南山法律事務所コラムの「強制撤去は本当に行われるのか?(高江)」を読む。

 FBで、小口 幸人弁護士(以下、小口弁護士とする)のホームページにであいました。
小口弁護士は、2016年8月17日のブログで「強制撤去は本当に行われるのか?(高江)」と書き込んでいました。
 まず、小口弁護士は、次のような懸念について記しています。


「7月22日、東村高江県道70号線沿いに建てられていたテントが、沖縄防衛局(国)により撤去されました。撤去に先立って、沖縄防衛局が『7月19日』が経過しても放置されていた場合、所有権が放棄されたとみなす、という趣旨の貼り紙をしていたことと、7月22日に、村道沿いに建てられた通称『N1裏テント』に同趣旨の貼り紙がされたことから、今度は『N1裏テント』が強制撤去されるのではないか、という懸念が広がっています。」


 このことについて、小口弁護士は、「法律家の目から見ると、『N1裏テント』の強制撤去はあり得ないように思います。」、と結論づけています。
 この理由を、次のように三点にわたって説明します。


(1)7月22日に行われた撤去に関する国の言い訳
①7月22日に行われた県道沿いのテント、通称「N1表テント」の撤去は違法です。確かにあのテントは、道路法所定の許可をとっていなかったようですので「適法に設置されていたテント」ではなかったようですが、だからといって、道路管理者(県)ではない人(沖縄防衛局(国))が、裁判を経ずに撤去できる法律上の権限はありません。(※道路管理者であっても手続が必要です)
②権限がないことは、あの敷地の管理者が沖縄防衛局(国)であったとしても、変わりはありません。
③例えば、自分の庭に、誰かが勝手にテントを設置したとしても、勝手にどけられないのが法律です。「そんなばかな」と思われがちですが、そうなのです。これを「自力救済」の禁止といいます。東京霞ヶ関の反原発再稼働テントのように、それをどけるには、撤去を求める裁判を提起し、判決を得て、強制執行する必要があります。
④最近は言い訳が変わっていまして、現在は「所有者がいないテント」があって工事の円滑な実施に邪魔だったので撤去して保管しているだけと言い訳しています。簡単に言うと、「所有者がいないテント」だから、撤去しても誰の権利も侵害しないのだから、裁判とかしてないけれどまあいいじゃないですか、という理屈です。             ⑤「所有者がいないテント」だったというのは、そんなバカなというレベルの話しですが、これが政府の見解。


(2)N1裏のテントは所有者がいないテントか?
①政府の言い訳を前提に考えると、N1裏テントの強制撤去がされるかどうかは、所有者がいないテントか、そうでないかがポイントになってきますが、N1裏テントは、誰がどう見ても「所有者がいる」のようです。
②まず、上記1の福島みずほ議員のブログからの引用にあるように、政府は、要請文を掲示したのに「名乗る者」がいなかったことをもって、「所有者がいないテント」と判断しています。N1裏テントに同趣旨の貼り紙がされたのは、7月22日のことでした。7月22日に、8月5日を経過しても放置されているのであれば「所有権が放棄されたものとみなす」という貼り紙がされました。しかし、この貼り紙がされた7月22日よりあと、さらに期限とされた8月5日よりあとも、N1裏テントは使用され続けていますし、毎日集会が開かれています。さらに、これに加えて、8月5日以降テントには以下のような貼り紙がされました。テント所有者が「所有権は放棄していません」と言っている(明示している)のですから、流石に今度は「所有者がいないテント」だと思ったという理由はとおりません。
③法律的に考えるとN1裏のテントが強制撤去されることはないはずです。


(3)要請文が提示されたより後に設置された新たなテント
①7月22日当時には存在しなかったテントが多数設置され、多くの動産が置かれています。よって、7月22日の貼り紙に何らかの法律上の意味があったとしても(私はないと思いますが)、その後に置かれた物に、その貼り紙の効果が及ぶはずはない、ということです。
②7月22日に、8月5日が経過されても放置されているものは所有権が放棄されたものとみなす、という貼り紙が貼られたとしても、その効果が、7月22日の時点では存在しなかったテントや動産や、8月5日時点で存在しなかったテントや動産に及ぶはずはありません。そうすると、この点でも、法律的に考えるとN1裏のテントが強制撤去されることはないはずです。撤去したいのであれば、裁判の提起が必要です。



 小口弁護士の「法律家の目から見ると、『N1裏テント』の強制撤去はあり得ないように思います。」との結論は、一定程度理解できます。
 ただ、私たちの「杞憂」の根拠は、「日本が法治国家である」ということへの限りない疑いがあるということなのかもしれません。
 もっと言えば、強制撤去があるかどうかは、ただ単に権力の側の戦略的都合によるものでしかないという事実が、これまでを説明してきたという思いがあるからです。
 小口 幸人弁護士とともに、事の成り行きを見つめていきたいと思います。


 以下、南山法律事務所のコラムの引用。








南山法律事務所コラム-強制撤去は本当に行われるのか?(高江)-2016年8月17日


 7月22日、東村高江県道70号線沿いに建てられていたテントが、沖縄防衛局(国)により撤去されました。撤去に先立って、沖縄防衛局が「7月19日」が経過しても放置されていた場合、所有権が放棄されたとみなす、という趣旨の貼り紙をしていたことと、7月22日に、村道沿いに建てられた通称「N1裏テント」に同趣旨の貼り紙がされたことから、今度は「N1裏テント」が強制撤去されるのではないか、という懸念が広がっています。

