沖縄は、沖縄の民意の重みを示した。「辺野古新基地建設は許されない。」、と。

 2016年7月10日、参議院選挙の結果がもたらされた。
 複雑な気持ちでいる。
 ここは、冷静に、沖縄選挙区の結果を考えてみる。
 次に繋げるために。


 沖縄タイムスと琉球新報は2016年10月11日、「『2016参院選 伊波氏が圧勝』『辺野古』を見直す時だ」、「参院選 伊波氏が大勝 民意の厚みの表れだ 新基地建設は許されない」、とそれぞれ社説を掲げた。
 両紙は、安倍晋三政権に向けてこのように主張する。


(1)沖縄タイムスの主張
①「審判は下った。辺野古問題の分水嶺となる決定的な選挙結果である。民主政治を前提にする限り、新基地建設計画を維持するのは、もはや不可能だ。」
②「一連の選挙で示された『沖縄の民意』は明白である。」
③「普天間飛行場の移設推進に向け強硬姿勢を示し続けてきた島尻氏をあえて沖縄担当相に抜てきし、経済界や市町村長への影響力を行使しつつ沖縄の分断を図り、辺野古推進勢力を拡大していく、という安倍官邸のもくろみは崩れ去った。我田引水の解釈で結果を取り繕うのではなく、見たくない現実に向き合う柔軟さと度量、まっとうさが大切だ。」
④「政府が、この期に及んでもなお、アメとムチの予算措置によって基地受け入れ層の拡大を図るようだと、沖縄社会は『受益層』と『受苦層』に分断され、取り返しのつかない傷を負うことになる。それは横のつながりを維持してきた融和的な沖縄社会をぐちゃぐちゃに押しつぶし、民主政治を破壊することにほかならない。」
⑤「選挙結果を受けて政府が真っ先に取りくむべきことは、『辺野古が唯一の選択肢』だという恫喝(どうかつ)まがいの一方的主張を取り下げることだ。」
⑥「行政権力をチェックする機能を持つ司法と、総務省の第三者機関が現状を憂慮し、そろって『話し合い解決』を求めたのである。それが筋だ。」
⑦「そもそもなぜ、沖縄だけがこのような一方的基地押しつけを甘受しなければならないのか。選挙結果を無視して新基地建設を進めるようなことがあれば、これはもう地方自治に対する国家の暴力的介入というほかない。普天間飛行場の辺野古移設計画は頓挫した。一連の選挙で示された『「沖縄の民意』は重い。政府は、直ちに計画見直しに着手し、県との話し合いに入るべきである。」
(2)琉球新報の主張
①「安倍政権の強行姿勢にも、沖縄はひるまない。将来を見据えた県民の不退転の決意の表れだ。新基地建設に反対する民意はかつてないほど厚みを増した。安倍政権が民意を無視し、新基地建設を強行することは許されない。」
②「伊波氏は、3期目を目指した沖縄担当相の島尻安伊子氏に11万票近い大差をつけた。辺野古新基地を拒否する民意は揺るがないことの証しである。「沖縄のことは沖縄が決める」との自己決定権の実現を目指すことを、政府に改めて宣言した意義は大きい。
③「米軍基地あるが故に起きた米軍属女性暴行殺人事件を受け、基地被害を断ち切らねばならないという県民の誓いも、選挙結果には込められている。」
④「安倍政権は、辺野古新基地建設が県民から拒否された事実から目を背けてはならない。現職閣僚の大敗には、米軍人・軍属が引き起こす事件に有効な防止策を打ち出せないことへの強い抗議が込められていることも知るべきだ。」
⑤「衆参両院の沖縄選挙区は全て『オール沖縄』勢力が独占したことからも、新基地建設を県民が受け入れる余地は一切ないことは明らかだ。にもかかわらず安倍晋三首相は伊波氏当選を受けても、辺野古移設を推進する考えを表明した。新基地建設の強行は民主主義の破壊にほかならない。正当性は沖縄にある。大きな不利益を受ける側の意向は尊重されてしかるべきだ。」
⑥「翁長雄志知事は一連の選挙結果を踏まえ、伊波氏の当選を『民意の総決算』と評した。新基地建設の是非が争点になる選挙は、これで終わりにしたい。それは難しいことではない。県民が『負担軽減にならない』と拒否している辺野古への新基地建設を、安倍政権がやめれば済むことだ。民主主義の原点に立ち返れば、当然のことである。」



