沖縄-「辺野古裁判、沖縄県が敗訴」(6)

 辺野古裁判は、沖縄県が敗訴となった。
 このことを伝える。 
 沖縄タイムスは、2016年9月20日と21日の両日、「『三権一体』国追認判決の衝撃(3)(4)」、と特集を続けた。
 その見出しは、「国の全面勝利 県は訴訟指揮を誤った」、「移設先の名護市長 当事者の声無視、憤る」、と記されていた。
 この特集で考える。
 この「国の全面勝利」の正体について、このように説明する。
 「もろ手を挙げて喜ぶのは、「結論を導くのに、わざわざ触れなくてもいい所まで理由に書き込んだ」(防衛省幹部)からだ。」。
 というのは、「判決文には『(判決に従わないと)制度が無意味になり、裁判所の権威まで失墜させる』と明記された。政府関係者は『その後の対応までしっかりと書いた。これで県が寝っ転がったままとはいかない』と指摘する。」、というものであったから。
 つまり、判決は、国にとって、「防衛省幹部は判決を聞き『ほっとした。最高裁判決が確定したらすぐに工事を再開したい』と胸をなで下ろした。」、という「国の全面勝利」であったということ。
また、沖縄タイムスは、「国側の訴えの根本であり、高裁が示した『辺野古唯一論』は判例になる。和解に応じた理由の一つであったように訴訟合戦は避けたい政府だが、また訴訟が起こされてもスピード判決を見込む。『いい判決をもらった』」、と「国の全面勝利」の正体を見据えた。
 あわせて、「県が訴訟指揮を誤った」ことについても、次のように踏み込んだ。


(1)判決は防衛白書かのように、沖縄の地理的優位性や海兵隊の機動力・即応性、強襲揚陸作戦以外でも沖縄駐留の必要性などを認定。県が政府に対抗する最大の後ろ盾の「民意」についても「埋め立てにより県全体としては基地負担が軽減される。基地の整理縮小を求める沖縄の民意を考慮しても、公有水面埋立法の要件を欠くとは認められない」と断じた。
(2)「なぜこんなにも裁判所は国の主張を採用したのか。関係者は「県が訴訟指揮を誤った。和解に基づいて国地方係争処理委員会の結論が出た後に、自ら提訴しなかった。和解を提案した裁判所を不愉快にさせた」と分析する。


 ただ、沖縄タイムスは、「『予断を許さない。最高裁までまだ道半ば』と自制する政府高官。翁長雄志知事が『あらゆる手法を使って阻止する』と言っている以上、判決が確定しても、埋め立て承認の撤回や別の要件で、再び訴訟合戦になる可能性は否定できない。」、と一方では伝えた。


 さらに、「移設先の名護市長 当事者の声無視、憤る」、と次のように続けた。


(1)「県敗訴」を告げるニュース速報の紙が稲嶺進名護市長の手元に届いたのは16日午後2時23分、市議会定例会の真っ最中だった。一般質問で、名護市への観光客誘致に向けた今後の取り組みを議論している最中、「辺野古違法確認訴訟」の判決が舞い込んできた。稲嶺市長は表情を変えずに読み、静かに机に置いた。
(2)約3時間後に市役所で開かれた記者会見で、その表情は硬直したものに変わっていた。「(判決は)国の言い分を追認する結果にとどまっている。とても中立とは言えない」。いつもの会見より語気を強めて質問に答える様子に、怒りがにじんだ。
(3)市幹部によると「国勝訴は予想していたこと」。法廷闘争が最高裁まで持ち込まれることは当初から想定内だった。ただ、判決要旨を読み込み、稲嶺市長は衝撃を受けた。
(4)辺野古への代替施設は普天間飛行場の半分以下の面積だから沖縄の基地負担は軽減する。全知事が基地建設に反対したら国の判断が覆されてしまう-。「裁判所が自ら判断した跡がないくらい、国の主張をなぞるような内容」(稲嶺市長)が並んでいた。他の解決策について審理しないまま「普天間飛行場の被害を除去するには本件埋め立てを行うしかない」とする判決も、「辺野古唯一」を繰り返す政府の姿勢と重なった。別の市幹部は「これでは、国は地方自治体の声を聞かないでも良いと言っているようなもの。開き直りも甚だしい」と憤りを隠せない。
(5)地元の声に耳を傾けない姿勢は、判決の前から兆しがあった。県側は稲嶺市長や、安全保障・環境の専門家ら8人を証人申請したが、多見谷寿郎裁判長はこれを認めなかった。稲嶺市長は「代替施設の影響をもろに受けるのは名護市民。当事者の意見を聞かずに判決が行われたのは、非常に不満がある」と不快感をあらわにした。市は、県が最高裁へ上告するのであれば支援したい考えだ。市幹部は「判例のない異例の裁判だが、だからこそ一つの風穴を開けるべきだ。司法にそれぐらいの気概がないと、民主主義のあり方を問うことはできない」と強調する。


 今回の特集を、沖縄タイムスは、名護市の幹部職員の次の言葉で終わらせる。


「仮に最高裁で県が敗訴したとしても、県は新基地建設をあらゆる手法で阻止するとの意志を固め、行使できる知事権限を調べている。さらに本体工事を進めるためには、作業ヤードとして辺野古漁港周辺を使用する場合に漁港施設占用許可が必要になるなど、市長権限に関わる要件を満たす必要がある。市教育委員会による辺野古崎周辺の文化財調査も継続中だ。市幹部は「訴訟の判決が出たからといって、基地建設を進めることはできないはずだ」と強調した。」



