと言うことである。
ここでは、言語学の観点から、新垣友子沖縄キリスト教学院大学准教授〈以下、新垣とする〉は、「ユネスコの基準では奄美大島から与那国島まで話されているしまくとぅばは、日本語とは別の独立した言語として識別されているとし、『方言』ではなく『琉球語』として認識を改めるよう」、と呼び掛けたと言う。また、そのために、「琉球諸語の復興には、行政にも強く働きかける必要がある」、「学校教育で習得する機会を設けるべきだ」、と語ったと言う。
ここで指摘された、世界基準について確認する。
 2014年8月29日の国連人種差別撤廃委員会は「日本の第7回・第8回・第9回定期報告に関する最終見解」を採択した。
ここでは、次のように勧告されている。


琉球/沖縄の状況
21.委員会は,ユネスコによる独特な民族性,歴史,文化及び伝統の承認にもかかわらず,琉球/沖縄を先住民族として承認しない締約国の立場を遺憾に思う。委員会は,沖縄振興特別措置法及び沖縄振興計画に基づく,琉球に関して締約国によってとられ実施された措置に留意するものの,彼らの権利の保護に関する琉球の代表との協議のために十分な措置がとられてこなかったことを懸念する。委員会はまた,消滅する危険がある琉球の言語を振興し保護するために十分なことが行われていないとの情報,及び教科書が適切に琉球の人々の歴史及び文化を反映していないとの情報を懸念する(第5条)。
委員会は,締約国が,その立場を見直し,琉球を先住民族として承認することを検討し,また彼らの権利を保護するための具体的な措置をとることを勧告する。委員会はまた,締約国が,琉球の権利の促進及び保護に関連する問題について,琉球の代表との協議を強化することを勧告する。委員会はさらに,締約国が,琉球の言語を消滅の危険から保護するために採用された措置の実施を加速させ,彼ら自身の言語による琉球の人々の教育を促進し,学校カリキュラムにおいて用いられる教科書に彼らの歴史及び文化を含めることを勧告する。


マイノリティ言語及び教科書
24.委員会は,締約国から提供された情報に留意するものの,締約国が,マイノリティあるいは先住民族に属する児童に対し,マイノリティ言語による,またマイノリティ言語の教育を振興するための適切な措置をとっていないことを遺憾に思う。委員会は,条約によって保護される日本の諸グループの歴史,文化及び貢献を適切に反映するための,既存の教科書を修正するためにとられた措置に関する情報の欠如について懸念する(第5条)。
委員会は,締約国が,アイヌ及び琉球の人々を含む,マイノリティ及び先住民族に属する児童に対し,マイノリティ言語によってマイノリティ言語を教える教育を促進するよう勧告する。委員会は,締約国に対し,条約によって保護される日本の諸グループの歴史,文化及び貢献を反映しない教科書を修正することを勧告する。


 国連人種差別撤廃委員会は、日本国に対して、次の四点の勧告を突きつけ、その改善を求めているのである。まさに、このことが日本に求められている世界基準なのである。

(1)締約国〈ここでは、日本〉が,その立場を見直し,琉球を先住民族として承認することを検討し,また彼らの権利を保護するための具体的な措置をとることを勧告する。
(2)締約国が,琉球の権利の促進及び保護に関連する問題について,琉球の代表との協議を強化することを勧告する。
(3)締約国が,琉球の言語を消滅の危険から保護するために採用された措置の実施を加速させ,彼ら自身の言語による琉球の人々の教育を促進し,学校カリキュラムにおいて用いられる教科書に彼らの歴史及び文化を含めることを勧告する。
(4)委員会は,締約国に対し,条約によって保護される日本の諸グループの歴史,文化及び貢献を反映しない教科書を修正することを勧告する。


