大阪再審無罪。

 標題について、朝日新聞は2016年8月11日、「大阪市東住吉区で1995年に青木めぐみさん(当時11)が焼死した住宅火災の再審で、大阪地裁(西野吾一〈ごいち〉裁判長)は10日、殺人や現住建造物等放火などの罪で無期懲役が確定した母親の青木恵子さん(52)と同居人の朴龍晧(たつひろ)さん(50)に無罪判決を言い渡した。有罪の柱だった朴さんの自白について『取調官による暴行や虚偽をもとにした追及があった』と指摘。青木さんの自白と共に、調書類の証拠能力を否定した。戦後に発生し、死刑か無期懲役が確定した事件のうち、再審無罪は9件目で計11人に上った。大阪地検は上訴権を放棄し、2人の無罪は即日確定した。青木さんは捜査・公判の違法性を明らかにするため、国家賠償請求訴訟を起こす。」、と報じた。
 また、朝日新聞は判決内容や青木さん、朴さんのコメントを次のように伝えた。


(1)「2人は保険金目的で車庫にガソリンをまいて放火し、入浴中のめぐみさんを焼死させたとして逮捕・起訴された。」
(2)「判決は、弁護団が再審請求中にした再現実験では、ガソリンをまききる前に気化して風呂釜の種火につき、数秒で大規模火災が起きたことを踏まえ、『自白通りの放火は困難』と認めた。一方で満タン給油していた軽ワゴン車のガソリンが漏れた可能性があると指摘。火災は自然発火の可能性があるとした。」
(3)「判決後、青木さんは会見し、『完全な真っ白な無罪判決で本当によかった』と笑顔を見せ、『訴えてきたことがやっと認めてもらえた』と話した。大阪地検が上訴権を放棄し、即日判決が確定したことについては『明日から普通の母親として生きていける』とのコメントを出した。」
(4)「朴さんは判決後の会見で検察に対し『裁判で(捜査書類など)大切な証拠を隠してきた。しっかり判決を受け止めてほしい』と求めた。上訴権を即日放棄したことについて、会見後『検察の理念に立ち返った結果。再審無罪判決を真摯(しんし)に受け止められたものとして意義深い』とのコメントを出した。」


 さらに、「大阪地検の田辺泰弘・次席検事は10日夕、『お二方が長年にわたって服役して無罪に至ったことは遺憾』と述べた。しかし、『謝罪する予定はない』と話し、『無罪を積極的に裏付ける証拠が提出されたわけではない』と理由を説明した。」、と報じた。


 このこことに関連して、朝日新聞は2016年8月11日、「大阪再審無罪 誤判の究明がなお必要」、とその社説で、次のように批判した。


(1)「自白偏重の捜査は許されないことを、警察と検察はあらためて肝に銘じるべきだ。」
(2)「注目すべきなのは、有罪の根拠とされた2人の自白を証拠から排除したことだ。『最初から犯人扱いし、相当な精神的圧迫を加えた』『取調官による誘導の疑いがある』。地裁は取り調べについてそう指摘した。自白に偏った予断捜査を厳しく戒めたといえよう。」
(3)「判決は誤判の原因には言及しなかった。2人は保険金目的で自宅に放火したとされた。しかし裁判のやり直しの過程で、車のガソリン漏れによる自然発火の可能性が高いことが、弁護側の再現実験で明らかになっていた。当初の捜査で自然発火の可能性を詰めなかったのはなぜか。自白通りならやけどをしているはずなのに、それがないのを裁判所はなぜ見逃したのか。再審開始決定時から指摘されてきたこうした疑問に、判決はこたえていない。裁判所もこの誤判にかかわった当事者であることを忘れてはならない。」
(4)「大切なのはなぜ捜査当局や司法が誤ったかを明らかにし、共有することだ。ふつうの市民が裁判員になる時代だからこそ、どこに落とし穴があるのか、みんなが知る意義は大きい。」
(5)「自白偏重を改めるため、今春、取り調べの録音・録画(可視化)を義務付ける法改正がなされた。だが、対象は限定されている。このままで十分か、さらに検討が必要だ。」


 よく理解できないのは、「裁判所の『お二方が長年にわたって服役して無罪に至ったことは遺憾』と述べた。しかし、『謝罪する予定はない』と話し、『無罪を積極的に裏付ける証拠が提出されたわけではない』と理由を説明した。」という裁判所の見解である。
 だとしたら、誤判の究明は、裁判所にとって最大の課題である。、


 以下、朝日新聞の引用。







朝日新聞-「真っ白、普通の母親に」 大阪・11歳焼死再審、2人に無罪-2016年8月11日05時00分


 大阪市東住吉区で1995年に青木めぐみさん(当時11)が焼死した住宅火災の再審で、大阪地裁(西野吾一〈ごいち〉裁判長)は10日、殺人や現住建造物等放火などの罪で無期懲役が確定した母親の青木恵子さん(52)と同居人の朴龍晧(たつひろ)さん(50)に無罪判決を言い渡した。有罪の柱だった朴さんの自白につログイン前の続きいて「取調官による暴行や虚偽をもとにした追及があった」と指摘。青木さんの自白と共に、調書類の証拠能力を否定した。

