沖縄-「辺野古裁判、沖縄県が敗訴」(5)

 辺野古裁判は、沖縄県が敗訴となった。
 このことを伝える。 
 沖縄タイムスは、2016年9月19日と20日の両日、「『三権一体』国追認判決の衝撃(1)(2)」、と特集を組んだ。
 その見出しは、「『だまされた』と県幹部 和解は『茶番』」「上告を準備していた県 『悲観はしていない』」、と刻まれていた。
 この特集で考える。
 沖縄タイムスは、このように始める。


「県庁6階の知事執務室にいた翁長雄志知事は、秘書が差し出した手書きのメモに目を落とした。『県、敗訴』。知事は、言葉を発せず、ただ、静かにうなずいた。」


 しかし、展開は変わる。


「だが、裁判所から戻った県代理人や県職員から判決の中身を知らされると知事の感情は大きく変化した。『あぜんとする内容だ』。判決から3時間後。記者会見前の打ち合わせで、知事は弁護士、県幹部を前にこうつぶやいた。そして続けた。『ボールを砂に落とすよりも、コンクリートに落としたときの方が跳ね返る力が大きくなる』」


 この知事の発言の意味を、沖縄タイムスは、「判決内容が県側に厳しいほど、県民の反発は高まり、対政府への結束も強まる-。国側の主張を『丸のみ』(県幹部)した判決を“逆バネ”にし、世論を喚起して政府と戦う力にしようとの決意だった。」、と言い切る。


 沖縄タイムスは、続ける。
「会見で、紙のコメントを読み上げる前に、私から話をさせてほしい」、と県幹部に会見前に説明した知事の言葉は、次のものであった。


「三権分立という意味で、相当な禍根を残す」


 まさに、翁長雄志知事の日本という国のあり方や司法への不信感の言葉であった。
沖縄県にとって、今回の判決の結果で見えたものは、「『まるで国の訴状』(県幹部)という判決に加え、国側勝訴の前提とも映る、国側に偏った訴訟指揮」、「『工事を止め円満解決に向け協議をする』とした和解は、県にとって『茶番』(県幹部)」、ということであった。
また、「判決は海兵隊の沖縄駐留の地理的優位性を認め、国側の『辺野古唯一論』を全面的に採用した。だが、その根拠は不明だ。」、ということも解明されないままに終わっている。
 そこにあったのは、「辺野古に米軍基地を建設する法的、軍事的根拠がないと訴える県側の主張を一方的に退けた訴訟指揮。」、ということでしかなかった。
 結局、あらためてはっきりしたのは、「司法にとって日米安保はアンタッチャブル。第三者行為論、統治行為論にしろ、裁判所の良心の限界だ。たかが高裁の那覇支部長が、20年間の日米交渉を覆すなんてできるわけない」、ということであった。
 このことに関して、何故裁判長が執拗に「判決に従うか」とただしたのかについて、沖縄タイムスは、次のように押さえた。


「『辺野古違法確認訴訟』で福岡高裁那覇支部の多見谷寿郎裁判長は、国側の請求を全面的に認めた。訴訟では、県の答弁書提出前に争点整理案を双方に提示。『判決に従うか』と県側をただした。
 県側の仲西孝浩弁護士は『県の主張を理解していない整理案を出し、国が聞きたいことを代わって聞いていた。明らかに、こちらに不利な訴訟指揮だった』と振り返る。
 県側は反論したが辺野古唯一を追認した判決となった。加藤裕弁護士は『結局、裁判所にはまともに審理する姿勢がなかった』と吐き捨てた。」


 次に、沖縄タイムスは、沖縄県の「敗訴を予想していた県側は、8月に入り訴訟と並行して最高裁への上告に向けた準備に着手していた。」、と判決結果を予想した動きを伝える。
 この最高裁への上告について、次のような県側の思惑を伝える。