 一方、日本政府〈外務省〉は、この「勧告」について次のように反論している。


(1)そもそも本条約の適用対象となる「人種差別」とは、本条約第1条1において、「人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別・・・」と規定している。このことから、本条約は、社会通念上、生物学的諸特徴を共有するとされている人々の集団、及び社会通念上、文化的諸特徴を共有するとされている人々の集団並びにこれらの集団に属する個人につき、これらの諸特徴を有していることに基づく差別を対象とするものであると解される。沖縄県に居住する人あるいは沖縄県の出身者は日本民族であり、一般に、他県出身者と同様、社会通念上、生物学的又は文化的諸特徴を共有している人々の集団であると考えられておらず、したがって、本条約の対象とはならないものと考えている。
(2)沖縄の住民が日本民族とは別の民族であると主張する人々がいることは承知しているが、それが沖縄の人々の多数意志を代表したものであるとは承知していない。また、上記(1)のとおり、沖縄県に居住する人あるいは沖縄県の出身者は日本民族であり、社会通念上、日本民族と異なる生物学的または文化的諸特徴を共有している人々であるとは考えられていない。


 このことについて、琉球新報は、2016年4月28日の社説で、明確に次のように反論している。
 


Ⅰ.国連が沖縄の人々を日本の「先住民族」と認識していることに対し、外務省が否定しているのは、歴史認識の違いによるものが大きい。それは1879年の琉球併合(「琉球処分」)まで琉球王国が独立王国として存在していたかどうかへの評価に深く関わっている。
(1)国連が規定する「先住民族」は、他者によって土地を奪われた、もともとその土地に住んでいた人々を指す。血統や言語といった人種や民族的同一性や違いも指標にはなるが、最も重要なポイントは、そこの土地はそもそも誰のものだったかという「土地の権利」だ。
(2)国連が沖縄の人々を「先住民族」と認めたのは①琉球王国が1850年代に米国、フランス、オランダと修好条約を結び、国際法上の主体=主権国家として存在していた②79年に日本によって併合され沖縄県が設置された③その後日本に支配され差別の対象とされた―主にこの3点を事実として認定したからだ。
Ⅱ.日本政府側は琉球王国が国際法上の主体としての独立国家だったかどうかについて「『琉球王国』をめぐる当時の状況が必ずしも明らかでなく、確定的なことを述べるのは「困難」という判断を避ける答弁を繰り返してきた。つまり公式には琉球王国の存在を確定的なものとして認めていない。
(1)今回の国会答弁のように日本の先住民族は「アイヌの人々以外にいない」ということであれば、少なくとも1879年以前、琉球人は存在せず、琉球王国の国民は日本人だったことになる。琉球王国の存在を認めた場合、先住民族論に最も重要な根拠を与えることもあり、判断を避けているとみられる。
(2)2007年に国連で採択された先住民族権利宣言は、先住民族の合意がない限り先住民族の土地を軍事に利用することを禁じている。日本政府が沖縄の人々を先住民族として認めると、日本政府は米軍基地問題などこれまでの沖縄政策で多くの「不正」を是正せざるを得なくなることも、認めたくない理由の一つだろう。


 外務書と琉球新報のどちらに理があるかは、明らかである。
 特に、「2007年に国連で採択された先住民族権利宣言は、先住民族の合意がない限り先住民族の土地を軍事に利用することを禁じている。日本政府が沖縄の人々を先住民族として認めると、日本政府は米軍基地問題などこれまでの沖縄政策で多くの『不正』を是正せざるを得なくなることも、認めたくない理由の一つ」、との指摘は、まさに、日本政府の心胆を抉るものである。
 さて、今回の記事のような言語から先住民族の問題を考える時、どうしても「言語」と「方言」の定義のあり方が問われる。なぜなら、国は言語を支配する関係にあるからである。
 逆に言えば、国の思惑が、少数民族の自己決定権を認めないかからこそ、国連に人種撤廃委員会が置かれている所以にもなる。
 今、「先住民族」を捉える視点として、この「言語」と「方言」について捉え直す必要がある。
 その意味で、日本国には、「方言」ではなく言語としての「琉球語」として認識を改め、具体的な施策として、「学校教育で習得する機会を設けるべきだ」という新垣友子准教授の指摘が、生きてくる。