 琉球新報は、沖縄の闘いについて、「新基地建設に反対する民意はかつてないほど厚みを増した。」と評した。
 2016年7月11日という「結果」の朝を迎えて、あらためて、「自分たちの地域のことは自分たちが決める」との自己決定権の実現を目指すことを見つめ直している。
 非常な過酷さや困難さが背景にあるとは言え、それでも闘いが高められている場所があることを、体幹深く刻み込みながら、自分たちの場所で、自らのあり方を問うていこう。


 以下、沖縄タイムス及び琉球新報の引用。







沖縄タイムス社説-[2016参院選 伊波氏が圧勝]「辺野古」を見直す時だ-2016年7月11日




 審判は下った。辺野古問題の分水嶺となる決定的な選挙結果である。民主政治を前提にする限り、新基地建設計画を維持するのは、もはや不可能だ。

 参院選沖縄選挙区は、無所属新人で元宜野湾市長の伊波洋一氏(64)が、安倍政権の現職閣僚で自民党県連会長を務める島尻安伊子氏(51)ら2人の候補を大差で破り、初当選した。

 安倍自民党は全国の選挙区で順調に議席を増やし、比例代表でも下馬評通りの強さを発揮した。にもかかわらず、辺野古問題を抱える重点区の沖縄選挙区で、現職閣僚の議席を守ることができなかったのである。

 これによって沖縄の自民党は、衆議院にも参議院にも選挙区選挙で当選した議員が1人もいないことになる。衆院の現職4人は、2014年12月の総選挙の際、辺野古反対を掲げる候補に敗れ、比例で復活当選した人たちだ。

 一連の選挙で示された「沖縄の民意」は明白である。

 普天間飛行場の移設推進に向け強硬姿勢を示し続けてきた島尻氏をあえて沖縄担当相に抜てきし、経済界や市町村長への影響力を行使しつつ沖縄の分断を図り、辺野古推進勢力を拡大していく、という安倍官邸のもくろみは崩れ去った。

 我田引水の解釈で結果を取り繕うのではなく、見たくない現実に向き合う柔軟さと度量、まっとうさが大切だ。
■    ■
 1月の宜野湾市長選に敗れたあと、その総括をめぐってオール沖縄会議が揺れ、伊波氏の擁立に赤信号がともった時期もあった。

 島尻氏は、現職閣僚の強みを発揮し、「子ども支援」「健康長寿」「経済振興」という有権者の関心の高いテーマを前面に掲げ、エプロン姿で有権者にアピールした。

 だが、皮肉なことに、生活を重視する女性閣僚に強い拒否反応を示したのは、女性の有権者であった。

 県外移設の選挙公約を当選後に撤回したことや、辺野古移設推進の立場を鮮明にして強硬姿勢を示し続けてきたことが、有権者の厳しい批判を招いたのである。

 伊波氏に対して、中高年の女性から「絶対負けないでよ」という懇願するような声援が飛んだのは、島尻氏の当選だけは阻止したい、という悲壮感の表れでもあった。

 政府が、この期に及んでもなお、アメとムチの予算措置によって基地受け入れ層の拡大を図るようだと、沖縄社会は「受益層」と「受苦層」に分断され、取り返しのつかない傷を負うことになる。

 それは横のつながりを維持してきた融和的な沖縄社会をぐちゃぐちゃに押しつぶし、民主政治を破壊することにほかならない。

 選挙結果を受けて政府が真っ先に取りくむべきことは、「辺野古が唯一の選択肢」だという恫喝(どうかつ)まがいの一方的主張を取り下げることだ。

 辺野古の埋め立て承認取り消し問題で、福岡高裁那覇支部は、この種の訴訟としては異例の和解勧告を提示し、国と沖縄県に話し合い解決を求めた。

 総務省の第三者機関である国地方係争処理委員会も委員会としての判断を回避し、国と沖縄県のさらなる協議を求めた。
■    ■
 行政権力をチェックする機能を持つ司法と、総務省の第三者機関が現状を憂慮し、そろって「話し合い解決」を求めたのである。