(1)加藤弁護士は「最高裁では公有水面埋立法の要件に国防・外交の要素がどの程度入るのかや、是正指示を出す主務大臣の権限も議論されるだろう」と予測する。
(2)裁判所が国の主張を丸のみする形で「辺野古唯一論」を認定したことに反発する県幹部は、「判決は反論したい点ばかり。逆に言えば、最高裁が判断を覆す余地が残っているのではないか」と期待感を示す。
(3)県側弁護士も判決自体は「権限の逸脱。裁判所が言ってはいけないことまで、たった3人の裁判官が認定した」と強く批判する。


 しかし、沖縄タイムスは、「だが、展望は決して明るくない。最高裁は、高裁判決に憲法違反や判例に反する判断などが含まれているかだけを審理するためだ。」、と最高裁への上告の限界を指摘する。
 あわせて、「県側関係者は『承認が埋立法の要件を満たしているかどうかは、最高裁では議論されないだろう。取り消し処分の適法性を訴えるわれわれとしては、高裁で負けるのは痛い』と語る。」、と今回の高裁の判決結果の意味も押さえる。


 最後に、沖縄タイムスは、沖縄県の今後について次のようにまとめる。


(1)一方、県は最高裁で県敗訴の判決が確定しても新基地建設はあらゆる手法で阻止するとの意思を固め、行使できる知事権限の洗い出しを急いでいる。来年3月末に更新時期を迎える岩礁破砕許可や設計変更申請への許可判断だ。知事は16日の会見で「長い長い闘いになる」と述べ徹底的に闘う姿勢を示した。
(2)最高裁の行方は見通せない。だが、加藤弁護士は18日の会合で、20年前に県側が敗訴した代理署名訴訟を引き合いにこう強調した。
 「20年前、負けて県執行部は路線変更したが、そこには県民のサポートがなかった。今回は、県民が闘い続けることに勝機がある」


 この沖縄の「長い長い闘い」は、私たちの闘いでもある。
 実は、「今回は、日本国民がともに闘ったことで勝機を見いだすことができた」、と結ぶことができるか、ということを問われている。


 以下、沖縄タイムスの引用。








(1)沖縄タイムス-「三権一体」国追認判決の衝撃(1)「だまされた」と県幹部 和解は「茶番」-2016年9月19日 19:02


 県庁6階の知事執務室にいた翁長雄志知事は、秘書が差し出した手書きのメモに目を落とした。

 「県、敗訴」

 知事は、言葉を発せず、ただ、静かにうなずいた。

 だが、裁判所から戻った県代理人や県職員から判決の中身を知らされると知事の感情は大きく変化した。

 「あぜんとする内容だ」。判決から3時間後。記者会見前の打ち合わせで、知事は弁護士、県幹部を前にこうつぶやいた。そして続けた。

 「ボールを砂に落とすよりも、コンクリートに落としたときの方が跳ね返る力が大きくなる」

 判決内容が県側に厳しいほど、県民の反発は高まり、対政府への結束も強まる-。国側の主張を「丸のみ」(県幹部)した判決を“逆バネ”にし、世論を喚起して政府と戦う力にしようとの決意だった。
■    ■
 「会見で、紙のコメントを読み上げる前に、私から話をさせてほしい」
 会見前、県幹部らに伝えていた知事は、冒頭自らの言葉で司法への不信感を伝えた。「三権分立という意味で、相当な禍根を残す」

 県が批判を強めるのは、「まるで国の訴状」(県幹部)という判決に加え、国側勝訴の前提とも映る、国側に偏った訴訟指揮だ。

 「だまされた。裁判長は国と地方が対等・協力なんて考えてもいなかった」。県幹部は判決後、語気を強めた。和解では、県と国に協議を求め、オールジャパンで解決策を探る必要性を唱えた。だが、沖縄に寄り添う姿勢はあくまでも「表向き」だった。