 以下、沖縄タイムス、琉球新報、その他の資料の引用。








沖縄タイムス-「琉球語と日本語は別」 新垣友子氏、復興へ行政の後押し求め-2016年10月9日 09:28


 「琉球諸語復興のための言語計画-現状と課題」特別講演会(主催・沖縄キリスト教平和研究所)が8日、西原町の沖縄キリスト教学院大学であり、しまくとぅばの現状と課題が報告された。

 同学院大学の新垣友子准教授(言語学)は、ユネスコの基準では奄美大島から与那国島まで話されているしまくとぅばは、日本語とは別の独立した言語として識別されているとし、「方言」ではなく「琉球語」として認識を改めるよう呼び掛けた。

 また、言語継承の危機状態にあった英国のウェールズでは、ウェールズ語と英語を同等とする「言語法」を制定したり、ウェールズ語教育を義務化するなど、復興政策を開始して以来、全人口の2割にまで激減していた話者が、徐々に増えてきていることを紹介。「琉球諸語の復興には、行政にも強く働きかける必要がある」と訴えた。

 琉球大学の島袋純教授(政治学)はしまくとぅばの保存・普及・継承に向けた県の施策を説明。しまくとぅばを使う人を2022年までに県民の88%に増やす目標を掲げているが、学校教育での取り組みが弱く、施策効果に疑問があると指摘した。次世代に継承するには、しまくとぅば学習の推進のため条例を制定し、「学校教育で習得する機会を設けるべきだ」と語った。


琉球新報-沖縄の民意尊重を 国連人種差別撤廃委が日本に勧告-2014年8月30日 10:14


 国連の人種差別撤廃委員会は29日、日本政府に対し、沖縄の人々は「先住民族」だとして、その権利を保護するよう勧告する「最終見解」を発表した。「彼らの権利の促進や保護に関し、沖縄の人々の代表と一層協議していくこと」も勧告し、民意の尊重を求めた。琉球・沖縄の言語や歴史、文化についても、学校教育で教科書に盛り込むなどして保護するよう対策を促した。委員会は日本政府に対し、勧告を受けての対応を報告するよう求めている。
 同委員会は2010年に、沖縄への米軍基地の集中について「現代的な形の人種差別だ」と認定し、差別を監視するために、沖縄の人々の代表者と幅広く協議を行うよう勧告していた。今回は米軍基地問題に言及しなかった。
 最終見解は、ユネスコ(国連教育科学文化機関)が琉球・沖縄について特有の民族性、歴史、文化、伝統を認めているにもかかわらず、日本政府が沖縄の人々を「先住民族」と認識していないとの立場に「懸念」を表明。「彼らの権利の保護に関して琉球の代表と協議するのに十分な方法が取られていない」ことに対しても懸念を表した。
 また、消滅の危機にある琉球諸語(しまくとぅば)の使用促進や、保護策が十分に行われていないと指摘。教科書に琉球の歴史や文化が十分に反映されていないとして、対策を講じるよう要求した。
 最終見解は今月20、21日にスイス・ジュネーブの国連人権高等弁務官事務所で開いた対日審査の結果を踏まえ、まとめられた。
 対日審査では沖縄の米軍基地問題に関して、委員から「地元に関わる問題は事前に地元の人たちと協議して同意を得ることが大変重要だ」「政策に地元住民を参加させるべきだ」といった指摘が相次いだが、最終見解では触れなかった。
 日本に対する審査は、日本が1995年に人種差別撤廃条約の締約国になって以来、2001年と10年に次ぎ、今回が3回目。


外務省-人種差別撤廃委員会の日本政府報告審査に関する最終見解に対する日本政府の意見の提出〈沖縄関係)

