沖縄の基地負担軽減について、沖縄タイムスで考える。(3)

 沖縄タイムスは、2016年10月1日付けの記事で、「「在日米軍基地の負担公平を」、と主張した。 この記事では、「基地負担に関する国民的な合意がない中、法的に決着をつけようとしているこの機会に、日米安全保障の全国民的な基盤について考えたい。」、と視点を定める。
 この記事は、沖縄の基地負担軽減における公平性の問題を追及する。
 この記事を要約する。
Ⅰ.基地負担の不公平性
(1)日本の安全保障は、米国の支援が得られるとの見込みによって担保されているというのが、大方の見方だ。そのため日本は米国と友好関係を維持することが大事である。
(2)その手段の一つが米国への基地提供だ。その際、政府の最も重要な任務は、国民が納得して基地を提供する状態をつくることである。
(3)基地負担に不満や不公平感が高まれば、日米安保の効果は激減する。不公平な負担と犠牲を押し付ける政府の下では、沖縄県民に限らず、国民の誰もが懸念を持ち続けるため、安全保障のための真の協力が得られないからだ。同盟する日米間や、国と自治体の間の両方について、真の納得と連帯が重要である。
Ⅱ.日本政府の不作為とその危険性
(1)にもかかわらずこの任務を十分に果たしてこなかったのが、日本政府である。米軍基地の存在に伴い、地域社会にはさまざまな負担が発生する。負担は全体として減らすか、補償・代償するか、国内で公平に負担するかしなければならない。これらの対処をして、初めて抑止力の国内的な基盤が確保されるのである。
(2)だが基地の返還などを試みてきたものの負担の軽減が不十分だ。米軍による事故はなくならない。日米地位協定の改定は進まず、軍人・軍属による性犯罪などは繰り返されている。補償・代償は、基地を負担する地域に、誠実に国が行う限りには一定の効果があった。しかし、政府が恣意(しい)的に使えるような米軍再編交付金が導入され、札束で頰をたたくやり方になって地元の不信感が増し効果が減退した。
(3)公平負担を見ると、かつては日本本土に散らばっていた米軍基地は、次第に沖縄に過重に集中。46都道府県で負担は軽減されたが、沖縄県民の負担は増え不公平化が進む。これらの点から国民的な分断が進み在日米軍基地の効果は薄れ、抑止力の危機にあると言える。
(4)政府および裁判所は「県内たらい回し」という辺野古「移設」を法の力で決着し、「地理的優位性」の名の下に現状の不公平負担状態の継続を沖縄に強制することが、安全保障の国益にかなうと考えているようである。この状態は国民的な連帯基盤のある抑止力にはならない。政府・司法当局者が沖縄県民に押し付ける発想であること自体が危機である。
Ⅲ.金井利之・東大教授の主張
(1)米国がこのように当てにならない「同盟国」を見捨てるというカードも考えられる。米国との同盟関係を政府が維持したいのなら、国内の真の納得と連帯が必要である。そのためには沖縄の基地負担に対し真摯(しんし)に向き合い、全国民的に負担を公平に分担するしかない。
(2)日本政府は、在日米軍基地の「沖縄県外移設」の計画を立てればよい。46都道府県は当然、抵抗するだろう。内閣が倒れたような容易ではない課題である。そのような生みの苦しみを経て初めて、国と全国の自治体との間で、全国民的な負担の公平が論じられ、安全保障の国民的基盤が構築できるのである。福岡高裁那覇支部の判決はこうした機会への扉を閉じてしまった。