 それが筋だ。

 国が「裁判を起こせ」と県をけしかけるのは、裁判による勝利という、争いを前提にした考え方で、真の解決を求める姿勢からはほど遠い。

 そもそもなぜ、沖縄だけがこのような一方的基地押しつけを甘受しなければならないのか。

 選挙結果を無視して新基地建設を進めるようなことがあれば、これはもう地方自治に対する国家の暴力的介入というほかない。

 普天間飛行場の辺野古移設計画は頓挫した。

 一連の選挙で示された「沖縄の民意」は重い。政府は、直ちに計画見直しに着手し、県との話し合いに入るべきである。



琉球新報社説-参院選 伊波氏が圧勝 民意の厚みの表れだ 新基地建設は許されない-2016年9月11日




 安倍政権の強行姿勢にも、沖縄はひるまない。将来を見据えた県民の不退転の決意の表れだ。

 参院選沖縄選挙区で、無所属新人で元宜野湾市長の伊波洋一氏が初当選した。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設反対を掲げての圧勝である。
 「オール沖縄」勢力はこれで非改選を含む参院沖縄選挙区で2議席、衆院沖縄選挙区で4議席の計6議席を独占した。
 新基地建設に反対する民意はかつてないほど厚みを増した。安倍政権が民意を無視し、新基地建設を強行することは許されない。

 1票に込めた誓い

 伊波氏は、3期目を目指した沖縄担当相の島尻安伊子氏に11万票近い大差をつけた。辺野古新基地を拒否する民意は揺るがないことの証しである。「沖縄のことは沖縄が決める」との自己決定権の実現を目指すことを、政府に改めて宣言した意義は大きい。
 米軍基地あるが故に起きた米軍属女性暴行殺人事件を受け、基地被害を断ち切らねばならないという県民の誓いも、選挙結果には込められている。
 伊波氏は選挙戦で「辺野古への新基地建設は沖縄の負担軽減にならない」と新基地建設に反対した。移設によって「沖縄が未来永劫(えいごう)基地の島になる」とも訴えた。沖縄への理不尽な基地押し付けの本質を射た訴えであり、幅広い県民の共感の大きさが得票数に表れた。
 新基地建設は過重な負担を今後も沖縄だけに強いる、危険性のたらい回しにほかならない。それが県民の共通認識であることを、安倍政権に改めて突き付けた。
 島尻氏は「あらゆる選択肢を排除せず、全力かつ現実的に取り組む」とした。だが、安倍政権は「あらゆる選択肢」を排除し、辺野古移設に固執している。島尻氏は「普天間問題の原点は危険性除去や基地負担軽減にある」ともしたが、新基地建設までの期間を考えれば、10年以上も危険を放置することになる。県民の支持が広がらなかったのは当然だ。
 6年前の参院選で県民と約束した「県外移設」の公約を撤回したことで、島尻氏は安倍政権の代弁者と化した。県民が求めるのは沖縄の民意の代弁者である。その認識の有無が結果に大きく影響したと言えよう。
 安倍政権は、辺野古新基地建設が県民から拒否された事実から目を背けてはならない。現職閣僚の大敗には、米軍人・軍属が引き起こす事件に有効な防止策を打ち出せないことへの強い抗議が込められていることも知るべきだ。

 原点に立ち返れ

 普天間飛行場移設問題を巡る主要選挙では、2014年1月の名護市長選、11月の知事選、12月の衆院選全沖縄選挙区のいずれも新基地を拒否する候補が当選した。
 ことし1月の宜野湾市長選は安倍政権の推す現職が勝利したが、選挙戦では辺野古移設の賛否を明言しておらず、新基地建設を市民が選択したことにはならない。6月の県議選では翁長県政与党が圧勝している。
 衆参両院の沖縄選挙区は全て「オール沖縄」勢力が独占したことからも、新基地建設を県民が受け入れる余地は一切ないことは明らかだ。
 にもかかわらず安倍晋三首相は伊波氏当選を受けても、辺野古移設を推進する考えを表明した。新基地建設の強行は民主主義の破壊にほかならない。正当性は沖縄にある。大きな不利益を受ける側の意向は尊重されてしかるべきだ。
 翁長雄志知事は一連の選挙結果を踏まえ、伊波氏の当選を「民意の総決算」と評した。新基地建設の是非が争点になる選挙は、これで終わりにしたい。
 それは難しいことではない。県民が「負担軽減にならない」と拒否している辺野古への新基地建設を、安倍政権がやめれば済むことだ。民主主義の原点に立ち返れば、当然のことである。


by asyagi-df-2014 | 2016-07-12 05:50 | 書くことから-いろいろ | Comments(0)

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