(2) 他方、本条約の適用範囲については、次の通り考えている。

(イ) そもそも本条約の適用対象となる「人種差別」とは、本条約第1条1において、「人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別・・・」と規定している。このことから、本条約は、社会通念上、生物学的諸特徴を共有するとされている人々の集団、及び社会通念上、文化的諸特徴を共有するとされている人々の集団並びにこれらの集団に属する個人につき、これらの諸特徴を有していることに基づく差別を対象とするものであると解される。沖縄県に居住する人あるいは沖縄県の出身者は日本民族であり、一般に、他県出身者と同様、社会通念上、生物学的又は文化的諸特徴を共有している人々の集団であると考えられておらず、したがって、本条約の対象とはならないものと考えている。
(ロ) 更に、本条約第1条1に規定する"descent"については、本条約の審議経緯において、"national origin(民族的出身)"という語が「国籍」という法的地位に基づく概念も含み得るかのような誤解を招くとの問題があり、その問題を解決するため、"national origin"に代わる語として"place of origin"とともに提案されたものである。しかし、その後、文言の整理が十分になされず、そのまま本規定中に残ったものであると承知している。
 このような審議経緯を踏まえれば、本条約の適用上、"descent"とは、過去の世代における人種若しくは皮膚の色又は過去の世代における民族的若しくは種族的出身に着目した概念を表すものであり、社会的出身に着目した概念を表すものとは解されない。
 他方、同和問題については、日本政府としては、同和対策審議会答申(1965年8月11日)の通り、「同和地区の住民は異人種でも異民族でもなく、疑いもなく日本民族、日本国民である」と考えている。

2.パラ7の「沖縄の住民は、特定の民族的集団として認識されることを求めており、また、現在の島の状況が沖縄の住民に対する差別的行為につながっていると主張している。」について、

(1) 沖縄の住民が日本民族とは別の民族であると主張する人々がいることは承知しているが、それが沖縄の人々の多数意志を代表したものであるとは承知していない。また、上記1.(2)(イ)のとおり、沖縄県に居住する人あるいは沖縄県の出身者は日本民族であり、社会通念上、日本民族と異なる生物学的または文化的諸特徴を共有している人々であるとは考えられていない。
(2) なお、委員会が指摘する「現在の島の状況が沖縄の住民に対する差別的行為につながっている」ということが具体的に何を意味しているのか必ずしも明確ではないが、沖縄の米軍施設・区域については、在日米軍施設・区域の75%が集中することによる沖縄県民への負担の負担の軽減のため、日本政府は米国政府とも協力しつつ、米軍施設・区域の整理・統合・縮小を図ったSACO(沖縄に関する特別行動委員会)最終報告の着実な実施に全力で取り組んでいるところである。
(3) また、米兵による事件・事故の防止については、日本政府としては、これまでも閣僚レベルを含め、累次の機会に米側に綱紀粛正と再発防止を申し入れてきており、今後とも事件・事故の未然防止に努めるよう米側に働きかけていく所存である。これに関連して、2000年秋より、米軍、国、地方自治体、地元警察、商工会議所等関係者により構成されるワーキング・チームにおいて、特に飲酒に絡む事件・事故の再発防止のためにとりうる具体策につき検討・決定するという協力体制が実施されている。


国連人種差別撤廃委員会「日本の第7回・第8回・第9回定期報告に関する最終見解」-2014年8月29日


琉球/沖縄の状況
21.委員会は,ユネスコによる独特な民族性,歴史,文化及び伝統の承認にもかかわらず,琉球/沖縄を先住民族として承認しない締約国の立場を遺憾に思う。委員会は,沖縄振興特別措置法及び沖縄振興計画に基づく,琉球に関して締約国によってとられ実施された措置に留意するものの,彼らの権利の保護に関する琉球の代表との協議のために十分な措置がとられてこなかったことを懸念する。委員会はまた,消滅する危険がある琉球の言語を振興し保護するために十分なことが行われていないとの情報,及び教科書が適切に琉球の人々の歴史及び文化を反映していないとの情報を懸念する(第5条)。
委員会は,締約国が,その立場を見直し,琉球を先住民族として承認することを検討し,また彼らの権利を保護するための具体的な措置をとることを勧告する。委員会はまた,締約国が,琉球の権利の促進及び保護に関連する問題について,琉球の代表との協議を強化することを勧告する。委員会はさらに,締約国が,琉球の言語を消滅の危険から保護するために採用された措置の実施を加速させ,彼ら自身の言語による琉球の人々の教育を促進し,学校カリキュラムにおいて用いられる教科書に彼らの歴史及び文化を含めることを勧告する。