 この金井利之・東大教授の主張を通して受け取ったものは次のものである。再掲の形で。


(1)米軍基地の存在に伴い、地域社会にはさまざまな負担が発生する。負担は全体として減らすか、補償・代償するか、国内で公平に負担するかしなければならない。これらの対処をして、初めて抑止力の国内的な基盤が確保されるのである。
(2)補償・代償は、基地を負担する地域に、誠実に国が行う限りには一定の効果があった。しかし、政府が恣意(しい)的に使えるような米軍再編交付金が導入され、札束で頰をたたくやり方になって地元の不信感が増し効果が減退した。
(3)基地負担に不満や不公平感が高まれば、日米安保の効果は激減する。不公平な負担と犠牲を押し付ける政府の下では、沖縄県民に限らず、国民の誰もが懸念を持ち続けるため、安全保障のための真の協力が得られないからだ。
(4)政府および裁判所は「県内たらい回し」という辺野古「移設」を法の力で決着し、「地理的優位性」の名の下に現状の不公平負担状態の継続を沖縄に強制することが、安全保障の国益にかなうと考えているようである。この状態は国民的な連帯基盤のある抑止力にはならない。政府・司法当局者が沖縄県民に押し付ける発想であること自体が危機である。
(5)日本政府は、在日米軍基地の「沖縄県外移設」の計画を立てればよい。46都道府県は当然、抵抗するだろう。内閣が倒れたような容易ではない課題である。そのような生みの苦しみを経て初めて、国と全国の自治体との間で、全国民的な負担の公平が論じられ、安全保障の国民的基盤が構築できるのである。


 以下、沖縄タイムスの引用。








沖縄タイムス-【深掘り】「在日米軍基地の負担公平を」金井利之・東大教授-2016年10月1日 06:00


 米軍普天間飛行場の名護市辺野古建設を巡る訴訟の9月16日の判決で沖縄県が全面敗訴し、県は上告した。基地負担に関する国民的な合意がない中、法的に決着をつけようとしているこの機会に、日米安全保障の全国民的な基盤について考えたい。

 日本の安全保障は、米国の支援が得られるとの見込みによって担保されているというのが、大方の見方だ。そのため日本は米国と友好関係を維持することが大事である。

 その手段の一つが米国への基地提供だ。その際、政府の最も重要な任務は、国民が納得して基地を提供する状態をつくることである。

 基地負担に不満や不公平感が高まれば、日米安保の効果は激減する。不公平な負担と犠牲を押し付ける政府の下では、沖縄県民に限らず、国民の誰もが懸念を持ち続けるため、安全保障のための真の協力が得られないからだ。同盟する日米間や、国と自治体の間の両方について、真の納得と連帯が重要である。

 にもかかわらずこの任務を十分に果たしてこなかったのが、日本政府である。米軍基地の存在に伴い、地域社会にはさまざまな負担が発生する。負担は全体として減らすか、補償・代償するか、国内で公平に負担するかしなければならない。これらの対処をして、初めて抑止力の国内的な基盤が確保されるのである。

 だが基地の返還などを試みてきたものの負担の軽減が不十分だ。米軍による事故はなくならない。日米地位協定の改定は進まず、軍人・軍属による性犯罪などは繰り返されている。

 補償・代償は、基地を負担する地域に、誠実に国が行う限りには一定の効果があった。しかし、政府が恣意(しい)的に使えるような米軍再編交付金が導入され、札束で頰をたたくやり方になって地元の不信感が増し効果が減退した。

 公平負担を見ると、かつては日本本土に散らばっていた米軍基地は、次第に沖縄に過重に集中。46都道府県で負担は軽減されたが、沖縄県民の負担は増え不公平化が進む。これらの点から国民的な分断が進み在日米軍基地の効果は薄れ、抑止力の危機にあると言える。

 政府および裁判所は「県内たらい回し」という辺野古「移設」を法の力で決着し、「地理的優位性」の名の下に現状の不公平負担状態の継続を沖縄に強制することが、安全保障の国益にかなうと考えているようである。

 この状態は国民的な連帯基盤のある抑止力にはならない。政府・司法当局者が沖縄県民に押し付ける発想であること自体が危機である。

 米国がこのように当てにならない「同盟国」を見捨てるというカードも考えられる。米国との同盟関係を政府が維持したいのなら、国内の真の納得と連帯が必要である。そのためには沖縄の基地負担に対し真摯(しんし)に向き合い、全国民的に負担を公平に分担するしかない。

 日本政府は、在日米軍基地の「沖縄県外移設」の計画を立てればよい。46都道府県は当然、抵抗するだろう。内閣が倒れたような容易ではない課題である。そのような生みの苦しみを経て初めて、国と全国の自治体との間で、全国民的な負担の公平が論じられ、安全保障の国民的基盤が構築できるのである。福岡高裁那覇支部の判決はこうした機会への扉を閉じてしまった。
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 かない・としゆき 1967年群馬県生まれ。東大卒。2006年から東大教授。専門は政府間関係論。主著に「財政調整の一般理論」など。


by asyagi-df-2014 | 2016-10-12 07:30 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


by あしゃぎの人
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