 戦後に発生し、死刑か無期懲役が確定した事件のうち、再審無罪は9件目で計11人に上った。大阪地検は上訴権を放棄し、2人の無罪は即日確定した。青木さんは捜査・公判の違法性を明らかにするため、国家賠償請求訴訟を起こす。

 2人は保険金目的で車庫にガソリンをまいて放火し、入浴中のめぐみさんを焼死させたとして逮捕・起訴された。

 判決は、弁護団が再審請求中にした再現実験では、ガソリンをまききる前に気化して風呂釜の種火につき、数秒で大規模火災が起きたことを踏まえ、「自白通りの放火は困難」と認めた。一方で満タン給油していた軽ワゴン車のガソリンが漏れた可能性があると指摘。火災は自然発火の可能性があるとした。

 判決後、青木さんは会見し、「完全な真っ白な無罪判決で本当によかった」と笑顔を見せ、「訴えてきたことがやっと認めてもらえた」と話した。大阪地検が上訴権を放棄し、即日判決が確定したことについては「明日から普通の母親として生きていける」とのコメントを出した。

 朴さんは判決後の会見で検察に対し「裁判で(捜査書類など)大切な証拠を隠してきた。しっかり判決を受け止めてほしい」と求めた。上訴権を即日放棄したことについて、会見後「検察の理念に立ち返った結果。再審無罪判決を真摯(しんし)に受け止められたものとして意義深い」とのコメントを出した。

 大阪地検の田辺泰弘・次席検事は10日夕、「お二方が長年にわたって服役して無罪に至ったことは遺憾」と述べた。しかし、「謝罪する予定はない」と話し、「無罪を積極的に裏付ける証拠が提出されたわけではない」と理由を説明した。


朝日新聞社説-大阪再審無罪 誤判の究明がなお必要-2016年8月11日



 自白偏重の捜査は許されないことを、警察と検察はあらためて肝に銘じるべきだ。

 大阪市東住吉区で95年、小学6年生の女児が焼死した火災で、殺人罪などで無期懲役が確定後、再審公判に臨んでいた母親の青木恵子さん(52)と、同居していた朴龍晧(たつひろ)さん(50)に、大阪地裁はきのう、無罪を言い渡した。

 注目すべきなのは、有罪の根拠とされた2人の自白を証拠から排除したことだ。

 「最初から犯人扱いし、相当な精神的圧迫を加えた」「取調官による誘導の疑いがある」。地裁は取り調べについてそう指摘した。自白に偏った予断捜査を厳しく戒めたといえよう。

 一方で、判決は誤判の原因には言及しなかった。

 2人は保険金目的で自宅に放火したとされた。しかし裁判のやり直しの過程で、車のガソリン漏れによる自然発火の可能性が高いことが、弁護側の再現実験で明らかになっていた。

 当初の捜査で自然発火の可能性を詰めなかったのはなぜか。自白通りならやけどをしているはずなのに、それがないのを裁判所はなぜ見逃したのか。

 再審開始決定時から指摘されてきたこうした疑問に、判決はこたえていない。裁判所もこの誤判にかかわった当事者であることを忘れてはならない。

 2人とも公判では無実を訴え続けた。しかし一審・大阪地裁は「不合理な弁解を繰り返している」と判断した。以後も有罪は覆らず、2人が自由を奪われた月日は約20年に及ぶ。検察側の直接証拠は自白以外になく、より慎重な吟味が必要だったのではないか。

 大切なのはなぜ捜査当局や司法が誤ったかを明らかにし、共有することだ。ふつうの市民が裁判員になる時代だからこそ、どこに落とし穴があるのか、みんなが知る意義は大きい。

 日本弁護士連合会は、冤罪(えんざい)の原因究明のため、捜査機関や裁判所から独立した第三者機関を国会に置くよう11年に提言している。英米のように州政府や国が調査委員会を設け、再発防止を提言する例も参考になる。

 「裁判の独立」を守る必要があるため、どんな検証方法が適切か、検討すべき課題は多いが、戦後発生し、死刑か無期懲役が確定後に再審で無罪となるのは今回で9件目だ。

 自白偏重を改めるため、今春、取り調べの録音・録画(可視化)を義務付ける法改正がなされた。だが、対象は限定されている。このままで十分か、さらに検討が必要だ。


by asyagi-df-2014 | 2016-08-15 09:16 | 書くことから-憲法 | Comments(0)

壊される前に考えること。そして、新しい地平へ。「交流地帯」からの再出発。


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