 多見谷寿郎裁判長が当初提示した和解案には、国地方係争処理委員会(係争委)への審査申し出は入っていなかった。県側の松永和宏弁護士によると、国側が係争委に否定的だとし、「県が係争委を求めるなら和解は難しい」と指摘。多見谷氏は「係争委なんて意味があるのか」とまで言及したという。

 県側関係者は、和解はとにかく手続きを急ぐ内容になっているとして、「裁判長は和解交渉で順当な手続きで訴えたら、ちゃんと審理する(勝たせる)という約束を国側としていたのでは」と推測する。
 結局、「工事を止め円満解決に向け協議をする」とした和解は、県にとって「茶番」(県幹部)だった。
■    ■
 判決は海兵隊の沖縄駐留の地理的優位性を認め、国側の「辺野古唯一論」を全面的に採用した。だが、その根拠は不明だ。

 辺野古に米軍基地を建設する法的、軍事的根拠がないと訴える県側の主張を一方的に退けた訴訟指揮。県側関係者はこう指摘する。

 「司法にとって日米安保はアンタッチャブル。第三者行為論、統治行為論にしろ、裁判所の良心の限界だ。たかが高裁の那覇支部長が、20年間の日米交渉を覆すなんてできるわけない」(政経部・大野亨恭、社会部・国吉聡志)
◇    ◇
 名護市辺野古の新基地建設を巡る違法確認訴訟で、裁判所は16日、国の主張を全面的に採用する判決を下した。訴訟指揮にも大きな疑問が残り、司法の「独立」にさえ疑念を抱く結果となった。県、国、辺野古の現場に判決はどう映り、今後の計画にどう影響を及ぼすのかを探った。


(2)沖縄タイムス-「三権一体」国追認判決の衝撃(2)上告を準備していた県 「悲観はしていない」-2016年9月20日 06:00


 「辺野古違法確認訴訟」で福岡高裁那覇支部の多見谷寿郎裁判長は、国側の請求を全面的に認めた。訴訟では、県の答弁書提出前に争点整理案を双方に提示。「判決に従うか」と県側をただした。

 県側の仲西孝浩弁護士は「県の主張を理解していない整理案を出し、国が聞きたいことを代わって聞いていた。明らかに、こちらに不利な訴訟指揮だった」と振り返る。

 県側は反論したが辺野古唯一を追認した判決となった。加藤裕弁護士は「結局、裁判所にはまともに審理する姿勢がなかった」と吐き捨てた。
■    ■
 敗訴を予想していた県側は、8月に入り訴訟と並行して最高裁への上告に向けた準備に着手していた。

 上告には、高裁判決に(1)憲法解釈の誤り(2)法律に定められた重大な訴訟手続きの違反-があることなどが理由となる。最高裁は高裁判決に判例に反する判断や重要な法令解釈に関わる事項を含んでいるとき、上告を受理する。


 だが、展望は決して明るくない。最高裁は、高裁判決に憲法違反や判例に反する判断などが含まれているかだけを審理するためだ。

 県側関係者は「承認が埋立法の要件を満たしているかどうかは、最高裁では議論されないだろう。取り消し処分の適法性を訴えるわれわれとしては、高裁で負けるのは痛い」と語る。
■    ■
 一方、県は最高裁で県敗訴の判決が確定しても新基地建設はあらゆる手法で阻止するとの意思を固め、行使できる知事権限の洗い出しを急いでいる。

 来年3月末に更新時期を迎える岩礁破砕許可や設計変更申請への許可判断だ。知事は16日の会見で「長い長い闘いになる」と述べ徹底的に闘う姿勢を示した。

 最高裁の行方は見通せない。だが、加藤弁護士は18日の会合で、20年前に県側が敗訴した代理署名訴訟を引き合いにこう強調した。

 「20年前、負けて県執行部は路線変更したが、そこには県民のサポートがなかった。今回は、県民が闘い続けることに勝機がある」(政経部・大野亨恭、社会部・国吉聡志)


by asyagi-df-2014 | 2016-09-24 06:28 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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