 以下、沖縄タイムスの引用。








(1)沖縄タイムス-「三権一体」国追認判決の衝撃(3)国の全面勝利 「県は訴訟指揮を誤った」-2016年9月20日 21:00


 福岡高裁那覇支部の判決は国側の主張を各面で取り込み「全面勝利」(政府関係者)だった。知事の行為が違法とみなされることは想定内。もろ手を挙げて喜ぶのは、「結論を導くのに、わざわざ触れなくてもいい所まで理由に書き込んだ」(防衛省幹部)からだ。

 勝訴は織り込み済みだったと言っても、全く不安がなかったわけではない。懸案の一つは、最高裁判決で違法と出ても、県が従わず放置するのではないかということだ。そうすれば勝っても工事は再開できず、代執行訴訟などさらに時間を要する。

 判決文には「(判決に従わないと)制度が無意味になり、裁判所の権威まで失墜させる」と明記された。政府関係者は「その後の対応までしっかりと書いた。これで県が寝っ転がったままとはいかない」と指摘する。

 防衛省にとって工事を進めることが最重要ミッション。だが、和解によって「政治が入り、埋め立ての承認とは法的に関連しない部分まで工事は止まった」(関係者)。行政手続きに不備はないが、県側が本質的ではないと指摘する「協議」をどう判断するかは引っかかっていた。

 多見谷寿郎裁判長は「協議は政治家同士の交渉。訴訟は法律解釈。両者は、アプローチがまったく別のものなので、同時並行で行うことは差し支えない」と説明した。

 防衛省幹部は判決を聞き「ほっとした。最高裁判決が確定したらすぐに工事を再開したい」と胸をなで下ろした。

 判決は防衛白書かのように、沖縄の地理的優位性や海兵隊の機動力・即応性、強襲揚陸作戦以外でも沖縄駐留の必要性などを認定。県が政府に対抗する最大の後ろ盾の「民意」についても「埋め立てにより県全体としては基地負担が軽減される。基地の整理縮小を求める沖縄の民意を考慮しても、公有水面埋立法の要件を欠くとは認められない」と断じた。

 なぜこんなにも裁判所は国の主張を採用したのか。関係者は「県が訴訟指揮を誤った。和解に基づいて国地方係争処理委員会の結論が出た後に、自ら提訴しなかった。和解を提案した裁判所を不愉快にさせた」と分析する。

 「予断を許さない。最高裁までまだ道半ば」と自制する政府高官。翁長雄志知事が「あらゆる手法を使って阻止する」と言っている以上、判決が確定しても、埋め立て承認の撤回や別の要件で、再び訴訟合戦になる可能性は否定できない。

 国側の訴えの根本であり、高裁が示した「辺野古唯一論」は判例になる。和解に応じた理由の一つであったように訴訟合戦は避けたい政府だが、また訴訟が起こされてもスピード判決を見込む。「いい判決をもらった」(東京報道部・上地一姫)


(2)沖縄タイムス-「三権一体」国追認判決の衝撃(4)移設先の名護市長 当事者の声無視、憤る-2016年9月21日 21:00


 「県敗訴」を告げるニュース速報の紙が稲嶺進名護市長の手元に届いたのは16日午後2時23分、市議会定例会の真っ最中だった。

 一般質問で、名護市への観光客誘致に向けた今後の取り組みを議論している最中、「辺野古違法確認訴訟」の判決が舞い込んできた。稲嶺市長は表情を変えずに読み、静かに机に置いた。

 約3時間後に市役所で開かれた記者会見で、その表情は硬直したものに変わっていた。「(判決は)国の言い分を追認する結果にとどまっている。とても中立とは言えない」。いつもの会見より語気を強めて質問に答える様子に、怒りがにじんだ。

 市幹部によると「国勝訴は予想していたこと」。法廷闘争が最高裁まで持ち込まれることは当初から想定内だった。ただ、判決要旨を読み込み、稲嶺市長は衝撃を受けた。

 辺野古への代替施設は普天間飛行場の半分以下の面積だから沖縄の基地負担は軽減する。全知事が基地建設に反対したら国の判断が覆されてしまう-。「裁判所が自ら判断した跡がないくらい、国の主張をなぞるような内容」(稲嶺市長)が並んでいた。

 他の解決策について審理しないまま「普天間飛行場の被害を除去するには本件埋め立てを行うしかない」とする判決も、「辺野古唯一」を繰り返す政府の姿勢と重なった。

 別の市幹部は「これでは、国は地方自治体の声を聞かないでも良いと言っているようなもの。開き直りも甚だしい」と憤りを隠せない。

 地元の声に耳を傾けない姿勢は、判決の前から兆しがあった。県側は稲嶺市長や、安全保障・環境の専門家ら8人を証人申請したが、多見谷寿郎裁判長はこれを認めなかった。

 稲嶺市長は「代替施設の影響をもろに受けるのは名護市民。当事者の意見を聞かずに判決が行われたのは、非常に不満がある」と不快感をあらわにした。

 市は、県が最高裁へ上告するのであれば支援したい考えだ。市幹部は「判例のない異例の裁判だが、だからこそ一つの風穴を開けるべきだ。司法にそれぐらいの気概がないと、民主主義のあり方を問うことはできない」と強調する。

 仮に最高裁で県が敗訴したとしても、県は新基地建設をあらゆる手法で阻止するとの意志を固め、行使できる知事権限を調べている。

 さらに本体工事を進めるためには、作業ヤードとして辺野古漁港周辺を使用する場合に漁港施設占用許可が必要になるなど、市長権限に関わる要件を満たす必要がある。市教育委員会による辺野古崎周辺の文化財調査も継続中だ。

 市幹部は「訴訟の判決が出たからといって、基地建設を進めることはできないはずだ」と強調した。(北部報道部・西江千尋)


by asyagi-df-2014 | 2016-09-28 05:56 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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