マイノリティ言語及び教科書
24.委員会は,締約国から提供された情報に留意するものの,締約国が,マイノリティあるいは先住民族に属する児童に対し,マイノリティ言語による,またマイノリティ言語の教育を振興するための適切な措置をとっていないことを遺憾に思う。委員会は,条約によって保護される日本の諸グループの歴史,文化及び貢献を適切に反映するための,既存の教科書を修正するためにとられた措置に関する情報の欠如について懸念する(第5条)。
委員会は,締約国が,アイヌ及び琉球の人々を含む,マイノリティ及び先住民族に属する児童に対し,マイノリティ言語によってマイノリティ言語を教える教育を促進するよう勧告する。委員会は,締約国に対し,条約によって保護される日本の諸グループの歴史,文化及び貢献を反映しない教科書を修正することを勧告する。


琉球新報社説-「先住民族」撤回要求 琉球王国の認識に違い-2016年4月28日


 国連が沖縄の人々を日本の「先住民族」と認識していることに対し、外務省が否定しているのは、歴史認識の違いによるものが大きい。それは1879年の琉球併合(「琉球処分」)まで琉球王国が独立王国として存在していたかどうかへの評価に深く関わっている。

 国連が規定する「先住民族」は、他者によって土地を奪われた、もともとその土地に住んでいた人々を指す。血統や言語といった人種や民族的同一性や違いも指標にはなるが、最も重要なポイントは、そこの土地はそもそも誰のものだったかという「土地の権利」だ。
 国連が沖縄の人々を「先住民族」と認めたのは(1)琉球王国が1850年代に米国、フランス、オランダと修好条約を結び、国際法上の主体=主権国家として存在していた(2)79年に日本によって併合され沖縄県が設置された(3)その後日本に支配され差別の対象とされた―主にこの3点を事実として認定したからだ。
 一方、日本政府側は琉球王国が国際法上の主体としての独立国家だったかどうかについて「『琉球王国』をめぐる当時の状況が必ずしも明らかでなく、確定的なことを述べるのは困難」という判断を避ける答弁を繰り返してきた。つまり公式には琉球王国の存在を確定的なものとして認めていない。
 ただ、今回の国会答弁のように日本の先住民族は「アイヌの人々以外にいない」ということであれば、少なくとも1879年以前、琉球人は存在せず、琉球王国の国民は日本人だったことになる。琉球王国の存在を認めた場合、先住民族論に最も重要な根拠を与えることもあり、判断を避けているとみられる。
 2007年に国連で採択された先住民族権利宣言は、先住民族の合意がない限り先住民族の土地を軍事に利用することを禁じている。日本政府が沖縄の人々を先住民族として認めると、日本政府は米軍基地問題などこれまでの沖縄政策で多くの「不正」を是正せざるを得なくなることも、認めたくない理由の一つだろう。(新垣毅)


ウィキペディア-消滅危機言語


国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)は消滅危機言語をリストアップした地図 "Atlas of the World's Languages in Danger" を発行している(初版発行が1996年、第2版発行が2001年)。2009年2月、"Atlas of the World's Languages in Danger" の第3版となるリストが発表され(書籍としては2010年刊行)、世界で約2500の言語を消滅危機言語として位置づけた。言語の消滅危険度については「脆弱」から「極めて危険」まで4段階(「消滅」を含めれば5段階)の評価が行われている。2009年の発表時点では、最も深刻度の高い「極めて深刻」に538言語が分類され、このうち199言語は、話者が10人以下であった。日本国内では、話者15人とされるアイヌ語をはじめ、以下の8言語がリストに掲載されている。
極めて深刻: アイヌ語
重大な危機: 八重山語(八重山方言)、与那国語(与那国方言)
危険: 八丈語(八丈方言)、奄美語(奄美方言)、国頭語(国頭方言)、沖縄語(沖縄方言)、宮古語(宮古方言)


by asyagi-df-2014 | 2016-10-16 14:41 | 自由権 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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