 しかし、法律家の目から見ると、「N1裏テント」の強制撤去はあり得ないように思います。
 一つ一つ解説したいと思います。

1 7月22日に行われた撤去に関する国の言い訳

 既にコラムでも書いたように、7月22日に行われた県道沿いのテント、通称「N1表テント」の撤去は違法です。
 確かにあのテントは、道路法所定の許可をとっていなかったようですので「適法に設置されていたテント」ではなかったようですが、だからといって、道路管理者(県)ではない人(沖縄防衛局(国))が、裁判を経ずに撤去できる法律上の権限はありません。
(※道路管理者であっても手続が必要です)
 権限がないことは、あの敷地の管理者が沖縄防衛局(国)であったとしても、変わりはありません。
 例えば、自分の庭に、誰かが勝手にテントを設置したとしても、勝手にどけられないのが法律です。
 「そんなばかな」と思われがちですが、そうなのです。これを「自力救済」の禁止といいます。
 東京霞ヶ関の反原発再稼働テントのように、それをどけるには、撤去を求める裁判を提起し、判決を得て、強制執行する必要があります。
だから、裁判とかしてないけれどまあいいじゃないですか、という理屈です。
(ちなみに、「所有者がいないテント」だったはずなのに、その後防衛局は、所有者はこ
 当初国は、強制撤去したことを正当化するために、防衛省設置法4条19号に基づいて撤去したという言い訳をしました。
 しかし、防衛省設置法4条というのは、防衛省の「お仕事リスト」を定めただけの条文なので、流石にこの言い訳は無茶だと気づいたようです。
 最近は言い訳が変わっていまして、現在は「所有者がいないテント」があって工事の円滑な実施に邪魔だったので撤去して保管しているだけと言い訳しています。
 簡単に言うと、「所有者がいないテント」だから、撤去しても誰の権利も侵害しないのだから、裁判とかしてないけれどまあいいじゃないですか、という理屈です。
(ちなみに、「所有者がいないテント」だったはずなのに、その後防衛局は、所有者はこの人だろうと目星を付けて「返したい」と連絡をとっているようです。もう返却までされたかもしれません)

 連日N1表テントが使用され、その前で7月21日には約1600人が集まる集会が開かれ、7月22日は200人近い市民が身体を張って守ろうとしたのに、「所有者がいないテント」だったというのは、そんなバカなというレベルの話しですが、これが政府の見解。

福島瑞穂議員の質問趣意書に対する政府の答弁書に書かれていたので間違いありません。

(福島みずほ議員のブログより)

「テント等の所有者の有無を確認する趣旨で、平成二十八年七月十九日を経過しても撤去されていないテント及びその内部に放置されている物件については所有権が放棄されたものとみなす旨を記載した要請文を掲示し、所有者を名乗る者がいなかったことを確認した上で、当該テント等については所有者がいないものと判断し、同局において、在日米軍の施設及び区域の適切な管理を図るとともに当該工事の事業者として工事の円滑な実施及び進入路における安全を確保する観点から、当該テント等を撤去し、同局名護防衛事務所において保管しているところである。」

2 N1裏のテントは所有者がいないテントか?

 上記1の政府の言い訳を前提に考えると、N1裏テントの強制撤去がされるかどうかは、所有者がいないテントか、そうでないかがポイントになってきますが、N1裏テントは、誰がどう見ても「所有者がいる」のようです。
 まず、上記1の福島みずほ議員のブログからの引用にあるように、政府は、要請文を掲示したのに「名乗る者」がいなかったことをもって、「所有者がいないテント」と判断しています。
 N1裏テントに同趣旨の貼り紙がされたのは、7月22日のことでした。7月22日に、8月5日を経過しても放置されているのであれば「所有権が放棄されたものとみなす」という貼り紙がされました。
 しかし、この貼り紙がされた7月22日よりあと、さらに期限とされた8月5日よりあとも、N1裏テントは使用され続けていますし、毎日集会が開かれています。
 さらに、これに加えて、8月5日以降テントには以下のような貼り紙がされました。
 テント所有者が「所有権は放棄していません」と言っている(明示している)のですから、流石に今度は「所有者がいないテント」だと思ったという理由はとおりません。
 法律的に考えるとN1裏のテントが強制撤去されることはないはずです。

3 要請文が提示されたより後に設置された新たなテント

 さらに、もう一つ気になる点があります。それは、7月22日、要請文が貼られたときの状況と、現在の状況が余りに掛け離れているということです。
 簡単に言うと、7月22日当時には存在しなかったテントが多数設置され、多くの動産が置かれています。
 よって、7月22日の貼り紙に何らかの法律上の意味があったとしても(私はないと思いますが)、その後に置かれた物に、その貼り紙の効果が及ぶはずはない、ということです。
 まず、7月22日より後、8月4日に私が撮影したテントの写真は次のとおりです。そこにあるのは、白い普通のテントです。ところがどっこい、8月5日の夕方には、白いテントの回りに、新たに青い大きなテントが設置されました。
 さらに8月7日に新たにテントが設置されたようでして、8月9日には、テントが補強&拡大され200人からの人が座れる座席までできあがりました。
 ちなみに、その後さらに300人が座れるよう奥にテントが設置されています。
 7月22日に、8月5日が経過されても放置されているものは所有権が放棄されたものとみなす、という貼り紙が貼られたとしても、その効果が、7月22日の時点では存在しなかったテントや動産や、8月5日時点で存在しなかったテントや動産に及ぶはずはありません。
 そうすると、この点でも、法律的に考えるとN1裏のテントが強制撤去されることはないはずです。撤去したいのであれば、裁判の提起が必要です。

以上のとおりですので、日本が法治国家であるならば、N1裏テントが、裁判を経ずに撤去されることはないはずです。


by asyagi-df-2014 | 2016-08-18 05:34 | 沖縄から | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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